2020.8.28 日本の医療施設数はどのくらい?

未だ新型コロナウイルス感染症が番組のトップニュースに流れています。感染者数ではなく、PCR検査の陽性率や重症化数で現状の危機状況を判断すべきである、また、医療崩壊しているか否かが重要である、等々の報道もあります。

また、今回のコロナウイルス感染拡大の影響により、人手不足などから収益を見込める一般患者の受け入れや、手術を制限せざるを得ない事による医療施設の経営難も課題となっており、全国の3分の2の病院が赤字転落とも言われています。

そこで、今回はその医療施設に注目し、日本全国にどのくらいの医療施設があるのか、厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』のデータからご紹介いたします。

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全国の医療施設は約18万施設

全国の医療施設は2018年10月1日時点で179,090施設あり、そのうち「病院」は8,372施設、「一般診療所」は102,105施設、「歯科診療所」は68,613施設となっており、減少傾向にあります。

施設の種類別にみてみると、病院のうち「一般病院」は7,314施設で、そのうち「療養病床を有する病院」は 3,736 施設(病院総数の44.6%)となっています。また、一般診療所のうち「無床」は 95,171 施設(一般診療所総数の93.2%)となっています。 

施設の種類別にみた施設数

施設の種類別にみた施設数

出典:厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』を加工して作成

各用語の定義は下記の通りです。

  • 病院・・・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所で、患者20人以上の入院施設を有するもの
  • 一般診療所・・・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所(歯科医業のみは除く)で、患者の入院施設を有しないもの又は患者19 人以下の入院施設を有するもの
  • 歯科診療所・・・歯科医師が歯科医業を行う場所で、患者の入院施設を有しないもの又は患者19 以下の入院施設を 有するもの

 

「有床診療所」施設数は22年間で34%に減少

次に平成8年からの種類別施設数の推移を見てみます。全施設数は平成8年に15,756施設だったものが年々微増傾向にあり、平成30年の対平成8年比は114%となっています。

また、種類別で見てみると、最も増加率が高いのは「無床診療所」で平成8年に67,457施設だったものが平成30年には95,171施設となり141%となっています。半面、最も減少率が高いのは「有床診療所」で平成8年時点で20,452施設だったものが平成30年には6,934施設で34%となっています。 

医療施設数の年次推移

医療施設数の年次推移

出典:厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』を加工して作成

 

病院は50~99床規模が最も多い

施設数を病床の規模別にみると、病院は「50~99 床」が2,073施設(病院総数の24.8%)と最も多く、次に多いのが「100~149床」1,436施設、「150~199床」1,377施設なっています。

構成比をみてみると、最も多い「50~99床」が25%で、次に多いのが「100~149床」17%、「150~199床」16%と続いており、~149床で全体の約半数を占めています。

 

病床の規模別にみた施設数の構成比

 

病床規模別にみた施設数_構成比

出典:厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』を加工して作成

 

全病院の病床のうち「感染症病床」は0.1%

医療施設の病床数をみると、平成30年の全病床数は1,641,468床となっており、前年に比べ11,835 床減少しています。 そのうち病院は1,546,554床で前年比8,325床の減少、一般診療所は94,853床で前年比3,502床減少、歯科診療所は61 床で8床減少しています。

病院の病床を種類別にみると、「一般病床」は890,712 床(病院の全病床数の57.6%)で、「精神病床」は 329,692 床(21.3%)、「療養病床」は 319,506 床(20.7%)でそれぞれ減少しています。

 

病床の種類別にみた病床数

病床の種類別にみた病床数

出典:厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』を加工して作成

尚、用語の定義は下記の通りです。

  • 精神病床・・・精神疾患を有する者を入院させるための病床
  • 感染症病床 ・・・「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10 年法律第114 号)に規 定する一類感染症、二類感染症(結核を除く)、新型インフルエンザ等感染症及び指定感染 症並びに新感染症の患者を入院させるための病床
  • 結核病床・・・結核の患者を入院させるための病床
  • 療養病床・・・病院の病床(精神病床、感染症病床、結核病床を除く)又は一般診療所の病床のうち主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床
  • 一般病床・・・精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床

 

人口10万人対病院床数の1位は高知県、最下位は神奈川県

人口 10 万対病院病床数をみると、「全病床」は 1,223.1床で、前年(1,227.2床)に比べ 4.1床減少しています。

これを都道府県別にみると、「全病床」は高知県(2,551.6床)が最も多く、「精神病床」は長崎県(587.7床)、「療養病床」は高知県(904.8床)、「一般病床」は高知県(1,119.8床)が最も多くなっています。

「精神病床」以外は全て高知県が最も多くなっており、その他鹿児島県・熊本県も上位にランクインしています。

反対に神奈川県は最も少なく、病床別で見ても下位にランクインしています。

人口 10 万対病院病床数

人口 10 万対病院病床数

出典:厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』を加工して作成

 

いかがだったでしょうか?次回は患者数についてご紹介いたします。

 

【引用】厚生労働省『平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』

 


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