2019.6.20 道路交通法改正と運転免許返納について

前回のマーケターのつぶや記では、高齢者の自動車事故について、実際のデータを交えながら実状をご紹介いたしましたが、
今回は、高齢者ドライバーの事故防止の制度と免許返納数の推移についてご紹介いたします。

 

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加齢に伴う判断能力や身体能力の低下 

加齢とともに体は変化し、記憶力・判断力が低下したり、筋力が衰えたり、反射神経が鈍くなったり…。
そのため、若いころのような運転ができなくなり、運転時の操作ミスが起こりやすくなります。
これまで安全運転を続けてきた優良ドライバーだからといって、これからも安全運転を続けられるとは限りません。
特に視野が狭くなることについては自覚症状がほとんどなく、視力がよくても視野が狭くなっていることがあります。

出典:警察庁

出典:警察庁

 

道路交通法改正による事故防止

また、認知症を発症しているにも関わらず運転し続けることにより事故につながるケースも増えています。

これに対して、平成29年3月12日から施行された改正道路交通法において、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けることが義務化されました。

 

出典:高齢運転者支援サイト

出典:高齢運転者支援サイト

 

認知機能検査の内容とは、記憶力や判断力を測定する検査で、時間の見当識、手がかり再生、時計描画という3つの検査項目。
 

 

①時間の見当識
検査時における年月日、曜日及び時間を回答します。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

②手がかり再生
一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントをもとに回答します。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

③時計描写
時計の文字盤を描き、さらに、その文字盤に指定された時刻を表す針を描きます。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて、
第1分類:「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」、
第2分類「記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)」、
第3分類「記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)」

と判定が行われます。

第1分類「記憶力・判断力が低くなっている」との結果であった場合は、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、又は医師の診断書を提出することになります。認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続の上で運転免許が取り消され、又は停止されます。

 

道路交通法の改正による義務付けにより、高齢者講習への受講者と認知機能検査の受検者数は当然ながら伸びており、平成30年の認知機能検査は約200万人となっています。

 

認知機能検査の受検者数及び高齢者講習の受講者数の年別推移

出典:平成30年版 運転免許統計

出典:平成30年版 運転免許統計

 

高齢者の免許返納数

連日の高齢者による自動車事故の報道によって、自主的な免許返納を促すような呼びかけもあるようですが、実際の返納者は増加傾向にあるのでしょうか。

平成30年版の運転免許統計によると、平成30年の65歳以上の申請取消件数は約40万件になっており、平成21年の約8倍にもなっており、自主的に免許返納している方がここ10年でも急増していることが分かります。

 

 

申請による運転免許の取消件数の年別推移

出典:平成30年版 運転免許統計

出典:平成30年版 運転免許統計

 

道路交通法が改正されたとはいっても、認知機能検査については簡易的なものですので、家族がしっかり健康状態や身体状態を把握し、万が一に備えて早め早めに医療機関を受診したほうが良さそうですね。

また、75歳以下でも気軽に認知症予備軍を発見するためにも、よく公共施設等で見かける血圧計みたいなものが増えると良いですね!

 

 

 

 

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