シニアライフ総研®が考える
日本の65歳以上の高齢者人口および高齢化率は依然として上昇しています。また、医療技術の進歩などにより健康寿命と平均寿命が延び、「人生100年時代」と言われています。この傾向に伴い、介護関連商品・サービスの提供、引退後のセカンドライフ提案をする企業も増加しており、近年ではシニアマーケットが急速に拡大しています。
しかし、シニア世代は、他の世代とは異なり他ターゲットよりも戦略策定が難しいと言われています。シニアマーケティングを確実に成功させるには、シニアのセグメント・ターゲティングと、市場の選定が重要になります。
そこで、シニアマーケティングにおいて重要になる、「シニア」の定義、カテゴライズ、シニアビジネス市場構造について、シニアライフ総研®独自の視点でご紹介いたします。
シニアの定義
「シニア」という言葉に、法律で統一された定義はありません。日本の法律・制度では目的ごとに対象年齢が定められており、65歳以上を「高齢者」として扱うものが多く見られます。シニアライフ総研®では、現役で働く層も含めて「55歳以上の男女」をシニアと定義しています。
シニアライフ総研®では、シニアを55歳以上の男女と定義しています。
これは法律上の年齢区分に基づくものではなく、就業や家族構成、住環境などの生活条件に変化が生じ始める時期から、高齢期のライフスタイルを連続的に捉えるための分析上の設定です。
そのため、働き続けている人から日常生活に支援が必要な状態にある人までを含め、高齢期に見られる多様な生活のあり方を対象としています。
シニアライフ総研®独自の分類
シニアライフ総研®では、年齢軸に加え、就業状況、健康状態、デジタルデバイスやインターネットの利用状況、趣味やコミュニティ参加などの行動データをもとに、シニア層を6つに整理しています。この6区分は、特定の優劣や段階を示すものではなく、高齢期に見られる異なる生活構造を把握するための分析枠です。
各層の特徴を一覧で比べたい場合は、シニアの大分類をご覧ください。
「シニア」以外にも「高齢者」「老人」「お年寄り」「シルバー」など、さまざまな呼び方がありますが、その定義は一様ではありません。日本の法律・制度においても、「高齢者」に当たる年齢は、それぞれの目的に応じて個別に定められています。
| 法律・制度 | 対象年齢 | 内容 |
|---|---|---|
| 介護保険法 | 65歳以上 | 介護保険の第1号被保険者 |
| 老人福祉法 | 65歳以上 | 福祉の措置の対象 |
| 高齢者の医療の確保に関する法律 | 65〜74歳 75歳以上 |
前期高齢者 後期高齢者 |
| 公的年金(老齢基礎年金) | 原則65歳 | 受給開始年齢。60〜75歳の間で繰上げ・繰下げが可能 |
| 所得税法 | 70歳以上 | 老人扶養親族 |
| 道路交通法 | 70歳以上 | 免許更新時の高齢者講習の対象 |
出典:e-Gov法令検索(介護保険法、老人福祉法、高齢者の医療の確保に関する法律、所得税法、道路交通法)、日本年金機構
国際的にも統一された基準はありません。世界保健機関(WHO)は高齢者に関する統計で60歳以上を用いることが多く、日本老年学会・日本老年医学会は2017年、75歳以上を「高齢者」、65〜74歳を「准高齢者」とする区分を提言しています。
出典:WHO “Ageing and health”、日本老年学会・日本老年医学会「高齢者の定義と区分に関する提言」
また、一般のサービス事業者が設定する「シニア割引」の対象年齢も統一されておらず、各社が独自に設定しています。「シルバー」の定義については、「シルバー」とは?定義は?何歳以上?で紹介しています。
シニアビジネス市場は、「身体能力」と「年齢」の2つの軸で整理すると、5つの市場に分けて捉えることができます。予防マーケットが広がり健康寿命が延びれば、準備マーケットや一般生活者マーケットも拡大します。一方、サポートマーケットや処置マーケットは、必要とする人が必ず存在する市場であり、ここにも事業の機会があります。
図:シニアビジネス市場の構造。実線は年齢とともに身体能力が低下する流れ、点線は予防が進み高い身体能力が長く続く流れを示す。予防・準備マーケットが広がるほど健康寿命が延び、一般生活者マーケットも拡大する。
身体機能を保ち、衰えを緩やかにするための商品・サービスの市場です。今後の成長が見込まれる市場で、身体に直接働きかけるものに限らず、体を動かすきっかけをつくる企画によっても、新たな事業領域が生まれる余地があります。
保険や家族信託など、万一の事態に備える無形サービスが中心の市場です。専門知識や資格・認可が求められることが多く、本人だけでなく家族も関わる慎重な意思決定を伴うため、認知度や信頼度の高い企業・団体が有利な傾向があります。
日常生活で身体的な支援を必要とするシニアの、生活の質(QOL)を支える商品・サービスの市場です。利用者の多くは必要に迫られて使っているため、使いやすさに加えて、利用者や購入者の心情に配慮した設計が求められます。
生命と生活の維持に欠かせない商品・サービスの市場です。医学的な根拠(エビデンス)が求められるため、5つの市場の中で参入のハードルが最も高い領域です。医療・介護の担い手不足を背景に、生成AIやデジタル技術で従事者の負担を軽減する商品・サービスも増えており、今後さらに必要とされる分野です。
身体的な支援を必要としないシニアを対象とする市場です。日常生活で必要とするものは若い世代と大きく変わらないため、シニアの不便や不満を解消する商品・サービスは、若年層を含む全世代にとっても価値を持ちます。既存の商品・サービスの対象をシニアにまで広げる発想が、この市場での重要な視点になります。
シニアとは何歳からですか?
「シニア」に法律で統一された定義はなく、使われる場面によって対象年齢が異なります。シニアライフ総研®では、就業や家族構成、住環境などの生活条件に変化が生じ始める時期から高齢期を捉えるため、「55歳以上の男女」をシニアと定義しています。
高齢者は何歳からですか?
日本の法律・制度では、介護保険法や老人福祉法など、65歳以上を高齢者として扱うものが多く見られます。ただし、所得税法の「老人扶養親族」や道路交通法の高齢者講習のように、70歳以上を対象とする制度もあります。
シニアと高齢者の違いは何ですか?
「高齢者」は、介護保険法や老人福祉法など、法律・制度で対象年齢が定められている場面で使われることが多い言葉です。「シニア」や「シルバー」には法律上の定義がなく、商品・サービスや割引制度などで、各社が独自に対象年齢を設定して使っています。
前期高齢者と後期高齢者の違いは何ですか?
高齢者の医療の確保に関する法律では、65〜74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。75歳以上の人は、後期高齢者医療制度の対象となります。
シニアライフ総研®はシニアをどのように分類していますか?
55歳以上のシニアを、年齢軸に加え、就業状況、健康状態、デジタルデバイスやインターネットの利用状況、趣味やコミュニティ参加などの行動データをもとに、現役層・引退層・アラ70/アクティブ層・アラ70/マイペース層・居宅介護層・施設介護層の6つに整理しています。