2020.7.10 認知症の症状・軽度認知障害(MCI)とは
前回のマーケターのつぶや記の記事『2020.7.3 認知症は4人に1人時代へ』では…
- 認知症による行方不明者が8年で1.8倍
- 認知症のうち7割弱をアルツハイマー型が占める
- 2025年には4人に1人、2060年には3人に1人が認知症
- 認知症発症は男性より女性が多い
についてご紹介しました。
今回も引き続き、『認知症』をテーマに、具体的などんな症状なのか、軽度認知障害(MCI)とはどんなものなのか、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いなどについてご紹介いたします。
認知症の症状とは
厚生労働省老健局平成元年6月20日『認知症施策の総合的な推進について』によると…
”脳は私たちのあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。指令がうまく働かなければ、精神活動も 身体活動もスムーズに運ばなくなります。 認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞がしんでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起 こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヶ月以上継続)をいいます。 認知症の症状として、「中核症状」と「行動・心理症状」があります。 なお、「行動・心理症状」には周囲から見ると、「妄想」等も、本人なりの背景や理由があると言われています。”
正常と認知症の中間=軽度認知障害(MCI)とは
また、正常と認知症の中間の軽度認知障害(MCI)というものがあります。厚生労働省『e-ヘルスネット』によると、軽度認知障害(MCI)とは…
“物忘れが主たる症状だが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態。軽度認知障害は正常と認知症の中間ともいえる状態です。その定義は、下記の通りです。
- 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
- 本人または家族による物忘れの訴えがある。
- 全般的な認知機能は正常範囲である。
- 日常生活動作は自立している。
- 認知症ではない。
すなわち、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである場合です。しかし、軽度認知障害の人は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。”
一方で、正常なレベルに回復する人もいるようですが、認知症治療薬の効果はないとする研究が多いようです。
認知症と加齢による「もの忘れ」の違いとは
では、正常な「物忘れ」と認知症の「物忘れ」の違いはどのようなものなのでしょうか。
正常なもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
もの忘れの範囲 | 出来事などの一部を忘れる (例:何を食べたか思い出せない) |
出来事などのすべてを忘れる (例:食べたことそのものを忘れる) |
自覚 | もの忘れに気づき、 思い出そうとする |
もの忘れに気づかない |
学習能力 | 新しいことを 覚えることができる |
新しいことを 覚えられない |
日常生活 | あまり支障がない | 支障をきたす |
幻想・妄想 | ない | 起こることがある |
人格 | 変化はない | 変化する(暴言や暴力をふるうようになる、怒りやすい、何事にも無関心になるなど) |
出典:厚生労働省「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス総合サイト」より
このように、加齢による場合、自分が忘れてしまった事は覚えており、自分が忘れていること自体には自覚があるようです。対して認知症の場合、忘れてしまった事自体に記憶があるようです。
MCIを含めると4人に1人が認知症及びその予備軍
前回の記事で、全国の65歳以上の高齢者について、認知症有病率推定値15%、認知症有病者数約462万人と推計されており(2012年時点)、2025年には730万人になり4人に1人が認知症を発症するとご紹介しました。これに加えて、軽度認知障害(MCI)が約400万人いると想定されるため、有病者と合計すると862万人となり、高齢者の4人に1人は認知症または軽度認知障害(MCI)となります。
いかがでしたでしょうか。次回も、引き続き認知症についてご紹介予定です!!
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