2020.7.31 フレイルとは?

高齢化が進む日本で、「人生100年時代」と言われ、健康寿命を延ばすための取り組みや、「介護予防」、「フレイル対策」など様々なキーワードが登場しています。

今回はこの「フレイル」とは何なのか?どういう状態のことを指すのか?など、「フレイル」についてご紹介します。

厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」より

図:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」

 


フレイルとは

「フレイル」とは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。それによると…

『今後、人口増加が見込まれる後期高齢者(75歳以上)の多くの場合、“Frailty”という中間的な段階を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられている。』Frailty とは、高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である。』

 

フレイル2

図:厚生労働省平成27年10月2日「後期高齢者の低栄養防止等の推進について」

 

また、Frailtyの日本語訳に関しては、『Frailty の日本語訳についてこれまで「虚弱」が使われているが、「老衰」、「衰弱」、「脆弱」 といった日本語訳も使われることがあり、“加齢に伴って不可逆的に老い衰えた状態”といった印象を与えてきた。しかしながら、Frailtyには、しかるべき介入により再び健常な状態に戻るという可逆性が包含されている。従って、Frailty に陥った高齢者を早期に発見し、適切な介入をすることにより、生活機能の維持・向上を図ることが期待される。』

しかし、「虚弱」では Frailtyでは身体的、精神・心理的、社会的側面のニュアンス を十分に表現できているとは言いがたい。ということで、日本老年医学会のワーキンググループにて「虚弱」に代わって「フレイル」と呼ばれるようになりました。

 

フレイルの症状・判断とは?

「フレイル」の状態になると、介護が必要になる危険性が高まるだけでなく、入院のリスクや死亡率も上昇します。では、「フレイル」は具体的にどういう状態のことを指すのでしょうか。

フレイルの診断については様々な基準があるようですが、2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」によると、下記のように5つの項目のうち3項目以上に該当する場合を「フレイル」、また2項目に該当する場合を健常な状態とフレイルの中間として「プレ・フレイル」と判断されています。

フレイルの診断

2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」を加工して作成

 

フレイルの有症率

では、実際にどのくらいの高齢者が「フレイル」の状態なのでしょうか。

2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」で紹介されている、65歳以上の高齢者を対象とした2013年の調査によると、フレイルの状態の高齢者は約11.5%でした。年齢別にみると、65~69歳では5.6%であるのに対し、80歳以上では34.9%と、年齢が上がるにつれフレイルの有症率も上昇してしています。

 

年齢別フレイル有症率

年齢別フレイル有症率

2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」を加工して作成

 

また、男女別にみると、男性は12.3%なのに対して女性は11.5%と男性の方が高い傾向にあります。

男女別フレイル有症率

男女別フレイル有症率

2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」を加工して作成

 

いかがだったでしょうか。少しは「フレイル」について理解できましたでしょうか?2025年には団塊の世代が後期高齢者となりますので、いかにフレイル対策が急がれるかということが分かります。

「フレイル」対策を目的とした商品やサービスも最近では多く見かけるようになりました。

 

 

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【参考・引用】
・一般社団法人日本老年医学会「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」
厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」
・2016年6月17日 厚生労働省 市町村セミナー「後期高齢者の健康」

 

 


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