第53回 株式会社ルネサンス
顔のフィットネスで美と健康を実現する
「スタイリーフェイス」
ルネサンス ホームフィットネス事業部
ブランドマーケティングチーム エキスパート
湯浅久美様
「スタイリーフェイス」は、フィットネスの専門知識と介護リハビリの経験を活かして開発されたホームフィットネス商品です。顔のフィットネスという新しいメソッドを通じて、いつまでも若々しく健康的に暮らしたいシニアのセルフケアをサポートします。開発に携わった湯浅様に、製品の特徴や今後の展望などについてお話をうかがいました。
2025年10月取材

Q. 「スタイリーフェイス」を開発されることになった経緯をお聞かせください。
当社はスポーツクラブやリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」の運営のほか、「生きがい創造企業としてお客様に健康で快適なライフスタイルを提案する」という企業理念のもと、介護・医療周辺の商品及びサービス開発や地域・企業の健康づくり支援にも力を入れています。
スポーツクラブに通えない方のためには、自宅での健康づくりを支える家庭用商品も展開しており、特に近年はシニアを対象とした開発に注力してきました。テレビ通販の現場では「シェイプアップやダイエット商品でなければ売れない」と言われた時期もありましたが、視聴者の高齢化とともに生活機能を支える商品のニーズが高まり、ロングセラー商品も生まれました。
その経験から、シニアの方の“本当に求める健康価値”に応えることが私たちの使命だと再認識し、注目したのが「食べる」、そしてそれを支える「舌の筋肉」です。
実際「元氣ジム」利用者からも、「飲み込みにくい」「むせやすい」「発音が不明瞭になる」といった口腔機能の低下に関する声が多く聞かれています。体を鍛える意識は広がっていても、顔の筋肉は無意識のまま衰えやすく、特に口まわりの筋肉は食べこぼしやむせ・滑舌の悪化など、日常の不調として現れます。そのため、美容器具としてではなく、顔の健康を支えるフィットネス機器として、筋肉をトレーニングするというアプローチが有効と考えました。
なかでも、舌を支え嚥下を担う「舌骨上筋群(通称ごっくん筋)」は、飲み込む力の維持だけでなく、フェイスラインや口元の引き締めといった美容面にも深く関わる重要な筋肉であることから、「老化予防」の鍵となる筋肉として注目していました。しかし自力で鍛えることが難しく、従来の体操やマッサージでは十分な効果が得にくい部位でした。
そこで、EMS(電気刺激)によってこの筋肉を直接刺激し、健康と美容の両面を支えられる家庭用機器として「スタイリーフェイス」を開発することとなりました。顔の見た目だけでなく、「食べる・話す・呼吸する」といった生きる力そのものを支える、そんな新しいホームフィットネスの形を目指したのが開発の原点です。
スタイリーフェイス
https://shop.sportsoasis.co.jp/shopdetail/000000000968/

Q. 開発において苦労された点はどのようなことでしょう。
もっとも苦労したのは、「狙った筋肉にだけ適切な刺激を届けること」と「誰でも簡単に使える形状にすること」です。顔の筋肉は小さな筋肉が多く皮膚と隣接しデリケートな部分でもあるため、刺激が強すぎれば痛みにつながり、弱すぎれば効果が得られません。特に舌骨上筋群や口輪筋といった嚥下や表情に関わる筋肉に的確にアプローチするため、電流波形の調整を繰り返し、検証を重ねました。
また、どんな形状にするかも難題でした。最初はフェイスリフトマスク型を検討したのですが、着脱の煩わしさや装着時の不快感によって継続使用が難しく、ハンディタイプへ方向転換することになりました。しかし、今度は密着性が課題となりました。EMSは肌との密着性が非常に重要で、電極部と肌に隙間があると刺激が逃げてしまいます。誰でも簡単に正しく使えるよう、あご下の形状に合わせて葉っぱのような広い面で、電気を逃さない形状を考案し、さらにシニアの方でも握りやすいグリップの太さ、手首への負担を抑える角度設定、滑りにくいデザインなど細部までこだわり設計しました。使用前にジェルを塗る必要もなくコードレスという使い勝手のよさはもちろん、効果を体感でき、続けられる製品に仕上げるまでは、まさに苦労の連続でした。
Q. 商品の特徴、類似商品との相違点についてお聞かせください。
最大の特徴は、EMSを「舌トレーニング」に特化し、健康と美容の両面にアプローチできる点にあります。一般的なEMS美顔器は表情筋や血流促進を目的としており、舌や嚥下筋へのアプローチはほとんどありません。一方、介護施設向けの嚥下専用EMSは、パッドを貼るタイプで家庭での美容利用には適していません。本製品はあご下の舌骨上筋群にアプローチするための独自の形状を採用し、さらに眼輪筋や頬筋、口輪筋といった、表情に関わる顔まわりの筋肉もオールラウンドに鍛えられるようなEMSシステムを採用しています。これにより、リフトアップや口角の引き上げ、二重あごのケアなどといったフェイスラインへの効果だけでなく、「噛む・飲み込む・話す」といった口腔機能の維持をケアできる点が、ほかの美容機器との大きな違いです。
形状面でも差別化を図っています。マスクやパッド型EMSは装着が煩雑で継続が難しい一方、スタイリーフェイスはあご下に当てるだけのハンディタイプです。しかもたった5分の自動プログラムで「ながら使い」できるため、日常生活の中で継続しやすい点も強みです。専用ジェルやシートも不要、水分だけで通電できる手軽さも、家庭用機器として大きな利点です。
Q. 実際の効果については数値などで実証されているのでしょうか。
「スタイリーフェイス」を実際に使用していただき、使用前・使用後のあごのラインを比較するというモニターは多数実施済みです。筋肉が収縮することで、個人差はありますが、使用直後はあごのラインが引き締まります。筋肉トレーニングと同じく、1回の使用で長期的な変化を断定することはできなくても、毎日の積み重ねで筋肉の働きが向上し、嚥下力やフェイスラインの改善にも期待できます。
開発の背景には「嚥下機能に対してEMSが与える影響」に関する臨床データがあります。「舌骨上筋群の嚥下時筋活動時間と嚥下機能との関連」「嚥下機能改善を目的としたEMSによる舌骨上筋群の筋収縮運動の効果検証」という、2種類の研究で効果検証を行いました。それにより、嚥下機能が低下している高齢者は舌骨上筋群が緩み飲み込み動作に時間がかかるということと、舌骨上筋群への電気刺激は嚥下機能を改善させることが明らかになっています。今後、本製品においても、嚥下など機能改善に関する臨床データや長期使用による効果モニタリングも進めていく予定です。
Q. 購入者の年齢層を教えてください。
テレビ通販の場合、視聴者は50~70代が中心ですが、40代や80代の購入者もいらっしゃいます。性別では女性の利用が多い一方で、健康や美容意識の高まりから男性ユーザーも増加傾向にあります。プレゼント需要も多く「自分用に買ったが夫婦で使っている」「母の誕生日に贈った」といったエピソードも寄せられています。
Q. 購入された方、使用された方からはどのような声が届いていますか。
効果には個人差があるかと思いますが、ご使用いただいた方からは「ぼやけたフェイスラインが細くなり小顔になった」「1回の使用でもほうれい線が薄くなった」「口角が上がってびっくり」 といった変化を実感する声が寄せられています。操作性についても高く評価されており、「驚くほど軽くて持ちやすい」「ボタン1つで簡単」「手軽にできるので毎日続けられる」といったコメントが多く、家庭用セルフケアとして継続しやすい点が支持されています。引き続き、長期使用による嚥下や美容に関する声もウォッチしていきたいと思います。
Q. シニア世代にとりわけ効果的な使い方はあるでしょうか。
シニア世代においては、無理をせず、短時間でも毎日続けることがポイントです。基本はあご下に当てる使用方法で、朝・昼・晩など生活リズムに合わせて1~2回取り入れることをおすすめしています。テレビを見ながら、新聞を読みながらなど「ながら使い」でいいので、習慣化することが大切です。あご下の筋肉は加齢による衰えだけでなく、頭が前に出るような円背姿勢も衰えの原因のひとつなので、「スタイリーフェイス」を継続して使用することで筋肉を活性化させておくことが有効です。若々しいフェイスラインで印象もアップしますし、嚥下力や滑舌、会話のしやすさといった生活機能の維持にもつながりますので一石二鳥ですね。
Q. 貴社の「シニアの定義」をお聞かせください。
私たちは「シニア」を年齢で区切るのではなく、これからの人生をよりよく生きようとする意欲や、「将来の健康と向き合う姿勢を持つ方」と捉えています。近年は60代・70代でも仕事や趣味に積極的な方が多く、外見や体力以上に“心の前向きさ”こそが重要だと考えています。そのため、現在課題を抱える方だけでなく、将来的な身体機能や筋力低下に備えたい50代も「ポストシニア」として支援の対象に含めています。そして「今困っている人」だけでなく、「近い将来の不安に備えたい人」も含めた広義のシニアに、サービスや商品を通じて、いきいきとしたライフスタイルを実現できる人を増やしていくことが、私たちの考えるシニア支援です。
Q. 貴社のシニアターゲティング市場における今後の抱負をお願いいたします。
現在主軸としているテレビ通販とEC通販において、認知拡大と購入利便性の両面からシニア層へのアプローチをさらに強化したいと考えています。SNSやインフルエンサーを通じて若年層への予防的介入にも積極的に取り組む予定です。
商品開発においては、嚥下機能だけでなく、バランス能力や骨・認知機能など多角的にシニア世代の健康を支えるメソッドを組み込んだ商品開発や、医療機器認定のウェルネス商品開発も視野にいれています。「いくつになっても笑顔で食べ、話し、出かけられる人生」を支えるという使命のもと、当社の長期ビジョンである「人生100年時代を豊かにする健康ソリューションカンパニー」を目指し、これからもシニア市場で信頼される製品・サービスを提供していきたいと考えています。


株式会社ルネサンス
https://www.s-renaissance.co.jp/
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