亀山市が目指す地域包括ケアシステム


三重県亀山市の旧東海道関宿

日本は世界に冠たる超高齢社会であり、2025年には「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)となり、介護や福祉分野の需要はますます増え続け、介護予防や介護の問題、単身化や孤独の問題が急増する。

このため厚生労働省においては、2025年を目途に高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。

具体的に地域の行政はどのような取り組みをしているのだろうか。地域包括ケアシステムの構築をはじめた三重県亀山市を取材した。

取材にご協力いただいた方

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  • 三重県亀山市 健康福祉部 高齢障がい支援室 室長(兼)地域包括支援センター長  古田 秀樹 氏 (左)
  • 三重県亀山市 健康福祉部 高齢者障がい支援室 副室長  藤本 泰子 氏 (中)
  • 三重県亀山市内 田中内科医院 院長 田中 英樹 氏 (右)

※2014年2月取材時


第1章 ケアシステムの全体像

「在宅での看取り」を核とした
三位一体の地域包括ケアシステム

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厚生労働省からは、「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現する」とある。そんな中、地方自治体はどのようなオペレーションを実施しているのだろうか。ここでは、三重県亀山市の取り組みを例に、地方自治体が実際に取り組む地域包括ケアシステムを紹介していく。

2014年2月 取材


「在宅での看取り」を核としたシステム構築

昨今の高齢化により、政府としても社会保障の観点から在宅医療・在宅介護を推し進めており、各県市区町村の行政としての対策も急務となっている。

しかし、今回取材を行った三重県亀山市では、医療費負担を上げる等の対策により、一方的に在宅医療・介護を市民に押し付けるような仕組みづくりをしているわけではない。

あくまでも本人と家族の意志を尊重し、福祉的な措置や手当を加えながら、医療・介護が受けられ、生まれ育った自宅で最期を看取る。つまり、本人及びその家族が喜ぶ、「在宅での看取り」を選択肢のコアにする事を目的にしている。

「行政」・「医療」・「介護」の三位一体のシステム

まず、「在宅での看取り」の受け皿となる体制づくりとして、行政主導のもと、ケアマネージャー・社会福祉士・保健師を中心とした、「行政」・「医療」・「介護」の三位一体の地域包括ケアシステムの構築を進めている。このシステム構築にあたり、モデルケースとしている他市があるそうだが、そこでは医療連携がメインであり、介護連携がうまくいっていないケースが目立つ。

ではなぜ亀山市は医療と介護の連携にこだわるのか…

それは、急性期病院や回復期病院から退院した後、在宅での生活を円滑に進めるためには、医療保険から介護保険への移行など、医療・介護に関わるスタッフが密接に連携して、シームレスにサービスを受けることができるよう、支援していく必要があるからだ。

また、同様の取り組みを医師会が主導で行う市区町村もあるようだが、亀山市はあくまでも行政が主導である。行政が主導であることにより、市民の声を取り入れやすく、また「在宅での看取り」の啓発活動も行うことができる。

更には、これまで医療業界と介護業界は隔たりがあったが、医療面を支える病院や診療所、介護面の2つの領域において重要な役割を担いハブとなるケアマネジャー、社会福祉士、保健師をキーパーソンとすることにより、連携しやすい環境が作られる。

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具体的な活動としては、2013年3月より、在宅医療・介護に携わる事業社が参加する連携会議が開催されている。そこには、医師や看護師、歯科医師、薬剤師をはじめとする医療従事者、ケアマネージャー・ヘルパー、そして、市が運営する「地域包括支援センター」のケアマネージャー・社会福祉士をはじめとする介護従事者が参加し、各所の役割の明確化~情報共有を行う。

「リビング・ウィル」による本人意思の尊重~市民啓発へ

いくら三位一体の地域包括ネットワークが構築できたとしても、中には最新の医療技術を受けながら病院で最期を迎えたい、施設で最期を迎えたいという市民もいるだろう。

最終目的は「在宅での看取り」ができることであるが、その受け皿となる医療と介護の連携したネットワークを構築しながら、在宅医療・介護を押し付けるのではなく、あくまでも本人・家族の意志を尊重する。そのため多くの市民が「在宅での看取り」を望むよう、また理解を得るための啓発活動が欠かせない。

それにはメディア等を活用した一方的な情報発信ではなく、“最期をどう迎えたいのか”の意思を表明する「リビング・ウィル」というカードを発行している。このカードにより、本人がどう最期を迎えたいか、家族や親戚・知人と共にきちんと終末期について考える機会を市民に与えながら、在宅医療に対する理解が広まることを目指している。

リビングウィルカード
リビングウィルカード中面

この三位一体の地域包括システム構築と市民啓発は亀山市だから進められる要因がいくつかある。 以降の章でその理由について紹介していくとする。

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  • 新年あけましておめでとうございます。

    昨年以上にシニアに纏わる情報を発信して参りますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

    さて、皆様は年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか。

    クリスマスからお年玉など出費が続いた方も多いのではないでしょうか。

    私も年末年始の出費に頭を抱えています。

    逆に子供たちにとっては一大イベントとなっているお年玉ですが、関東と関西ではシニアの孫へのお年玉の平均額には差があるという結果が出ています。

     

     

    とある孫(小学生を想定)へのお年玉の金額調査(n=950)では、関東は7,000円関西では8,700円と1,700円も差が出ています。関西の方が気前が良いことが分かりますね。

     

    また、最も回答が多かった金額は5千円~1万円(33.4%)、次に1万円~1万5千円(31.3%)という結果になっています。更に、最高金額は9万3千円をだそうです!

     

    お正月(お年玉)はシニアの経済力の高さと孫に対する思いを1年で一番感じる日ではないでしょうか。

    私も孫が出来るころには、お年玉を沢山あげられるシニアになりたいものです。

     
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