2019.3.20 温水洗浄便座について

シニアの価値観や購買行動を知る上で、対象者の時代背景やモノ・コトの変化について踏まえておくことが非常に重要です。

例えば、シニアの幼少時の住環境と、現在の住環境を比較してみると、技術の発達によって全く異なります。今では当たり前になっている住宅設備が、幼少期には非常に高価なもので、富裕層の家にしかないモノも多くありました。

そこで、シニアの「モノ」に対する価値観を理解するため、内閣府から毎年発表される『消費動向調査』の「主要耐久消費財の普及率の推移」のデータから、シニア世代の住環境の変化について調べてみました。

第2回目のテーマは、”温水洗浄便座”について。

 

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温水洗浄便座の歴史

一般社団法人日本レストルーム工業会WEBサイトより

 

◆1914年(大正3年):製陶研究所製水洗式便器を初出荷によって日本における水洗便器の始まり

◆1920年(大正9年)~:震災復興のために非水洗の大小便器セット、手洗器、洗面器といった衛生陶器の特需が発生。合わせて浄化槽や下水道の未整備が問題に。徐々に整備される。

◆1940年(昭和15年):日本初の衛生陶器臨時日本標準規格(JES)が制定される。

◆1946年(昭和21年)~:戦後復興のために衛生陶器や水栓金具などの特需が発生。このような中、業界の再編成が行われた。

◆1953年(昭和28年):衛生陶器に関わる日本工業規格(JIS)が一本化。

◆1959年(昭和34年):日本住宅公団が洋風便器(隅付タンクタイプ)を採用。普及のきっかけに。

◆1964年(昭和39年):日本で初めて、伊奈製陶(現 株式会社LIXIL)が温水洗浄機能付便器(スイス製クロス・オ・マット)を、東洋陶器(現 TOTO株式会社)が温水洗浄便座(米国製ウォッシュエアシート)を輸入販売開始。(1964年)

◆1967年(昭和42年):伊奈製陶(現 株式会社LIXIL)が国産初の温水洗浄機能付便器を発売。東洋陶器(現 TOTO株式会社)も温水洗浄便座を国産化。

◆1970年代前半:都市部中心に工場用水と生活用水が増加による水不足問題が深刻化。この当時の便器の洗浄水量は16L/回であった。

◆1970年代後半:洋風便器の出荷が和風便器を上回る

◆1982年(昭和57年):TOTOの「おしりだって洗ってほしい」CMが話題に。温水洗浄便座の認知を広めるきっかけとなる。

◆1980年代後半:和風便器の出荷構成比が20%を下回る。生活スタイルの変化や温水洗浄便座の普及に伴い、和風便器の出荷比率が減少。

 


温水洗浄便座普及率の推移

温水洗浄便座は、1967年に伊奈製陶(現:LIXIL)が国産初の温水洗浄便座付洋風便器「サニタリーナ 61」の発売を開始、以後、国民の清潔志向の高まりや、消費者ニーズに対応した機能性・快適性の向上も相まって、徐々に普及しています。

温水洗浄便座の普及率は、2016年3月に80%を超え、トイレの水洗化を終えた一般家庭には、ほぼ普及したと推測されます。
温水洗浄便座は、一般家庭に限らず、オフィスビルや商業施設、ホテル、鉄道、駅舎、2010年代には旅客機 といったパブリック用途にも採用されるようになり、現在では日本人にとって必需品といわれるまで生活に密 着した衛生機器となっています。
国内における出荷台数は、近年の長期使用における製品安全の観点からも、買い替え需要が増加しており、省エネ・節水性能等に優れた製品に置き換わることにより、さらなるCO2削減への貢献も大いに期待されます。

また、2012年には歴史的価値が認められ、新しいトイレ習慣を創造し国民生活に対して貢献した機械として、家庭で使用される機械としては初めて、一般社団法人 日本機械学会の「機械遺産」としても認定されました。

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

出典:内閣府「消費動向調査」平成30年『主要耐久消費財の普及率の推移』二人以上の世帯より

 


シニア向けトイレ設備のポイント

前述のとおり温水洗浄便座は今や当たり前となっていますが、シニアにとってどのようなトイレが望ましいのでしょうか。

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移動のしやすさと転倒防止
「トイレへの移動のしやすさ」「転倒を防ぐ」などの安全配慮を考えましょう。入り口の段差解消、洋式便器への取り替え、手すりが基本です。今必要ない場合でも、手すりが後から取り付けられるように、下地を入れておくと、手すりが必要になった時に役立ちます。


ゆとりある広さのトイレとは
杖などの補助器具や車いすの利用に備え、ゆとりある広さのトイレに使いやすい器具を選んでおきましょう。【便器横寸法】横から腰をかがめて介助するスペースのおすすめは、便器横に500mm以上です。

 

手すりをつける
健康な人にとっても、足腰が痛い時、風邪をひいてふらついた時などに体を支えるものとしてあると便利な器具のひとつです。家族誰もが使う場面がありますので、まずは便器横に手すりをつけてみましょう。「縦手すり」は立ち座りを、「横手すり」は伝い歩きや座る姿勢を安定させるのに有効です。

温水洗浄便座
身体状況によって毎日入浴できない場合でも、温水洗浄便座があれば、おしりを清潔に保つことができます。

 


 

まだまだ元気だから…といっても、高齢になるといつ身体が不自由になるか分かりませんので、こういった予備情報を持っておくとよさそうですね!

 

 

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