2020.7.17 認知症対策-新オレンジプランとは?

 

先日のマーケターのつぶや記『2020.7.3 認知症は4人に1人時代へ』にて、2012年における認知症有病者数は462万人と推計され、2025年には4人に1人、2060年には3人に1人が認知症に…と予測されていることについてご紹介しました。

そのため、認知症対策も急がれおり、団塊世代が75歳となる平成37年に向け、平成27年に厚生労働省から「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)が策定されました。

今回はその「新オレンジプラン」についててご紹介します。

 認知症


これまでの主な取り組み

  • 平成12年:介護保険法施行
     ┗認知症に特化したサービスとして、認知症グループホームを法定
     ┗介護保険サービスの利用者218万人(2018年4月末644万人と3倍に増加)
     ┗要介護となった原因第1位が認知症に
  • 平成16年:「痴呆」→「認知症」へ用語を変更
  • 平成17年:「認知症サポーター」の養成開始
  • 平成26年:認知症サミット日本後継イベントの開催
  • 平成27年:関係12省庁で新オレンジプランを策定(平成29年7月改定)
  • 平成29年:介護保険法改正
  • 平成30年:認知症施策推進関係閣僚会議設置

 

新オレンジプランとは

平成26年11月に開催された認知症サミット日本後継イベントにて、安倍総理大臣の”我が国の認知症施策を加速するための新たな戦略を策定するよう、 厚生労働大臣に指示をいたします。我が国では、2012年に認知症施策推進5か年計画を策 定し、医療・介護等の基盤整備を進めてきましたが、新たな戦略は、厚生労働省だけでなく、 政府一丸となって生活全体を支えるよう取り組むものとします。”という宣言を受け厚生労働省は、内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、 法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の11の省庁と共に、「団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年を見据え、認知症の人 の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けること ができる社会の実現を目指す」を目的に平成27年1月に新オレンジプランを策定しました。正式名称は「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさ しい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)」です。


新オレンジプランの具体的な施策

「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を推進するため、7つの柱に沿って施策が推進されています。

認知症の主な行動・心理症状

この7つの柱についての具体的な施策をご紹介します。

 

1.認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

【基本的な考え方】認知症は皆にとって身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて 改めて社会全体として確認する。

  • 認知症への社会の理解を深めるための全国的なキャンペーン展開(認知症の人が自らの言葉でメッセージを語る姿等を積極的に発信)
  • 認知症サポーターの養成を推進
  • 認知症の人を含む 高齢者への理解を深めるような教育を推進

【数値目標】認知症サポーター人数:平成32年度末まで1,200万人

もしも気になるようでしたらお読みください

厚生労働省「もしも気になるようでしたらお読みください」より

2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供

【基本的な考え方】早期診断・早期対応を軸に、「本人主体」を基本とした医療・介護等の有機的連携により、 認知症の容態の変化に応じて、適時・適切に切れ目なく、その時の容態にもっともふさわしい場所で医療・介護等が提供される循環型の仕組みを実現する。

  • 本人主体の医療・介護等の徹底
  • 発症予防の推進
  • 早期診断・早期対応のための体制整備(かかりつけ医・地域の歯科医師・薬剤師の認知症対応能力向上を促進、認知症サポート医の養成を推進、専門医、認定医等の養成の拡充、認知症疾患医療センターの整備、認知症初期集中支援チームの設置)
  • 行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等への適切な対応(循環型の仕組みを構築)
  • 認知症の人の生活を支える介護の提供(「認知症介護実践者 研修」⇒「認知症介護実践リーダー研修」⇒「認知症介護指導者 養成研修」のステップアップ研修、「認知症介護基礎研修」の充実)
  • 人生の最終段階を支える医療・介護等の連携
  • 医療・介護等の有機的な連携の推進(認知症ケアパスの確立、情報連携ツールの活用、認知症地域支援推進員を配置)
厚生労働省「認知症ケアパス」より

厚生労働省「認知症ケアパス」より

3.若年性認知症施策の強化

【基本的な考え方】 65 歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」といい、全国で4 万人近くいると推計されており、就労や生活費等の経済的問題が大きいこと等から、居場所づくり等の様々な分野にわたる支援を総合的に講じる。

  • 普及啓発を進め、早期診断・早期対応へ繋げる(若年性認知症支援ハンドブック」の配布)
  • ネットワークの調整役を配置し、若年性認知症の特性に配慮した就労・社会参加支援等を推進
厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」より

厚生労働省「若年性認知症ハンドブック」より

4.認知症の人の介護者への支援

【基本的な考え方】 認知症の人の介護者への支援を行うことは、認知症の人の生活の質 の改善にも繋がるため、家族など介護者の精神的身体的な負担の軽減や、生活と介護の両立を支援する取組を推進。

  • 認知症初期集中支援チーム等による早期診断・早期対応
  • 認知症カフェ等の設置の推進による、認知症の人の介護者の負担軽減
  • 介護ロボット等の開発を支援

 

5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

【基本的な考え方】 生活の支援(ソフト面)、生活しやすい環境(ハード面)の整備、就労・社会参加支援及 び安全確保を行い、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりを推進。

  • 生活の支援(買い物や掃除などのソフト面)
  • 生活しやすい環境(住まいの確保の支援、バリアフリー化の推進、公共交通の充実などのハード面)の整備
  • 就労・社会参加支援・促進
  • 安全確保(地域での見守り体制の整備、交通安全の確保を推進、高齢者虐待の防止と身 体拘束ゼロの推進、成年後見制度等の周知や利用促進)

 

6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進

【基本的な考え方】 認知症の原因となる疾患それぞれの病態解明や行動・心理症状(BPSD)等を起こ すメカニズムの解明を通じて、認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモ デル、介護モデル等の研究開発を推進。

  • 認知症の病態等の解明
  • ロボット技術やICT技術を活用した機器、AI等の研究、開発支援・普及促進

 

7.認知症の人やその家族の視点の重視

【基本的な考え方】 これまでの認知症施策は、ともすれば認知症の人を支える側の視点に偏りがちであった という観点から、認知症の人やその家族の視点の重視をプランの柱の一つとして掲げまし た。これは他の6つの柱のすべてに共通する、プラン全体の理念でもあります。

  • 初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援、認知症施策の企画・立案や評価 への認知症の人やその家族の参画

 

 

いかがだったでしょうか。この新オレンジプランの施策を受け積極的に取り組む民間企業も多く見られます。シニアライフ総研特選ニュースにて、民間企業の認知症に関する新商品・サービス情報や取り組み情報を随時取り上げておりますので、こちらも是非チェックしてみてください。

 

>>>シニアライフ総研特選ニュース

 

【参考資料】
・平成 29(2017)年 7 月改訂版 厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~
・厚生労働省WEBサイト https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html

 

 


関連記事

 
マーケット最前線
データ集
メディア集
ビジネスマッチング
シニアの捉え方
注目ビジネス
連載コラム
おすすめ
シニアライフ総研について
ニュース
お問い合わせ

Copyright©Roots of communication Co.,Ltd. All rights reserved.