社会参加者・就労者と健康の因果関係について
2024/2/22
先日のマーケターのつぶや記『「シルバー」とは?定義は?何歳以上?』の記事にて、シルバー人材センターについてご紹介しました。一般的に、社会的なつながりや参加が豊富な人は、健康状態が良いと言われていますが、実際に社会と健康状態は因果関係があるのでしょうか?また、どのくらいの人が社会参加をしているのでしょうか。様々なデータを交えてご紹介します。

社会活動への参加者は、不参加者よりも健康状態が良い
『令和5年版高齢社会白書』によると、高齢者の「学習・社会参加」について次のように方針を示しています。
高齢社会においては、価値観が多様化する中で、学習活動や社会参加活動を通じての心の豊かさや生きがいの充足の機会が求められるとともに、就業を継続したり日常生活を送ったりする上でも社会の変化に対応して絶えず新たな知識や技術を習得する機会が必要とされる。
また、一人暮らし高齢者の増加も背景に、地域社会において多世代が交流することの意義が再認識されている。
(中略)
さらに、ボランティア活動やNPO活動等を通じた社会参加の機会は、生きがい、健康維持、孤立防止等につながるとともに、福祉に厚みを加えるなど地域社会に貢献し、世代間、世代内の人々の交流を深めて世代間交流や相互扶助の意識を醸成するものであることから、こうした活動の推進や参画支援を図る。
一般的に、社会的なつながりや参加が豊富な人は、心身の健康を維持しやすく、社会的な交流やグループへの参加は、ストレスの軽減や心の安定に寄与することがあります。
友情や支えがある状況では、個人は精神的な安定感を感じ、それが健康に良い影響を与えることがあると言われています。また、社会的な活動は脳の活性化に寄与し、認知機能や記憶の維持にもプラスの影響を及ぼすことが近年の研究結果から分かっています。
逆に、孤立感や社会的な孤独は心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があり、孤独感が長期間続くと、ストレスや抑うつ症状が増加し、生活習慣や健康への影響も見られることがあります。
したがって、健康を維持するためには、社会的なつながりを大切にし、積極的に社会活動に参加することが重要です。
では、上記の通り掲げられている健康維持と社会活動への参加有無の因果関係についてのデータを見てみましょう。
社会活動への参加の有無と健康状態

上記の図から、活動・参加している人としていない人を比較すると、活動している人の方が健康状態が良いと回答する割合が高く、逆に活動していない人は健康状態が悪いと回答する割合が高いことが分かります。
更に活動している人の方が良い健康状態にあるとされる割合が、活動していない人よりも約1.8倍多いことから、社会活動が健康状態の向上に寄与していると言えます。
また活動していない人の方が健康状態が悪いと回答する割合が活動している人よりも約2倍多いことから、社会活動と健康状態の間には大きな因果関係があり、積極的な社会参加が健康状態の向上に寄与しているようです。
【参照】データ集>数字で把握>【シニアの概況】健康と社会活動参加の因果関係について 2023年
60歳以上が参加する老人クラブの入会者数は減少傾向に
それでは、実際にどのくらいの人数が社会参加をしているのでしょうか?
まずは、述の『高齢者の生きがいと健康づくり推進のため、地域を基盤とする高齢者の自主的な活動組織である老人クラブ等』のクラブ数とその会員数の推移について見てみましょう。
※公益社団法人全国老人クラブ連合会WEBサイトによると老人クラブの入会条件は60歳以上となっています。
図の通り、高齢者人口は増加傾向にあるのに対して、老人クラブ会員数は年々減少傾向にあります。
シルバー人材センターの加入会員数も減少傾向に
更に「シルバー人材センター」の会員数の推移を見てみましょう。
シルバー人材センターの団体数・加入会員数の推移
シルバー人材センターの加入会員数も、老人クラブの会員数と同様に減少傾向にあります。
上昇し続ける日本の健康寿命と平均寿命
先ほど述べたように、高齢者の社会活動への参加の有無と健康状態には因果関係があることが分かりましたが、この加入会員数の減少は、高齢者の健康状態が年々悪化していることに起因しているのでしょうか?
健康寿命と平均寿命の推移


【参照】データ集>数字で把握>【シニアの概況】健康 2023年
当然ですが、日本の平均寿命・健康寿命は上昇傾向にあり、健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回っており、高齢者の健康状態は良好になっている一方であるため、社会活動ではなく就労している高齢者の絶対数が増えていると想定されます。
社会活動者は減少傾向にあるが、就労者は上昇傾向に
就業者数と老人クラブ会員・シルバー人材センター加入者数の比較
このように、65歳~69歳は約半数が仕事のある仕事をしており

上記の図の通り、就業者数が増加しているのに反して老人クラブ会員数が減少していることが分かります。
これらの事から、今後いかに高齢者の就労率を上げ、社会活動への参加率を向上させるかが、日本の平均寿命と健康寿命を更に延ばす要因の一つとなることは間違いありません!
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