シニアの健康意識と介護予防|2025年シニア調査から見る健康維持行動

シニアライフ総研®では、55歳以上の男女1,612名を対象に「2025年シニア調査」を実施しました。本記事では、健康・食生活編の第1回として、健康状態の自己評価、現在行っている健康維持行動、フレイル・介護予防や認知症予防への取り組みに注目します。

シニア市場において「健康」は、医療・介護領域に限らず、食品、日用品、住まい、余暇、情報接触など、幅広い生活行動の前提となるテーマです。ただし、健康状態は「病気があるかどうか」だけで捉えられるものではありません。通院や持病があっても自分を健康的と捉える人もいれば、健康維持や予防に向けた行動が十分に定着していない人もいます。

本記事では、シニアの健康意識を一括りにせず、自己認識と日常行動、予防行動の違いから、企業がシニア層を理解するうえで押さえておきたい視点を整理します。

🚨 データから見える、健康意識・介護予防を捉える3つの視点

視点1:健康認識は、通院や持病の有無だけでは分けきれない
通院や持病があっても、日常生活に大きな支障がなければ、自分を健康的と捉える層が見られます。

視点2:健康維持行動は、日常生活の延長にある
健診、食事、ウォーキングなど、生活の中で続けやすい行動が中心です。

視点3:介護予防・認知症予防は、実施層と未実施層が併存している
食事や運動に取り組む人がいる一方で、具体的な行動に移っていない層も見られます。


55歳以上シニアは「通院していても健康」と捉える傾向

調査結果:健康状態の自己評価

対象:全体(N=1,612)、形式:SA(単一回答)

順位・回答項目割合
1位:特に疾患・持病等はなく、健康である37.0%
2位:日常生活に支障がない程度の疾患・持病がある31.4%
3位:定期的な通院・検査はあるが、健康的である24.8%
4位:極めて健康であり、自信を持っている6.8%

健康状態の自己評価では、「特に疾患・持病等はなく、健康である」が37.0%で最も高くなっています。次いで、「日常生活に支障がない程度の疾患・持病がある」が31.4%、「定期的な通院・検査はあるが、健康的である」が24.8%となりました。

注目したいのは、持病や通院の有無が、そのまま本人の健康認識を左右しているわけではない点です。疾患や通院があっても、日常生活に大きな支障がなければ、自分を健康的な状態にあると捉える層が一定数見られます。

シニアにとっての健康は、単に病気がないことだけではなく、「普段の生活を大きく変えずに過ごせていること」「自分なりに管理できていること」とも結びついています。健康状態を把握する際には、医療的な状態だけでなく、本人の生活実感まで合わせて見る必要があります。

💡 プランナーの視点

シニア向けの商品・サービスを考える際、「健康な人」と「健康に不安がある人」を単純に分けてしまうと、実態とのずれが生じる場合があります。通院中でも活動的に暮らしている人、持病を前提に生活を調整している人、検査や服薬を日常の一部として受け入れている人など、健康状態と生活意識の組み合わせは一様ではありません。

健康関連のコミュニケーションでは、「病気を防ぐ」「不安を解消する」といった文脈だけでなく、「今の生活を維持する」「自分で管理できている状態を支える」といった視点も必要になります。本人が自分をまだ健康的な状態にあると捉えている場合、過度に不安を強調する表現は距離を生みやすくなります。自立感や前向きな健康認識を損なわずに、自然に受け入れられる接点をつくることが求められます。


健康維持行動は健診・食事・ウォーキングが中心

健康を維持するために現在行っていること

対象:全体(n=1,612)、男性(n=831)、女性(n=781)/回答形式:MA(複数回答)
※MA(複数回答)のため、合計は100%になりません。
※上位項目を抜粋しています。

順位・回答項目男性女性
1位:定期的な健康診断・検査38.1%41.0%
2位:食事への配慮(食事制限や栄養管理など)34.3%42.4%
3位:ウォーキング/散歩38.6%33.7%
4位:健康維持のために行っていることは特にない27.8%25.1%
5位:睡眠の質向上(規則正しい生活、寝具の改善など)12.6%17.3%

健康維持のために現在行っていることでは、全体では「定期的な健康診断・検査」が39.5%、「食事への配慮」が38.2%、「ウォーキング/散歩」が36.2%となっています。

上位に並んでいるのは、いずれも日常生活の中で取り入れやすい行動です。特別な器具を使う運動や専門的な健康管理というよりも、健診を受ける、食事に気をつける、歩くといった、生活の延長にある健康維持が中心になっています。

男女別に見ると、女性では「食事への配慮」が42.4%と男性より高く、「睡眠の質向上」も17.3%で男性を上回っています。一方、男性では「ウォーキング/散歩」が38.6%と女性より高くなっています。同じ健康維持でも、女性は食事や睡眠を含めた生活管理、男性は歩く・動くといった身体活動に寄りやすい傾向があります。

また、「健康維持のために行っていることは特にない」は男性27.8%、女性25.1%となっています。健康に関心がないというより、何かを始めるほどのきっかけがない、あるいは自分の行動を「健康維持」として意識していない層も含まれると考えられます。

💡 プランナーの視点:全体平均のデータに潜む「健康意識の二極化」

健康維持行動は、必ずしも強い問題意識から始まるものではありません。今回の結果を見ると、シニア層が取り入れている健康行動は、日常生活のリズムを大きく変えずに続けられるものが中心です。健康のために新しいことを始めるというより、いつもの生活の中で少し気をつける。そのような距離感で健康維持に向き合っている層が多いと考えられます。

商品・サービスの訴求を考える際には、この「生活の延長」にある行動をどう捉えるかが大切です。女性では食事や睡眠、男性ではウォーキング/散歩が比較的高く、健康維持の入り口には男女で違いが見られます。同じ健康テーマでも、食事を整える、歩く習慣を続ける、睡眠を見直すなど、生活場面ごとに入口は異なります。健康を前面に出しすぎるのではなく、すでにある生活導線の中で自然に受け止められる文脈を探ることが求められます。


介護予防・認知症予防は、取り組む層と未実施層に分かれる

フレイル・介護予防や認知症予防のために現在行っていること・気をつけていること

対象:男性(n=831)、女性(n=781)/回答形式:MA(複数回答)
※MA(複数回答)のため、合計は100%になりません。
※上位項目を抜粋しています。

順位・回答項目男性女性
1位:バランスの良い食事(野菜や魚を多く摂る、塩分や糖分を控えるなど)34.5%44.2%
2位:特に何もしていない39.2%28.9%
3位:適度な運動(ウォーキング、ヨガ、体操など)28.6%32.0%
4位:健康診断を定期的に受ける(認知症に関連する検査も含む)23.6%28.2%
5位:ストレスを溜めない生活17.0%24.3%
6位:十分な睡眠を取る(睡眠の質を高める工夫)15.3%21.9%

フレイル・介護予防や認知症予防のために行っていることでは、全体では「バランスの良い食事」が39.2%で最も高くなっています。一方で、「特に何もしていない」も34.2%にのぼり、予防行動に取り組む層と、まだ具体的な行動に移っていない層が併存しています。

男女別に見ると、女性では「バランスの良い食事」が44.2%と男性の34.5%を上回っています。「ストレスを溜めない生活」「十分な睡眠」も女性の方が高く、介護予防や認知症予防を、生活全体を整えることと結びつけて捉えている傾向が見られます。

一方、男性では「特に何もしていない」が39.2%と女性より高くなっています。介護予防や認知症予防という言葉自体は広く知られるようになってきましたが、それを自分の生活の中で何をすることなのかまで落とし込めていない層も一定数含まれていると考えられます。

ここには、健康維持とは少し異なる課題があります。健康診断や散歩は日常行動としてイメージしやすい一方、介護予防や認知症予防は将来の話として受け止められやすく、行動の優先順位が上がりにくい面があります。必要性を伝えるだけではなく、日々の暮らしの中で何をすればよいのかまで、わかりやすくつなげることが求められます。

💡 プランナーの視点

介護予防や認知症予防は、シニア本人にとって大きなテーマでありながら、日常の行動にはまだ落とし込みにくい領域です。「特に何もしていない」という回答が男性で高いことからも、関心の有無だけでなく、自分ごと化や行動化のしやすさに差があることがうかがえます。

この領域では、危機感を強く出すよりも、食事、散歩、睡眠、会話、健診といった身近な行動に置き換えて伝えることが大切です。「介護予防」という言葉に反応する層もいれば、「いつまでも自分で歩く」「食事を楽しみ続ける」「家族との会話を保つ」といった生活感のある表現の方が受け入れやすい層もいます。ターゲットを考える際には、予防意識の高さだけでなく、どの生活場面からなら行動に移りやすいかを見る必要があります。


健康意識は「状態」ではなく、生活行動との組み合わせで捉える

健康状態の自己評価を見ると、シニアの多くは、持病や通院の有無だけで自分の健康を判断しているわけではありません。日常生活に大きな支障がないこと、通院や検査を通じて自分なりに管理できていることも、健康認識を支える要素になっています。

一方で、健康維持行動や介護予防行動を見ると、食事、健診、ウォーキングといった身近な取り組みが中心であるものの、何もしていない層も一定数存在しています。健康への関心と、実際の行動にはまだ距離がある層もいるということです。

シニア市場を見る際には、「健康なシニア」「健康不安のあるシニア」といった大きな分類だけでは不十分です。本人が自分の健康をどう捉えているのか、日常の中でどのような行動を取っているのか、予防に対してどの程度自分ごと化しているのか。こうした視点を組み合わせて見ることで、ターゲット設計やコミュニケーション設計の精度を高めることができます。


調査データを活用したシニアマーケティングのご相談について

本記事では、2025年シニア調査のうち、健康意識・介護予防に関する一部結果を紹介しました。

シニアライフ総研®では、生活実態で捉える独自の6区分をもとに、年齢だけでは見えにくいシニアの行動や意識の違いを整理しています。

実際のマーケティング検討では、この6区分を起点にしながら、商品・サービスの特性に応じて、健康状態、就業状況、家族構成、情報接触、購買行動などの切り口を組み合わせて見ていくことが重要です。

調査データの活用や、シニア向けの商品・サービスにおけるターゲット設計、コミュニケーション設計については、個別にご相談いただけます。


調査概要

項目内容
調査対象55歳以上の男女
調査方法インターネット調査
調査期間2025年3月21日~3月28日
サンプル数1,612名
備考シニア6区分別のうち居宅介護層・施設介護層は介護者の理回答

※居宅介護層・施設介護層は代理回答を含みます。
※本記事では、調査結果の一部を抜粋して紹介しています。
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