タムラプランニング&オペレーティング/2021年最新版「居宅系サービスの業界動向」
2021/3/15
コロナ禍の社会変動と介護保険の改訂を踏まえて
高齢者住宅・介護サービスのデータベースとコンサルティングを提供する株式会社タムラプランニングアンドオペレーティング(東京都千代田区、代表取締役:田村 明孝)では、2020年度下期の介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕を発行しました。
2020年度はコロナ禍における大きな社会環境の変化があり、3年後ごとに見直しがされる介護保険の事業計画の改定を迎える年度にもあたり、高齢者住宅・介護サービスの業界も大きく変動した時期でもあります。
当社ではそのような状況の中で、全国の介護保険居宅サービスの事業者データをとりまとめ、事業所の開設動向やコロナ禍におけるサービス実態の情報を業界動向として発表しました。
そのためこのリリースでは、2020年度下期の最新版の業界動向より、代表的なトピックスをご紹介します。
■トピックス
- 介護保険居宅サービス事業所の推移
- 大手の事業主体ランキングの変動
- コロナ感染に関連したケース考察
今回の介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕の発行にあわせて開催した、
データ活用セミナーのダイジェスト動画もありますので、こちらもご覧ください。
■トピックス1.介護保険居宅サービス事業所の推移
まず全国の介護保険居宅サービスの概況として、訪問介護や居宅介護支援、デイサービスをはじめとする17類型・約18万ヶ所の事業所数の推移を見ると、次表のようになります。
- 全国の居宅サービス事業所の最新動向として、事業所数が増えているものは、訪問看護や訪問リハ、デイケアなど医療系サービスが目立ち、これは在宅ケアを推進する介護報酬の改定による影響が見られます。
- (在宅ケアのニーズが増加し、医療依存度の高い=要介護度も高い利用者が増えることで、対応する事業所の報酬も手厚くなる)
- 一方で事業所数が減っているものは、訪問入浴の落ち込みが顕著になっており、これは入浴を提供する周辺サービス(高齢者向け住宅・施設やデイサービスなど)の増加が考えられます。
- その他にも近年の傾向では、地域密着型の居宅サービスの中でもいくつかの傾向が表れています。
- 認知症対応型デイサービスが減少(近年は様々なサービスで認知症ケアの対応や向上が見られる中で、サービス提供の地域や定員などが事業参入の制約になる)
- 居宅介護支援の事業所が減少に転じる(ケアマネジャーの受験者数の低下や離職率などから、人材確保が課題)
- 新設サービスにあたる看護小規模多機能、定期巡回・随時対応型サービスが増えつつある
■トピックス2.大手サービス事業者のランキング
次に介護保険居宅サービスの主要なサービスとして、訪問介護/訪問看護/デイサービスを運営する事業主体ごとのランキングを集計すると、次表のようになります。
※事業主体に関連する会社やフランチャイズ(FC)事業所については、全国を網羅した業界随一のデータベースになり、当社独自の基準において、グルーピング処理を施しています。
訪問介護/訪問看護の事業主体ランキングはこちら
デイサービスではM&Aを推進する「ソラスト グループ」と小規模FCの事業所が急上昇
コロナ前後の比較として、2019年下期(2020年1月)-2020年下期(2021年1月)時点での事業主体ランキングを見ると、特に変動が大きいのはデイサービスになり、コロナ禍でもM&Aを推進するグループ企業や機能訓練型のFC展開のランキング上昇が表れています。
- ランキング4位の「ソラスト グループ」は近年M&Aを強力に推進しており、2019年には東京都の「なごやかケアリンク」、2020年には大分県の「恵の会」といずれもデイサービスを主力とする2社を買収している。
- 機能訓練型の短時間デイサービスでFC展開を行う「インターネットインフィニティー グループ」と「リハコンテンツ グループ」、および泊り・夜間対応のデイサービスのFCを展開する「Care Nation グループ」の3社は、いずれも事業所数が200ヶ所を超えた。
■トピックス3.コロナ禍におけるサービス実態
続いて、コロナ禍におけるサービス受給の実態として、介護保険の居宅サービスの受給者数の変動やクラスター発生の報告から、補足となる考察も挙げられます。
社会的にコロナの影響が出始める前の2020年1月時点を基準として、主な居宅サービスの受給者数を、各月ごとにトレースしていくと、次のようなグラフになります。
コロナ禍の影響を強く受けたデイサービス
- サービス受給者数の全体的な傾向は、1回目の緊急事態宣言が発令された4月より減少して、6月に下げ止まりのボトムとなり、宣言が解除された7月以降に上昇回復していきます。
- そのような状況の中で、サービスの類型ごとでも特徴が見られ、訪問介護/訪問看護では、受給者数の落ち込みが少なく回復が早い一方で、デイサービス/地域密着型デイサービスでは大きな落ち込みとなり、その後の回復も遅く、元の水準には戻っていない状況になっています。
- 一般的に介護サービスは、日常生活を支える上で必要不可欠なエッセンシャルサービスと言われますが、それでもコロナによる影響は、部分的に色濃く表れています。
クラスター発生した事業所に見られる共通点
さらにデイサービスを深堀して、事業所の中で発生したクラスター報告のデータを、2021年1月時点で、当社が集計して取りまとめた情報が以下になります。
- クラスターが発生した事業所は、通常~大規模規模が多く、食事・入浴を提供する1日滞在型のデイサービスが大半を占めた。
- デイサービスの中でも、事業所の規模やサービス内容、提供時間などによって感染症リスクの度合いも変わってきています。
■最後に
このように当社では、高齢者住宅・介護サービスに特化したデータベースとコンサルティングに長年の実績を持ち、2005年よりデータベースと分析レポートを組み合わせたTPデータ・サービスを提供しており、高齢者の住宅から介護サービスに関わる業界動向の情報を集約しています。
《TPデータ・サービスのラインナップ》
「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」
「2.介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕」
「3.自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ」
2020年度下期の「2.介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕」では、全国・全17種類・約18万ヶ所の介護保険居宅サービス事業所を収録し、関連する基礎・参考情報や公募情報/M&A/業界ニュース等で構成され、介護保険居宅サービスの概況をワンストップで把握できるデータとなっています。
関連データのサンプル資料やデータ活用セミナーのダイジェスト動画もありますので、こちらもご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d72736-20210312-4081.pdf
今回のリリースでご紹介したトピックスをはじめ、高齢者住宅・介護サービスに関わるデータについては、随時、お問い合わせください。(株式会社タムラプランニングアンドオペレーティング)