2020年5月調査ー第1回 コロナ禍シニアの行動変化
2020/6/16
「新しい生活様式」の浸透はシニア女性の
意識変容が下支えになる!
95%のシニアが「意識や行動」に変化!
女性が最も新型コロナウイルスの影響を!
シニアライフ総研®では、シニア層の日常生活における新型コロナウイルス感染症拡大の影響を把握するため、55歳以上の高齢者約670人を対象にインターネット調査を行いました。
【調査概要】
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2020年5月下旬
- 対象エリア:日本全国
- 対象者:介護サポートなどを必要としない健康な高齢者(年齢55~87歳)
- 有効回答数:666名(男性:337名/女性:329名)
【調査結果①】男女別 比較結果
1. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「意識や行動」について変化があったもの (複数回答)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、シニア層の95%が「意識や行動」について変化があったものとして、中でも「外出時にマスクの装着を欠かさなくなった」83%、「手洗い・うがいなどを、こまめにするようになった」82%、「外出をほとんどしなくなった」が48%、「室内換気をこまめにするようになった」42%、「運動不足を感じるようになった」38%と続く。
これらは全て男性よりも女性が数値を大きく押し上げていることから、コロナ感染の流行はシニア層の女性が非常に敏感に反応したことがうかがえる。
男性で特徴的なのは、「自宅でお酒を飲むことが増えた」が10%と女性の2倍となっており、毎日の過ごし方に変化があったと思われる。
2. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「時間が増えたもの」(複数回答)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、シニア層の75%に自身が行う「時間が増えたもの」があり、挙げられたのは「TVの視聴時間」49%、「PCによるインターネットの利用時間」43%、「スマホなどのモバイル端末によるインターネットの利用時間」が20%、「YouTubeの視聴時間」16%とシニア層にもテレビと共にインターネットが確実に浸透していることが分かる。
これらの傾向もこのコロナ禍では特に女性が牽引しており、さらに「料理の時間が増えた」23%と、家事にも時間を費やしたと回答している。
3. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「新たに生活に取り入れたこと・やってみたこと」 (複数回答)
女性の4人に1人が「室内での健康維持・増進策(体操や筋トレなど)」を新たに取り組んだと回答しており、今後についても「筋トレやストレッチ、ヨガなどは自宅で動画を活用しようと思う」15%(5参照)と、それぞれ男性回答を上回っており、女性の方が健康への意識が高い傾向にある。
4. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、自身を含む家族の「買い物」について変化があったもの(複数回答)
買い物に関しては、「購入頻度が減り、1回あたりの購入量・金額が増えた」と答えた女性は56%にのぼり、「通販を利用」15%、「食事のテイクアウト」13%、「ネットスーパー利用」8%など、男性のそれらに比べて積極的に利用したことがうかがえる。
今後、女性の14%は終息後も通販を利用予定と答えており、今後の買い物形態も変化するかもしれない。
5. 厚生労働省から発表された「新しい生活様式」を受けて、今後の生活様式について変える予定のもの(複数回答)
コロナを想定した「新しい生活様式」について女性は「3密(密集・密接・密閉)」を意識的に回避」78%、「こまめな手洗い・うがいの実施」78%、「外出時、屋内にいるときや会話をする時は症状がなくてもマスクを着用」60%、「こまめに室内換気」54%、「帰省や旅行は控えめにしようと思う」42%と、男性を含む全体のトップ5項目すべてで14~26ポイント以上高く、「新しい生活様式」への意識もかなり高い実態が浮き彫りとなった。
【調査結果②】シニアライフ総研®オリジナルシニア6区分 比較結果
シニアライフ総研®では「シニア」を年齢軸で55歳以上と定義し、年齢軸の他に就業状況、身体状態、普段利用しているデジタルデバイスやインターネットの利用頻度、趣味やコミュニティ参加などの回答を得点化し、シニアライフ総研®独自の視点で6つの分類にシニア世代を大別しています。
>>>シニアの定義・カテゴライズについてはこちら
>>>6区分・各カテゴリの特徴についてはこちら
この6区分のうち、介護を受けている層を除く「現役層」「引退層」「アラ70/アクティブ層」「アラ70/マイペース層」別に見た調査結果をご紹介します。
1. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「意識や行動」について変化があったもの (複数回答)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による「意識や行動」の変化について、すべての層において女性のほうが男性よりも「変化した」と答えている。
その中で、「変化しなかった」と答えた割合は、男女ともにアラ70マイペース層が最も多い結果となった。全層であてはまる回答者数が最も多い、「マスクの装着」、「手洗い・うがい」の2項目についても、主に女性のほうが男性より割合が高いが、男性の中でもアラ70アクティブ層は「手洗い・うがい」について全カテゴリーの女性と同程度の意識の高さとなっている。
また「室内喚起をこまめにするようになった」に関しては、アラ70アクティブ層男性は40%と引退層の女性とほぼ同じ割合であり、男性のうちアラ70アクティブ層は衛生面への意識変容がみられる層である。
2. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「収入・支出」について変化があったもの(複数回答)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による「収入・支出」の変化は、「変化はなかった」と答える層が最も多い中、現役層の女性のみ「給与やアルバイト・パート等での収入が減った」と答えた割合が上回っている。現役層の男性についても、他層と比べて給与・収入が減ったと回答する割合が多くなっているが、その割合は現役層女性よりも10%低く、シニア層においても男性に比べて女性のほうが経済面での影響を強く受けたことが分かる。
他層で変化のあった点は、「食費が増えた」、「光熱費が増えた」と生活面での影響が見られる。「収入・支出」の変化についても、
他の層に比べてアラ70マイペース層は男女ともに「変化はなかった」と答えている割合が高く、その過半数があまり影響を受けていない結果となった。
3. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、自身を含む家族の「買い物」について変化があったもの(複数回答)
買い物に関しても、やはり各層女性のほうが「変化した」と回答した割合が多い。
一方で、男性の中でも現役層の「食事のテイクアウト利用が増えた」17%や、アラ70アクティブ層男性の「買い物の頻度が減り、1回あたりの購入量・金額が増えた」56%などは、女性の回答数に近い割合で変化がみられている。
通販利用の増加および利用意欲については、アラ70アクティブ層が最も積極的で、また現役層男女、引退層男性、アラ70マイペース層の女性においても約1割がコロナ後も利用意欲があると答えている。
4. 緊急事態宣言発令に伴う自粛中に、自身を含む家族が「通販」で購入したもの(複数回答)
緊急事態宣言発令に伴う自粛中での通販利用への影響については、「意識・行動」や「買い物」の変化と同様に男性よりも女性への影響が強いとみられる。その中でも、通販での「食料品」購入については、アラ70アクティブ層女性が45%と他層の男女と比較して顕著に高くなっている。
現役層・引退層の女性については、約3割が「マスク」を購入しており、店舗における品薄が影響したのではないかと思われる。アラ70マイペース層は男女ともに他の層よりも通販利用の変化が小さい傾向にある。
5. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「新たに生活に取り入れたこと・やってみたこと」(複数回答)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、新たに生活に取り入れたこととして男性は半数以上が「取り入れたものはない」と回答している一方、女性はアラ70マイペース層を除いて過半数が「取り入れたものがある」と答えている。その中でも、アラ70アクティブ層の女性は約7割が「取り入れたものがある」と答えており、中でも、「室内での健康維持・増進策(体操や筋トレなど)」28%、「屋外での散歩・ランニング」24%と健康への意識が高まった傾向が見られた。
また「室内での健康維持・増進策(体操や筋トレなど)」に関しては、引退層女性が35%と他の層と比べて最も割合が高く、引退層女性の「屋内での健康維持」への意識の高さが見て取れる。
男性に関しては、アラ70アクティブ層男性は、同層女性よりは割合が低いものの、「室内での健康維持・増進策(体操や筋トレなど)」23%、「屋外での散歩・ランニング」20%と健康への意識が高い。
情報収集については、現役層女性と引退層男性が2割程度と、最も「取り入れたものがある」と答えたアラ70アクティブ層女性と同様の割合になっている。現役層女性と引退層男性は特に情報収集に敏感になった層であると考えられる。
6. 新型コロナウイルス感染拡大の前後の「キャッシュレス決済」利用の変化(単一回答)
キャッシュレス決済の利用については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用を始めた層として、アラ70アクティブ/マイペース層それぞれ数こそ少ないものの3~6%の影響がみられた。
「以前から使用していた」のはアラ70マイペース層の男性を除き各層約8割またはそれ以上を占めており、シニア層のキャッシュレス決済利用率の高さが分かる。
一方で、アラ70マイペース層男性は「以前から利用していた」68%と他層よりも利用率が最も低く、さらに「これからも利用するつもりはない」23%と他層よりも最も高いことから、キャッシュレス決済の利用に最も消極的な層とみられる。
同様に今後も利用見込みがない層としては、次点に引退層女性15%、現役層男性・アラ70マイペース層女性13%と続いており、性別や年齢による傾向があまり見られないことも指摘できるだろう。
シニアライフ総研®では、シニアマーケティングやシニアビジネスにおいて、さまざまなニーズやトレンドを把握するため、幅広いテーマで独自調査を行い調査データを分析しご紹介しています。