第25回 イオンリテール株式会社

グランド・ジェネレーション
(G.G)世代に向けた眼鏡店

イオンリテール株式会社ファーマシー商品部
外部出店ユニットG Glass-Upグループ マネージャー 今川 匡氏

国内メガネ市場は、2011年以降5年連続でプラス成長を続けています。誰しも加齢とともに目の衰えは避けられないもの。シニア層をグランド・ジェネレーションと位置づけるイオンリテール(株)が運営するメガネ店「 Glass-Up(グラスアップ)」について、お話をお伺いしました。

                                   2017年10月取材

Glass-Up(グラスアップ)
Glass-Upグループ マネージャー 今川 匠氏
 

Q.御社の考えるシニアの定義とは何でしょうか?

イオングループでは「アジアシフト」「都市シフト」「シニアシフト」「デジタルシフト」という4本の経営戦略を掲げておりますが、シニア層へアプローチしていく取り組みが「シニアシフト」になります。 その中で、55歳以上のアクティブなシニア層の呼称を「グランド・ジェネレーション(G.G)」としました。

取り組みとしては、シニア向けブランドの立ち上げ、シニア向けの店舗改装、また55歳以上のお客様が入会できる「GGカード」の発行などです。 ただ最近では元気なシニアな方がとても多いので、イオングループ社内では「65歳以上のお客様」をアクティブシニアとしてマーチャンダイジング上は設定しております。

Q.シニアの捉え方、特徴とはどのようなものでしょうか?

個人消費の約半数は60歳以上だと言われています。また、日本の個人金融資産が1800兆円となり、そのうちの約6割がシニア層といった話がありますが、結局シニアがメインストリームと化していると私は思っています。 ですから、その層を狙っていくのは、至極当然のことだと思っています。

Glass-Upグループ マネージャー 今川 匠氏

イオンは総合スーパーをやっているので、お店や地域によってはもうシニア層がメインになっている店もございますし、その中の眼鏡屋さんとしては、いわゆるシニア層はもうど真ん中ですよね。 シニアの方は、長く生きてこられたので、今まで色々な経験を経たり、感じてきたりされたというのがあって、個人の多様性がすごく出やすい、というのが、俗にいうシニアの特徴だと思います。 健康状態というのもあるでしょうが、ばらつきが大きいですね。資産形成をしてこられたり、様々なライフスタイルにチャレンジされてきたりというのもまた、シニアの特徴だと思います。

この辺りが若い人たちとの違いで、シニアの方は、すごく多様性があるので、お客様の嗜好に合わせてどういったスタイルがあっているかマッピングを行っていますが、すごくバラバラになります。

その為、多彩なバリエーションに無造作に当てはめるのではなく、ストーリー性を持って接客していかないとご満足していただけない。多様性に柔軟に答えていかないといけないのが若い人と違うところだと思います。

また、物事をよく理解されているというか「このカテゴリーの商品は銀座まで行って買わなくてもいいんじゃない?」「こういうのは近場でも買えるよね?」という判断があったり、やはり近隣であることのメリットが良くお分かりになっておられる方が多いので、比較的地域に密着したビジネスの有効性が高まると考えています。

Q.「グラスアップ」の事業内容について教えてください。

65歳の方をメインターゲットとした眼鏡店でありますので、お客様がより楽しんで満足して買い物されることを考えています。

メガネ店「 Glass-Up(グラスアップ)」

お店の立地によって、コンセプトを少しずつ変えています。こちらの店舗は、路面店で都心に位置しているので、品揃えも接客もそれに合うようにしています。 総合スーパーの中にある店舗は、もっと簡素でフレンドリーで価格帯の低いものを扱っていたりはします「メインターゲットが65歳」というところは変わりありません。

Q.競合や類似サービスとの違いはいかがでしょうか?

「丁寧に接客すること」が当たり前ですが、とても大事だと思っています。  シニアになってくると、メガネを掛けざるを得なくなってきますが、メガネで顔の印象はすごく変わるので、お客さま個々人、ご自身の魅力をもっと引き出してあげられるようなフレームをご提案することを心掛けております。

接客をさしていただいて感じるのは、65歳を過ぎると男性の場合、見た目のデザイン以上にレンズやフレームの機能性にとくに注目される方が多いという傾向に対して、女性の場合は、見た目のデザインや、ご自身にお似合いになられるかということに対して、より一層気を使う方が大変多いと感じます。

また、初めは、メインはシニア市場だからこのような手法で運営しようとか考えていましたけど、どちらかというとそれぞれの方が「素直に欲しいものを買う」傾向があるので、その方々が望まれるご提供方法で接客するようにしています。そのほうが業績も良くなりますね。(笑)

Q.商品開発で苦労したことはどのような点でしょうか?

これは、グラスアップのオリジナルフレームなのですが「ガルウイングフレーム」といって「世界初のレンズ跳ね上げ可動方式」を採用しています。

ガルウイングフレーム

片手で簡単に跳ね上げることができるようになっています。アクションが面白いだけではなく、従来の跳ね上げフレームと違い、レンズ面を触ることなくレンズを上下させることができます。 こちらのフレーム枠は老眼の人向けなのですが、「ブロー」と呼ばれる形状で、最近の若い人に人気の形です。いつまでもオシャレでカッコよく老眼を楽しんでもらいたいと考えて作りました。

眼鏡店がオリジナルフレームを作るのは珍しくないのですが、オリジナルの開発方針を「老眼世代が使いやすく、不満を解決すること」を中心に考えてやってるところは少ないと思います。

Q.地域に対してどのような展開を考えていますか?

冒頭にお話しした通り、グループ戦略として、「アジアシフト」「都市シフト」「シニアシフト」「デジタルシフト」の4シフトを掲げていますが、「シニアシフト」、「都市シフト」を考えると、東京近郊と大阪近郊の店を出来れば増やしたいと思っています。

しっかりとした接客で常連客を増やすためには、車で来るようなSCとは違い、どうしても商圏エリアが狭くなってしまいます。となるとビジネスとして成り立たせるためには、人口密度の高い所で展開していかないといけないと考えています。

Q.スタッフ教育・育成についてどのようなことを行っていますか?

マニュアルはたくさん作っています。それをチェックする仕組みもあって、達成基準をクリアしていくという仕組みになっています。お店によっては、未経験者を含めたパートの方もいます。機器の取り扱いなど難しいものもあるので、マニュアルには力を入れて分かり易く作っています。

社内には「メガネアドバイザー」という検定資格もありますし、初心者の方を早期育成し、実際に戦力として販売に従事できるようになる、というところが我々の強みだと思います。 マニュアルは、検査、加工だけではなく、最近はさらに接客を重視したものに改訂を進めています。特にシニア層のお客様は接客対応を大事にされる方が多いので、そこを強化しようと考えています。

イオンは、ずっとセルフサービスで育ってきた会社なので、接客が重要なのはわかっているのですが、なかなか難しい部分でもあります。競合他社から見れば普通のことかもしれませんが、しっかり先行企業様からも学び続けて行きたいと考えております。

Q.メガネ市場の今後の展開と将来像をどのように考えていらっしゃいますか?

この事業を始めた時からずっと言っていたのは、40歳以上の人は割合としてだけじゃなく、数として増えていく、という事です。老眼の人も間違いなく増えるので、老眼のメガネ需要も増えていきますよね。

また、年代によってメガネの値段は上がっていくんです。 理由は2つあって、レンズが遠近両用になって高機能なレンズじゃないとよく見えなくなるのと、フレームに関してはちょっといいメガネをしたい、という欲求が上がってきます。 例えば、65歳を超えて、絶対メガネをかけたくないと思っていた女性が、実際にメガネをかけざるをえなくなった時には「だったら、すごく美しくなるメガネがしたい」となるわけです。

そういった方が今後も増えるので、メガネのニーズはここ5年、10年は成長市場でありましたが、これからももっと伸びるのは間違いないと思います。

商品は多様化しているので、ネットでも検索できるのですが、「そういうのは好きじゃない」というシニアのお客様も多いと思います。「お店から自分に合うメガネを勧めてほしい」という方も多いので、その気持ちをしっかり読み取って、お客様に最適なご提案をすることが大事にしています。

メガネ 補聴器 レンズ交換 Glass-Up(グラスアップ)
https://www.glass-up.com/


 

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