シニアの終活と最期を迎えたい場所|2025年シニア調査から見る将来の不安と備えの実態
シニアの終活と最期を迎えたい場所
55歳以上1,612名調査。将来に何らかの不安がある人は約8割に上る一方、終活に何か取り組んでいる人は約3割にとどまった。
- シニアライフ総研®「2025年シニア調査」(55歳以上1,612名)で、将来や余生に特に不安に思うこと(3つ以内)の1位は「健康・病気」で48.3%、2位は「生活費」32.1%、3位は「医療費・介護費用」21.0%でした。「特に不安なことはない」は21.1%です。
- 老後の人生の計画(終活)で「何もしていない」は67.2%。取り組んでいる内容の1位は「家の片づけ・不用品整理」(13.5%)、2位は「お墓・葬儀の準備」(12.2%)でした。
- 同じ55〜64歳でも、仕事を続ける「現役層」は48.4%が生活費に不安があり、仕事を終えた「引退層」(35.4%)より多い結果でした。最期を迎えたい場所は「現在住んでいる自宅」が51.3%で最多です。
本記事は、シニアライフ総研独自の「6区分」のうち、同じ55〜64歳の現役層と引退層の比較を中心に扱います。あわせて、介護が必要な居宅介護層の備えの状況も紹介します。※アラ70/アクティブ層とアラ70/マイペース層は、行動・社会参加の幅も手がかりに分類しているため、本記事では両層を比べていません。居宅介護層は介護家族による代理回答です。
01シニアの将来の不安ランキング——1位は「健康・病気」、2位は「生活費」
| 順位 | 回答項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 健康・病気 | 48.3% |
| 2 | 生活費 | 32.1% |
| 3 | 医療費・介護費用 | 21.0% |
| 4 | 配偶者・パートナーが居なくなった後の自分の暮らし | 14.0% |
| 5 | 生活していく場所 | 12.4% |
| 6 | 認知症や精神的な問題 | 12.0% |
| 7 | 自分が亡くなった後の配偶者・パートナーの暮らし | 9.6% |
| (参考) | 特に不安なことはない | 21.1% |
将来や余生への不安で最も多かったのは「健康・病気」で48.3%と、ほぼ2人に1人が挙げました。2位の「生活費」(32.1%)、3位の「医療費・介護費用」(21.0%)を合わせると、上位は「健康」と「お金」に集中していることがわかります。一方、「特に不安なことはない」は21.1%で、残りの約8割(78.9%)は何らかの不安を挙げています。
4位以下には、配偶者・パートナーとの死別に関わる項目(「居なくなった後の自分の暮らし」14.0%、「亡くなった後の配偶者・パートナーの暮らし」9.6%)や、「認知症や精神的な問題」(12.0%)が続きます。「孤独・孤立すること」(2.2%)や「デジタル化への対応が難しくなること」(2.0%)は、不安としては少数でした。
前回、2020年3月に実施した定期調査の結果は、将来編 ー 定期調査/2020年版で紹介しています。
上位の不安は健康とお金ですが、その背後には「医療費・介護費用」のように両方にまたがる項目や、配偶者との死別のように家族関係に由来する項目が並びます。商品やサービスを「不安を取り除く」と訴求するときは、どの不安を入口にするかによって、響く層が変わります。入口の選び方を誤ると、「自分には関係ない」と感じる21.1%には届きません。
02同じ55〜64歳でも「生活費」の不安は現役層が多い——現役層と引退層の比較
| 回答項目 | 現役層 | 引退層 |
|---|---|---|
| 生活費 | 48.4% | 35.4% |
| 健康・病気 | 48.8% | 43.4% |
| 医療費・介護費用 | 24.4% | 18.6% |
| (参考)特に不安なことはない | 15.5% | 23.0% |
現役層と引退層は、どちらも55〜64歳で、区分を分ける条件は「現在も就業しているかどうか」です。将来の不安として「生活費」を挙げた人は、現役層で48.4%と、引退層(35.4%)を13.0ポイント上回りました。「特に不安なことはない」は引退層が23.0%、現役層が15.5%です。
「仕事を終えたから不安が減る」わけではありません。むしろ、仕事を続けている層の方が、生活費への不安を強く意識しているのが今回のデータの示す姿です。就業の有無は収入の構成にも関わります(第5回シニアの就労状況とセカンドキャリア編参照)。今回のデータだけで理由までは特定できませんが、「現役=将来に余裕がある層」と決めつけない設計が必要なことは確かです。
現役層は、仕事を続けている分、将来のお金の見通しを具体的に意識していることが背景にあるのかもしれません。一方で、備えの提案に接する機会は、まだ多くない可能性があります。退職を待たず、働いている間に始められる備えを提案の起点にすることで、接点を早く作れます。
03最期を迎えたい場所は「自宅」が過半数——ただし55〜64歳は「考えたことがない」が約4人に1人
| 回答項目 | 全体 | 現役層 | 引退層 |
|---|---|---|---|
| 現在住んでいる自宅 | 51.3% | 44.9% | 42.5% |
| 介護施設(特別養護老人ホーム、サービス付き住宅など) | 6.9% | 6.7% | 6.2% |
| 病院(入院中) | 3.5% | 3.2% | 4.9% |
| 特に希望している場所はない | 12.2% | 13.4% | 15.0% |
| 考えたことはない | 20.8% | 24.7% | 24.8% |
最期を迎えたい場所は、「現在住んでいる自宅」が51.3%で過半数でした。「介護施設」は6.9%、「病院(入院中)」は3.5%と、自宅以外の具体的な場所を選んだ人は1割に届きません。一方で、「特に希望している場所はない」(12.2%)と「考えたことはない」(20.8%)を合わせた約3人に1人(33.0%)は、最期の場所を決めていません。
55〜64歳の現役層と引退層に絞ると、自宅を選んだ人は4割台(44.9%、42.5%)と全体を下回り、「考えたことはない」は約4人に1人(24.7%、24.8%)に上ります。
なお、余生を過ごしたい場所については、2025年シニア調査から見るシニアの住まいと同居状況で全体の結果を紹介しています。余生の過ごし方の希望を層別に見ると、「国内の気に入った場所への住み替え」を選んだ人は、現役層11.7%・引退層10.2%と、全体(6.3%)の約1.6〜1.9倍でした。
自宅志向は強い一方、約3人に1人はまだ決めていません。「自宅で迎えたい」人向けの提案と、そもそも考えるきっかけを作る提案は、別のものとして設計する必要があります。特に55〜64歳は、決めていない人が多いからこそ、情報提供や体験の入口を作る余地があります。
04終活は「何もしていない」が約7割——取り組みの中身は「片づけ」と「お墓・葬儀」
| 順位 | 回答項目 | 全体 | 現役層 | 引退層 | 居宅介護層 |
|---|---|---|---|---|---|
| (参考) | 何もしていない | 67.2% | 78.1% | 79.6% | 52.0% |
| 1 | 家の片づけ・不用品整理 | 13.5% | 9.2% | 8.0% | 8.0% |
| 2 | お墓・葬儀の準備 | 12.2% | 5.3% | 6.2% | 23.0% |
| 3 | 保険・医療サービスの見直し | 6.9% | 7.4% | 4.4% | 6.0% |
| 4 | 財産・重要書類の整理と共有 | 6.8% | 2.8% | 3.1% | 10.0% |
| 5 | エンディングノートの作成 | 6.0% | 4.9% | 1.8% | 4.0% |
老後の人生について計画(終活)ができているかをたずねたところ、「何もしていない」が67.2%と約7割でした。取り組んでいる内容で最も多いのは「家の片づけ・不用品整理」(13.5%)、次いで「お墓・葬儀の準備」(12.2%)です。3位以下は「保険・医療サービスの見直し」(6.9%)、「財産・重要書類の整理と共有」(6.8%)、「エンディングノートの作成」(6.0%)と続き、いずれも1割に届きません。
55〜64歳の2層では、「何もしていない」が約8割(現役層78.1%、引退層79.6%)と、全体を10ポイント以上上回りました。一方、介護家族による代理回答の居宅介護層では、「お墓・葬儀の準備」が23.0%、「財産・重要書類の整理と共有」が10.0%と、全体より高くなっています。また、全体では8位(4.0%)の「介護・医療の希望整理(介護方針・延命治療など)」も、居宅介護層では13.0%でした。
前のセクションまでで見たとおり、不安がある人は約8割(78.9%)にのぼる一方、終活に何か取り組んでいる人は約3割(32.8%)です。不安の大きさと、備えの進み具合には開きがあることがうかがえます(別々の設問の全体傾向の比較であり、同じ人の行動の関係を示すものではありません)。
備えに取り組んでいる人の中でも、中身は「片づけ」「お墓・葬儀」が中心です。一方、「財産・重要書類の整理と共有」(6.8%)や「エンディングノートの作成」(6.0%)など、意思表示や財産に関わる準備に取り組む人は、1割に届いていません。商品やサービスの側から、「ここから始められる」という入口を示すことが、需要を掘り起こす糸口になると考えられます。
05まとめ:シニアの将来は「不安の大きさ」と「備えの進み具合」を分けて見る
シニアの将来への不安は「健康」と「お金」に集中し、約8割が何らかの不安を抱えていました。一方、終活に何も取り組んでいない人は約7割で、不安と備えの間には開きがあります。
同じ55〜64歳でも、仕事を続ける現役層の方が生活費への不安を挙げる人が多く、最期を迎えたい場所についても約4人に1人は「考えたことがない」でした。
どの層が、何を不安に思い、どこから備えを始めようとしているのか。その組み合わせは、全体傾向だけでは見えてきません。
本記事でご紹介したのは、2025年シニア調査で得られたデータの一部です。シニアライフ総研®では、6区分別・性年代別・地域別のクロス集計や、将来の不安・終活の進み具合と、資産・住まい・メディア接触などを掛け合わせた詳細分析を通じて、貴社の商材に合ったターゲット設計・商品企画をご支援しています。シニアのさまざまな課題に向き合う企業の取り組みは、企業から学ぶでもご紹介しています。
調査データを活用したシニアマーケティングのご相談はこちらQシニアの終活と将来の不安に関するよくある質問
シニアが将来や余生に不安に思うことは何ですか?
シニアライフ総研®「2025年シニア調査」(55歳以上1,612名)で、特に不安に思うこと(3つ以内)の1位は「健康・病気」で48.3%でした。次いで「生活費」32.1%、「医療費・介護費用」21.0%となっており、「特に不安なことはない」は21.1%でした。
終活をしているシニアはどのくらいいますか?
シニアライフ総研®「2025年シニア調査」で、老後の人生の計画(終活)について「何もしていない」と答えた人は67.2%でした。取り組んでいる内容では、「家の片づけ・不用品整理」13.5%、「お墓・葬儀の準備」12.2%、「エンディングノートの作成」6.0%の順でした。
シニアは最期をどこで迎えたいと考えていますか?
シニアライフ総研®「2025年シニア調査」で、最期を迎えたい場所をたずねたところ、「現在住んでいる自宅」が51.3%で最多でした。次いで「介護施設」6.9%、「病院(入院中)」3.5%で、「考えたことはない」は20.8%、「特に希望している場所はない」は12.2%でした。
| 調査対象 | 55歳以上の男女 |
|---|---|
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査期間 | 2025年3月21日〜3月28日 |
| サンプル数 | 1,612名(本人回答1,412名+介護家族による代理回答200名) |
| 備考 | 将来の不安は3つ以内の複数回答、終活の実施状況は複数回答(いずれも全回答者が母数)。居宅介護層は介護家族による代理回答 |
| 本調査の読み方 | 同じ設問で6区分などの層を比べ、その差を把握することを目的としています。6区分は就業・健康状態に加え、趣味・コミュニティ参加などの生活実態も手がかりに分類しています。 |
※本記事では、調査結果の一部を抜粋して紹介しています。
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