<シニアの運動に関する意識調査>毎日運動していても9割以上が筋力の低下を実感

 

日常的に運動しているシニアが多い一方、筋肉維持に紐づいていない実態が明らかに

 

 フレイル対策課題の解決を目指し、活動体のハブとなり、実効的な取り組みを通じて、社会貢献を果たしていくことを目的とした公益財団法人日本ヘルスケア協会 生き活きライフ(フレイル対策)部会(本社:東京都中央区日本橋横山町6-8 NH2 Bldg. 2階)では、全国の65歳~79歳の男女312名を対象に、「シニアの運動に関する意識調査」をインターネット調査で実施しました。
 当部会は、国民の健康寿命延伸のために、生活者に向け、正しい「フレイル」に対する健康情報を発信し、認知啓発を、エビデンス創りとともに推進していくことが求められることを課題にしています。そこで今回は、「シニアの運動状況」をテーマに調査を実施しました。調査結果に加え、シニア世代が気を付けたいフレイルと日常生活の運動について、生き活きライフ(フレイル対策)部会 部会長 又平芳春が解説します。

 


調査の概要

  • 男性は運動している人としてない人が両極端。一方で自覚なく日常的に運動している人が多い実態も

  • 運動の目的 1位は「健康維持」。筋力を維持したい場所は日常生活に重要な下半身が上位に

  • 9割以上が筋力の低下を実感

  • 実施したい運動は有酸素運動が多く、無酸素運動を行いたい人は4割以下に

 

 

調査の解説

■調査結果と日常生活の運動について生き活きライフ(フレイル対策)部会 又平芳春が解説

■筋肉量の促進に有効な成分「レモンマートル抽出物」とは

 

<調査概要>

  • 調 査 名:シニアの運動に関するアンケート
  • 調 査 対 象:全国の65歳~79歳の男女312名(有効回答数)
  • 調 査 期 間:2024年6月26日(水)~27日(木) 2日間
  • 調 査 方 法:インターネットアンケート
  • 調査委託先:株式会社マクロミル

※本調査結果では、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります

 

 

男性は運動している人としてない人が両極端。一方で自覚なく日常的に運動している人が多い実態も

 

 現在の運動量を尋ねたところ、「ほとんどしていない(44.6%)」が最も多い回答となり、約半数の方が日常的に運動をしていないことが明らかになりました。男性のみで見ると、週4日以上運動している人が36.5%もおり、「ほとんどしていない(42,3%)」と僅差であることから、運動をしている人としていない人が両極端に分かれていることが分かります。

 

 

 

 次に、日常的に行っていることを尋ねたところ「買い物(69.6%)」が最も多い回答となり、次いで「洗濯(54.5%)」「掃除(54.5%)」が続きました。男女別で見ても「買い物」「洗濯」「掃除」は、5位以内にランクインしています。これらは一般的に「家事」と呼ばれますが、家事も体を使うため、運動に含まれます。このことから、前問では、全体の約半数の方が運動していないと回答しましたが、無自覚に実は運動をしていたことが明らかになりました。一方、無酸素運動である「筋トレ(14.1%)」を行っている人は約1割程度に留まりました。

 男女別でみると、男性は有酸素運動である「ウォーキング(53.8%)」を半数以上が行っており、「ストレッチ(25.6%)」も4人に1人が行っているのに対し、女性は4位まで家事が占めており、男女の家事分担の違いか、一般的に運動に分類される「ウォーキング」などは5位以下となっています。

 

 

 

■運動の目的 1位は「健康維持」。筋力を維持したい場所は日常生活に重要な下半身が上位に

 

 続いて、週に1日以上運動をしている方に運動の目的を尋ねたところ、9割以上の方が「健康の維持(91.9%)」と回答しました。2位の「筋力を高めるため(41.6%)」と比較しても2倍以上の差があることから、運動をしている方は健康への目的や意識が高い様子がうかがえます。

 

 

 

 また、現在の運動の有無にかかわらず、運動により筋力を維持したい場所を尋ねたところ「脚(90.1%)」、「体幹(65.4%)」が上位にランクインしました。日常生活を送る上で重要となる下半身の老化を防ぎたいと考えている方が多いことが分かります。

 

 

 

 前問で「脚」と回答した方に、筋力を維持したい理由を尋ねたところ、「いつまでも自分の足で歩きたいから(92.5%)」が最も多い回答となりました。加齢による筋力の低下は誰にも起こりうる当然な老化現象ですが、自分の体と付き合い、現状維持を目指している様子がうかがえます。

 

 

 

■9割以上が筋力の低下を実感

 次に、筋力の低下を感じたことがあるか尋ねたところ、9割以上の方が、感じたことがあると回答しました。前問では、家事などの日常的な動きにより実は運動をしていたことが明らかになりましたが、筋力の低下を感じている方が多いことから、現在行っている運動では、筋力の維持や向上には運動量が足りていないことが分かります。

 

 

 

 また、筋力の低下を感じたことがあると回答した方に、どのような時に筋力の低下を実感したか尋ねたところ、1位が「思っていたより動けなかった(48.6%)」、2位が「すぐに疲れるようになった(43.6%)」、3位が「力が入りにくくなった(33%)」となりました。

 

 

 

■実施したい運動は有酸素運動が多く、無酸素運動を行いたい人は4割以下に

 現在の運動の有無にかかわらず、実施したいと思う項目を尋ねたところ、は「ウォーキング(67.9%)」が最も多い回答となりました。次いで「ストレッチ(56.4%)」が続くことから、有酸素運動を積極的に取り入れたい方が多い様子がうかがえます。一方で、無酸素運動の代表格である「筋トレ(37.2%)」は半数以下となりました。健康維持のためには、筋力の低下を防ぐことが必要ですが、筋力の維持には有酸素運動だけでなく筋肉に負荷をかける無酸素運動も取り入れることが重要となります。

 

 

 

■調査結果と日常生活の運動について。生き活きライフ(フレイル対策)部会 又平芳春が解説

 調査結果を見ると、運動をしていても筋力の低下を実感していることから、現在の運動方法では筋力の維持や向上に結果を残せていないことが分かります。健康維持のため、足を鍛えたいと感じている人が多い一方、現在行っている運動は、ウォーキングやストレッチ、家事のような有酸素運動が中心です。筋力の維持や向上には、有酸素運動のみではなく、筋トレのような無酸素運動も取り入れることも重要ですが、現在行っている方も実施したいと思う方も少ないため無酸素運動が不足している様子がうかがえます。

 近年増加傾向にあるフレイル※1を防ぐためには、筋肉量を維持・向上することも非常に大切ですが、ただ運動をすればいいのではなく、有酸素運動と無酸素運動両方を行うことが重要です。フレイルは誰でも罹患する可能性がありますが、運動や食事など適切な対策を行うことで予防や改善が可能です。

※1:病気ではないが、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し身体機能が衰えることにより、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態。

 

生き活きライフ(フレイル対策)部会 又平芳春

 

 具体的には、家事や畑仕事といった日常生活の運動だけでなく、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動を取り入れましょう。ただし、運動のしすぎも体に負担がかかり逆効果になってしまうため、フレイル対策には、身体活動を1日40分以上(1日約6000歩以上)、筋トレを週2日~3日行いましょう※2。また、運動にプラスしてサプリメントを服用することも効果的です。近年の発表によると、「レモンマートル抽出物」の摂取も有効な1つの手段であることがわかっています。運動は継続的に行う必要がありますが、レモンマートル抽出物などのサプリメントにも頼りながらフレイル対策を行いましょう。

※2:厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023より

 

 

■筋肉量の促進に有効な成分「レモンマートル抽出物」とは

 

 レモンマートルとは、フトモモ科バクホウシア属の植物で、オーストラリア北東のクイーンズランド州海岸側の亜熱帯雨林帯に自生しています。レモンマートル抽出物とは、レモンマートルの葉を熱水抽出し、粉末化したものです。熱水抽出・粉末化した製品の安全性に問題はなく、水溶性でわずかな苦み、着色もごくわずかのため、食品応用に向く素材として使用されています。

 第78回日本栄養・食糧学会大会で発表された講演によると、近年サルコペニアの一因として、筋の再生で中心的な役割を担う筋サテライト細胞の機能低下が注目されています。高齢者を対象とした介入試験では、レジスタンス運動(筋肉に抵抗をかける動作)とレモンマートル抽出物摂取の併用により、筋肥大効果を促進し、サルコペニア予防に有用であることが示唆されました。

 

出典:Australian Native Lemon Myrtle Farms

 

■講演について

学会名:第78回日本栄養・食糧学会大会

題名:レジスタンス運動と機能性食品(レモンマートル抽出物)の併用による高齢者のサルコペニア予防への有効性検証方法:加齢に伴う筋力の衰えを自覚する 65 歳以上の男女 20 名に対し、試験食品摂取(プラセボ食品または LM 抽出物合有食品)と週2日45分間のレジスタンス運動(インストラクターによる集団指導)を組み合わせたランダム化プラセボ対照二重百検並行群間比較試験を 12 週間実施した。介入前後(0、12週)、中間(6週)に身体機能測定(歩行速度・30秒椅子立ち上がりテスト)および超音波画像診断装置を用いた筋厚測定(大腿前部・腹部)を実施した。

結果:12週間の運動ブログラムの受講により、両祥とも介入前後で身体機能の有意な改善を認めた。一方、LM 抽出物含有食品摂取群では、プラセボ食品摂取群に比べ、介入前後の大腿前部の筋厚の増加率が有意に大きかった(p<0.01)。

 


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