第44回 森永乳業クリニコ株式会社

予防・治療・介護を通して
一人ひとりのQOL向上に貢献

森永乳業クリニコ株式会社 クリニカルマーケティング部
製品開発グループ マネージャー 坂本純子様
マーケティング企画グループ グループ長 吉村俊一郎様
マーケティング企画グループ アシスタントマネージャー 斉田朋子様

栄養補助食品や流動食などの開発・販売を行っている森永乳業クリニコ株式会社。医療や介護の現場でさまざまな障害により食べることが困難な方々も楽しくおいしく食事を摂り、食べる喜びを感じてもらうべく、日々製品の開発に臨んでいます。今回は製品開発グループの坂本様、そしてマーケティング企画グループの吉村様と斉田様に製品開発のご苦労やこだわり、強み、そして今後の展望などについてお話をうかがいました。

2024年5月取材

Q. 貴社の沿革と業務内容について教えてください

(斉田氏)
当社は森永乳業グループの中の病態栄養部門という位置づけで、通常の食事だけでは身体に必要な栄養を満たすことができない方のための食品として、流動食や栄養補助食品などの開発と販売を担っています。1978年に森永乳業の100%出資で設立され、国立がんセンターとの共同開発で流動食「MA-3」を製品化したところから始まりました。2011年には流動食「CZ-Hi」が特別用途食品 病者用食品 総合栄養食品 表示許可第1号を、2020年にはとろみ調整食品「つるりんこQuickly」が特別用途食品 えん下困難者用食品 とろみ調整用食品の第1号として消費者庁より表示許可を受けました。入院されている方や介護施設に入所されている方、ご自宅にお住まいになっている方などどなたでもご使用いただけるよう、医療・介護施設向けの販売や通信販売など幅広く展開しています。 2024年3月には、「株式会社クリニコ」から現社名へ変更し、入院・入所・在宅療養すべてのステージで今まで以上にお客様のQOL向上に貢献したいという想いをもって新たな一歩を進んでいます。

Q. 介護食品事業への取り組み全体についての理念や特色などお聞かせください

(斉田氏)
当社の経営理念が「予防・治療・介護を通して、一人ひとりのQuality of Lifeの向上に貢献する。」ですので、事業のすべてはそこに繋がっています。特に製品力や製品開発の部分には力を入れており、森永乳業の研究所や本社と連携して安全・安心な製品の開発・提供をしております。また、各分野のオピニオンリーダーの先生方のご支援をいただきながら、栄養情報の発信、啓発なども行っております。 そして、流動食や栄養補助食品、とろみ調整食品、プレ・プロバイオティクス食品など、幅広い製品展開をすることによって、多くの方々のお役に立てるように取り組んでいます。製品開発にあたっては、おいしさには大変こだわっていますし、容器や使い勝手といった細かな点にも配慮して進めています。実際に召し上がる利用者様だけなく、そのご家族や医療・介護従事者のスタッフの方も含めた皆様のQOL向上につなげたいという想いがあるからです。

Q. 「特別用途食品 えん下困難者用食品」表示許可を取得したビタミンサポートゼリー開発の経緯や特色などをお聞かせください。

(坂本氏)
嚥下が困難な方でも食べやすく、さらに味もおいしく、食を楽しんでいただけることを意識して開発しました。少量でも栄養が摂れるよう、1個(78g)の製品の中にビタミンC500mgや食物繊維5g、オリゴ糖2g、シールド乳酸菌100億個などを配合しています。試行錯誤しながら数十種類もの味を試した結果、みかん味、マスカット味、パイナップル味、はちみつレモン味の4種を選定しました。ありがたいことに「おいしい」との声をたくさんいただいています。 嚥下困難な方に食べやすいものとなると物性を重視してしまい、栄養素があまり入っていない製品も少なくありません。その点、ビタミンサポートゼリーは栄養もしっかり摂れるという点が、大きな強みになっていると思います。

(許可文言:「本品は、誤えんに配慮した、えん下困難者に適した、栄養補給ゼリーです。」)

また、ビタミンサポートゼリーの他にも、食欲が落ちてきた方の効率的なエネルギー補給に配慮したタイプや喫食量が低下した方でも食べきりやすい少量タイプなど、さまざまなカップタイプのゼリーを取り揃えているのも当社の特長です。

Q. 製品を開発する上での留意点はどんなところでしょう。

(斉田氏)
栄養補助食品や流動食のみを食事としている方も多くいらっしゃいますので、製品の安全性はもちろんのこと、安定供給の点は非常に注意を払っています。当社の製品が生命線である方がいらっしゃいますから責任は重大です。味や栄養素、容器の微細な変更であっても、さまざまな視点から慎重に進めています。お客様の病態もさまざまですので、オピニオンリーダーの先生から、あるいは学会などで情報収集したりお客様の声を現場からいただいたりすることで、ひとりでも多くのお客様に寄り添い、困りごとを解決できる製品の開発を心がけています。

(吉村氏) とりわけ流動食に関しては、それだけで生命を維持されている方々がたくさんいらっしゃいます。製造拠点は盛岡と神戸の2カ所におき、BCP対策にも取り組んでいます。

Q. 貴社ならではの強みはどんなところにあると思われますか。

(斉田氏)
製品の種類の豊富さ、フレーバーの種類の多さといった充実したラインアップは当社の大きな強みです。流動食ひとつとっても何種類もありますし、疾患に配慮した組成を組んだ流動食・栄養補助食品もとりそろえています。森永乳業の研究所と連携して、「おいしさ」にもこだわり開発していますし、味のバリエーションが豊富な製品が多く、お客様が好みの味を見つけたり、飽きずに毎日食事を楽しめたりすることを意識した製品開発は徹底しています。

また、以下のような工夫も当社の強みと言えると思います。

「飲みやすさ」にこだわり、ストロー付き製品には、口径が大きく吸い込みやすい設計のストローを採用しています。

「開けやすさ」にこだわり、小さな力で開封しやすいマジックトップ™(密封性と開けやすさを両立させたパッケージングシステム)やラージキャップを採用しています。

「見た目や香り、味」にこだわり、食事時間を楽しんでいただけるよう食品本来のおいしさをお届けできる工夫も凝らしています。

「食べる楽しみ」にこだわり、栄養補助食品を身近に感じてもらえるようなアレンジレシピ(Enjoy Smileレシピ®)もホームページ上でご提案しています。

Q. 貴社の製品について医療従事者や利用者からはどのような反響がありますか。

(坂本氏)
やはり当社が強くこだわって開発している味(おいしさ)の部分については、特に高い評価をいただいています。8種類の味を揃えている栄養補助飲料「エンジョイクリミール」の利用者様から「胃からロイヤルミルクティーの香りがしました」というお手紙をいただいたことがありました。ほかにも、栄養状態が悪くなっているがん患者さんにもおいしく召し上がっていただきたいという思いで開発したカップタイプ製品では、「重い症状のがん患者さんが食欲のない時でも召し上がっていただける」、「パンだけの朝食にこの製品を付けるだけで、たんぱく質など不足しがちな栄養素が摂れる」という喜びの声もいただきました。

栄養補助食品はあまりおいしくないというイメージを抱く方も少なくなく、医療介護従事者の方でもその傾向があるため、そのイメージを覆すつもりで開発しています。ですから味について高くご評価いただくことが多いのは、本当にうれしくありがたいです。

やはり食べ続けていただかないと意味がありませんから、そのためにも今後もおいしさは追求していきたいと考えています。

Q. 現在、とりわけ力を入れている事業についてお聞かせください。

(吉村氏)
ここ10年ほど取り組み続けている事業のひとつに「リハビリテーション栄養」があります。「サルコペニア」という概念は、10年ほど前は、日本国内ではあまり知られておらず、一部のトップランナーの医療従事者のみが提唱しているという状況でした。このサルコペニアに対する栄養サポートが欠かせないものになると感じ、当社も取り組みを開始しました。

サルコペニア・リハビリテーション栄養の概念普及を目的に全国でのフォーラムに共催したり、オピニオンリーダーの先生に講演していただいたりといった啓発活動をはじめ、現在も継続しています。同時にリハビリテーション前後でも飲みやすいゼリー飲料タイプの栄養補助食品を開発しました。この製品は、おいしさにこだわった上でリハビリテーションにおける栄養管理で必要な栄養素(BCAA・たんぱく質、ビタミンD)を配合しています。

低栄養な状態でリハビリを行うと筋肉が減少してしまい、かえって状態が悪くなってしまいます。リハビリで体を動かしたことによるエネルギーの消費量や体重増加を目指したエネルギー蓄積量も考えて、より多くのエネルギーを取ることが大切です。かつては「回復途上でのリハビリなんだから体重が減るのが当たり前でしょうがないこと」という認識でしたが、現在ではADLの維持・向上を目的に、運動と栄養の複合的介入の重要性が理解されていて、国内の診療ガイドライン(サルコペニア診療ガイドライン2017)にも記載されるところまで広がっています。それに伴い、栄養補助食品のニーズも高まっていると認識しています。令和6年度診療報酬改定では、リハビリ(運動)・栄養・口腔管理の三位一体の取組みに注目が集まっており、今後ますます強化される分野と感じます。

また、在宅療養関連の取り組みとしては、入院されていた患者様が退院されてからの在宅生活のポイントをリーフレットと動画でお伝えする「今日も笑顔で『いただきます』」というシリーズ企画を実施中です。リハビリテーション科の医師、在宅医療がご専門の医師、管理栄養士、歯科衛生士といった各分野のトップランナーにご協力いただき、在宅生活に役立つ情報を発信しています。このリーフレットや動画はご本人だけでなく、ご家族にも好評です。

(斉田氏)
歯科と食(栄養)に関する取り組みにも力を入れています。食べる入口である口を整えること、そのうえでしっかりと栄養を摂ることの重要性を、多くの方により早い段階から理解していただきたいと考えています。ちょうど、2024年4月に新しいオーラルフレイルの概念が発表されました。オーラルフレイルとは歯の喪失や食べること、話すことに代表されるさまざまな機能の軽微な衰えが重複し、口の機能低下の危険性が増加しているものの改善も可能な状態を言います。当社もこの概念普及に協力しています。当社のサービスとしては、「もぐもぐ日記」というお食事相談サポートシステムを開発しました。歯科医療機関(モニタリングツール)と患者様(スマホアプリ)を連携すると、アプリ内に登録した患者様の食事写真を共有・解析できるシステムです。患者様はスマホアプリで食事の写真を撮るだけで操作はとても簡単です。その食事写真をAIが解析、食事のバランスやもぐもぐスコアをアプリが自動で算出して食習慣を4つの動物タイプに判定する仕組みで、患者様がゲーム感覚で楽しめます。また、歯科医療機関側では患者様の食事写真がそのまま確認できるだけでなく、食習慣の傾向や各種スコアの経時変化も確認できるため、患者さまの食事相談に活用できます。歯科領域での食事相談の普及が、健康寿命延伸につながればと考えています。

いずれも、当社の企業理念に合致する取り組みとして、今後も力を入れていきたい事業です。

Q. 現段階で業務上の成果、課題などがありましたらお聞かせください。

(斉田氏)
原材料の高騰への対応は喫緊の課題です。その他、これまでの販売先は病院や介護施設が多いため、在宅療養という分野にどのように取り組んでいくか、どうすればお役に立てるのかという点はまだまだ検討の余地があると思います。

Q. 貴社はシニアマーケットをどう捉えていらっしゃるでしょうか。貴社における「シニア」の定義を教えてください。

(斉田氏) 「フレイル」という概念が普及していきていますが、当社では「フレイル」の予防領域から終末期までをシニアのターゲットと考えています。

Q. シニアマーケティングに対する今後のお取り組み予定や今後の展望についてお聞かせください

(斉田氏)
リハビリ(運動)・栄養・口腔という三位一体の取り組みは、国としても推進しているところです。当社がこれまで行ってきたリハビリテーション栄養の取り組みに、この概念を絡めながら事業を展開していければと思っています。また、先の課題でお伝えしたように在宅療養の領域も取り組みを強化していきたいですし、各種製品カテゴリーについてもナンバー1の信頼をいただけるよう、今後も開発を続けていきたいと考えています。

 

(坂本氏)
当社がこだわっている「おいしさ」についても製品開発だけでなく、より広く捉えています。「おいしい」と感じるのは、食事の味だけではなく、食事をするときの環境も大きく影響します。製品の味へのこだわりはもちろんですが、「おいしく感じていただく環境づくり」や「食の楽しみの提供」にも取り組んでいきたいと考えています。そのひとつとして、みんなで「いただきます」を言いながら笑顔を繋いでいこうという「おいしい笑顔プロジェクト」を進めています。

このプロジェクト以外にも、栄養補助食品やとろみ調整食品を多くの方々にもっと身近に感じていただけるような取り組みを進めており、私たちはこれを「ボーダーレス化」と言っています。たとえばコメダ珈琲店に開発協力した「TOROMI COFFEE(とろみコーヒー)」というコーヒーが発売され、SNSでも話題になっています。とろみのついたコーヒーは嚥下困難な方だけでなく、健康な方も含めて新食感コーヒーという感覚で飲まれています。食生活に栄養補助食品やとろみ調整食品を自然に浸透させていくことで、介護食に対するマイナスのイメージを変えていければと思っています。

 

(吉村氏)
炭酸飲料向けとろみ調整食品「つるりんこシュワシュワ」も、嚥下困難でも炭酸好きな方が、私たちが想像している以上に多かったことから生まれました。通常のとろみ調整食品では炭酸感を残してとろみをつけることが難しいのですが、炭酸に特化した「つるりんこシュワシュワ」を開発したことで、炭酸感を残したまま、飲料本来の味もそのままにおいしく飲んでいただけるようになりました。この「つるりんこシュワシュワ」もとろみ調整食品へのイメージを変えるきっかけづくりにしたいと考えています。

今後も当社は、いつまでも笑顔で「食の楽しみ」を感じていただけるようなサポートをすることで、ご本人だけでなくご家族や周りの皆さまのQuality of Lifeの向上に貢献していければと思っています。

 

 

 

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43回 
パナソニックホールディングス
株式会社
第42回 
エアデジタル株式会社
41回
NTT東日本

介護施設向け介護業務支援サービス
「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」

パナソニックホールディングス株式会社 事業開発室 スマートエイジングプロジェクト
総括担当/プロジェクトリーダー 山岡勝様

パナソニックハウジングソリューションズ株式会社 水廻りシステム事業部 トワレ事業推進部
商品企画課 主務 南弘嗣様

ビジネスアワード2023 プロダクト賞を受賞したパナソニックホールディングス株式会社の『介護施設向け介護業務支援サービス「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」』。今回はプロジェクトを担当されたパナソニックホールディングス株式会社の山岡勝様と販売を担当されたパナソニックハウジングソリューションズ株式会社の南弘嗣様に、「排泄センサー」開発の経緯や今後の展望などについてお話をうかがいました。

2024年4月取材

Q.「ライフレンズ」と連携可能な「排泄センサー」を「ライフレンズ」のオプションとして提供開始してから2024年3月で1年経ちました。このシステムを開発することになった経緯を教えてください。

(山岡氏)
2020年から介護施設向け介護業務支援サービス「ライフレンズ」の提供を始めました。これはシート型センサーとカメラにより入居者のお部屋での状態や生活リズムがリアルタイムで把握でき、入居者の状況に応じたケア対処を可能にし、夜間巡視の軽減など見守り業務を効率化する介護業務支援サービスです。ただ、入居者に対するより質の高いケアを提供するには、排泄も大きな要素になるという話になりました。

そこで大学などとも連携しながら現場で排泄センサーの実機評価を行ったところ、期待値は非常に大きいものでした。利尿剤を服用している入居者もいますし、服薬効果の確認に対して定量的なデータがあれば、看護師などの負担軽減にもつながります。実際、排泄の状態を管理しなければいけない入居者に対し、排泄が終わるまでトイレの前で待っているのは入居者と看護師双方の負担になりますし、入居者が流してしまうこともよくあるそうです。入居者はもちろん、看護師の心理的、身体的負担を軽減する意味でも、排泄を管理するセンサーが世に出る意味があるというということで、事業として立ち上げました。

Q. この1年の導入事例や成果についてお聞かせください

(山岡氏)
介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームでご利用いただきました。期待通り、排泄の記録や観察が効率化できているのは実感しています。今後は業務の効率化のところだけではなく、排泄物の性状情報から健康状態の把握にどうつなげていくかを導入事業者さんと作り上げていくフェーズになります。

Q. 「排泄センサー」を導入された施設などからはどのような反響がありましたか。

(山岡氏)
「見えていないときでも定量的に把握できる」という点が、一番反響がありました。入居者が夜間に頻回に離床する現象はもともと「ライフレンズ」によって把握できており、その多くがトイレ動作を含んでいることもわかっていました。それに加えて「排泄センサー」によって、どういう性状の排泄がされているもわかるようになり、特に人の目が行き届かない夜間の生活リズムを睡眠と排泄という両面から課題を導き出していくアセスメントのデータとして使っていただくところが非常に喜んでいただいています。

服薬効果の確認という観点からは、入居者から「便が出ない」と言われ、医師がより強い薬に変更していくのは珍しいことではありません。それが今回の排泄センターをつけてみると、実際はかなりの頻度で水状便を繰り返していることがわかりました。こういうデータがあると、下剤が入りすぎているということもいち早く把握できます。認知症の方も多くいらっしゃるところなので、正しい情報に基づいた服薬管理の参考情報になっていくだろうという手ごたえを感じていています。

Q.実際に導入してから想定外のことはあったでしょうか。課題と対策についてもお聞かせください。

(山岡氏)
「ライフレンズ」が個室用にチューンナップされて作られているので、「排泄センサー」もおのずと個室のトイレを対象としていました。それが共用トイレを利用される頻度が、私たちが想定していたよりも多かったです。そこにいかに対応していくかが最大の課題といえます。現在、共用トイレにおける「排泄センサー」にとって最適な「人の認証」がどういうもいのか、現場のみなさまと共に実証実験を始めたところです。

また、今回は「ライフレンズ」に組み合わせて「排泄センサー」を使う形ですが、「排泄だけ見たい」という希望も現場から多くありました。そこで「排泄センサー」だけで稼働するような「ライフレンズ」の検討も始めています。

ほか、何も出ていないという表示が出たときでも、少量の尿や便の排泄があることもあるのですが、少なすぎて検知できていないというケースがありました。介護の観点からも、まったく出ていないのか、少量でも出ているのかは大きな違いになってくるので、そこはより精度を上げていかなければならないと感じています。


(南氏)
入居者が施設内の違う部屋に移るケースも予想以上に多かったため、必然的に部屋から部屋の移設の頻度も想定よりも多くなりました。そのため、今以上に設置性を簡易的にできるような形にしていきたいと考えています。

Q.  貴社における「シニア」の定義を教えてください。

(山岡氏)
プロジェクトによってシニアの定義も年齢の設定も変わります。「ライフレンズ」においては介護施設に入居される方がシニアということになりますので、要介護2以上の方や、介護職員さんのサポートがないと生活が難しいというレベルの方となります。現場の介護職員さんの負担を軽減するというところが重要ですので、高齢者のデータを取りつつ、いかに介護職員さんに意味のあるソリューションになるかというところを日々考えています。

Q.  「排泄センサー」ならびにシニアターゲティング市場における今後の抱負をお願いいたします。

(南氏)
排泄センサーはB to B向けということで対象は施設ですが、パナソニックはB to Cも得意とする領域ですので、いずれは個人が購入し、ご家庭で「ライフレンズ」と「排泄センサー」を利用していただけるころまで持っていけたらと思っています。また、現在所属している部署では排泄センサーだけでなくトイレ事業を全体で見られるため、介護支援向けだけでなく、障害やハンデのある方へのサービスや製品の提供についても考えていきたいです。


(山岡氏)
当社は介護予防にも力を入れており、事業開発の連携パートナーであるポラリスさんというデイサービス事業所と自立支援介護プラットフォームを共同開発しました。たとえば寝たきりになってしまったシニアの方にも正しいリハビリテーションを通して、もう一度自分の足で歩けるようにするなどです。要介護4の寝たきりの方が半年後に自分の足で歩けるようになった事例もあり、「もう一度元気になってやりたいことをやる」というのは社会的にも素晴らしいことです。さらに今後は要介護高齢者だけでなく、介護予防期にある高齢者、独居の高齢者の孤立を解消するといったところも含めてサポートできればと思っています。

2040年に全世代人口減が始まると介護施設の需要が減り、従来よりも重症化した要介護者のケアを在宅で行わなければいけません。われわれとしては介護施設で培ったノウハウを生かし、在宅の介護の役に立つことが使命だと考えています。今後は在宅の高齢者に関する事業にも力を入れていきたいと思っています。

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第42回 
エアデジタル株式会社
41回
NTT東日本
40回 
トリニティ・テクノロジー
株式会社

楽しみながらフレイル予防する
運動習慣化施設

エアデジタル株式会社 
代表取締役 前田相伯様

ビジネスアワード2023 ビジネスモデル賞を受賞したエアデジタル株式会社の「楽しみながらフレイル予防する運動習慣化施設」。今回は代表取締役の前田相伯様に、現在の施設の状況や課題とその対策、今後のビジョンなどについてお話をうかがいました。

2024年4月取材

Q.「楽しみながらフレイル予防する運動習慣化施設」の新業態を開始されてから1年以上経過しました。まずは施設のご紹介をお願いします。

当社はもともとデジタルスポーツ空間の販売やレンタルをしており、その実機を展示・体験いただく場として埼玉県久喜市のショッピングモール、アリオ鷲宮に体験型デジタルスポーツフィールド「スポーツ60&スマート」を開設しました。そこを昨年、「健康は保ちたいがフィットネスクラブに通うほどでない」という中高年・高齢者がスポーツを通じて楽しく運動できるよう、デジタルと非デジタルが共存する空間としてリニューアルオープンしました。連携協定を締結した久喜市、株式会社安藤・間とも協力し、本気のスポーツにデジタルを掛け合わせたEスポーツフィールドで構成されるデジタルスポーツフィールドに、 本格筋力マシンフィールドを融合させた施設です。

デジタルスポーツフィールドはデジタルコンテンツで脳神経を活性化させ、体も動かしながら身体機能の向上を狙い、トレーナーやプレイヤー間の交流も楽しめるフィールドです。バランス感覚を強化するレジェンドティーバッティング、足腰を鍛えるレジェンドサッカー、胸部のトレーニングになるレジェンドアーチェリーなど、11種類のコンテンツを提供しています。筋力マシンフィールドはデジタルスポーツ空間での運動で不足する筋力や可動域拡張を解決するため、トレーナーのサポートのもとで行う筋力トレーニングフィールドで、いわゆるフィットネスクラブにあるマシンをイメージしていただくとわかりやすいと思います。

Q. この1年の成果についてお聞かせください。

月に300~600名ぐらいのご利用があり、平日はシニアの方、土日祝日はファミリーで利用されるケースが多く、来訪者の約半数がリピーターです。年齢層も幅広く、3歳でゲームしている子もいれば、90歳以上の方がいらっしゃることもあります。障害のある方のご利用もあり、車椅子の方などは利用できないマシンなどもありますが、料金を半額にした上で理学療法士やサポーターをつけて、楽しみながら安全に利用していただけるようにしています。

個人での来訪だけでなく、近隣のデイケアセンターから団体でいらっしゃることもあります。シニアの方にとって使い方のわからないマシンは怖くて利用できないでしょうし、一度使い方を教わっても忘れてしまうこともありますから、こちらも安全・安心に利用していただけるようサポート体制を整えています。

Q. 実際に新業態を開始してから、想定外のことがありましたら具体例をお聞かせください。

当初は40~70代の方の利用を想定していたので、これほどまでに幅広い年代の方にご利用いただけていることにはやはり驚きました。また、施設の中でもとりわけ人気の高いものについては、休日ですと順番を待って並ぶという状況も生じました。たとえばデジタルスポーツフィールドにあるレジェンドティーバッティングやレジェンドサッカーは、大人はもちろんお子さんにも大変な人気です。待ち時間が生じた場合はほかのフィールドで楽しんでいただくなどの誘導も行っています。また、シミュレーションゴルフについては当初扱っていませんでしたが、地元からのニーズが高く導入しました。

Q.「楽しみながらフレイル予防する運動習慣化施設」という新しい業態をスタートする際、苦労されたのはどんなことでしょう。

私はもともとゲームなどデジタルの世界が長かったので、デジタルとフィットネスやフレイル予防というヘルスケアをいかに結びつけるかにはやはり苦労しました。理学療法士やトレーナーなどの専門的な知見のあるスタッフからたくさんヒアリングしてこの形態にすることができました。

Q.  施設利用者の方からはどのような反響があったでしょう。

最初は「どの方にも楽しく利用していただきたい」という思いでいましたが、リニューアルオープンしてしばらくしてから「それは違うな」と思うようになりました。来訪される方がフィットネスでトレーニングしたい方、デジタルスポーツフィールドでサッカーや野球を満喫したい方、パソコンでゲームを楽しみたい方など用途が多種多様なので、目的がそれぞれ異なる以上ひとくくりにはできないと。ただ、リピーターの方が多いということは、やはりお客様ごとに満足していただける要素があったのだろうと感じます。

Q.  現段階の課題とその対策についてお聞かせください。

いわゆるフィットネスクラブを運営するぐらいの収益性まではいたってないのが課題です。リニューアル後も利用料金を上げる勇気がないということも一因で、立地の面からも値上げは難しいところです。解決のためには平日の利用者を増やすことが必須ですので、地域のデイケアセンターなどとの連携を試みるほか、施設の使い勝手などを再検討し、現在レイアウトから改めて作り直そうとしているところです。

Q. 貴社における「シニア」の定義を教えてください。

実はシニアを「●歳から」などと定義づけたことがありません。今回リニューアルした施設についても「40~70歳」というざっくりとしたターゲットは設定していましたが、ふたを開けてみればこれだけ幅広い年齢層にご利用いただいていることからも、あえて設定する必要はないと考えています。

Q.  シニアターゲティング市場における今後の抱負をお願いいたします。

まず、近隣のデイケアセンターさんと連携するようなビジネスはぜひやっていきたいと思っています。今よりもっとシニアターゲティングに特化させていくなら、公的な支援も受けた上で店舗もデイサービスの区画、デジタルスポーツフィールドの区画といった形にし、休日は全区画開放して従来通りご家族で楽しんでいただけるスペースとすることは、次の目標として見すえています。

また、うちの機器とモバイルを連携させることも最優先事項として進めていく予定です。そうすると運動量を計測するウェアラブルがあれば、うちのコンテンツのゲームの予約にも使えますし、モバイルと連携する機会も増えるので、そうなったらアプリがあるとより便利ということになりますから、順に段階を踏んでいければと思っています。センサーカメラをつけてお客様のプレーしている模様の写真か動画いずれかをQRコードで操作パネル上に出して、お客様がモバイルで取り込めるようにします。これはエンタメの分野になりますが、エンタメから入ればアプリをインストールしていただきやすいので、それからヘルスケアの提案につなげていきたいと考えています。

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41回 
NTT東日本
40回 
トリニティ・テクノロジー
株式会社
39回 
東京トラベルパートナーズ
株式会社

産官学連携による

「シニア×ドローン×地域課題解決」

~ドローン操縦を通じた、

シニアが健康で活躍できる地域づくり』への

取り組みに向けた協定を締結~

 

NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ まちづくり推進担当 岩見晃希様

NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ まちづくり推進担当 林若菜様

埼玉県本庄市役所 市民生活部市民活動推進課 課長補佐 小林弘幸様

ビジネスアワード2023 シニアライフ賞を受賞したNTT東日本『産官学連携による「シニア×ドローン×地域課題解決」~ドローン操縦を通じた、シニアが健康で活躍できる地域づくり』への取り組みに向けた協定を締結。今回は共同実験を牽引されてきたNTT東日本の岩見晃希様と林若菜様、共同実験のフィールドとなった本庄市の小林弘幸様に、実験の成果やシニアの定義、そして今後の展望などについてお話をうかがいました。

2024年3月取材

左からNTT東日本林氏、岩見氏、本庄市小林氏

Q.ドローン操縦によるシニアの健康増進や社会参画促進への取り組みと、産官学連携を形成された経緯についてお聞かせください。

(岩見氏)
日本の65歳以上人口は3621万人と総人口の28.9%まで増加しており、高齢者の健康問題が社会課題とされています。ドローンの操縦技術の習得と実際の活用がシニアの健康維持・社会参画促進、さらに地域課題解決に有用性があるのではないかという仮説のもと、それらを検証するため、産官学連携にて共同実験を実施することとしました。


具体的な役割分担としては、シニアへのドローン施策の実施にあたり、シニアのフィジカルやメンタルに及ぼす影響の効果測定・考察を筑波大学、シニア向けドローン講習のカリキュラム作成、講習実施・運営を一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、本庄市自治会連合会にターゲットシニアの募集や参加シニアからの問い合わせ対応や実証実験の運用支援を担当していただきました。弊社は、シニア向けドローン講習カリキュラム作成支援、情報取り纏めなど実証実験の全体管理およびシニアドローンパイロット育成とドローンの活用による地域活性化モデルの検討および社会実装検討の役割を担いました。

(林氏)
そもそもなぜシニアとドローンを紐づけたかといいますと、ドローンは弊社のアセットでもあり、橋梁点検業務などで広く活用しております。我々も実際にドローンを操作してみたところ、想像以上に指先の神経を使い、上手く飛ぶと気持ちが高揚し、次はどんな風に飛ばそうかと思考し、屋外にでて歩き回ることを体感しました。そこで「もしもシニアの方が私達と同様にドローンを扱ったらフレイル予防につながるのではないか」、「家に閉じこもりがちのシニアの方も、ドローンであれば楽しみながら屋外に出て地域の方々と交流するきっかけになるのではないか」とそんな考えから始まりました。最初は社内外で「シニアの健康維持や地域活性化になぜドローンなのか?」という声はあったのですが、この実証により現在もシニアの方々はドローン操縦を趣味とし、地域コミュニティが深まり生き甲斐や楽しみとなっていることからメンタル面では大きな影響力があったと感じております。

Q. 今回の共同実験に参加されたシニアの選出基準や対象者について教えてください。

(林氏)
参加条件は本庄市在住の65~75歳ということのみで、自ら応募してくださった方全員が、そのまま受講生となりました。実際の参加者の年齢は65歳から72歳、全員男性でした。実は全員が脱落することなく最後まで楽しく参加してくださったのも想定外で、半数くらいは途中でリタイアされるかもしれないという状況も想定していました。しかし、参加シニアの皆様のドローン操縦技術の向上意欲が非常に高く、シニアの皆様は大変お元気で楽しくドローンを操縦されておりました。「後期高齢者にドローン操縦は難しいのでは」とこちらの先入観で75歳までのシニアの方と定義したのですが、みなさまの生き生きとした様子を目の当たりにして、上限の年齢を80歳くらいにしても、きっと元気に参加してくださっただろうと思いました。

Q. 共同実験の具体的な取り組み内容をお聞かせください。

(岩見氏)
実際にシニアがドローン操縦をするにあたり知識・技術の習得が可能なのかという検証から、シニア自身の健康増進への影響、さらにはシニアドローンパイロットの活躍による地域課題解決や多世代が共生するまちづくりが可能かについて調査を行ってきました。講習会への参加者への事前説明会では、やはりみなさんが初対面ですからすぐさま打ち解ける、という感じではありませんでした。講習会では、シニア間で全員の方々とコミュニケーションを取ってもらいたいと思っていたので、カリキュラムを進める際のグループは毎回シャッフルをしていました。講師の先生方にも各グループ内でお互いに助け合えるようなカリキュラムにしていただくよう、グループ全員で操縦者を応援したり操縦者の補助役をしたりと、協力しあえる講習内容にいたしました。結果、参加されたシニアのみなさん全員が最後まで講習をやりとげ、ドローン操縦技術を身につけられました。
講習終了後も、実証に参加された13名で自発的に本庄市シニアドローンクラブを立ち上げ、今も頻繁にみなさんでドローン操縦の腕を高められております。講習後にそのような形で自発的にドローンとの関わりを続けられるとは思ってもみなかったので、これこそ今回の実験の最大の成果ではないかと感じますし、今も変わらないメンバーで活動されていることを大変うれしく思います。
また、趣味としてドローン操縦を楽しむだけでなく、地域の小学生にドローン操縦教室を開催したり、地域の防災活動にドローンを使って参加したり、地元の小学生の地域学習授業のため本庄市の現状をドローンにて空撮し、授業に用いたりと、活動の幅を広げていらっしゃいます。

Q.小学校でのドローン空撮動画を使った授業や、ドローン操縦教室について詳しくお聞かせください。

(岩見氏)
本庄市と弊社は 2023 年 9 月 15 日に、シニア活躍推や多世代共生による地域活性化の実現にむけて「ドローンを活用した小学校授業動画作成及び授業のトライアル実施に関する協定」を締結しました。本協定にもとづき、ドローンクラブのみなさまがドローンで撮影した地域の映像を、弊社の社内映像チームが授業用の映像へ編集し、2024 年 2 月 14 日の本庄市立共和小学校の地域学習授業で活用しました。
児童からは動画視聴中に「あれ学校だ!」「ここ見たことある!」など自身の生活に照らした感想が多くでました。また、ドローンクラブのみなさまには授業の一環でドローンの紹介やデモフライトを実施いただき、児童は初めて触れるドローンに興味津々でした。
本施策を通じて、われわれとしては、ドローン空撮映像は児童の授業理解を促進し、よりよい学習へと昇華させることができるものと感じました。先生方からも同様の意見を伺っています。ドローンクラブのみなさまには、児童がどうしたら喜んでくれるか創意工夫してくださり、多世代共生の取り組みのよい事例になったと思います。

(小林氏)
ドローンクラブの皆様には、授業の素材となる映像撮影のため、朝早くから現地で撮影していただきました。ほかにも、授業内容の深掘り、授業で使用する資料の収集にもご協力いただくなど、今回の事業実施に大きく貢献していただきました。シニアと小学生が触れ合う機会を作ることができ、大変有意義な取り組みだったと考えています。

地域学習授業の様子
(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)
児童もドローンに興味津々
(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)
地域学習授業でドローンによる空撮映像を使用
(NTT東日本・本庄市・本庄市シニアドローンクラブ)

Q.  シニアがドローン操縦を学び、地域貢献活動に参加することで期待されるのはどんなことでしょう。

(小林氏)
本庄市には市民提案型協働事業制度があり、ドローンクラブも「ドローンでこういう場所を空撮したい」とか、それをどんなことに使いたいかといったご提案をいただき、小学校でのドローン操縦教室のように本庄市の協働事業という形で進めたものもあります。今後も市としては会場の提供や関係機関との連絡調整、また広報などの分野で支援するなど、協働で事業を進めていければと考えています。こういった方々がどんどん社会に参加して活動していただきたいですし、地域で交流の機会が生まれるような取り組みができればと考えています。

(岩見氏)
シニアのみなさまがやりがいや生き甲斐をもって元気に生活できるように、さらには地元の子どもとの交流の場を広げたり、地元のためにドローン技術を活用して活動したりして、地域活性化を促進したいです。新たな雇用が生まれるなど、ビジネスとしても成り立ち、経済循環ができることが理想です。

屋内でのドローン操縦
本庄市シニアドローンクラブのみなさんと
本庄市小林氏、NTT東日本林氏・岩見氏

Q.  共同実験に参加されたシニアのみなさまからはどのような感想の声が届いたのでしょう。

(岩見氏)
参加者のみなさまからは以下のような感想をいただきました。抜粋してご紹介します。

・講習会は同年代の方々でとても楽しかった。その後、講習会参加者でクラブを設立し、マイドローンを所有するまでに至った。大変楽しい老後の趣味を見つけた。


・ドローンには興味を持っていたものの年齢的に無理かなと思っていたが、シニア対象の講習会があると知り、チャンスと思い参加。年齢が近い人の集まりなのであまり気張らずにできた。クラブの発足により機体の購入や登録申請なども相談でき、飛行の環境なども指導してくれる仲間がいるので楽しく活動している。ひとりではとてもできなかったと思う。


・普段は付き合いのない仲間ができ、参加して本当によかった。


・子どもの見守り活動に使えないかと考え参加した。講習も先生方がフランクに教えてくださり楽しかった。クラブもでき、色々な地域の才能豊かな人達と知り合えたことが、ドローン以上に自分へのプレゼントだと感じる。


・ドローン講習の最初の座学でドローンを取り巻く法令の洗礼を受け、重い気持ちのスタートだった。しかしドローンを用いた操縦実施訓練になると毎回楽しくて、講習終了後まもなく練習用のドローンを購入した。また、講習を一緒に受けた素晴らしい仲間とも意気投合しクラブを結成、充実した日々を送っている。もし、今の自分にドローンがなかったら寂しい日々を過ごしていたと思う。ドローン講習の企画を出してくれた NTT東日本 のみなさま、ドローン講習の機会を提供していただいた本庄市役所の方々、ドローン講習に共に参加し充実した時間を共有してくれる仲間たちに心から感謝している。


・写真が趣味なのでドローンでの撮影にも興味があった。座学で色々な法令の規程があると知った。老化防止も兼ねて今後も楽しく活動したい。


・ドローンが不法投棄や小学生の登下校時の見守りなどに役立てないかと考えた。引きこもりがちだったが、講習を経てドローンクラブができたおかげでみなさんと日々楽しく、忙しく過ごしている。これからも飛行練習や法令の習得に精進し、1 等無人航空機操縦士を目指したい。


・田畑への農薬散布に利用できないかと思い参加を決めたが、最初の座学でそれが簡単ではないことがわかりがっかりした。しかし実技は日を重ねるたびに楽しくなり、今では仲間と一緒にマイドローンを飛ばすことができるようになったので、講習に参加してよかった。


・昔から自由に飛べる空が好きだったので、ドローンにも興味があり講習に参加。ドローンを操縦できるようになり、さらにクラブに入って新たな生活リズムが生まれた。


・ドローンは空飛ぶオモチャと思っていたが講習を受けるとなかなか難しく、だからこそ面白くなった。


・講習の参加者が13名という人数はちょうどよかったと感じる。メンバーのシャッフルにより参加者全員と話せたことが、その後のクラブ設立につながったと思う。新しい趣味の友人ができてうれしい。今後は私的な趣味として楽しむのはもちろん、公共的なことにもドローンを介して協力していきたい。

Q. 御社はどのように「シニアの定義」を設定されているのでしょう。

(岩見氏)
われわれで定義としているのは、65歳以上の地域のみなさんです。定年退職などで会社を引退し、「地域のためになにか行動したいがなにをやろうか」、「老後の趣味を探している」という方々と地域活性化をつなげる、新たな雇用を生み出すといったまちづくり活動を行っています。

Q.  今後の抱負をお聞かせください。

(岩見氏)
シニア世代の活躍促進や多世代交流促進によって、やりがいや存在価値を感じるアクティブシニアの増加や地域愛あふれる若者輩出、持続可能な活気あふれるまちづくりに向けて引き続き取り組んでまいります。シニアの皆様向けのドローン講習プログラムの提供に加えて、NTT 東日本内の映像チーム V-TECHXがSNS の伴走支援や画像/動画編集の技術習得のサポートをすることで、地域の魅力を発信できる集団へと昇華することができると考えています。その他にも NTT ではドローンによる設備点検のスキルも有しており、シニアのみなさまが市内の設備点検ができるよう支援することも可能だと考えます。また、グループ会社の NTT e-Drone Technology では農業用のドローンを操縦できるようにするプログラムも提供していますので、シニアのみなさまが多様な分野で活躍できるように支援することも可能です。今回が実験だけで完結するのではなく、さらに次のステージに進むための最初の一歩となることを願っています。

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