2019.3.7 ルームエアコンについて

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第1回目のテーマは、”ルームエアコン”について。

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ルームエアコンの歴史

一般社団法人 家庭電気文化会WEBサイトより

ルームエアコンは、最初は空気調整機と呼ばれ、国産第1号は、昭和10年に生産されました。当初は高価であったため、ごく少数の劇場や事務所などで使われていましたが、一般家庭に普及したのは、昭和40年代に入ってからです。

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◆昭和27(1952)年:空気調整機の本格的な量産。販売が開始されました。当時、室外機。室内機は一体型で、壁から室外機が突き出ているものでした。また、窓に設置するウインドウタイプも、この年に発売されています。

◆昭和33(1958)年 :名称が「ルームクーラー」に統一されました。タイプは、ウインド型(空冷式)とフロア型(水冷式)があリ、各社で広く生産されるようになりました。この年には、あの巨人軍の長嶋茂雄選手が新人王に選ばれ、川上哲治氏が引退を発表しました。

◆昭和34(1959)年:室外機と室内機が分離したセパレート型クーラーが発売されました。また、コンプレッサーの2極化により小型軽量化が進み、据付けが簡単になりました。この年から昭和36年までが岩戸景気と呼ばれ、日本の経済は、高度成長期を迎えていました。

◆昭和35(1960)年:冷房専用型の冷媒ガスの流れを切り替え、冷房だけでなく暖房もできる機構を組み込んだ機種(ヒートポンプ式)が発売されました。この機種は補助ヒーターが取付可能で、風量も2段切替ができるものでした。この年、池田内閣の「所得倍増計画」が発表され、自民党がテレビCMで使用した「私は嘘は申しません」が流行語になりました。

◆昭和40(1965)年:「ル一ムクーラー」が「ルームエアコン」に名称変更され、新たにJIS規格が制定されました。

◆昭和43(1968)年:ロータリーコンプレッサーを採用し、小型・軽量・静音化が一段と進んだエアコンが発売されました。また、設定温度により、ファンスピードが自動的に変化するファンモーターの無段階変速可能タイプも発売されています。

◆昭和44(1969)年:横に長く高風力で省エネになる貫流ファンを採用した機種が発売され、各社が採用するようになりました。また、熱交換器の効率を高めるため波形の形状をしたコルゲートフインの採用による横長形のユニットは、団地など集合住宅への普及が進みました。

◆昭和46(1971)年:1台の室外機で2~3室の空調が可能な多室型エアコンが発売され、その翌年には、冷房・暖房兼用のヒートポンプ式(多室型)エアコンが発売されました。

◆昭和52(1977)年:おやすみタイマーなどの機能を持つIC制御のエアコンが発売されました。

◆昭和53(1978)年:マイコン制御タイプが発売されて、温度、風量、時間などがプログラム運転できるようになり、操作性と快適性が一段と向上しました。また、高齢者や身体の不自由な人にも簡単に、離れた所から超音波で操作できる温・湿度リモートセンサー付きワイヤレスリモコン式エアコンが発売されました。

◆昭和56(1981)年:周波数変換装置(インバーター)で、コンプレッサーの回転数を自在に変えられる新しいタイプのインバーターエアコンが発売されました。

◆昭和57(1982)年:ヒートポンプ式の室外ユニット、冷房室内ユニット(床置型)、床パネルで構成された床暖房エアコンが発売されました。また、マイコンの声が、現在の室温、設定温度、フィルター掃除の時期などの上手な使い方の情報を教えてくれる音声合成LSI採用のルームエアコンが発売され、使い勝手が向上しました。

◆昭和58(1983)年:単に冷房や暖房だけでなく、活動、眠り、語らい、くつろぎといった生活環境に合わせて温度や湿度、照明を総合的に自動コントロールするエアコンが発売されました。千葉県浦安市に東京ディズニーランドが開園したのはこの年です。

◆昭和60(1985)年:部屋の壁や床の温度を感知し、冷暖房時の気流やパワーコントロールを行う輻射熱センサー搭載エアコンが発売されました。この年、放送されたテレビドラマがヒットして金妻ブームとなり、そのドラマの主題歌が、カラオケでよく歌われたものです。

◆昭和62(1987)年:蓄熱材を内蔵して運転開始時の暖房性能を向上させ、低外気湿地区(-15℃以下)でも十分に暖房効果を発揮できる蓄熱式インバーターエアコンが発売されました。

◆昭和63(1988)年:帯電フィルターで空気清浄を行い、0.01ミクロンまでの塵・挨を除去する電気集塵式空気清浄機搭載のエアコンが発売されました。また、2つのローターを交互に回転させることで、バランス特性と効率を大幅に向上させ、低振動・低騒音を実現したツインロータリーコンプレッサー搭載のエアコンも発売されました。


ルームエアコン普及率の推移

ルームエアコンが一般家庭に普及し始めた1965年(昭和41年)は2.0%の普及率でしたが、20年後の1985年(昭和60年)に普及率が50%を超え、2018年(平成30年)には91.2%となっており、この約50年の間で一家に一台の家電製品となっています。

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『 主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より


ルームエアコンの登場前

シニアが幼少期にはエアコンはありませんでしたので、どう暑さをしのいでいたかというと…窓を開ける、簾を付ける、家の周りに植物を植える、玄関前や庭先に打ち水をするといったものが代表的のようです。

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昭和時代の日本は今ほど建物が立て込んでることも少なかったですし、窓開けてるだけで十分いい風が入ってきたそうです。

それよりも・・・当時は今ほどの猛暑ではなかったという声が多々あります。

実際に気温差について調べたところ、気象庁が2018年6月に公表した「ヒートアイランド監視報告2017」では、過去100年間で日本の気温は着実に上がっているとあります。中でも特に温暖化の傾向が強いのが東京をはじめとする都市部で、100年前と比べると、東京の年間平均気温は3.2度上昇しているそうです。

また、夏の気温は1920年代から徐々に上がり始め、特にその傾向が顕著になったのは1960年代から1970年代にかけての高度成長期だそうです。


夏になると、シニアの室内熱中症のニュースをよく耳にしますが、このように過去エアコンは高級品であり、あまり使っていなかったため、現在でも日常的に使用しておらず、暑いのを我慢しているというのも一因として考えられるかもしれませんね!

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