亀山市が目指す地域包括ケアシステム

第3章 かめやまホームケアネットの始動

かめやまホームケアネット出発式より

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三重県亀山市では、「行政」・「医療」・「介護」の三位一体のシステムを構築し、地域包括システム「かめやまホームケアネット(以下、かめやまHC)」を始動させた。
2013年からシステムのアウトライン構築と試験運用を試み、システムの根幹である「市民が人生の終末を自らの意志と家族理解のもとに描き、それをサポートする地域包括システム」が機能した事例を積み重ね、確かな手ごたえを持ってシステムを正式スタートさせることを2015年2月22日 櫻井義之亀山市長が声高らかに宣言したのである。
一般市民も参加した『かめやまホームケアネット出発式』では、そのシステムの概要の説明と運用事例も発表されたが、ここではこの事例について取り上げてみたい。

2015年2月22日 取材


事例1 : 「寝たきり生活からの改善」の例 (70歳代 女性)

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利用者の状態
体調不良をきっかけに生活のほとんどを寝たきりで過ごすようになってしまった。急激に褥瘡(床ずれ)も進行~悪化、歯茎からの出血もみられ食事がとれずに栄養面での不安も懸念された。

かめやまHCの対処
相談から往診により、対処方針を策定。主治医・副主治医・皮膚科・歯科医師・ケアマネージャー・訪問看護・在宅リハビリと多くの職種連携、そして家族の献身的な介助もあって約4か月後には外出できるまでに回復した。

事例2 : 「その人らしい生き方の尊重」の例 (70歳代 女性)

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利用者の状態
入院により、腎臓へのカテーテル処置によって痛みは緩和されたものの尿路膀胱癌末期との診断を受ける。「リビングウィル」により延命治療を拒否し、ご自宅での看取りを希望された。

かめやまHC対処
本人とご家族の意思を尊重し、訪問看護をほぼ毎日派遣し、主治医の往診を含め医療面でのサポートを強化する事よって安心してもらえる環境作りを実施。副主治医が往診した際には特技のピアノ演奏を披露した事で、音楽好きの利用者にはこの上ない喜びを感じて頂いたようで、結果的に利用者を含めた家族全体が守られていると思える心のサポートが実現できた。(家族談より)

【注意】副主治医の役割は、主治医不在時の代役と主治医の専門領域以外での医療サポートなどを行う事である。事例②の場合では、麻薬管理を副主治医が行っていた。


スタートしたばかりの「かめやまHC」。事例数こそまだ決して多くは無いが、亀山市担当者は、 「同システムがスタートしたことによって、在宅でのケアを諦めざるを得なかった利用者と家族に対し、新たな選択肢を提供できるようになった事は大きな成果。」 と話す。

亀山市の中で高齢者を抱える「家族の在り方そのもの」が間違いなく変わっていく、そのための大きな第一歩になったであろう。

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