第33回 株式会社ホビージャパン

1969年創業ホビージャパンの新たなチャレンジ
シニア向け「大人のぬり絵集」

経営管理部 広報宣伝課 課長 岡本恭範 氏
刀剣画報編集部 編集長 笹岡政宏 氏
刀剣画報編集部 井原凛大 氏

1969年にミニカーの輸入・販売からスタートした株式会社ホビージャパン。趣味・嗜好性が高いいわゆるマニアックな書籍を多く出版されていますが、シニア向け「大人のぬり絵集」にスポットを当て、出版の経緯、ご苦労された話、ターゲットへリーチさせるための工夫から今後のアプローチまで、幅広くお話をお伺いしました。

2020年12月取材

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Q. 「大人のぬり絵集」というスタート時からシニア層を狙おうとしたキッカケは何かあったのでしょうか?

当社では従来から「刀剣画報」という刀剣に関する雑誌、そしてその前には「歴史探訪」という歴史の雑誌をリリースしていました。歴史の雑誌はメインの読者はご想像の通りシニア層で、特に50歳前後がコアとなります。
このように、弊社の出版物は70代以上も含めそもそもシニア層の読者層が多いという実情があり、この層へ改めてアクションしたという、いわば自然な流れの中でのことだったと思います。

とはいえ当時、社内的には「歴史」をテーマにやっていこうという事自体割と新しいチャレンジでした。
本来は模型関係の商材や出版物が主であったのですが、この辺りのターゲット層も徐々に高齢化し、50歳前後の方々が中心になっていました。つまり、シニアの入口くらいといったところでしょうか。
そんな背景もあってもう一歩先、つまり更に年齢が高い層にもリーチするようなチャレンジを考えていました。

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Q. もう1つ上の層を狙っていくためにどのようなことを考えましたか?

まずは既存の顧客層の特性から考えました。そもそもホビージャパン社が取り扱う商材には、年齢を超えて共有できるオタク的な要素(興味を持つ分野)が含まれることが多くあります。

例えばガンダムであれば「ミリタリー」や「戦争」というキーワードがあがってきますし、一方で「歴史」とか「史実」といった要素を好む層でもあります。
そんな繋がりから「歴史」関連の出版物へと繋がっていったと思います。

ですので見方を変えれば、シニアを狙うというより「趣味を持ちながら歳を取っていく方々」がどうやって暮らして行くかという事に寄り添うという考えが先に立っていたのだと思います。

Q. 実際のところ「大人のぬり絵集」に目を向ける方は、どの世代でしょうか?

これまでお話した層(50~60代)よりは、もう少し上ですね。最初は、葛飾北斎とか趣味性・歴史性の強い絵からスタートしました。ぬり絵としてはちょっと難易度が高いといえます。

ここからもっと簡単に楽しめるもの、緻密なものよりも描く喜びが感じられるものという方向にシフトしていきました。
その結果ターゲットが拡がり、70代以上の方々にもご興味を持っていただけるようになりました。

結果的に、「大人のぬり絵」が当社内で一番高年齢向けのコンテンツになったという次第です。

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Q.趣味・嗜好性が強いユーザー層からシニアにまでターゲットを拡げていく試みについては社内では何か議論はありましたか?

社内には従来から「面白そうなものはやってみよう」という意識が根付いていました。新しいことには寛容な社風、興味のあるものに取り組む社風ですね。ですので、新しいチャレンジには、それがシニアターゲットであったとしても肯定的ではありました。

確かに弊社は趣味・嗜好性が高い、いわゆるマニアックな商品が多いのは事実ですが、別にマニアックじゃなくても良いんです。マニアックであることがマストではありません。ニーズがあるものには素直にチャレンジしますし、更に言うならば「ホビージャパン」という社名の通り「好きなコトをやろう」というマインドです。

Q.創業されて半世紀以上(1969年創業)の歴史をお持ちですが、本当に自由な社風なのですね。

確かに歴史は長いですね。しかし、「ホビージャパン」という“入れ物”は変わらないのですが、時代に合わせてその“中身”、つまりリリースする商品は柔軟に変わってきています。

最初はミニカーの輸入・販売から始まった会社なのですが、その後会報誌をリリースし、それが月刊の模型誌になりました。模型誌についても、当初から「ガンダム」を扱っていた訳ではなく、ミニカーや車両模型がコンテンツの中心でした。
1980年代になってミリタリー系の模型になりキャラクター模型やフィギュアを扱うように変化を経てきております。

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Q. 「大人のぬり絵」という新しい取り組みでご苦労された点は?

やった事がないので当初は手探り状態でした。リリースしては読者の反応を見るの繰り返し、つまりはトライ&エラーですね。

反応を見るのも苦労しました。若い世代をターゲットにした商材であればネット、特にSNSなどで反応を見る事ができるのですが、基本的にシニアマーケットについては(ターゲットがオフラインであるため)その手段が有効ではりません。
ですので、そこはマーケターの勘に頼らざるを得ません。つまりは”主観的な推察”とでもいうのでしょうか。

シニアの方については、その行動を可視化するのが難しいといえます。あまり家から出ず、我々にとってはその行動がブラインドの状態であることが多いわけです。ですので観察すること自体が困難です。

例えば、本屋に行って店頭をウォッチしたりもするのですが、そこではどんな方が購入してくれているのかから始まります。そして仮に若い方が商品を購入してくださった場合、それはプレゼント需要なのか?移動手段がないシニアに頼まれて代理で買いに来たのか?などを想像します。更には、商品についてどこで情報を得たのか?という点も、勘を働かせる必要があります。この勘を養うためには、結局は経験が重要になると思います。当社で言えば、「何が受けるか?」を考えながら長年に渡り出版物や商品をリリースしてきました。この経験の中で自ずと勘が養われてきたのだと思います。

違いがあるとすれば、これまでは担当者自身が「やりたい」、「作りたい」と考えていたことを実現する「等身大マーケティング」を行っていたのに対し、これからはターゲット(シニア層)の生活様式や行動形態を類推してモノ作りをする「論理マーケティング」へとシフトしていく、それだけのことです。

SNSなどを分析して世にどんな需要があるかを分析することも結構ですが、自分とは違う誰かの需要に気づくためには、自身の勘を最大限に働かせて見えない何かを「狙い撃ちする」ような感覚も必要だと思います。

Q. 商品の存在をターゲットにリーチさせるための工夫などはありますか?

そこが一番の悩みどころですね。シニアの皆さんは、年を追うごとに(我々が生活する)世間からの距離が徐々に遠くなる傾向にあります。ネットはもちろん、従来メディアも必ずしも有効であるとは限りません。
そうなるとやはり工夫すべきは、インストアでのポジションということでしょうか。
書店の棚に並んでいる時の存在感を感じてもらえる、選択肢の中に入れてもらえるようにどうするか…という事になろうかと思います。

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Q. 今後のラインナップやアプローチで、こんな事を考えているというものがおありでしょうか?

現在の売れ筋ある「花」シリーズについては引き続き力を入れていきたいと考えています。

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また現行の「大人のぬり絵」シリーズ全体についてもこれまでかなり精査を繰り返してきて、ある意味完成に近づいてきているので、更に一歩進んだ形にもチャレンジしてみたいと思います。

例えば「ぬり絵+パズル」で「脳トレ」のようなものを作るとか、ぬり絵をベースにそこにもうひとつの要素を付け足して発展させていきたいですね。


株式会社ホビージャパン http://hobbyjapan.co.jp/


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