シニアの健康・運動・睡眠についてー2023年3月調査

2023/10/30

 

  • シニアは年代が高いほど、若い頃に比べて運動に対する意識変化よりも運動能力の低下を大きく感じている。運動能力について相対的に「腰痛や疲れ」が多いが、年代が高いほど「生活習慣病」や「膝の痛み」を感じる比率が高くなる。

  • 健康のための対策として70代以上の多くが既に何らかの取り組みをしており、男性は「適度な運動」、女性は「健康的な食生活」が多い傾向にある。

  • 今後の運動への取り組み意向については70代以上の約7割が「散歩やウォーキング」をしたいと回答しており、低コストで負荷が少く手軽に取り組めるものが多い傾向にある。

  • 睡眠時間について個人差があるとした上で、60歳代以上で平均6時間弱と高齢になるほど必要な睡眠時間が短くなると言われているが、本調査では年代が高くなるほど睡眠時間が長くなっており適正な睡眠時間と逆行傾向にある。

  • 年代が高くなるにつれ、トイレに起きる・夜中に目が覚めることが多くなる半面、朝スッキリと目が覚めるについても、年代が高くなるにつれ数値が高くなっており二極化している。


70代以上になると健康のための取組比率が上昇

 

  • 今現在、健康のために何かしているかどうかについて、70代以上の割合が高くなる。特に80%以上を超えている世代は、男性80代以上が最も高く89.0%となっており、男性70代、女性70代が共に86.0%と続いている。

 

Q. 今現在、健康のために何かしていますか
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)

男性は「適度な運動」、女性は「健康的な食生活」

  • 今現在、健康のためにしていることについて、全体で「適度な運動」が最も多く、「健康的な食生活」、「しっかりと睡眠をとる」と続いている。

  • 男女別で見てみると、健康のために何かしらの対策を行っているのが最も多い男性80代以上では「適度な運動」66.5%が最も多く、次いで「健康的な食生活」58.0%、「しっかりと睡眠をとる」46.0%と続く。

  • 男性70代では「適度な運動」61.0%、次いで「しっかりと睡眠をとる」55.0%、「健康的な食生活」52.0%となっており、80代以上の男性と2位・3位の順位が逆となっている。

  • 女性については、男性が2番目に多かった「健康的な食生活」が60代以上で最も多く、次いで「適度な運動」、「しっかりと睡眠をとる」と続いている。女性は自身で料理を作る事が多いため、食事管理は男性より取り組みやすいのではないかと推測される。

 

Q. 今現在、健康のために何かしていますか
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)


70代以上、特に80代以上の運動意識が高い

  • 「毎日運動している」と回答した割合の最も多い年代は80代以上が22.3%と最も多く、次いで70代の17.8%、60代の12.5%となっており、年代が高くなるにつれ毎日運動をしている割合が高くなる傾向にある。また、70代以上の6割以上が1週間に2日以上運動している。

  • 男女別で見てみると、男性80代以上が75.5%で最も多く、次いで女性70代の71.5%、男性70代の70.5%と続いている。

  • 「毎日」と回答したのは男性80代以上の29.0%と最も高く、次いで男性70代の18.5%と続いており、圧倒的に男性80代以上の運動頻度が高くなっている。

 

 

Q. 運動の頻度を教えてください。(SA)


運動頻度が多く時間が長いのは男性80代以上

  • 運動時間について、30分~1時間が全体的に多く、70代は51.8%、80代以上は52.0%が以上となっており、70代以上の約半数が30分~1時間程度の運動をしている。

  • 男女別に見てみると、「2~3時間程度」と回答したのは男性80代以上が15.0%、次いで男性60代13.0%、男性70代12.5%となっており、前問と同様に男性80代以上が運動頻度も運動時間共に最も比率が高くなっており、運動に積極的に取り組んでいることが分かる。


Q. 1日の運動時間を教えてください。(SA)


年代が高いほど運動能力の低下を大きく感じている

  • 若いころとの運動意識の変化について、50代、60代、70代とそれぞれ「若いころのように機敏に動けなくなった」が最も多くなっている。
  • 70代と80代以上は「若いころのように機敏に動けなくなった」が最も多く、「膝や腰などの関節に痛みが生じやすくなった」、「身体的な制限によって、若いころできた運動ができなくなった」、「膝や腰などの関節に痛みが生じやすくなった」が上位3つとなっているが、60代は「身体的な制限によって、若いころできた運動ができなくなった」が6位と低くなっており、3位は「やる気やモチベーションが若いころより低下している」となっており、順位が大きく異なっている。「やる気やモチベーションが若いころより低下している」については、70代以上で7位となっており、その他の項目を見てみても、意識的な変化よりも運動能力の低下が大きく感じられている。

 

Q. 運動にあたって、若いころと比較して現在どのように感じますか?
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)


散歩やウォーキングの比率が相対的に高い

  • 60代以上の今後取り組みたい運動について、「散歩やウォーキングなどの軽い運動を日常的に行う」が各世代で圧倒的に多く、2位との差が各世代で約4割を超えている。最も数値が高いのが80代以上の73.3%、次いで70代の73.3%、60代の65.5%となっている。散歩やウォーキングは手軽で負荷が少なく気軽に行えるからだと想定される。

  • 男女別にみてみると、男性は「ジョギングやランニングを始める」が女性の3倍、「ゴルフやテニスなどのスポーツを始める」が女性の2.7倍、「サイクリングやハイキングなどアウトドアスポーツを始める」が女性の2.5倍となっており、女性との差が大きい。

  • 女性は「ストレッチなどの柔軟性を高める運動を取り入れる」が男性の1.6倍、「瞑想やヨガなどのリラックス系の運動を始める」が男性の2.5倍とその差が大きい。

  • これらの男女差から、男女ともに「散歩やウォーキングなどの軽い運動を日常的に行う」が最も多いが、男性はアクティブ系の運動志向が高く、女性はストレッチ系の運動志向が高いことが分かる。

 

 

Q. 体力を衰えさせないために今後どのような方法で運動に
取り組みたいと思いますか?
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)

男女別(40代以上)


年代が低いほど「肩こりや体重増加」高いほど生活習慣病や膝の痛みを感じやすい

  • 現在感じる不調について、全体では「腰痛を感じる」が37.7%と最も多く、次いで「疲れやすい」29.9%、「肩こりがある」29.1%と続いている。

  • 年代別に見ると、40代~60代は全体の傾向と同様に順位が違えど「肩こりがある」「疲れやすい」「腰痛を感じる」と上位の症状は同じであるが、70代は「疲れやすい」よりも「糖尿病/高血圧/高脂血症等の生活習慣病を持っている」が上回っており、80代以上は「膝に痛みがある」が上回っており、70代以上は40~60代と順位が異なっている。

  • 「肩こりがある」、「体重が増えた」については年代が下がるにつれ数値が低くなっており、「体重が増えた」について40代は80代以上の約3.3倍、「肩こりがある」について40代は80代以上の約2.2倍とその差が大きい。

  • 「糖尿病/高血圧/高脂血症等の生活習慣病を持っている」、「膝に痛みがある」については年代が上がるにつれ数値が高くなっており、「糖尿病/高血圧/高脂血症等の生活習慣病を持っている」について40代は80代以上の約4.4倍、「膝に痛みがある」について40代は80代以上の約2.3倍でとその差が大きい。

     

 

Q. 現在身体に関してどのような不調を感じていますか?
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)


年齢が高くなるにつれ食に対する意識が上昇し特に女性が高い傾向

  • 普段気を付けている食生活について、「朝食は毎日必ず食べるようにしている」が最も多く、次いで「普段から野菜を積極的に取るようにしている」、「ヨーグルトや発酵食品など、腸内環境を整えるための食品を積極的に取るようにしている」と続いている。また、多くの内容において年代が上がるにつれ数値が高くなっており、特に「朝食は毎日必ず食べるようにしている」については、80代以上が40代の約1.9倍となっており、最も年代別のポイント差が大きい。

  • 「特にない」については、年代が上がるにつれ数値が低くなっておりなっており、40代は80代以上の約2.9倍とその差が大きく、年代が高くなるほど食生活に何らかの対策をとっていることが分かる。

  • 男女別に見てみると、ほぼ全ての項目において女性の方が数値が高く、男性よりも女性の方が、食生活への意識が高く年代が高くなるにつれその意識が一層高くなっている。特に、男女差が最も大きい項目は「おいしく食べるようにしている」が13.4ポイント差となっており、普段から自身で工夫しながら健康に気を付けた調理をしているためではないかと想定される。

  • 男性の年代別でみると、「食事の量は少なめで、軽めの食事を心がけている」及び「塩分の摂りすぎに気を付け、味付けには醤油や味噌など減塩タイプを使っている」について、80代以上は40代の約5倍となっておりその差が大きい。

  • 女性の年代別でみると、相対的に年代が高くなるにつれ数値も高くなっているが、60代以上になると40代・50代との差が急に大きくなる項目が多い。特に注目すべきは、「朝食は毎日必ず食べるようにしている」と「食事の時間を決め、規則正しい生活を心がけている」の2項目でその差が大きく、同居の子供・孫がいない女性、現在仕事についていない女性の数値が高いことから現役を引退し、子供が巣立った等で生活リズムの変化に対応し食事の時間などに気を使っているのではないかと想定される。

 

 

Q. 普段、食生活で気を付けていることはありますか?
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)

 


60代以上は適正な睡眠時間と逆行傾向に

  • 睡眠時間について、どの世代も「6時間以上8時間未満」が最も多くなっており、次いで「4時間以上6時間未満」、「8時間以上」と続いている。

  • 平成15年3月に発表された厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」では、快適な睡眠を確保するための、睡眠時間、睡眠パターン等は人それぞれで個人差があるとした上で、特に年齢の影響は大きく、20歳代~50歳代までは、6.5~7.5時間、60歳代以上で平均6時間弱と、高齢になるほど、概して必要な睡眠時間が短くなることが報告されているが、6時間以上の睡眠時間を取っている60代は67.3%、70代75.5%、80代以上76.8%と年代が高くなるほど、睡眠時間が長くなっており、適性な睡眠時間よりも多く眠っており、逆行傾向にある。

 

 

Q. 1日の睡眠時間を教えてください。(SA)

 


年代が高くなるにつれ、トイレに起きる・夜中に目が覚めることが多い半面、朝スッキリと目が覚めるについても、年代が高くなるにつれ数値が高くなっており二極化

  • 睡眠の質について、40代~70代は「最近は夜中に自然と目が覚めることが多くなってきた」が最も多く、40代30.3%、50代32.5%、60代35.8%、70代35.5%となっているが、80代以上のみ「夜中にトイレに起きることが多く、睡眠時間が短くなってしまうことがある」が最も多く、40.8%となっている。この回答については年代が高くになるにつれ数値が高くなっているが、80代以上は40代の約3.5倍と、その差がかなり大きい。

  • 80代以上を除いて「最近は夜中に自然と目が覚めることが多くなってきた」が各世代で最も多かったが、その反面「睡眠の質は比較的良好で、朝起きた時にスッキリと目が覚めることが多い」については、40代が3.3%であるのに対して80代以上は19.8%と差が16.5ポイントと大きくなっており、二極化していることが分かる。

  • 「昼寝をすることで、夜の睡眠を改善しようとしている」の回答は8~10%前後で年齢による大差はなく、また「寝る前にストレッチやリラックス法を行うことで、眠りを深くするようにしている」の回答は4~7%前後となっており、睡眠の質を上げるための対策を取っている割合が非常に少ない。



Q. 睡眠時間や睡眠の質について、どのように感じていますか?
あてはまるものをすべて教えてください。(MA)

 


調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2023年3月中旬
  • 対象エリア:日本全国
  • 対象者:40代~80代以上の男女
  • 有効回答数:2,000名(男性:1,000名/女性:1,000名)


 

シニアライフ総研®では、シニアマーケティングやシニアビジネスにおいて、さまざまなニーズやトレンドを把握するため、幅広いテーマで独自調査を行い調査データを分析しご紹介しています。

第3回 コロナ禍シニアの行動変化ー2021年11月調査
住居・仕事・生活編 ー 定期調査/2020年版
IT 編 ー 定期調査/2020年版
シニアマーケティングの豊富な実績事例から、トータルコーディネートさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください
マーケット最前線
データ集
メディア集
ビジネスマッチング
注目ビジネス
シニアマーケティングの考え方
連載コラム
編集室から
シニアライフ総研について
ニュース
お問い合わせ

Copyright©Roots of communication Co.,Ltd. All rights reserved.