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「健康寿命延伸都市」を支える松本ヘルスバレー構想

第6章 松本ヘルス・ラボがビジネスを、そして仕事の質を変えていく

インタビューに応えていただいた、松本市商工観光部の小林氏と丸山氏
インタビューに応えていただいた、松本市商工観光部の小林氏と丸山氏

 


松本ヘルス・ラボの今後

今、松本市は自身の持つシステムを全国の企業に向けてアピールしている。
もちろん民間との協働事業がすべてうまくいく保証などない。
しかし、ここまでで積み重ねた経験もあってか、企業と行政が対等な関係でビジネスを作れる感覚が生まれているようだ。
そのためには、築き上げたシステムを基盤にしつつ、補完すべき何かをしっかりと顕在化することが肝要である。

例えば、松本ヘルス・ラボに関しては、基礎研究ができるような体力と体質がある大企業からは多くの関心を得られやすい。
しかし、モデルチェンジや汎用性を追っている、特に中堅の企業にとっては、まだまだ使い辛い側面がある。

ましてや下請けをしている地元の中小企業などの場合は、アイデアはあってもそこまでの技術能力や開発能力はないため実証事業自体に至れない。
今後は、松本ヘルス・ラボが更に成長すれば、そんな中小企業が持つ小さなアイデアでさえ活かせる場になるかもしれない。
そうすれば、地方都市・松本がもっと面白くなり、若い人にとっても活躍の場が創出できるであろう。

 

プラットフォームという武器がビジネスの質を変える

「かつては、訪問のアポイントを取ろうにも、なかなか担当者との面談に至ることも難しく、仮に担当者と会えたとしても10から15分程度の時間しか割いてもらえなかった」と松本市の担当者は言う。
しかし、松本ヘルス・ラボというプラットフォームが生まれ、その中で様々な施策がエンジンとして回る今では、企業との面談おいても高次元な話ができるようになった。今は1回の訪問で、1時間ないしは2時間を使ってじっくり話ができる状況に至っている。

また面談できる相手の立場も変わってきているという。
以前は担当者レベルとアポイントを取るのがやっとで、その方にプレゼンテーションを行っても情報は内部や上司に浸透せず、立ち消えになることがほとんどだった。
しかしここ数年は、企業のトップマネジメント層をはじめ、あらゆる部署に対し直接的にプレゼンテーションできるようになってきた。
彼らはあらゆることを俯瞰して見ており、かつ行政と連携する価値も知っているので、企画の実現可能性が高くスピード感も生まれたと言う。

彼らは企業とビジネスを行うにあたり、まず企業と松本市の共通価値は何かを常に考えるという。
そしてその思考は、まず企業のビジネスモデルを熟知することからスタートする。その上で協働できるビジネスの形について熟考を繰り返し、同時にリスク分析も行う。
ビジネスは、そこに関わる全員でリスクを下げ合わないとうまくいかない。そして、一緒にビジネスをする者の中に、利益の違いが発生したら、その差を埋めるためにどうするかも全員で考えていく。

 

世界健康首都会議の概要

世界健康首都会議は、松本市にて毎年開催されるイベントで、健康に関する情報の集積と発信の場と位置づけられている。
主催は世界健康首都会議実行委員会であり、会長は松本市長、副会長は松本市医師会長が務める。

コンテンツとしては大きく分けて3つ、国内外の有識者による講演と事例発表、より具体的なリテラシを得るためのセミナー、そして企業・団体の製品を体感できるブース展示によって構成され、個人の健康のみならず、社会や産業、そして経済に至るまでの大きなテーマで情報交流がなされている。

2018年は11月8~9日の2日間に渡って松本市中央公民館(Mウィング)および中央体育館(Mウィング北棟8F※)で開催した。
(※ 展示販売コーナー)

ここでは2018年のコンテンツの一部を紹介する。
まずは、デンマークとイギリスから招いた講師による基調講演が華々しく開催を彩った。その後1日目には、開催地である松本の特性を反映した「ものづくり企業講演」が行われた。今年のテーマは「ロボット」。

 

2018年11月に松本市で開催された世界健康首都会議
2018年11月に松本市で開催された世界健康首都会議

 

そして注目は、2日目の行われた「松本ヘルス・ラボ実証報告」であろう。「働き盛り世代のお口の健康づくり~乳由来食品素材を用いた実証研究~」と題した同公演は、前述した森永乳業と松本歯科大学の実証事業の結果報告となっている。

また、講演の〆を結ぶのは「最期まで自分らしく生きる高齢社会の医療とあなたの生き方~リビングウィルを考える~」というテーマで、この講演を行うのは、松本市医師会の医療・介護コーディネーターである岡村律子氏である。
終末期医療による医療費の増大は、市民は元より、行政、そして実は医師にとっても共通の懸念材料であり、従来の医療の仕組みを見直しについて議論されるべきテーマである。
そして、この終末期医療というジャンルについて、医師会が主体的に発信したり人材を配置したりする事例は全国でも少なく、貴重な講演といえる。

 

2018年11月に松本市で開催された世界健康首都会議
2018年11月に松本市で開催された世界健康首都会議

 

 

第7章 松本ヘルスバレー構想を通じ改めて考える、地方創生のあり方

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