第43回 パナソニックホールディングス株式会社 ビジネスアワード2023 プロダクト賞受賞企業
介護施設向け介護業務支援サービス
「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」
パナソニックホールディングス株式会社 事業開発室 スマートエイジングプロジェクト
総括担当/プロジェクトリーダー 山岡勝様
パナソニックハウジングソリューションズ株式会社 水廻りシステム事業部 トワレ事業推進部
商品企画課 主務 南弘嗣様
ビジネスアワード2023 プロダクト賞を受賞したパナソニックホールディングス株式会社の『介護施設向け介護業務支援サービス「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」』。今回はプロジェクトを担当されたパナソニックホールディングス株式会社の山岡勝様と販売を担当されたパナソニックハウジングソリューションズ株式会社の南弘嗣様に、「排泄センサー」開発の経緯や今後の展望などについてお話をうかがいました。
2024年4月取材
Q.「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」を「ライフレンズ」のオプションとして提供開始してから2024年3月で1年経ちました。このシステムを開発することになった経緯を教えてください。
(山岡氏)
2020年から介護施設向け介護業務支援サービス「ライフレンズ」の提供を始めました。これはシート型センサーとカメラにより入居者のお部屋での状態や生活リズムがリアルタイムで把握でき、入居者の状況に応じたケア対処を可能にし、夜間巡視の軽減など見守り業務を効率化する介護業務支援サービスです。ただ、入居者に対するより質の高いケアを提供するには、排泄も大きな要素になるという話になりました。
そこで大学などとも連携しながら現場で排泄センサーの実機評価を行ったところ、期待値は非常に大きいものでした。利尿剤を服用している入居者もいますし、服薬効果の確認に対して定量的なデータがあれば、看護師などの負担軽減にもつながります。実際、排泄の状態を管理しなければいけない入居者に対し、排泄が終わるまでトイレの前で待っているのは入居者と看護師双方の負担になりますし、入居者が流してしまうこともよくあるそうです。入居者はもちろん、看護師の心理的、身体的負担を軽減する意味でも、排泄を管理するセンサーが世に出る意味があるというということで、事業として立ち上げました。
Q. この1年の導入事例や成果についてお聞かせください。
(山岡氏)
介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームでご利用いただきました。期待通り、排泄の記録や観察が効率化できているのは実感しています。今後は業務の効率化のところだけではなく、排泄物の性状情報から健康状態の把握にどうつなげていくかを導入事業者さんと作り上げていくフェーズになります。
Q. 「排泄センサー」を導入された施設などからはどのような反響がありましたか。
(山岡氏)
「見えていないときでも定量的に把握できる」という点が、一番反響がありました。入居者が夜間に頻回に離床する現象はもともと「ライフレンズ」によって把握できており、その多くがトイレ動作を含んでいることもわかっていました。それに加えて「排泄センサー」によって、どういう性状の排泄がされているもわかるようになり、特に人の目が行き届かない夜間の生活リズムを睡眠と排泄という両面から課題を導き出していくアセスメントのデータとして使っていただくところが非常に喜んでいただいています。
服薬効果の確認という観点からは、入居者から「便が出ない」と言われ、医師がより強い薬に変更していくのは珍しいことではありません。それが今回の排泄センターをつけてみると、実際はかなりの頻度で水状便を繰り返していることがわかりました。こういうデータがあると、下剤が入りすぎているということもいち早く把握できます。認知症の方も多くいらっしゃるところなので、正しい情報に基づいた服薬管理の参考情報になっていくだろうという手ごたえを感じていています。
Q.実際に導入してから想定外のことはあったでしょうか。課題と対策についてもお聞かせください。
(山岡氏)
「ライフレンズ」が個室用にチューンナップされて作られているので、「排泄センサー」もおのずと個室のトイレを対象としていました。それが共用トイレを利用される頻度が、私たちが想定していたよりも多かったです。そこにいかに対応していくかが最大の課題といえます。現在、共用トイレにおける「排泄センサー」にとって最適な「人の認証」がどういうもいのか、現場のみなさまと共に実証実験を始めたところです。
また、今回は「ライフレンズ」に組み合わせて「排泄センサー」を使う形ですが、「排泄だけ見たい」という希望も現場から多くありました。そこで「排泄センサー」だけで稼働するような「ライフレンズ」の検討も始めています。
ほか、何も出ていないという表示が出たときでも、少量の尿や便の排泄があることもあるのですが、少なすぎて検知できていないというケースがありました。介護の観点からも、まったく出ていないのか、少量でも出ているのかは大きな違いになってくるので、そこはより精度を上げていかなければならないと感じています。
(南氏)
入居者が施設内の違う部屋に移るケースも予想以上に多かったため、必然的に部屋から部屋の移設の頻度も想定よりも多くなりました。そのため、今以上に設置性を簡易的にできるような形にしていきたいと考えています。
Q. 貴社における「シニア」の定義を教えてください。
(山岡氏)
プロジェクトによってシニアの定義も年齢の設定も変わります。「ライフレンズ」においては介護施設に入居される方がシニアということになりますので、要介護2以上の方や、介護職員さんのサポートがないと生活が難しいというレベルの方となります。現場の介護職員さんの負担を軽減するというところが重要ですので、高齢者のデータを取りつつ、いかに介護職員さんに意味のあるソリューションになるかというところを日々考えています。
Q. 「排泄センサー」ならびにシニアターゲティング市場における今後の抱負をお願いいたします。
(南氏)
排泄センサーはB to B向けということで対象は施設ですが、パナソニックはB to Cも得意とする領域ですので、いずれは個人が購入し、ご家庭で「ライフレンズ」と「排泄センサー」を利用していただけるころまで持っていけたらと思っています。また、現在所属している部署では排泄センサーだけでなくトイレ事業を全体で見られるため、介護支援向けだけでなく、障害やハンデのある方へのサービスや製品の提供についても考えていきたいです。
(山岡氏)
当社は介護予防にも力を入れており、事業開発の連携パートナーであるポラリスさんというデイサービス事業所と自立支援介護プラットフォームを共同開発しました。たとえば寝たきりになってしまったシニアの方にも正しいリハビリテーションを通して、もう一度自分の足で歩けるようにするなどです。要介護4の寝たきりの方が半年後に自分の足で歩けるようになった事例もあり、「もう一度元気になってやりたいことをやる」というのは社会的にも素晴らしいことです。さらに今後は要介護高齢者だけでなく、介護予防期にある高齢者、独居の高齢者の孤立を解消するといったところも含めてサポートできればと思っています。
2040年に全世代人口減が始まると介護施設の需要が減り、従来よりも重症化した要介護者のケアを在宅で行わなければいけません。われわれとしては介護施設で培ったノウハウを生かし、在宅の介護の役に立つことが使命だと考えています。今後は在宅の高齢者に関する事業にも力を入れていきたいと思っています。
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更新:2024/6/13
シニアの9割は健康について心がけている
健康のための心がけについて男女別でみてみると、「心がけている」について男性が90.3%、女性が90.0%となっており、男女共に約9割が心がけており、男女差は見られません。
Q. あなたは、健康について心がけていますか。【男女別】
健康寿命・平均寿命の前後の世代の多くが健康について心がけている
年代別でみてみると、「心がけている」については、75~79歳が93.9%と最も高く、次いで80~84歳92.6%、70~74歳90.4%となっています。
また、「心がけていない」については、95歳以上が23.5%、90~94歳15.8%、85~89歳14.6%と続いています。
『令和5年版高齢社会白書』によると、2019年時点の男性の健康寿命は72.68歳、女性は75.38歳、平均寿命について男性は84.41歳、女性は87.45歳となっており、健康寿命及び平均寿命の前後の世代が健康について心がけているようです。
Q. あなたは、健康について心がけていますか。【年齢別】
健康を心がけ始めるのは60代が最も多い
いつ頃から健康に心がけているかについて男女別でみてみると、男女共に「60代」が最も多く、次いで「50代」、「40代以前」と続いています。
男女差は大きくないものの、男性は「40代以前」が19.2%、女性は「70代以降」が3番目に多くなっています。
Q. それはいつごろから心がけていますか。【男女別】
※対象:健康について「心がけている」と回答した者
70代以下の約8割は60代以前から健康に心がけている
年代別でみてみると、相対的に年齢が若いほど心がけ始めた年代が低くなっています、「40代以前」、「50代」、「60代」の合計数値では、65~69歳100%、70~74歳88.7%、75~79歳82.4%、80~84歳67.8%、85~89歳58.1%、90~94歳50.9%、95歳以上20.0%となっており、79歳までの8割以上が60代以前から健康に心がけ始めています。
Q. それはいつごろから心がけていますか。【年齢別】
※対象:健康について「心がけている」と回答した者
シニア世代が最も健康のために心がけていることは「定期的な健康診断」
日頃を健康に心がけていることについてみてみると、全体では「健康診査などを定期的に受ける」が最も多く、次いで「休養や睡眠を十分にとる」、「栄養のバランスのとれた食事をとる」と続いています。
Q. あなたが、日頃心がけているのはどんなことですか。【男女別】
※対象:健康について「心がけている」と回答した者
シニア男性は女性の約2倍「酒やタバコを控える(やめる)」ことを心がけている
男女別で最も差が大きいものについて、「酒やタバコを控える(やめる)」は男性44.2%に対して女性20.9%と男性は女性の2倍以上となっています。
飲酒率を見てみると、男性60代は女性の約9倍、70代以上に至っては約18倍と圧倒的に男性の飲酒率が高くなっています。
また、喫煙率を見てみると、男性60代は女性の約3倍、70代は約4倍、80代以上は約5倍となっており、飲酒率と同様に男性の方が圧倒的に高くなっています。
そもそも男性は飲酒・タバコの習慣が女性よりも多いため、意識している男女差が大きいことも納得できます。
シニアの飲酒率
シニアの喫煙率
「酒やタバコを控える(やめる)」に次いで男女差が大きいのは「気持ちをなるべく明るくもつ」で17.7ポイント女性の方が高く、次いで「栄養のバランスのとれた食事をとる」で13.8ポイント女性の方が高くなっています。「栄養のバランスのとれた食事をとる」については、女性は日常的に料理をしているためだと想定されます。
シニアは日頃から「買い物に出かける」ことで身体を動かしている
日頃からの身体の動かし方について、全体では「買い物に出かける」が最も多く、次いで「調理や掃除など家事をする」、「散歩をする」と続いています。
男女別でみてみると、男性は「買い物に出かける」が最も多く53.5%、次いで「散歩をする」42.8%、「庭の手入れなどをする」36.3%と続いています。対して女性は「調理や掃除など家事をする」が77.6%と最も多く、次いで「買い物に出かける」74.6%、「庭の手入れなどをする」42.4%と続いています。
男女差が大きいものについては、「調理や掃除など家事をする」が女性が47.9ポイント差で男性の約3倍とその差が最も大きく、次いで「買い物に出かける」が女性が21.1ポイント差で男性の1.4倍となっており、家事の役割がその差に反映されています。
3番目に大きいのは「仕事をする」で男性が9.8ポイント差で女性の約1.4倍となっており、男性の方が女性よりも就業率が高いことがその差に反映されています。
>>>自主調査結果『シニアの就労状況についてー2023年3月調査』はこちらから
Q.あなたは、日頃から、どのように身体を動かしていますか。
【男女別】
- 調査対象:65歳以上(令和4年10月1日現在)の男女(施設入所者は除く。)
- N数:4,000人
- 調査期間:令和4年10月28日~11月24日
シニアライフ総研®では、シニアマーケティングやシニアビジネスに関する役立つ情報を提供するために、公表されているデータを独自に分析し、テーマ別に紹介しています。
内閣府発表の『令和4年度 高齢者の健康に関する調査結果』のデータを元に独自に分析し、テーマ別に紹介しています。シニアマーケットをマクロ視点で捉える際にお役立てください。
更新:2024/6/6
シニアの会話の頻度は約7割が毎日
家族や友人などとのあいさつ程度の会話・世間話の頻度について男女別でみてみると、「ほとんど毎日」について男性が69.4%、女性が72.1%となっており、女性が2.7ポイント差で多くなっています。「ほとんど会話をしない」については男性が3.2%、女性が1.6%となっており、男性が多いもののその差はほとんどありません。
Q. あなたは、ふだん、どの程度、家族や友人などと、
あいさつ程度の会話や世間話をしますか。
(直接会っての会話だけでなく、電話での会話も含め)【男女別】
90歳以上の約10%がほとんど会話をしていない
年代別でみてみると、「ほとんど毎日」については、相対的に年齢が高くなるにつれ数値が下がっていますが、85~89歳については54.4%と約半数となっています。
また、「ほとんど会話をしない」については、65~69歳が2.1%、70~74歳1.8%、75~79歳1.8%、80~84歳1.3%、85~89歳4.9%、90~94歳7.9%、95歳以上11.8%となっており、年齢が高くなるにつれ数値が高くなっており、90歳以上の平均値は約10%となっています。
Q. あなたは、ふだん、どの程度、家族や友人などと、
あいさつ程度の会話や世間話をしますか。
(直接会っての会話だけでなく、電話での会話も含め)【年齢別】
シニアの約8割は生活満足度が高い
日常生活の満足度ついて男女別でみてみると、男女共に「まあ満足している」が最も多く、男性61.1%、女性59.0%と男女ともに約6割となっています。
また「満足している」と「まあ満足している」を合算すると、男性80.0%、女性81.7%と共に約8割となっており、生活満足度についての男女差その差はほとんどありません。
Q. あなたは、ご自分の日常生活全般について満足していますか。
【男女別】
年齢が高くなるにつれ、生活満足度が低くなる
年代別でみてみると、相対的に年齢が高くなるにつれ満足度が低くなっており、「満足している」と「まあ満足している」を合算した数値を年代別で見てみると、平均が81.3%、65~69歳81.0%、70~74歳82.9%、75~79歳85.0%、80~84歳81.8%、85~89歳73.3%、90~94歳67.1%、95歳以上64.7%となっており、85歳以上で平均数値を下回っています。また、65~69歳と95歳以上を比較するとその差は16.3ポイントと大きくなっています。
Q. あなたは、ご自分の日常生活全般について満足していますか。
【年齢別】
- 調査対象:65歳以上(令和4年10月1日現在)の男女(施設入所者は除く。)
- N数:4,000人
- 調査期間:令和4年10月28日~11月24日
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