シニアの食生活の意識と悩み|2025年シニア調査から見る食生活

55歳以上を対象としたシニアライフ総研®「2025年シニア調査」から、食生活に対する意識と、日々の食事で感じている悩みを紹介します。
シニアの食生活を考える際には、栄養や健康への関心だけでなく、献立を考える負担、食事の準備、食べる量の変化など、日常生活の中で生じる課題にも目を向ける必要があります。また、同じ55歳以上でも、健康意識や食事を取り巻く環境には男女差が見られます。
本記事では、若い頃と比べて意識していること、現在気にしている健康面、具体的な食生活上の悩みという3つの観点から、シニアの食生活を読み解きます。
🚨 データから見える、食生活意識と悩みにおける3つの視点
視点1:食生活への関心は、疾病管理だけに限られない
塩分、コレステロール、血圧といった数値管理に加え、体重、栄養バランス、骨の健康など、幅広い関心が併存しています。
視点2:食生活の悩みでは、献立や準備に関する負担が表れている
明確な悩みがない人が多い一方で、献立を考えることや一人分の食事を準備することに負担を感じる人も見られます。
視点3:健康への配慮は、「控える」行動と「取り入れる」行動の両方に表れている
食事量やカロリーを抑えるだけでなく、野菜やタンパク質を意識して取る行動も上位に挙がっています。
食生活で気にしていることは、健康指標への意識と無関心層が併存
調査結果:食生活について気にしている点
対象:55歳以上のうち介護層を除く本人回答者(N=1,412)
※シニアライフ総研®が生活実態に基づいて整理する独自の6区分のうち、本記事では介護層を除外して集計しています。
形式:MA(複数回答)
※上位10項目を抜粋しています。
※MA(複数回答)のため、合計は100%になりません。
| 順位・回答項目 | 割合 |
|---|---|
| 1位:特に何も気にしていない | 30.9% |
| 2位:塩分の摂りすぎ | 27.8% |
| 3位:コレステロールや中性脂肪の数値 | 24.4% |
| 4位:体重や体型の維持 | 22.3% |
| 5位:血圧のコントロール | 19.6% |
| 6位:血糖値や糖質のコントロール | 19.3% |
| 7位:栄養バランス | 17.3% |
| 8位:水分不足・脱水 | 12.7% |
| 9位:骨の健康・骨粗しょう症 | 12.6% |
| 10位:食品の添加物・安全性 | 6.7% |
食生活について現在気にしていることでは、「特に何も気にしていない」が30.9%で最も高くなっています。一方で、「塩分の摂りすぎ」27.8%、「コレステロールや中性脂肪の数値」24.4%、「体重や体型の維持」22.3%が続き、生活習慣病や健康診断の数値に関わる項目への関心も一定程度見られます。
この結果からは、シニアの食生活意識が一様に健康志向へ向かっているわけではないことが読み取れます。塩分、血圧、血糖値、コレステロールなどを意識する人がいる一方で、食生活について特に課題を感じていない人も約3割存在しています。
企業がシニア市場を見る際には、「健康志向」という大きな括りだけで捉えるのではなく、本人が何を気にしているのかを分けて考える必要があります。
💡 プランナーの視点
食生活領域では、「シニア=健康意識が高い」という前提だけでターゲットを設計すると、実態とのずれが生じやすくなります。健康指標を気にしている人と、特に意識していない人では、同じ商品やサービスでも受け止め方が異なります。コミュニケーション設計では、健康課題そのものだけでなく、本人がその課題をどの程度自分ごと化しているかを見極める視点が重要です。
食事面の課題は、栄養よりも日々の準備負担に表れやすい
調査結果:食事面の課題
対象:55歳以上のうち介護層を除く本人回答者(N=1,412)
※シニアライフ総研®が生活実態に基づいて整理する独自の6区分のうち、本記事では介護層を除外して集計しています。
形式:MA(複数回答)
※上位10項目を抜粋しています。
※MA(複数回答)のため、合計は100%になりません。
| 順位・回答項目 | 割合 |
|---|---|
| 1位:特に何も悩んでいない | 59.3% |
| 2位:献立を考えるのが面倒 | 13.8% |
| 3位:一人だと食事の準備が面倒 | 9.9% |
| 4位:料理のレパートリーが少なく飽きてしまう | 8.3% |
| 5位:固いものが食べにくくなった | 6.7% |
| 6位:食が細くなり、栄養がとれているか不安 | 6.2% |
| 7位:外食や買い物が負担に感じる | 5.0% |
| 8位:歯や入れ歯の状態が気になり、食事が楽しめない | 4.5% |
| 9位:一人だと食事が味気なく感じる | 4.0% |
| 10位:情報が多すぎて何を信じてよいかわからない | 4.0% |
食事面の課題では、「特に何も悩んでいない」が59.3%と過半数を占めています。介護層を除く本人回答者では、食生活に明確な悩みを感じていない人が多数派となっています。
一方で、悩みとして挙がった項目を見ると、「献立を考えるのが面倒」13.8%、「一人だと食事の準備が面倒」9.9%、「料理のレパートリーが少なく飽きてしまう」8.3%が上位に入っています。食事面の課題は、栄養や健康状態そのものよりも、毎日の食事をどう準備し、飽きずに続けるかという生活運用面に表れやすいことが特徴です。
また、「固いものが食べにくくなった」6.7%、「食が細くなり、栄養がとれているか不安」6.2%、「歯や入れ歯の状態が気になり、食事が楽しめない」4.5%など、身体機能や摂取量に関わる項目も一定数見られます。割合としては高くないものの、食事の楽しさや生活の質に直結しやすい課題です。
食関連市場では、栄養を補う、健康に配慮するという視点に加えて、献立を考える負担、調理や買い物の負担、食欲や咀嚼の変化といった生活実態を組み合わせて見る必要があります。
💡 プランナーの視点
食生活に関する課題は、必ずしも「健康に関する知識が足りないこと」から生じるわけではありません。
献立を考える手間、一人分を準備する負担、食事内容が単調になることなど、日常の中で繰り返される小さな負担が課題になる場合があります。
ただし、同じ悩みを持つ人でも、単身世帯なのか、家族と同居しているのか、本人が食事を用意しているのかによって生活実態は異なります。公開されている全体値だけで対象者像を決めず、背景を分けて見る必要があります。
若い頃と比べた食生活の変化には、「控える」ことと「補う」ことの両面が見られる
調査結果:若いころと比べて意識している点
対象:55歳以上のうち介護層を除く本人回答者(N=1,412)
※シニアライフ総研®が生活実態に基づいて整理する独自の6区分のうち、本記事では介護層を除外して集計しています。
形式:MA(複数回答)
※上位10項目を抜粋しています。
※MA(複数回答)のため、合計は100%になりません。
| 順位・回答項目 | 割合 |
|---|---|
| 1位:野菜を多くとっている | 38.2% |
| 2位:特に何も意識していない | 27.5% |
| 3位:食べる量を減らしている | 25.9% |
| 4位:タンパク質(肉・魚・大豆など)を意識してとっている | 24.6% |
| 5位:食事の時間をなるべく規則正しくしている | 23.2% |
| 6位:薄味を心がけている | 22.5% |
| 7位:カロリーを控えている | 18.0% |
| 8位:間食を控えている | 15.4% |
| 9位:よく噛んで食べている | 13.0% |
| 10位:サプリや健康食品を活用している | 11.3% |
若い頃と比べて食生活で意識していることでは、「野菜を多くとっている」が35.0%で最も高くなりました。
次いで「特に何も意識していない」が30.1%、「食べる量を減らしている」が24.0%、「タンパク質を意識してとっている」が23.6%と続きます。
食生活の変化には、「食べる量を減らす」「カロリーを控える」「間食を控える」といった、摂取量を抑える行動が見られます。
その一方で、「野菜を多くとる」「タンパク質を意識してとる」といった、必要な食品や栄養を積極的に取り入れる行動も上位に挙がっています。
つまり、シニアの食生活における健康への配慮は、単に食事を制限する方向だけではありません。食事量やカロリーを抑えることと、必要な栄養を補うことの両方から食生活を整えようとする実態が表れています。
「薄味を心がけている」「食事の時間をなるべく規則正しくしている」も2割を超えています。食べるものだけでなく、味付けや食事時間など、日々の食習慣全体を見直している人も一定数存在します。
一方で、「特に何も意識していない」も約3割を占めています。55歳以上であれば誰もが食生活を変えているわけではなく、健康への意識や行動の段階には幅があると捉える必要があります。
💡 プランナーの視点
シニア向けの食や健康を考える際、「低カロリー」「控えめ」といった制限型の価値だけでは、食生活の実態を十分に捉えきれません。
野菜やタンパク質を意識して取るなど、必要なものを積極的に取り入れようとする行動も見られます。
一方、食生活を特に変えていない人も約3割存在します。健康への関心があるかどうかだけでなく、現在どのような行動を取っているのかを確認することが、対象者を理解するうえで欠かせません。
健康意識は「状態」ではなく、生活行動との組み合わせで捉える
今回の調査では、シニアが食生活で気にしていることとして、塩分、脂質、体重、血圧、血糖値、栄養バランスなど、複数のテーマが挙がりました。
また、食生活に明確な悩みがない人が過半数を占める一方で、献立や食事準備の負担、食べにくさ、食事量の減少など、性質の異なる課題も見られます。
若い頃と比べた変化では、食事量やカロリーを抑える行動だけでなく、野菜やタンパク質を意識して取る行動も表れています。
このように、シニアの食生活は「健康に気をつけているか」という一つの尺度だけでは十分に捉えきれません。
何を気にしているのか、誰が食事を準備しているのか、どのような負担を感じているのか、健康状態や生活環境はどうなっているのかによって、必要とされる価値は異なります。
公開されている全体傾向は、市場の論点を把握するための基礎となります。一方、自社の商品・サービスにとってどの層が対象となるのかを判断するには、年代や性別だけでなく、健康状態、世帯状況、就業状況、生活行動などを重ねて見る必要があります。
調査データを活用したシニアマーケティングのご相談について
本記事では、2025年シニア調査のうち、食生活の意識と悩みに関する一部結果を紹介しました。
シニアライフ総研®では、生活実態で捉える独自の6区分をもとに、年齢だけでは見えにくいシニアの行動や意識の違いを整理しています。
実際のマーケティング検討では、この6区分を起点にしながら、商品・サービスの特性に応じて、健康状態、家族構成、食事準備の担い手、買い物行動、情報接触などの切り口を組み合わせて見ていくことが重要です。
調査データの活用や、シニア向けの商品・サービスにおけるターゲット設計、コミュニケーション設計については、個別にご相談いただけます。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象 | 55歳以上の男女 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査期間 | 2025年3月21日~3月28日 |
| サンプル数 | 1,612名 |
| 備考 | シニア6区分別のうち居宅介護層・施設介護層は介護者の理回答 |
※居宅介護層・施設介護層は代理回答を含みます。
※本記事では、調査結果の一部を抜粋して紹介しています。
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