第41回 NTT東日本 ビジネスアワード2023受賞企業

産官学連携による

「シニア×ドローン×地域課題解決」

~ドローン操縦を通じた、

シニアが健康で活躍できる地域づくり』への

取り組みに向けた協定を締結~

 

NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ まちづくり推進担当 岩見晃希様

NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ まちづくり推進担当 林若菜様

埼玉県本庄市役所 市民生活部市民活動推進課 課長補佐 小林弘幸様

ビジネスアワード2023 シニアライフ賞を受賞したNTT東日本『産官学連携による「シニア×ドローン×地域課題解決」~ドローン操縦を通じた、シニアが健康で活躍できる地域づくり』への取り組みに向けた協定を締結。今回は共同実験を牽引されてきたNTT東日本の岩見晃希様と林若菜様、共同実験のフィールドとなった本庄市の小林弘幸様に、実験の成果やシニアの定義、そして今後の展望などについてお話をうかがいました。

2024年3月取材

左からNTT東日本林氏、岩見氏、本庄市小林氏

Q.ドローン操縦によるシニアの健康増進や社会参画促進への取り組みと、産官学連携を形成された経緯についてお聞かせください。

(岩見氏)
日本の65歳以上人口は3621万人と総人口の28.9%まで増加しており、高齢者の健康問題が社会課題とされています。ドローンの操縦技術の習得と実際の活用がシニアの健康維持・社会参画促進、さらに地域課題解決に有用性があるのではないかという仮説のもと、それらを検証するため、産官学連携にて共同実験を実施することとしました。
具体的な役割分担としては、シニアへのドローン施策の実施にあたり、シニアのフィジカルやメンタルに及ぼす影響の効果測定・考察を筑波大学、シニア向けドローン講習のカリキュラム作成、講習実施・運営を一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、本庄市自治会連合会にターゲットシニアの募集や参加シニアからの問い合わせ対応や実証実験の運用支援を担当していただきました。弊社は、シニア向けドローン講習カリキュラム作成支援、情報取り纏めなど実証実験の全体管理およびシニアドローンパイロット育成とドローンの活用による地域活性化モデルの検討および社会実装検討の役割を担いました。

(林氏)
そもそもなぜシニアとドローンを紐づけたかといいますと、ドローンは弊社のアセットでもあり、橋梁点検業務などで広く活用しております。我々も実際にドローンを操作してみたところ、想像以上に指先の神経を使い、上手く飛ぶと気持ちが高揚し、次はどんな風に飛ばそうかと思考し、屋外にでて歩き回ることを体感しました。そこで「もしもシニアの方が私達と同様にドローンを扱ったらフレイル予防につながるのではないか」、「家に閉じこもりがちのシニアの方も、ドローンであれば楽しみながら屋外に出て地域の方々と交流するきっかけになるのではないか」とそんな考えから始まりました。最初は社内外で「シニアの健康維持や地域活性化になぜドローンなのか?」という声はあったのですが、この実証により現在もシニアの方々はドローン操縦を趣味とし、地域コミュニティが深まり生き甲斐や楽しみとなっていることからメンタル面では大きな影響力があったと感じております。

Q. 今回の共同実験に参加されたシニアの選出基準や対象者について教えてください。

(林氏)
参加条件は本庄市在住の65~75歳ということのみで、自ら応募してくださった方全員が、そのまま受講生となりました。実際の参加者の年齢は65歳から72歳、全員男性でした。実は全員が脱落することなく最後まで楽しく参加してくださったのも想定外で、半数くらいは途中でリタイアされるかもしれないという状況も想定していました。しかし、参加シニアの皆様のドローン操縦技術の向上意欲が非常に高く、シニアの皆様は大変お元気で楽しくドローンを操縦されておりました。「後期高齢者にドローン操縦は難しいのでは」とこちらの先入観で75歳までのシニアの方と定義したのですが、みなさまの生き生きとした様子を目の当たりにして、上限の年齢を80歳くらいにしても、きっと元気に参加してくださっただろうと思いました。

Q. 共同実験の具体的な取り組み内容をお聞かせください。

(岩見氏)
実際にシニアがドローン操縦をするにあたり知識・技術の習得が可能なのかという検証から、シニア自身の健康増進への影響、さらにはシニアドローンパイロットの活躍による地域課題解決や多世代が共生するまちづくりが可能かについて調査を行ってきました。講習会への参加者への事前説明会では、やはりみなさんが初対面ですからすぐさま打ち解ける、という感じではありませんでした。講習会では、シニア間で全員の方々とコミュニケーションを取ってもらいたいと思っていたので、カリキュラムを進める際のグループは毎回シャッフルをしていました。講師の先生方にも各グループ内でお互いに助け合えるようなカリキュラムにしていただくよう、グループ全員で操縦者を応援したり操縦者の補助役をしたりと、協力しあえる講習内容にいたしました。結果、参加されたシニアのみなさん全員が最後まで講習をやりとげ、ドローン操縦技術を身につけられました。
講習終了後も、実証に参加された13名で自発的に本庄市シニアドローンクラブを立ち上げ、今も頻繁にみなさんでドローン操縦の腕を高められております。講習後にそのような形で自発的にドローンとの関わりを続けられるとは思ってもみなかったので、これこそ今回の実験の最大の成果ではないかと感じますし、今も変わらないメンバーで活動されていることを大変うれしく思います。
また、趣味としてドローン操縦を楽しむだけでなく、地域の小学生にドローン操縦教室を開催したり、地域の防災活動にドローンを使って参加したり、地元の小学生の地域学習授業のため本庄市の現状をドローンにて空撮し、授業に用いたりと、活動の幅を広げていらっしゃいます。

Q.小学校でのドローン空撮動画を使った授業や、ドローン操縦教室について詳しくお聞かせください。

(岩見氏)
本庄市と弊社は 2023 年 9 月 15 日に、シニア活躍推や多世代共生による地域活性化の実現にむけて「ドローンを活用した小学校授業動画作成及び授業のトライアル実施に関する協定」を締結しました。本協定にもとづき、ドローンクラブのみなさまがドローンで撮影した地域の映像を、弊社の社内映像チームが授業用の映像へ編集し、2024 年 2 月 14 日の本庄市立共和小学校の地域学習授業で活用しました。
児童からは動画視聴中に「あれ学校だ!」「ここ見たことある!」など自身の生活に照らした感想が多くでました。また、ドローンクラブのみなさまには授業の一環でドローンの紹介やデモフライトを実施いただき、児童は初めて触れるドローンに興味津々でした。
本施策を通じて、われわれとしては、ドローン空撮映像は児童の授業理解を促進し、よりよい学習へと昇華させることができるものと感じました。先生方からも同様の意見を伺っています。ドローンクラブのみなさまには、児童がどうしたら喜んでくれるか創意工夫してくださり、多世代共生の取り組みのよい事例になったと思います。

(小林氏)
ドローンクラブの皆様には、授業の素材となる映像撮影のため、朝早くから現地で撮影していただきました。ほかにも、授業内容の深掘り、授業で使用する資料の収集にもご協力いただくなど、今回の事業実施に大きく貢献していただきました。シニアと小学生が触れ合う機会を作ることができ、大変有意義な取り組みだったと考えています。

地域学習授業の様子(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)
児童もドローンに興味津々(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)
地域学習授業でドローンによる空撮映像を使用(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)

Q.  シニアがドローン操縦を学び、地域貢献活動に参加することで期待されるのはどんなことでしょう。

(小林氏)
本庄市には市民提案型協働事業制度があり、ドローンクラブも「ドローンでこういう場所を空撮したい」とか、それをどんなことに使いたいかといったご提案をいただき、小学校でのドローン操縦教室のように本庄市の協働事業という形で進めたものもあります。今後も市としては会場の提供や関係機関との連絡調整、また広報などの分野で支援するなど、協働で事業を進めていければと考えています。こういった方々がどんどん社会に参加して活動していただきたいですし、地域で交流の機会が生まれるような取り組みができればと考えています。

(岩見氏)
シニアのみなさまがやりがいや生き甲斐をもって元気に生活できるように、さらには地元の子どもとの交流の場を広げたり、地元のためにドローン技術を活用して活動したりして、地域活性化を促進したいです。新たな雇用が生まれるなど、ビジネスとしても成り立ち、経済循環ができることが理想です。

屋内でのドローン操縦
本庄市シニアドローンクラブのみなさんと本庄市小林氏、NTT東日本林氏・岩見氏

Q.  共同実験に参加されたシニアのみなさまからはどのような感想の声が届いたのでしょう。

(岩見氏)
参加者のみなさまからは以下のような感想をいただきました。抜粋してご紹介します。

・講習会は同年代の方々でとても楽しかった。その後、講習会参加者でクラブを設立し、マイドローンを所有するまでに至った。大変楽しい老後の趣味を見つけた。


・ドローンには興味を持っていたものの年齢的に無理かなと思っていたが、シニア対象の講習会があると知り、チャンスと思い参加。年齢が近い人の集まりなのであまり気張らずにできた。クラブの発足により機体の購入や登録申請なども相談でき、飛行の環境なども指導してくれる仲間がいるので楽しく活動している。ひとりではとてもできなかったと思う。


・普段は付き合いのない仲間ができ、参加して本当によかった。


・子どもの見守り活動に使えないかと考え参加した。講習も先生方がフランクに教えてくださり楽しかった。クラブもでき、色々な地域の才能豊かな人達と知り合えたことが、ドローン以上に自分へのプレゼントだと感じる。


・ドローン講習の最初の座学でドローンを取り巻く法令の洗礼を受け、重い気持ちのスタートだった。しかしドローンを用いた操縦実施訓練になると毎回楽しくて、講習終了後まもなく練習用のドローンを購入した。また、講習を一緒に受けた素晴らしい仲間とも意気投合しクラブを結成、充実した日々を送っている。もし、今の自分にドローンがなかったら寂しい日々を過ごしていたと思う。ドローン講習の企画を出してくれた NTT東日本 のみなさま、ドローン講習の機会を提供していただいた本庄市役所の方々、ドローン講習に共に参加し充実した時間を共有してくれる仲間たちに心から感謝している。


・写真が趣味なのでドローンでの撮影にも興味があった。座学で色々な法令の規程があると知った。老化防止も兼ねて今後も楽しく活動したい。


・ドローンが不法投棄や小学生の登下校時の見守りなどに役立てないかと考えた。引きこもりがちだったが、講習を経てドローンクラブができたおかげでみなさんと日々楽しく、忙しく過ごしている。これからも飛行練習や法令の習得に精進し、1 等無人航空機操縦士を目指したい。


・田畑への農薬散布に利用できないかと思い参加を決めたが、最初の座学でそれが簡単ではないことがわかりがっかりした。しかし実技は日を重ねるたびに楽しくなり、今では仲間と一緒にマイドローンを飛ばすことができるようになったので、講習に参加してよかった。


・昔から自由に飛べる空が好きだったので、ドローンにも興味があり講習に参加。ドローンを操縦できるようになり、さらにクラブに入って新たな生活リズムが生まれた。


・ドローンは空飛ぶオモチャと思っていたが講習を受けるとなかなか難しく、だからこそ面白くなった。


・講習の参加者が13名という人数はちょうどよかったと感じる。メンバーのシャッフルにより参加者全員と話せたことが、その後のクラブ設立につながったと思う。新しい趣味の友人ができてうれしい。今後は私的な趣味として楽しむのはもちろん、公共的なことにもドローンを介して協力していきたい。

Q. 御社はどのように「シニアの定義」を設定されているのでしょう。

(岩見氏)
われわれで定義としているのは、65歳以上の地域のみなさんです。定年退職などで会社を引退し、「地域のためになにか行動したいがなにをやろうか」、「老後の趣味を探している」という方々と地域活性化をつなげる、新たな雇用を生み出すといったまちづくり活動を行っています。

Q.  今後の抱負をお聞かせください。

(岩見氏)
シニア世代の活躍促進や多世代交流促進によって、やりがいや存在価値を感じるアクティブシニアの増加や地域愛あふれる若者輩出、持続可能な活気あふれるまちづくりに向けて引き続き取り組んでまいります。シニアの皆様向けのドローン講習プログラムの提供に加えて、NTT 東日本内の映像チーム V-TECHXがSNS の伴走支援や画像/動画編集の技術習得のサポートをすることで、地域の魅力を発信できる集団へと昇華することができると考えています。その他にも NTT ではドローンによる設備点検のスキルも有しており、シニアのみなさまが市内の設備点検ができるよう支援することも可能だと考えます。また、グループ会社の NTT e-Drone Technology では農業用のドローンを操縦できるようにするプログラムも提供していますので、シニアのみなさまが多様な分野で活躍できるように支援することも可能です。今回が実験だけで完結するのではなく、さらに次のステージに進むための最初の一歩となることを願っています。

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