シニアの就労状況とセカンドキャリア|2025年シニア調査から見る就業実態・定年後の就労意向

2025年シニア調査 第5回

シニアの就労状況とセカンドキャリア

55歳以上1,612名調査。「定年後も働きたいか」への回答は、年齢ではなく“引退の経緯”で真っ二つに割れた。

42%
現役層(55〜64歳・就業継続中)
定年後も働くつもり
vs
14%
アラ70/マイペース層
定年後も働くつもり
差の正体同じ「シニア」でも約3倍。年齢ではなく、引退を自ら選んだかどうかが分かれ目になっている。詳しくは本文で解説します。
この差を生む要因は6区分でさらに細かく分かれています 詳細データを相談する →

本記事は、シニアライフ総研独自の「6区分」のうち、現役層・引退層・アラ70/アクティブ層・アラ70/マイペース層のデータを中心に扱います。

1現役層55〜64歳仕事とデジタルの「フル稼働」シニア
2引退層55〜64歳仕事を終えた「スローペース」シニア
3アラ70/アクティブ層65歳以上(健康寿命内)余白を使う「行動拡張」シニア
4アラ70/マイペース層65歳以上(健康寿命内)広げすぎない暮らしの「マイペース」シニア
5居宅介護層65歳以上(健康寿命外)支援が入る「自宅生活」シニア
6施設介護層65歳以上(健康寿命外)環境に委ねる「施設ケア」シニア

6区分それぞれの詳しい定義・データはシニアの大分類で解説しています。

01なぜ3倍の差が生まれるのか

「シニアは働きたがっている」も「シニアは引退したがっている」も、どちらも半分だけ正しい説明です。今回の調査では、定年後の就労意向を6区分別に見ると、就業を継続中の「現役層」で最も高く、自らの意思で早期に退職を選んだ「引退層」を含む一部の層で最も低くなりました。

これは年齢が上がるほど働く意欲が下がるという単純な右肩下がりの話ではありません。「まだ現役として働いているか」「自らの意思で引退を選んだか」という経緯そのものが、老後の働き方に対する構えを決めているということです。

💡 プランナーの視点

シニア向けの商品・サービスの多くは、ターゲットを「60代・70代」という年齢軸で切りがちです。しかし今回のデータに従えば、それは意欲の高い層と低い層を同じ棚に並べてしまう設計です。「継続就業層への継続支援」と「引退経験層の掘り起こし」は、訴求もチャネルも本来別物として設計すべきです。

02「就業していない」の中身も、層で全く違う

対象:全体(N=1,412)形式:MA(複数回答)
順位・回答項目割合
1位:就業していない25.6%
2位:専業主婦(主夫)20.2%
3位:正社員(フルタイム)13.6%

全体では「就業していない」が25.6%で最多ですが、これも一枚岩ではありません。「まだ働ける年齢だが機会がない」層と、「積極的に引退を選んだ」層、「健康上の事情で働けない」層を同じ括りで扱うと、施策の的が絞れなくなります。

03全体で見た「定年後の就労意向」

対象:全体(N=1,412)形式:SA(単一回答)
順位・回答項目割合
1位:働きたいし、するつもりだ(すでにしている)24.8%
2位:働きたくない、するつもりもない23.4%
ほか5項目(定年退職がない状態/どちらともいえない 等)51.8%

全体だけを見ると「働きたい」派と「働きたくない」派はほぼ拮抗しており、二極化しているようには見えません。冒頭の42% vs 14%という差は、この全体平均の内側で、層ごとにまったく違う顔を見せている証拠です。

04収入源で見ると、就労意欲の差はさらにくっきりする

対象:個人の収入源(複数回答)形式:MA

収入源のデータを見ると、就労意欲の差が単なる意識の違いではなく、実際の収入構造の違いでもあることがわかります。

現役層
86.9%
アラ70/アクティブ層
30.6%
アラ70/マイペース層
20.4%
引退層
9.7%

「給与収入(会社員・公務員など)」がある人の割合

「アラ70/アクティブ層」と「アラ70/マイペース層」は、どちらも65歳以上・健康寿命内という同じ条件ですが、行動や社会参加を積極的に広げているかどうかが異なる区分です(自宅にこもっている・活動していないという意味ではありません)。両区分の詳しい違いはシニアの大分類で解説しています。

注目したいのは、年金受給率そのものは「アラ70/アクティブ層」(84.8%)と「アラ70/マイペース層」(80.8%)でほとんど差がない点です。年金をもらっている・いないでは差が説明できません。差を生んでいるのは、年金に加えて給与収入も得ているかどうかです。アクティブ層は年金を受け取りながら働き続けている人が多く、マイペース層は年金を主な収入源として生活を切り替えている人が多いという構図が見えます。

💡 プランナーの視点:セカンドキャリア商材は「継続層」と「離脱層」で提案が変わる

シニア向けサービスの訴求において、「年金だけでは不安だから働く」という経済的動機だけを前提にすると、アクティブ層とマイペース層の違いを説明できません。両者の年金受給率はほぼ同じだからです。むしろ重要なのは、すでに緩やかな形で就労を続けている層への「継続支援」と、いったん就労から離れた層への「再エントリー支援」を、別のオファーとして設計することです。

05セカンドキャリアの働き方は、正社員だけではない

対象:現在の就業状態(複数回答)形式:MA

定年後も働き続ける層は、必ずしも正社員として働き続けているわけではありません。契約・嘱託社員、アルバイト、自営業といった、フルタイム雇用より柔軟な働き方に分散しているのが特徴です。

働き方現役層アラ70/アクティブ層
契約・嘱託社員13.8%8.1%
アルバイト14.1%7.8%
自営業・個人事業主9.9%11.0%

ここで注目したいのは、アラ70/アクティブ層になると、自営業・個人事業主の比率(11.0%)が契約・嘱託社員やアルバイトを上回ることです。現役層では雇われる働き方(契約・嘱託・アルバイト)がまんべんなく使われているのに対し、アラ70/アクティブ層では、雇われる働き方から自分のペースで続けられる働き方へと、少しずつ軸足が移っていく様子がうかがえます。

💡 プランナーの視点

柔軟な雇用形態(契約・嘱託・アルバイト・自営業)の提案が響くのは、現在も何らかの形で就業を続けている層です。シニアライフ総研の6区分で「引退層」はすでに就業を終えた層と定義しているため、同じ”働き方”という切り口でのアプローチは効果が限定的になりやすく、柔軟な働き方の提案は現役層・アラ70/アクティブ層に向けて設計し、引退層には生活支援や社会参加など就労以外の接点を検討する方が理にかなっています。

06まとめ:見るべきは年齢ではなく「経緯」

シニアの就労意欲は年齢に沿って一様に下がっていくものではありません。就業を継続している層の意欲は高く、自らの意思で引退を選んだ層の意欲は低い——この構図は、年代だけでシニア市場を区切る従来型のセグメント設計に一石を投じるものです。

「誰に」「どのタイミングで」「どんなメッセージを」届けるべきかは、全体傾向だけでは判断しきれません。

本記事でご紹介したのは、2025年シニア調査で得られたデータの一部です。シニアライフ総研®では、6区分別・性年代別・業種別のクロス集計や、貴社の商材に合わせた詳細分析を通じて、ターゲット設計・コミュニケーション設計をご支援しています。実際にシニア市場で成果を上げている企業の具体的な取り組みは、企業から学ぶでもご紹介しています。

調査データを活用したシニアマーケティングのご相談はこちら
調査対象55歳以上の男女
調査方法インターネット調査
調査期間2025年3月21日〜3月28日
サンプル数1,612名(就業状態設問は本人回答のみ、n=1,412)
備考シニア6区分のうち居宅介護層・施設介護層は本設問の対象外(本人版のみの設問のため)

※本記事では、調査結果の一部を抜粋して紹介しています。

マーケット最前線
特選ニュース
シニアマーケティングの豊富な実績事例から、トータルコーディネートさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください
マーケット最前線
データ集
メディア集
ビジネスマッチング
注目ビジネス
シニアマーケティングの考え方
連載コラム
編集室から
シニアライフ総研について
ニュース
お問い合わせ

Copyright©Roots of communication Co.,Ltd. All rights reserved.