2019.11.22 高齢者のインフルエンザについて
毎年11月下旬~3月頃にかけて流行する季節性インフルエンザ。ご高齢の方や慢性疾患をお持ちの方がインフルエンザにかかると、重症になる危険性が高くなるため注意が必要です。今回は、そんな高齢者のインフルエンザについてご紹介します。
インフルエンザについて
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで発症します。症状としては、普通の風邪のような喉の痛み、鼻汁、咳等の症状もみられますが、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛・筋肉痛、全身のだるさ(倦怠感)などが比較的急速に同時に現れる特徴があります。
そして、インフルエンザにかかると重症化しやすいといわれる方は下記の通りです。
- 高齢(65歳以上)
- 小児(5歳未満)
- 妊娠中
- 肥満
- 基礎疾患がある
└慢性呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)
└慢性心疾患(先天性心疾患、冠動脈疾患など)
└代謝性疾患(糖尿病など)
└腎機能障害
└免疫機能不全(ステロイド内服、T細胞性免疫不全など)
高齢者の中にはインフルエンザの典型的な症状が出にくく、いつの間にか合併症を引き起こし、重症化する場合もあるそうです。特に高齢者が気をつけたいインフルエンザの合併症には、「肺炎」「気管支炎」など、主に気道の炎症によるものが挙げられます。 肺炎は特に高齢者によく見られ、高齢になればなるほど、肺炎で亡くなる確率が高くなります。
高齢者のインフルエンザ患者数
例年のインフルエンザは、11月末から12月にかけて流行が開始し、ピークは1月末から2月上旬が多くなっています。
昨年度の発症者数が最も多かった2019年1月のインフルエンザによる入院患者を年齢別に見ると、80歳以上が最も多く、4,940人の36.9%となっています。また70~79歳は2,584人の19.3%、60~69歳は1,225人の9.1%となっており、60歳以上で全体の65.3%を占めています。
このことから、インフルエンザ発症者の中でも入院に至るほど重症化するのは高齢者が多いことが分かります。
インフルエンザによる入院患者(2019年1月)
高齢者のインフルエンザ発症を防ぐために
厚生労働省では、『重症化しやすい高齢者のインフルエンザに関するリーフレット』を掲載しており、予防するための有効な方法として下記を挙げています。
- 流行前のワクチン接種
- 手洗いやアルコール製剤による手指衛生
- 咳エチケットを心がける
- 部屋の適度な湿度
- 十分な休養とバランスのとれた栄養
- 無用に人混みに入らない
施設内感染の防止対策について
高齢者のインフルエンザの重症化率が高い上に、インフルエンザは感染力も高いため、医療機関や特に高齢者施設での感染予防には注意が必要です。そこで厚生労働省では、
『高齢者等のインフルエンザに罹患した場合の高危険群の方が多く入所・入居している高齢者の入所施設等においては、まずは、施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要です。したがって、厚生労働省は日本医師会感染症危機管理対策室とともに、インフルエンザウイルスの高齢者の入所施設等への侵入の阻止と、侵入した場合のまん延防止を目的とした標準的な手引書「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」を各施設に普及していきます。
なお、インフルエンザに対する高危険群に属する方が多く入所・入居している高齢者の入所施設等においてインフルエンザの流行が発生した場合には、都道府県等は、当該施設等の協力を得て調査を実施し、感染拡大の経路、感染拡大の原因の特定などを行うことにより、今後の施設内感染の再発防止に役立てることが重要であり、厚生労働省は、都道府県等から調査の実施に当たって協力要請があった場合には、積極的に対応します。
また、厚生労働省は、医療機関に対しても、以下の手引き等を参考に、インフルエンザについての院内感染防止に関する指導をいっそう徹底するよう努めることとします。』
としています。