2019.6.21 認知症による行方不明者の状況について

2019年6月20日に警察庁から「平成30年における行方不明者の状況について」の発表がありましたので、その内容をご紹介いたします。

 

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認知症による行方不明者の受理状況 

行方不明者の届出受理数は、過去10年間では、ほぼ横ばいで推移し、平成30年は87,962人で前年に比べ3,112人増加。

そのうち、認知症に係る行方不明者の届出受理数は、統計をとり始めた平成24年以降年々増加し、平成30年は16,927人で平成24年の約1.8倍となっています。

 

認知症による行方不明者数の推移

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

 



年齢層別行方不明者数

また、原因が認知症を含む60歳以上の行方不明者の推移は下記の通りとなっており、80歳以上の行方不明者は年々増加傾向にあり、平成30年は11,326人で、平成26年の7,126人の約1.6倍となっています。
(数値は認知症以外の動機・原因による行方不明者数も含まれています)

 

行方不明者数の推移(年齢層別)

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

 

 



認知症による行方不明者の所在確認までの期間

認知症による行方不明者は、受理当日に約7割が所在確認されており、行方不明者全体が4.7割なのに対して、早期に所在確認ができているようです。

 

 

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

出典:警察庁「平成30年における行方不明者の状況」

 



認知症による行方不明者の情報開示

行方不明となった認知症高齢者等が、身元が不明のまま、各市町村において保護されている場合があります。

そのため、厚生労働省では、「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」として、身元不明の認知症高齢者等に関する特設サイトを設けています。

 

 

行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ |厚生労働省 - www.mhlw.go.jp

 

 

警察庁「平成30年における行方不明者の状況について」https://www.npa.go.jp/news/release/2019/20190614001.html

 

 

 

 

前回のマーケターのつぶや記では、高齢者の自動車事故について、実際のデータを交えながら実状をご紹介いたしましたが、
今回は、高齢者ドライバーの事故防止の制度と免許返納数の推移についてご紹介いたします。

 

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加齢に伴う判断能力や身体能力の低下 

加齢とともに体は変化し、記憶力・判断力が低下したり、筋力が衰えたり、反射神経が鈍くなったり…。
そのため、若いころのような運転ができなくなり、運転時の操作ミスが起こりやすくなります。
これまで安全運転を続けてきた優良ドライバーだからといって、これからも安全運転を続けられるとは限りません。
特に視野が狭くなることについては自覚症状がほとんどなく、視力がよくても視野が狭くなっていることがあります。

出典:警察庁

出典:警察庁

 

道路交通法改正による事故防止

また、認知症を発症しているにも関わらず運転し続けることにより事故につながるケースも増えています。

これに対して、平成29年3月12日から施行された改正道路交通法において、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けることが義務化されました。

 

出典:高齢運転者支援サイト

出典:高齢運転者支援サイト

 

認知機能検査の内容とは、記憶力や判断力を測定する検査で、時間の見当識、手がかり再生、時計描画という3つの検査項目。
 

 

①時間の見当識
検査時における年月日、曜日及び時間を回答します。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

②手がかり再生
一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントをもとに回答します。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

③時計描写
時計の文字盤を描き、さらに、その文字盤に指定された時刻を表す針を描きます。

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出典:高齢運転者支援サイト

 

検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて、
第1分類:「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」、
第2分類「記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)」、
第3分類「記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)」

と判定が行われます。

第1分類「記憶力・判断力が低くなっている」との結果であった場合は、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、又は医師の診断書を提出することになります。認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続の上で運転免許が取り消され、又は停止されます。

 

道路交通法の改正による義務付けにより、高齢者講習への受講者と認知機能検査の受検者数は当然ながら伸びており、平成30年の認知機能検査は約200万人となっています。

 

認知機能検査の受検者数及び高齢者講習の受講者数の年別推移

出典:平成30年版 運転免許統計

出典:平成30年版 運転免許統計

 

高齢者の免許返納数

連日の高齢者による自動車事故の報道によって、自主的な免許返納を促すような呼びかけもあるようですが、実際の返納者は増加傾向にあるのでしょうか。

平成30年版の運転免許統計によると、平成30年の65歳以上の申請取消件数は約40万件になっており、平成21年の約8倍にもなっており、自主的に免許返納している方がここ10年でも急増していることが分かります。

 

 

申請による運転免許の取消件数の年別推移

出典:平成30年版 運転免許統計

出典:平成30年版 運転免許統計

 

道路交通法が改正されたとはいっても、認知機能検査については簡易的なものですので、家族がしっかり健康状態や身体状態を把握し、万が一に備えて早め早めに医療機関を受診したほうが良さそうですね。


また、75歳以下でも気軽に認知症予備軍を発見するためにも、よく公共施設等で見かける血圧計みたいなものが増えると良いですね!

 

 

 

 

最近、認知症や判断力の低下した高齢者の危険運転による交通事故が多発し、問題となっています。今後ますます高齢ドライバーが増えていくことが予想されるため、対策が急がれます。

 

今回のマーケターのつぶや記は、今や社会問題となっている高齢者の自動車事故について、実際のデータを交えながら実状をご紹介いたします。

 

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最近の大きな高齢者自動車事故

○2019年6月10日:81歳男性の車にはねられ妻死亡
10日午前、兵庫県小野市の公立病院の駐車場で81歳の男性が運転する車に77歳の妻がはねられて死亡しました。車は急発進とバックを繰り返していたということで、警察は運転操作を誤ったと見て調べています。


○2019年6月5日:運転81歳と妻死亡 600メートル手前から暴走
福岡市早良区の交差点に車が猛スピードで突入し、運転していた八十代男性と同乗の七十代女性が死亡した事故で、交差点の手前数百メートルから猛スピードで走り続け、目立ったブレーキ痕がなかったことが五日、捜査関係者らへの取材で分かった。

 

○2019年4月19日:87歳の高齢者が運転する車が暴走し、12人が死傷
東京・池袋で高齢者が運転する車が暴走し、母子2人が死亡、10人が重軽傷を負った事故で、車が時速90キロ台後半まで急加速していたことが捜査関係者への取材でわかった。車に異常は確認されず、警視庁は運転ミスとの見方を強め、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで捜査している。

 

いずれも、80歳以上による暴走事故が相次いでいるようです。

 

高齢者の運転免許保有状況

では、現在高齢者ドライバーはどのくらいの数いるのでしょうか。

 

 

年齢別運転免許保有者数と保有率

出典:運転免許保有者数:「平成30年版運転免許統計」、保有者率は同年の「人口統計」より算出。

出典:運転免許保有者数:「平成30年版運転免許統計」、保有者率は同年の「人口統計」より算出。

 

運転免許保有率についてみてみると、20~24歳は76.1%、25~29歳は86.4%と、近年の若者の車離れが如実に表れている中、60~64歳はその20代よりも高い85.7%となっており、年齢層が上がるにつれ、保有率は下がっていきます。

運転免許保有者数で見ると、45~49歳が最も多く、次いで40~44歳、50~54歳、65~69歳の順になっています。

 

死亡事故発生数

それでは、ここ数年高齢者による死亡事故が増えているとメディアで報道されていますが、どのくらいの数の事故が発生しているのか見てみます。

 

年齢層別死者数の推移

出典:警察庁「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

出典:警察庁「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

 

平成30年の死亡事故件数については、約3,500件となっており、平成20年から減少傾向にあります。65歳未満と65歳以上で分けてみると、メディアではあたかも高齢者の事故発生件数が急増しているかのような伝え方をしていますが、増えるどころか年々微減傾向にあるのが現状です。

 

年齢層別人口10万人当たり死者数

年齢層別人口10万人当たり死者数の推移を見てみると、一番死亡事故が多い年代は80歳~次いで、70~79歳、60~69歳の順となっており、事故発生数は減少傾向にあるものの、世代別で見るとやはり高齢者の発生件数が多くなっているのが分かります。

 

出典:警察庁「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

出典:警察庁「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」

 

 

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これらのデータから分かる通り、高齢者の事故は若い世代よりも発生数は多いものの、事故件数が急増しているわけではありません。


とはいえ、これらの事故を少なくするべく、各方面からの対策が必要になってきます。

身近に高齢者ドライバーがいらっしゃる方は、必要であれば免許返納も促すようにしなければなりません。

とはいえ…都心ほど公共交通機関が発達していないエリアに関しては、車を運転できないと生活スタイルが大幅に変わるでしょうから、引きこもりにならないよう、自治体・企業が連携してシニアのための社会インフラ整備を急いでほしいものですね。

 

 

 

 

金融庁の金融審議会は2019年6月3日、長寿化による「人生100年時代」に備え、『高齢社会における資産形成・管理』報告書を発表しました。


この報告書によると、平均寿命の伸びを受け、老後の資金繰りが多くの人の課題になる中、現状では「公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」と明言し、国民に、「自助の充実」を呼びかけています。

 

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報告書 の内容とは?

「わが国に根付いてきた賃金制度として、退職給付制度がある。
かつては 退職金と年金給付の二つをベースに老後生活を営むことが一般的であったと考えられるが、公的年金とともに老後生活を支えてきた退職金給付額 は近年減少してきている。

 

平均退職給付額(全規模)の推移

出典: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より

出典: 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」より

 

(中略)

定年退職者の退職給付額を見ると、平均で 1,700 万円~2,000 万円程度となっており、ピーク時から約3~4割程度減少している。

今後見込まれる雇用の流動化の広がりを踏まえると、退職金制度の採用企業数や退職給付額の減少傾向が続く可能性がある。

退職金制度の有無、その給付金額は退職後の生活に大きな影響を及ぼしうるため、自身の退職金の見込みや動向については、早い段階からよく確認しておく必要がある。」

 

とあります。これまで、退職金と年金給付の2つをベースに老後生活を考えるのが一般的でしたが、そうもいかなくなると示唆しています。


更に…

 

「夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では 毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支 出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。

重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・ 分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状 況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理 をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要 性を認識することが重要である。」

 

とあります。不足分には老人ホームの入居費用や自宅のリフォーム費用などを含んでいないため、さらに資産が必要に場合もあるようです。

遂に少子高齢化で年金の給付額の維持が困難だと政府自ら認め、国民の自助努力を求める事となりました。

ネット上では批判の声が相次いでおり、政府が国民に「自助」を求めたことについて、「自助を求めるならもっと蓄えやすい状況にして」,「年金の支払いで貯蓄できないのに自助とは」…

などの不満も噴出しているようです…

 

 

<金融庁/金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書>https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

 

 

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第5回目のテーマは、”食器洗い機”について。

 

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食器洗い機の歴史

食器洗い乾燥機には、シンクやキッチンのキャビネット部分の下に設置する「ビルトインタイプ」と、調理台の上などに設置する据え置きタイプの2種類があります。「ビルトインタイプ」で約60%という圧倒的なシェアを誇るパナソニックの食洗機の歴史をご紹介いたします。

 

◆1960年:日本初の全自動食器洗い洗濯機を発売

アメリカから遅れること約50年。松下電器が日本初の「電気自動皿洗い機」を発売。上面を開閉する形は、まるで洗濯機のようだったそうです。
当時の発売価格は59,000円。この価格は当時の大卒の初任給(16,000円)の4倍弱と、かなり高額であったことからなかなか売れなかったそうです。

 

◆1969年頃:日本発の卓上型食器洗い機を発売

食事の洋食化が進む中、当時急速に普及しつつあった瞬間湯沸し器とつなぎ、そのお湯を利用することで油類の落ちをよくしました。(お湯の温度調整は瞬間湯沸かし器の側で行っていたそうです。)多くの技術的課題(防水構造や洗浄方式など)を解決し、現在の食洗機の基本構造ができあがりました。
愛称は「キッチン愛妻号」。


◆1988年代:業界初、日本のキッチン幅にあわせたビルトイン型発売/スリムタイプの卓上型発売

日本の台所にあわせた食器洗い乾燥機が開発され、1988年に日本のキッチン幅の規格にあわせた業界初の45cm幅対応ビルトイン型が発売されました。
また、日本の住宅を徹底的に調べ、約30cmのシンクサイドに置けなければ普及しないという結果から、スリムタイプの卓上型が発売され、近年の市場にある食器洗い乾燥機のスタンダードとなっている規格が誕生しました。

◆現在

ある程度基本的な構造が定着してきた食器洗い機は、以降、大容量化モデル、少人数世帯向けの設置面積が水きりかごサイズ(47×30cm)の「プチ食洗」など、多様なニーズに応える製品が開発されてきました。そして、超音波で発生した高濃度洗剤液を閉じ込めたミストで汚れを浮かして落とす「汚れはがしミスト」や「除菌ミスト」をはじめとする“手洗いではマネできない洗浄”、節水性能の向上といった基本性能を磨き上げ続けています。

 

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空気清浄機の普及率推移

食器洗い乾燥機は、2005年以降一般的に普及しはじめ、現在の普及率は32.1%となっておます。
一方、海外の普及率80%を超えるオーストラリアやノルウェー、70%強のスウェーデン、ドイツなどと比べるとまだまだ“一般的”とは言えません。

 

食器洗浄機の普及率推移

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 

最近の新築戸建やマンションであればビルトイン型を導入される方が多いようですが、年代別に見ると、普及率はどう違うのでしょうか…

あくまでも世帯主の年齢になりますが、普及率の一番高い年代は35~39歳で42.5%となっています。国土交通省から発表された、『平成29年度 住宅市場動向調査報告書』によると、住宅購入の世帯主年齢は30 代が最も多く次いで40代となっておりますので、新居購入を機に導入している可能性が大きくなっています。

シニア世代はというと、世帯主の世代が上になるにつれ普及率は下がっています。60代以降は全体平均よりも低く、75歳以上に至っては、19.3%となっています。

 

 

世帯主の年齢別 食器洗い機の普及率

出典:総務省 平成26年『全国消費実態調査』主要耐久消費財に関する結果より

 

それでは、都道府県別に普及率を見てみるとどうなのでしょうか。

一番高いのは滋賀県で46.6%で、和歌山県44.6%、広島県43.9%と続きます。一番低いのは青森県14.5%、岩手県16.5%、福島県17.7%。

この数値から、北海道・東北地方を中心とした「東側」は、普及率30%未満の都道府県が集中。それに対して「西側」は、トップ3の県を含め、全体的に普及率が高くなっており、「西高東低」となっています。

 

都道府県別 空気清浄機普及率ランキング

出典:総務省 平成26年『全国消費実態調査』主要耐久消費財に関する結果より

出典:総務省 平成26年『全国消費実態調査』主要耐久消費財に関する結果より

 

『まず、普及率が高かった“西”のエリアに関しては、歴史的にも新しいものに対して積極的に取り入れる、開放的な姿勢が全体的にあります。お金の使い方にシビアな傾向もありますが、「無駄なお金を使いたくない」という気持ちがある一方で、利便性や自分にとってのメリットなど、「良い」と 感じたものに対してはお金を使うことが多いです。(中略)
反対に、北海道・東北地方を中心とした“東”エリアは、非常に保守的な傾向があります。新しいものが好きな人が少なく、競争意識というよりは、まわりの人にどう思われるかを気にしてしまう人も多いでしょう。保守的なので、新しいものだけではなく、エリア外のものに対してもシビアです。内向的な性質もあり、外からの意見よりも、内での意見の方が重視されがち。権威や伝統を重んじる風土であることから、社会的地位の高い人物や企業などからの発信・意見を重視する傾向にあるため、見知らぬブランドなどに対しては名前だけで「信頼できない」といったイメージを持たれてしまうこともあります。 
一度起こったこと や感じたことに対しての執着心も強い傾向にあるため、ネガティブなイメージを持たれてしまうと、それが簡単には払拭されないことが多いです。食器洗い乾燥機であれば、「大きい」「高い」などのイメージが一度ついてしまっていて、そこから抜け出せていない状況も考えられます。このことからすると、今回、北海道、青森県、新潟県や山梨県など、普及率の下位グループに“東”エリアが多いことは、納得の結果であると感じます。』

 

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出典:パナソニック株式会社プレスリリースより(2015年5月27~31日実施『「食器洗い」および「食器洗い乾燥機」に関する意識・実態調査』)

 


 

若い世代は共働きが多く、時短を求められるため、少々お金は払っても手間と時間を省けるため導入している家庭も多いようですが、シニア世代の普及率が低いのは、「電化製品に頼らず、自分でできる事はする!」という気持ちの表れでしょうか…。

ゴールデンウィークに実家に帰省した際、我が母(64歳)は食器洗いを手洗いでしておりましたが、「機械に頼ると、きちんと汚れが落ちてないか心配だし…」と言っておりました。もし母の意見がシニア世代の多数意見だとしたら、一定期間トライアルさせる機会を設ければ、購入意欲も高まるかもしれませんね!

 

 

 

 

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第4回目のテーマは、”空気清浄機”について。

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空気清浄機の歴史

空気清浄機の起源は、イギリスの産業革命までさかのぼります。
石炭がエネルギーの主役だったころ、石炭を燃やした際の煙を浄化するために作られたといわれていますが、日本は社会問題と共に性能が進化しています。


◆1962年:日本発の空気清浄機が松下電器産業(現・パナソニック)から発売
当時、日本は高度経済成長期の真っ只中で、四日市ぜんそくなどの大気汚染による公害が社会問題となっていました。その大気汚染対策として、空気清浄機が登場したと言われています。

 

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◆1980年頃:花粉症が社会問題化
高気密化した住宅における喫煙等の問題に加え、花粉症が社会問題となったため、花粉除去を目的として売り出され始めました。

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◆1990年代:ファン式清浄機が一般化
花粉症のさらなる社会問題化により、企業も積極的に宣伝を行いはじめました。それまでの製品よりも優良なものが市場に投入される中、現在ではほとんど効果がないとされるイオン式の空気清浄機も多く出まわり始め、この装置を使用すると自宅の部屋がクリーンルームのようになる、シックハウスの原因物質もすべて除去できる等、現在では考えられないような誇大広告が展開されていました。
結果、公正取引委員会から不当表示として排除命令が出され、事実上イオン式は市場から消滅しました。
それと同時に、現在の主流であるファン式清浄機が一般化し始め、花粉やハウスダスト等の比較的落下しやすいサイズの微粒子の集塵に対しても対応するものが増え始めました。


◆2000年代:除菌を目的とした需要が増加

煙草の煙や花粉に加え、カビや雑菌の除菌を目的とした需要が増加し、「抗菌」のキーワードで語られる衛生ブームに、空気清浄機も対応し始めます。


◆現在:多機能な空気清浄機が増加
従来の業務用を凌駕するほどの大風量タイプが出始めており、抗菌だけではなく、各種アレルゲンの分解・除去などを行うと称するものも増えており、加湿機能を搭載したものや、デザイン性の高いもの等様々な高機能な空気清浄機が発売されており、参入メーカーも増加しているようです。

 


空気清浄機の歴史


空気清浄機の普及率推移

日本発の空気清浄機が発売されたのは、1962(昭和37)年ですが、一般的に普及率が高まったのはごく最近で2006(平成18)年は0%だったものが、2007(平成19)年には35.8%となり、2018(平成30)年には43.8%となっています。

 

空気清浄機の普及率

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 

我が家にも空気清浄機がありますし、商業施設でもよく見るので、もう少し普及率が高いかと思いましたが、まだ半数にも満たないようです。

それでは年代別に見ると、普及率はどう違うのでしょうか…

あくまでも世帯主の年齢になりますが、普及率の一番高い年代は30~34歳で58.2%となっています。内閣府が発表している平成30年版「少子化社会対策白書」によると、第一子の出産平均年齢が30.7歳ですので、まさに小さい子供がいる家庭が一番多いようです。

一方、シニア世代はというと、全体平均の42.0%よりも低くなっており、75歳以上に至っては27.2%となっており、30~34歳の半数にも満たない普及率となっています。

 

世帯主の年齢別空気清浄機の普及率

出典:総務省 平成26年『全国消費実態調査』主要耐久消費財に関する結果より

 

それでは、都道府県別に普及率を見てみるとどうなのでしょうか。

一番高いのは東京都で49.1%で、奈良県47.4%、三重県46.5%と続きます。全体的に見ると、関東・近畿・東海の順となっています。
最も普及率が低いのは29.7%と、東京都と19.4ポイントも低くなってますので、やはり都心部の普及率が高い傾向にあるようですね。

 

都道府県別 空気清浄機普及率ランキング

都道府県別普及率

出典:総務省 平成26年『全国消費実態調査』主要耐久消費財に関する結果より

 


 

2世帯に1世帯の保有率の空気清浄機。最近はノロウイルスやインフルエンザ時期になると「次亜塩素酸」というキーワードをよく聞きますし、高機能でオシャレな製品が非常に増えています。その分、高価格帯ということもあり、普及率もまだまだなのかもしれません。

特に、シニア世代は加齢と共に免疫力が下がっていくので、これから先普及率が高くなる可能性は大いにあります。

とはいえ…「我慢」を美徳とするシニアの方も多いので、新しい器械を購入させるには少々ハードルが高いかもしれませんね!

 

 

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第3回目のテーマは、”カラーテレビ”について。

 

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テレビの歴史

◆1953年(昭和28年):シャープより国産第1号の白黒テレビ発売。価格は175,000円(当時の公務員の初任給は高卒で5,400円)。2月1日、NHKがテレビ本放送を開始。8月28日には民放初の日本テレビ ( NTV ) が放送開始。デパートや駅、公園などに設置された『街頭テレビ』には多くの人々が集まり、テレビに映し出されるプロ野球、プロボクシング、 大相撲などに。

◆1955年(昭和30年):4月1日、民放第2局目(ラジオ東京テレビジョン→TBS)開局。

◆1958年(昭和33年):東京タワー誕生。新時代を象徴する『三種の神器』の一つとなる。

◆1959年(昭和34年):NHK東京教育テレビジョン放送開始。日本教育テレビ(NETテレビ、現・テレビ朝日)フジテレビジョン開局。

◆1960年(昭和35年):NHKと民放4局がカラーテレビの本放送をスタート。7月に発売された東芝製のカラーテレビ受像機は21インチで52万円(当時の大卒新入社員初任給は1万数千円)。

◆1963年(昭和38年):鉄腕アトムが初の30分TVアニメシリーズとして開始。NHK初の「大河ドラマ」。衛星中継が最初に流したのはケネディ暗殺ニュース。

◆1964年(昭和39年):日本科学技術振興財団テレビ局(東京12チャンネル、現テレビ東京)開局。「東京オリンピック」のテレビ中継。

◆1965年(昭和40年):初のカラーアニメ「ジャングル大帝」開始。

◆1969年(昭和44年):アポロ11号の人類初月面着陸の様子を38万km離れた月からリアルタイムで中継。日本で月面着陸の瞬間を同時中継で見た人は、NHK・民放合わせて68.3%。同じ日に定時ニュースを含めて、テレビで月面に立った宇宙飛行士を見たと答えた人は、90.8%。(NHK調査)

◆1978年(昭和53年):日本テレビが全国規模としては初のテレソン番組「24時間テレビ・愛は地球を救う」を放送。日本テレビ、音声多重放送開始。

◆1982年(昭和57年):音声多重放送(二ヵ国語放送・ステレオなど)開始。

◆1984年(昭和59年):BS放送(アナログ)衛星放送開始。

◆1989年(昭和64年):6月3日、NHK、衛星(BS)放送本放送スタート。

◆1990年(平成2年):ハイビジョンテレビ発売。

◆1991年(平成3年):民間で初の衛星放送局「日本衛星放送」(JSB)が開局。

◆1993年(平成5年):「マルチメディア放送」を目的とした「CS」(通信衛星)放送事業者が衛星放送に参入。

◆1996年(平成8年):「壁掛けテレビ」登場。

◆2000年(平成12年):地上波デジタル放送開始。

◆2006年(平成18年):携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」、全国29都府県で本放送開始。

◆2010年(平成22年):液晶テレビからLEDテレビに切り替え進む。

◆2011年(平成23年):7月24日地上波アナログテレビ終了しデジタル放送に切替完了。

 


カラーテレビ普及率の推移

国産のカラーテレビ第1号は東京芝浦電気(現・東芝)ですが、1968(昭和43年)年頃から1970年代にかけて「パナカラー」(松下電器産業(現・パナソニック))、「キドカラー」(日立製作所)、「トリニトロンカラー」(ソニー)、「ユニカラー」(東京芝浦電気(現・東芝))、「サンカラー」(三洋電機)、「純白カラー」(日本ビクター(現・JVCケンウッド))、「ロングランカラー」(シャープ)、「ダイヤトロン」(三菱電機)など各社から高性能カラーテレビが出揃いました。

それと同時に大量生産で値段が下がったことによって爆発的に普及し、1973年(昭和48年)にはカラーテレビの普及率が白黒テレビを上回りました。その後、1975年(昭和50年)には普及率が90%を超えています。

しかし、2008年(平成20年)の99.7%がピークに、微増減をしているものの、2018年(平成30年)は96.6%と、携帯電話・スマートフォンの登場により、「テレビ離れ」がテレビ普及率にも表れているようです。

 

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 


近年のテレビ視聴について

「テレビ離れ」と言われていますが、年代別のテレビ視聴傾向を見てみると、平日にリアルタイムでテレビを視聴している60代は92.2%となっており、全年代の82.6%より10%も高くなっています。

また1日の平均視聴時間については、全世代が168分(約2.8時間)であるのに対して、60代は259.2分(約4.3時間)と、約1.5時間も長くなっています。

 

平日1日のリアルタイムテレビ視聴者率(2016年)

出典:総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

出典:総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

 

平日1日のリアルタイムテレビ視聴平均時間(2016年)

出典:総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

出典:総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

 


近年の情報収集デバイス・コンテンツの多様化が進んだことにより、若い層はパソコンやスマートフォンの利用時間が増え、「テレビ離れ」が進んでいるとはいえ、シニア世代は視聴が減ってはいるものの、まだまだ「テレビ離れ」とは言い切れないようです。

かつて「街頭テレビ」で食い入るように見ていたシニアにとってのテレビに対する思いは、若者のそれとは、少々違いそうですね!

 

 

 

 

 

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第2回目のテーマは、”温水洗浄便座”について。

 

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温水洗浄便座の歴史

一般社団法人日本レストルーム工業会WEBサイトより

 

◆1914年(大正3年):製陶研究所製水洗式便器を初出荷によって日本における水洗便器の始まり

◆1920年(大正9年)~:震災復興のために非水洗の大小便器セット、手洗器、洗面器といった衛生陶器の特需が発生。合わせて浄化槽や下水道の未整備が問題に。徐々に整備される。

◆1940年(昭和15年):日本初の衛生陶器臨時日本標準規格(JES)が制定される。

◆1946年(昭和21年)~:戦後復興のために衛生陶器や水栓金具などの特需が発生。このような中、業界の再編成が行われた。

◆1953年(昭和28年):衛生陶器に関わる日本工業規格(JIS)が一本化。

◆1959年(昭和34年):日本住宅公団が洋風便器(隅付タンクタイプ)を採用。普及のきっかけに。

◆1964年(昭和39年):日本で初めて、伊奈製陶(現 株式会社LIXIL)が温水洗浄機能付便器(スイス製クロス・オ・マット)を、東洋陶器(現 TOTO株式会社)が温水洗浄便座(米国製ウォッシュエアシート)を輸入販売開始。(1964年)

◆1967年(昭和42年):伊奈製陶(現 株式会社LIXIL)が国産初の温水洗浄機能付便器を発売。東洋陶器(現 TOTO株式会社)も温水洗浄便座を国産化。

◆1970年代前半:都市部中心に工場用水と生活用水が増加による水不足問題が深刻化。この当時の便器の洗浄水量は16L/回であった。

◆1970年代後半:洋風便器の出荷が和風便器を上回る

◆1982年(昭和57年):TOTOの「おしりだって洗ってほしい」CMが話題に。温水洗浄便座の認知を広めるきっかけとなる。

◆1980年代後半:和風便器の出荷構成比が20%を下回る。生活スタイルの変化や温水洗浄便座の普及に伴い、和風便器の出荷比率が減少。

 


温水洗浄便座普及率の推移

温水洗浄便座は、1967年に伊奈製陶(現:LIXIL)が国産初の温水洗浄便座付洋風便器「サニタリーナ 61」の発売を開始、以後、国民の清潔志向の高まりや、消費者ニーズに対応した機能性・快適性の向上も相まって、徐々に普及しています。

温水洗浄便座の普及率は、2016年3月に80%を超え、トイレの水洗化を終えた一般家庭には、ほぼ普及したと推測されます。
温水洗浄便座は、一般家庭に限らず、オフィスビルや商業施設、ホテル、鉄道、駅舎、2010年代には旅客機 といったパブリック用途にも採用されるようになり、現在では日本人にとって必需品といわれるまで生活に密 着した衛生機器となっています。
国内における出荷台数は、近年の長期使用における製品安全の観点からも、買い替え需要が増加しており、省エネ・節水性能等に優れた製品に置き換わることにより、さらなるCO2削減への貢献も大いに期待されます。

また、2012年には歴史的価値が認められ、新しいトイレ習慣を創造し国民生活に対して貢献した機械として、家庭で使用される機械としては初めて、一般社団法人 日本機械学会の「機械遺産」としても認定されました。

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 


シニア向けトイレ設備のポイント

前述のとおり温水洗浄便座は今や当たり前となっていますが、シニアにとってどのようなトイレが望ましいのでしょうか。

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移動のしやすさと転倒防止
「トイレへの移動のしやすさ」「転倒を防ぐ」などの安全配慮を考えましょう。入り口の段差解消、洋式便器への取り替え、手すりが基本です。今必要ない場合でも、手すりが後から取り付けられるように、下地を入れておくと、手すりが必要になった時に役立ちます。


ゆとりある広さのトイレとは
杖などの補助器具や車いすの利用に備え、ゆとりある広さのトイレに使いやすい器具を選んでおきましょう。【便器横寸法】横から腰をかがめて介助するスペースのおすすめは、便器横に500mm以上です。

 

手すりをつける
健康な人にとっても、足腰が痛い時、風邪をひいてふらついた時などに体を支えるものとしてあると便利な器具のひとつです。家族誰もが使う場面がありますので、まずは便器横に手すりをつけてみましょう。「縦手すり」は立ち座りを、「横手すり」は伝い歩きや座る姿勢を安定させるのに有効です。

温水洗浄便座
身体状況によって毎日入浴できない場合でも、温水洗浄便座があれば、おしりを清潔に保つことができます。

 


 

まだまだ元気だから…といっても、高齢になるといつ身体が不自由になるか分かりませんので、こういった予備情報を持っておくとよさそうですね!

 

 

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。


第1回目のテーマは、”ルームエアコン”について。

 

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ルームエアコンの歴史

一般社団法人 家庭電気文化会WEBサイトより


ルームエアコンは、最初は空気調整機と呼ばれ、国産第1号は、昭和10年に生産されました。当初は高価であったため、ごく少数の劇場や事務所などで使われていましたが、一般家庭に普及したのは、昭和40年代に入ってからです。

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◆昭和27(1952)年:空気調整機の本格的な量産。販売が開始されました。当時、室外機。室内機は一体型で、壁から室外機が突き出ているものでした。また、窓に設置するウインドウタイプも、この年に発売されています。

◆昭和33(1958)年 :名称が「ルームクーラー」に統一されました。タイプは、ウインド型(空冷式)とフロア型(水冷式)があリ、各社で広く生産されるようになりました。この年には、あの巨人軍の長嶋茂雄選手が新人王に選ばれ、川上哲治氏が引退を発表しました。

◆昭和34(1959)年:室外機と室内機が分離したセパレート型クーラーが発売されました。また、コンプレッサーの2極化により小型軽量化が進み、据付けが簡単になりました。この年から昭和36年までが岩戸景気と呼ばれ、日本の経済は、高度成長期を迎えていました。

◆昭和35(1960)年:冷房専用型の冷媒ガスの流れを切り替え、冷房だけでなく暖房もできる機構を組み込んだ機種(ヒートポンプ式)が発売されました。この機種は補助ヒーターが取付可能で、風量も2段切替ができるものでした。この年、池田内閣の「所得倍増計画」が発表され、自民党がテレビCMで使用した「私は嘘は申しません」が流行語になりました。

◆昭和40(1965)年:「ル一ムクーラー」が「ルームエアコン」に名称変更され、新たにJIS規格が制定されました。

◆昭和43(1968)年:ロータリーコンプレッサーを採用し、小型・軽量・静音化が一段と進んだエアコンが発売されました。また、設定温度により、ファンスピードが自動的に変化するファンモーターの無段階変速可能タイプも発売されています。

◆昭和44(1969)年:横に長く高風力で省エネになる貫流ファンを採用した機種が発売され、各社が採用するようになりました。また、熱交換器の効率を高めるため波形の形状をしたコルゲートフインの採用による横長形のユニットは、団地など集合住宅への普及が進みました。

◆昭和46(1971)年:1台の室外機で2~3室の空調が可能な多室型エアコンが発売され、その翌年には、冷房・暖房兼用のヒートポンプ式(多室型)エアコンが発売されました。

◆昭和52(1977)年:おやすみタイマーなどの機能を持つIC制御のエアコンが発売されました。

◆昭和53(1978)年:マイコン制御タイプが発売されて、温度、風量、時間などがプログラム運転できるようになり、操作性と快適性が一段と向上しました。また、高齢者や身体の不自由な人にも簡単に、離れた所から超音波で操作できる温・湿度リモートセンサー付きワイヤレスリモコン式エアコンが発売されました。

◆昭和56(1981)年:周波数変換装置(インバーター)で、コンプレッサーの回転数を自在に変えられる新しいタイプのインバーターエアコンが発売されました。

◆昭和57(1982)年:ヒートポンプ式の室外ユニット、冷房室内ユニット(床置型)、床パネルで構成された床暖房エアコンが発売されました。また、マイコンの声が、現在の室温、設定温度、フィルター掃除の時期などの上手な使い方の情報を教えてくれる音声合成LSI採用のルームエアコンが発売され、使い勝手が向上しました。

◆昭和58(1983)年:単に冷房や暖房だけでなく、活動、眠り、語らい、くつろぎといった生活環境に合わせて温度や湿度、照明を総合的に自動コントロールするエアコンが発売されました。千葉県浦安市に東京ディズニーランドが開園したのはこの年です。

◆昭和60(1985)年:部屋の壁や床の温度を感知し、冷暖房時の気流やパワーコントロールを行う輻射熱センサー搭載エアコンが発売されました。この年、放送されたテレビドラマがヒットして金妻ブームとなり、そのドラマの主題歌が、カラオケでよく歌われたものです。

◆昭和62(1987)年:蓄熱材を内蔵して運転開始時の暖房性能を向上させ、低外気湿地区(-15℃以下)でも十分に暖房効果を発揮できる蓄熱式インバーターエアコンが発売されました。

◆昭和63(1988)年:帯電フィルターで空気清浄を行い、0.01ミクロンまでの塵・挨を除去する電気集塵式空気清浄機搭載のエアコンが発売されました。また、2つのローターを交互に回転させることで、バランス特性と効率を大幅に向上させ、低振動・低騒音を実現したツインロータリーコンプレッサー搭載のエアコンも発売されました。

 


ルームエアコン普及率の推移

ルームエアコンが一般家庭に普及し始めた1965年(昭和41年)は2.0%の普及率でしたが、20年後の1985年(昭和60年)に普及率が50%を超え、2018年(平成30年)には91.2%となっており、この約50年の間で一家に一台の家電製品となっています。

 

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『 主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 


ルームエアコンの登場前

シニアが幼少期にはエアコンはありませんでしたので、どう暑さをしのいでいたかというと…窓を開ける、簾を付ける、家の周りに植物を植える、玄関前や庭先に打ち水をするといったものが代表的のようです。

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昭和時代の日本は今ほど建物が立て込んでることも少なかったですし、窓開けてるだけで十分いい風が入ってきたそうです。

それよりも・・・当時は今ほどの猛暑ではなかったという声が多々あります。

実際に気温差について調べたところ、気象庁が2018年6月に公表した「ヒートアイランド監視報告2017」では、過去100年間で日本の気温は着実に上がっているとあります。中でも特に温暖化の傾向が強いのが東京をはじめとする都市部で、100年前と比べると、東京の年間平均気温は3.2度上昇しているそうです。

また、夏の気温は1920年代から徐々に上がり始め、特にその傾向が顕著になったのは1960年代から1970年代にかけての高度成長期だそうです。

 


 

夏になると、シニアの室内熱中症のニュースをよく耳にしますが、このように過去エアコンは高級品であり、あまり使っていなかったため、現在でも日常的に使用しておらず、暑いのを我慢しているというのも一因として考えられるかもしれませんね!

 

 

 

 

今回は、『アラ70/アクティブ層』の購買行動分析から、
シニア世代のスマートフォンの利用についてお話させていただきます。


シニアのスマートフォン利用


私の父は昭和23年生まれの、いわゆる『団塊世代』です。
自営業のため現在も働いており、「元気なうちは仕事をし続けたい」と就労意欲も高いようです。
休みの日は母と美術館やお城を見に行くのが定番らしく、非常にアクティブで家でダラダラする事がほとんどありません。


シニアライフ総研®の6区分でいうと、アラ70/アクティブ層に分類されます。
父の購買行動はというと…

  • 流行りモノだからといって購入しない
  • ブランドやメーカーの歴史や、製品のこだわりに対して共感してから購入
  • 値段が高くても、自分が納得できるモノを購入
  • 特に高価格帯の製品は必ず事前に調べてから購入/衝動買いはしない
  • 実物を自分の目で見てから購入することが多い
  • ネット通販は基本的に公式のオンラインショップから購入(たまにAmazonで購入)


といった傾向にあります。

そんな父が、先日ガラケーからiPhoneに機種変更しました。
スマートフォンが各キャリアから発売され始めた当初は、SONYのXperia(エクスペリア)を使用していましたが、結果的に主に使う機能は電話で、尚且つ老眼が進んだこともあり、小さい画面を見るのが億劫だということで、ガラケーに戻してしまいました。


しかし、最近仕事で「LINE」や「Dropbox」などのアプリを使わざるを得なくなったので、自分から「iPhoneにしようかな…」と言い出しました。
スマートフォンについては、珍しくどこのメーカーの製品が良いか等、自分で下調べることなく娘が使用しているiPhoneを購入。
これまで携帯電話の操作方法が分からなかったら、すぐに最寄の携帯キャリアショップに行っていたのですが、分からなければ娘に聞けば良いからiPhoneを選んだとのことです。
(娘と共通の話題を作りたかった、というのが本音なのかもしれません…苦笑)


iPhone購入後、使い方を覚えるにつれ、出かけた先で撮影した写真や動画をLINEで送ったり、Amazon Musicで好きな曲をダウンロードして聞いたり、インターネットで調べものをしたり…
これまで「電話機能」だけで良いと言っていたのがウソのようで、最近はApple Watchについて調べています!



このように、スマートフォンを持つシニア世代が非常に増えています。

携帯電話を所有している60歳~79歳の男女を対象に、シニア向けスマートフォンを含むスマートフォンの利用割合について、MMD研究所が2012年から行っているシニア調査によると、調査開始時の2012年には12.7%だったものが、2018年には61.5%と、6年で48.8ポイントもアップしています。

出典:MMD研究所「シニアのスマートフォン利用推移調査(2012年~2018年)」

出典:MMD研究所「シニアのスマートフォン利用推移調査(2012年~2018年)」



また、シニア向けフィーチャーフォンを含むフィーチャーフォン(ガラケー)の割合を2012年から見ると、調査開始時の2012年の87.3%から、2018年には38.5%と、6年で48.8ポイント下がる結果となっています。

シニアの携帯電話所有者のうちフィーチャーフォン利用者

出典:MMD研究所「シニアのスマートフォン利用推移調査(2012年~2018年)」

 

将来的には、仕事でデジタルデバイスの利用に慣れている『現役層』が高齢になるにつれ、利用率は更に上がると予想されます。

若年世代までとはいかないまでも、シニア世代のスマホ接触時間が増えておりますので、コミュニケーション手法も時代に応じて変化させ続けなければなりませんね!

 



シニアライフ総研®では、「シニア」を年齢軸で55歳以上と定義し、年齢軸の他に就業状況、身体状態、普段利用しているデジタルデバイスやインターネットの利用頻度、趣味やコミュニティ参加などの回答を得点化し、独自の視点で6つの分類にシニア世代を大別しています。


詳しくはこちらから…

シニアの自動車運転免許証返納の数が過去最多を更新した、というニュースを目にしました。
シニアの方々は自動車の代わりに何を移動手段として使うのでしょうか?

そういえば最近、自転車に乗るシニアの方々をよく見かける気がします。

そこでシニアの自転車事情について調べてみました。

 

出典:内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査結果」(平成26年)

出典:内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査結果」(平成26年)

 

内閣府の高齢社会白書によると、シニアのもっとも多い移動手段は自動車やバイク、スクーター。
次いでバスや電車などの公共交通機関で、3番目が自転車になります。
60歳以上の4割弱が自転車を利用しているようです。


シニアの自転車事情についてよく目にするニュースが交通事故です。
自転車事故についても調べてみると、2015年に発生した全自転車事故は98,700件あり、うち19,510件(19.8%)がシニア(65歳以上)の事故だったそうです。(参考:自転車の安全利用促進委員会)

事故の原因はいったいなんでしょうか?

自転車の安全利用促進委員会は、シニアの運転は他の世代と比べると、ハンドル操作のミスや転倒が多い傾向にあるとしています。

 出典:自転車の安全利用促進委員会「高齢者の自転車事故実態調査」

出典:自転車の安全利用促進委員会「高齢者の自転車事故実態調査」

 出典:自転車の安全利用促進委員会「高齢者の自転車事故実態調査」

出典:自転車の安全利用促進委員会「高齢者の自転車事故実態調査」

 

これらの事故の主な原因は身体能力の衰えであり、注意していてもミスをしてしまうそうです。

ハンドルの操作ミスや転倒を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか?

近年の主要自転車メーカーは、シニアの身体的能力低下を補うためにシニア向けの電動アシスト自転車に力を入れています。

シニア向け電動アシスト自転車は

●軽量
●低重心
●足着きの良いフレーム
●クッションの厚いサドル
●小径タイヤ

といった特徴を持っています。
重い荷物を載せることやスピードを出すことは重視されず、とにかく軽く、扱いやすく、快適があることが求められています。


日本の高齢化が進むにつれて、ますます増えるであろうシニアの自転車ユーザー。
シニア向けの電動アシスト自転車をうまく活用する方も増えていきそうですね。

 


■平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果(全体版)
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h26/sougou/zentai/index.html

■自転車の安全利用促進委員会
http://jitensha-anzen.com/

■高齢自転車運転者の利用実態と特性
http://p-www.iwate-pu.ac.jp/~motoda/koureijitenshadobokukeikakuharu12.pdf

■パナソニック サイクルテック Jコンセプト
http://cycle.panasonic.jp/products/jelj/

■ヤマハ 発動機 PAS SION-U
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/lineup/sion-u/index.html

■ブリヂストンサイクル株式会社 ASSISTA UNI プレミア
http://www.bscycle.co.jp/products/brands/ASSISTAUNIpremiere/A2PC382018

ネットショッピングって便利ですよね。
今の世の中、ネットショッピングがないとやっていけない! なんて人も多いと思います。
しかしどちらかというと若い世代がよく使うイメージがありますよね。
さて、シニアの方々はネットショッピングをどれくらい利用しているのでしょうか?

 

統計局によると、ここ10年間で高齢者世帯のネットショッピングの利用は2.9倍にも増加したそうです。

 

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

 

世帯主が65歳以上である二人以上の世帯(高齢者世帯)についてネットショッピングを利用した世帯割合をみると、平成28年は14.3%となり、18年(4.9%)からの10年間で2.9倍となっています。
一般的に若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも利用が増えていることが伺えますね。
二人以上の世帯全体では、平成28年は27.8%となり、18年(12.7%)からの10年間で2.2倍となっています。
ではシニアの方々は何を買っているのでしょうか?

 

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

 

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

出典:総務省統計局「家計消費状況調査」

 

世帯主が65歳以上である二人以上の世帯(高齢者世帯)のネットショッピングの支出金額について、平成28年の項目別の構成比をみると、 「旅行関係費」が23.4%と最も高く、次いで「食料」が16.0%となっています。
また、ネットショッピングで購入した項目別の構成比を、世帯主が65歳未満の世帯と比較すると、 「医薬品・健康食品」が1.68倍と最も高く、次いで「贈答品」が1.43倍、「保険」が1.24倍になっています。

 

シニアの方もネットショッピングをうまく活用しているようです。
データを見る限り、これからもシニアの利用状況は上がっていく傾向にあります。
ネットショッピングは若者のもの、というイメージは徐々に変わっていきそうですね。

 

・総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1034.htm

先日、お正月の運動不足を反省して、久しぶりにスポーツクラブに行きました。

以前は平日の夜や休日の午後から夕方にかけて行くことが多かったので、周りの方も同世代の方がメインでしたが、行ってみると元気に運動するシニアの方の多さに驚きました。

 

ジムのバイクコーナーでは、楽しそうにお話をしたり、音楽を聴いたり、テレビを見ながら運動している方の半分以上はシニアの方たちです。

また、スタジオレッスンでも、運動不足に肩で息をする私を横目に楽しそうに運動するシニアの方たち。

プールでもおふろでも周りの方やインストラクターと楽しそうに話しているシニアの方がとても目立っていました。

お友達同士でおふろやサウナでの会話を楽しまれる方、ご夫婦で一緒にスタジオレッスンを受けられている方、と本当に色々な楽しみ方をされているなぁと感じました。

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実際に、平成15年以降、徐々にフィットネスクラブ会員数の年齢構成比は60歳以上の方の比率が上昇しており、平成26年には全体の約3割を占めるまでになってきています。(参考:経済産業省 産業活動分析)

 

このような流れもあり、シニア向けのプログラムやサービスを取り入れるスポーツクラブも増えてきています。

 

東急スポーツオアシスでは、60歳以上の方向けの健康づくりプログラムと専用スタジオを用意している店舗があったり、

コナミスポーツクラブでは『コナミスポーツクラブOyz』という60歳以上向けの運動スクールがあったりと

いつまでも健康でいたいと考えるシニアの方を応援する取り組みがどんどん広がってきています。

 

 

まだまだ高齢化が進む日本。

スポーツクラブの中にも、シニアの方たちの新しいコミュニティがどんどん形成されているようです。

 

健康を意識しながら、楽しく運動されているシニアを見習って、私も積極的にジムで体を動かし、いつまでも元気でいられるようにしなければ、と心に誓ったお正月となりました。

 

・シニア向け健康づくり らくティブ 株式会社東急スポーツオアシス

http://www.sportsoasis.co.jp/senior/

 

・Oyz 株式会社コナミスポーツクラブ

https://www.konami.com/sportsclub/oyz/

 

自己破産をする高齢者が増えているという記事を目にしました。

2016年の自己破産の申し立てが6万4000件を超え、13年ぶりに増加に転じた。かつて、多重債務は無計画な若い世代の問題とされていたが、最近では働き盛りの中年や退職したシニアが、カードローンなどをきっかけに自己破産に陥るケースが目立つといいます。
これまでは、30代~40代など、クレジットカードの返済などに困り、自己破産するケースが多かったところが、最近は高齢者の自己破産も増えてきたという内容です。

 退職・失業、そして、年金生活、病気などをきっかけにそのような問題が顕在化するとありました。

住宅ローンや、カードローンも毎月収入があれば、返済できていたものが、何らかの事情が起こり、収入が減ったり、なくなったりで、返済できなくなり、借金が増える。そして、返せなくなり、「自己破産」というケースです。
 
契約当事者が70歳以上の消費相談件数がこちらです。


(図1-2-6-8)

資料:独立行政法人国民生活センターホームページ「高齢者の消費者被害」(平成28年9月末日までの登録分)より内閣府作成



ここ数年は減少していますが10年前と比べると増えている状況です。

過去の住宅ローンを老後に引きずって高齢になって自己破産する、というのは経済的なことはもちろん、精神的には非常につらいと思います。

老後を見据えて無理なローンを組まない、収入に見合った生活水準にすることが重要だと感じました。

自己破産するシニアが増えている意外な原因」

最近、周りでご自宅のリフォームを検討する方が増えてきました。その時によく耳にするのが「ユニバーサルデザイン」という言葉。

ご存知の方も多いと思いますが、簡単にバリアフリーとの違いについてご説明したいと思います。

 

バリアフリーは「障害(バリア)」を取り除くことを考えたものであるのに対し、ユニバーサルデザインは最初から年齢や国籍、言語などに関わらず、すべての人が使いやすいことを第一に考えられています。

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ユニバーサルデザインを意識した商品も増えていて、言葉自体を耳にする機会は増えているかと思います。

 

最近は住宅でもユニバーサルデザインを意識したリフォームを検討される方が増えています。

この記事をご覧のシニアの方の中にも年齢を重ねるにつれて、ご自宅が暮らしにくくなったと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

内閣府によると65歳以上の事故は、実はほとんどがご自宅の階段やお部屋で起きています。

グラフ1

グラフ2

             (出典:内閣府『2017年高齢者白書』より)

 

たとえば、屋内の事故発生場所である階段と居室を例にとって考えてみましょう。

まず、階段ですが、傾斜を緩やかする、1段ごとの段差を低めにする、踏み面を広めに設定する、フットライトや手すりを設置するなど、シニアの方だけでなく小さなお子様にも使いやすくするための工夫が凝らされています。

同様に居室では玄関、和室と廊下の境目、水まわり周辺などの段差をなくすことでつまづきや転倒などの事故を防ぎ、恐怖感を減らす工夫を行っています。

シニアの方ももちろんですが、小さなお子様や赤ちゃんにとっても段差は大敵ですよね。

 

このようにけがの原因を少しでも減らすリフォームで、お孫さんが遊びに来た時などもみんなが安全に楽しめるご自宅にしていきたいですね。

 

・ユニバーサルデザインの住宅を考える 株式会社パナソニック

http://sumai.panasonic.jp/sumai_create/setsubi/200502/

 

・住まいのユニバーサルデザイン 株式会社LIXILグループ

http://www.lixil.co.jp/ud/concept/living.htm

日本は諸外国と比べて高齢者の就業人口が多い国であるという結果が出ています。現在のシニア向けの求人状況はどうのようになっているのでしょうか。


総務省によると、平成28年の高齢者の就業者数は、13年連続で前年に比べ増加し、770万人と過去最多となっています。また65歳以上の高齢者は就業者の11.9%(2016年)と、1割以上を占めえいます。


(図)平成28年の高齢者の就業者数 平成28年の高齢者の就業者数

株式会社トラストバンクの行った「シニア世代の働く意欲に関する意識調査」では、働いた経験のある60歳以上で現在も働いている人(446人)に「何歳まで働きたいか」を尋ねたところ、「70歳」が28.5%と最も多く、「70歳代」(70歳から79歳)と答えた割合は計51.6%に上った。また「80歳以上」の回答も11.2%あり、シニア世代の62.8%が70歳以上まで働きたいと考えていることがわかりました。


(図)「何歳まで働きたいか」 「何歳まで働きたいか」

そんな中、退職後も働く意欲のあるシニアと企業をつなげる動きが活発化、シニアに特化した派遣や求人サイトも続々登場しています。


人手不足を補う「働き手」としてだけではなく、シニア世代が持つ経験や知見が必要とされる一方で高齢者の場合、年齢制限に加え、職種が限られる、求人数も少ないなど、年齢が高くなると仕事が見付かり難くなっている現状があります。


人材派遣のフルキャストホールディングス今年3月にシニア層に特化した新会社「フルキャストシニアワークス」の営業を開始しています。シニア層からは、週2~3日でも長期間働きたいとの希望が多いそうです。


就職情報大手のマイナビの子会社であるマイナビミドルシニアは今年10月に40~60代向けの求人情報サイトを立ち上げています。新卒求人サイトと違うのは、「週1日から働く」「介護休暇あり」など、60代以上の求職者が注目している条件などから仕事を探せたり、年齢と性別、アピールポイントを登録するだけで、自分が採用対象になるかどうかを企業に気軽に確認できる機能等シニア向けならではの機能が目を引きます。


働きたいシニア層と人手不足の企業を仲介する、人材登録の仕組みが有効に機能すれば雇用が拡大していく可能性は高くなるんではないでしょうか?


シニア層に特化した求人サービス

「フルキャストシニアワークス」 – http://www.fc-sw.co.jp/

「マイナビミドルシニア」 – https://mynavi-ms.jp/

「シニア求人ナビ」 – https://www.seniorjob-navi.com/

「グランジョブ」 – http://www.baitoru.com/lp/senior/

本格的に花粉が飛ぶこの時期、花粉症に悩まされるマーケッターも多いのではないでしょうか。しかしシニアで花粉症の方はあまり聞いたことがありません。実際にシニアはどのくらい花粉症にかかっているのでしょうか。

 

弊社ネットリサーチシステム「リサーチ・ロック™」提携先の調査によると年代別の花粉症である人の割合は男女ともに40代が最も多く、男性44.9%、女性43.1%となっています。50代以上は年代が上がるほど割合が低くなっており70代以上では、男性20.6%、女性19.1%と2割前後しか花粉症にかかっている人はません。

 

 

花粉症である人の割合ーグラフ

引用:弊社ネットリサーチシステム「リサーチ・ロック™」提携先

「花粉症」に関するアンケート2015

 

 

原因としては50歳を過ぎると加齢現象でアレルギー反応が弱くなる傾向があると考えられているそうです。しかし歳をとっても花粉症が治るわけではないので全体の花粉症人口は年々増えていくと予想されます。

 

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そもそも風邪と花粉症の違いは何でしょうか?花粉症の主な症状には「くしゃみ」「鼻水」「目のかゆみ」が挙げられます。鼻水やくしゃみといった症状が似ていることから、風邪か花粉症かの判断が付かないことも多いかもしれません。

 

花粉症であるかどうかの見分け方は「くしゃみが連続して出ること」「自分で吸うことが難しい水のようなサラサラな鼻水が続くこと」がポイントとなります。反対に風邪の場合、「くしゃみが出ることはあっても回数はそう多くは無い」「初めはサラサラした鼻水であってもだんだんと粘度のあるドロっとした鼻水になる」と言われています。

 

近年は便利な花粉症対策のメガネや乳酸菌飲料などの商品が増えているので、上手く利用して辛い花粉症の時期を乗り切りたいですね。

 

 

・J!NS 花粉CUT: 株式会社 ジェイアイエヌ

https://www.jins.com/jp/functional/kafun/

 

・アレルケア:カルピス株式会社

https://www.calpis-shop.jp/products/l92_drink.html/

 今や国民の平均寿命からすると、現代人の人生は80年もしくはそれ以上。長生きが前提となった現代のシニアは、固有の消費行動をとると言われています。その1つが「ノスタルジー消費」。世代原体験を懐かしんで生まれる消費形態です。復刻版のCDやDVD、映画のリメイクのヒット等がこれに当てはまるそうです。

 

シニア向け 商品 高齢者向け 商品

 

 分かりやすいところで、このケースに当てはまる商品をご紹介します。
子供の頃、リカちゃん人形で遊んだ世代をターゲットにして発売された玩具メーカーのタカラトミーのブランド「Licca(リカ)」。りかちゃん人形といえば、1967年にその初代人形が発売された当時から人気の子供用着せ替え人形です。この製品を大人向けの嗜好に合わせ、リニューアルしたものが「Licca(リカ)」というブランド。手足を長くスマートにし、そのファッションもオートクチュール風のドレスや今のトレンドを盛り込んだ物にしてあります。

 また、56歳設定のおばあちゃん人形も販売しています。タカラトミーによると、「共働き夫婦の増加により、育児を祖父母に協力してもらう世帯が増えつつあり」、「祖母と孫が一緒にりかちゃんで遊ぶ機会があるので、おばあちゃん役の人形を作ってほしい」というお客様の声があり、その発売に繋がったということです。また、「発売の約3年前から商品開発をスタートさせ」、「調査やモニタリングを重ね」たということ。その結果、「祖母世代は孫とリカちゃんで「ごっこ遊び」をすることに抵抗が少なく、むしろ積極的に遊んでくれている」ということが分かったそうです。
(「リカちゃんにおばあちゃん! 調査やモニタリングを重ねて時代を先取り」、ウェブ広告朝日、2013.5.17更新、http://adv.asahi.com/modules/feature/index.php/content0612.html、2016.12.1引用)

 他にも、昭和を舞台にした「ALWAYS 三丁目の夕日64」が2012年に大ヒットしました。
http://www.always3.jp/)
 これからも、このような「ノスタルジア消費」にあやかった商品が、増えるかもしれません。

 私はファッションが好きで、洋服の誘惑に負けて散財してしまうことも多いのですが、この何年かウィンドウショッピングをしていて、ふと感じることがあります。
常々、小柄なこともあって、少々若向けのファッションでも難なく着こなしてきた私。ですが、昨今、白髪、シミ等が避けられない年齢に入り、何となく簡単に選んでいた服ではしっくりこないことが多くなってきました。

 時が変われば、似合う服も変わってくると言えばそれまでですが、女性も40代後半を過ぎると体型に自身がなくなってきたり、何となく肌つやが冴えないなと感じることも多くなってくるものです。実際にこの年齢でファッションを楽しもうとなると、もちろん若さを前面に出したファッションは「痛い!」ですし、かといってトレンド、女性らしさがまるで無いものは、余計に年齢を強調してしまいますし、何しろ気分が上がりませんよね。そこで私としましては、ファッション難民となり、インターネットやアラフォー、アラフィフ等がターゲット層のファッション雑誌を見て、「こなれ感」(さりげない大人のおしゃれ)、「大人可愛い」(大人のファッションの中にも、ちょっぴりだけ可愛い要素がある)等の大人の女性のファッションのキーワードを参考にするわけです。

 

シニア ファッション シニア マーケティング

 

 さて、「アクティブシニア」という言葉がマスコミで言われて久しいですが、先程のファッションの話でもそうなのですが、時代は変わり多少体力は衰えても介護は必要のない元気なシニアが増え、自分のことを高齢者とは思っていない50代、60代が増加しているということですが、それは容易に想像できますね。

 現在、日本においては、少子高齢化により若い世代の人口が減っていることに加え、若者や女性、ファミリー等従来の需要をリードしてきた層の購買力は低下傾向にあるとされています。そのため一層シニア世代の購買力が注目されており、実際に、「日銀の資金循環統計によれば、2015年3月末の家計の金融資産は初めて1700兆円を超えた」が、「個人金融資産の6割強は60歳以上に偏在している。」と言われています。
(「1700兆円を経済の再生に生かそう」、日本経済新聞、
2015.7.20更新、http://www.nikkei.com/article/DGXKZO89514130Q5A720C1PE8000/、2016.11.8引用)

 一方で従来、多くの企業の主要ターゲット層は、前述の若者や女性、ファミリーだったことで、まだこのシニア層の需要をよく取り込めていない企業が多いということ。現代のシニア層は高度成長経済の大量消費も経験している一方、バブル経済やその崩壊も経験してきており、厳しい目を持っているとも言われています。言わば「酸いも甘いも噛み分けた」層ということで、このニーズを満たすのはそう簡単でもないようです。

 私のファッションの話に戻りますが、現在の私に理想のアパレルブランドを探そうとなると…あまり若すぎてもダメ、でもトレンドをちょっぴり意識した大人の威厳、品の良さをちょっぴり感じさせたものが欲しい。この崩れ始めた体型を、さりげなく、しかも巧妙にカバー(別ワードで、「ごまかす」という)できるラインが必須。色合い、生地も、この大人の(別ワードで、くすみ、たるみが出てきたという)表情を引き立てるものでないと。それからコスパも良くなければね。できれば、高品質でお値段はお財布に優しいもので。忘れてました、それからもう見た目だけでファッションを身にまとうのはたくさんだから、着心地も良くなくてはね…。

 お願いします。これだけの要素を満足させてくださるアパレルブランドさんがいらっしゃったら、即教えてください(ほとんどわがままとしか言えませんね。)。
 うーん、やはりシニアマーケティングは一筋縄では行かないです…かね。

 最近ですが、土曜の深夜にひとり晩酌しながらぼーっとテレビを見ていたところ、少し驚いたことがありました。大人の恋愛模様を描くドラマが、フジテレビで放送されていました。しかし、ストーリーを追っていくと、なんと鈴木保奈美、菊池桃子等演じる50代アラフィフの女性が中心となって展開する、恋愛、仕事、家族、介護等をめぐるトレンディードラマチックなドラマです。

 鈴木保奈美といえば、90年代のバブル期に人気を博した女優さんですが、今も変わらず見目麗しく、皺のひとつや二つ(小じわはさすがにもっとあるかもしれませんが….。)は隠せないかもしれませんが、今もまったく、こんなおしゃれな感じのドラマに出演されても違和感がありませんね。昔ですと、この世代が主人公のトレンディードラマなど、考えられなかったのではないでしょうか。

シニア 生活 実態

 

 さて、今の時代といえば、言わずと知れた超高齢化時代。平成28年の総務省統計局のデータによると、「65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は3461万人(平成28年9月15日現在推計)で、総人口に占める割合は27.3%」となり、「過去最高」となったそうです。(「統計データ」、総務省統計局ホームページ、2016.9.18更新、http://www.stat.go.jp/data/topics/topi970.htm、2016.10.28引用)
昨今、インターネットの普及等、テレビ以外のメディアの利用が増加していることに伴い、若者のテレビ離れが報道されていることは広く知られていますが、ある調査によれば、その一方で、60歳代のテレビ視聴率は、平日でも4時間を超え若年層の2倍以上となり、また、テレビの長時間視聴は50代から急増しているそうです。うーん、正にこの冒頭の大人のドラマの対象の世代ですね。

 マジョリティー層が変われば、テレビ番組を見る人も変わるということで、今後ますますシニア向けの番組が増えると予想されますね。ちなみに、「テレビ朝日で来春、中高齢の視聴者向けの新しい帯ドラマ枠が創設される」ことが発表されたそうです。(「テレビ朝日、シニア世代向けに帯ドラマ枠を新設 第1弾は倉本聰氏オリジナル作品」、ORICON STYLE、2016.6.30更新、http://www.oricon.co.jp/news/2074293/full/、2016.10.28引用)

 今後、また続々と「大人のドラマ」が生まれるのでは….。
日頃、年齢不詳(自称)で通している私ですが、個人的には決して嫌いな風潮ではありません。日本も、フランスのように、いろいろな意味で成熟した国、大人の国になって行くのかもしれません。

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