マーケター必見!シニアマーケティング成功への基本戦略

日本の65歳以上の高齢者人口は3,623万人、高齢化率は29.1%(令和6年版高齢社会白書より)に達し、超高齢社会が進行しています。それに伴い、医療や介護問題が今後の大きな課題となり、一般企業が果たす役割はこれまで以上に重要になっています。

シニア向け商品や介護関連サービス、引退後のセカンドライフを提案する企業も増加しており、市場規模は急速に拡大しています。現在、その市場規模は約100兆円とも言われ、これから事業規模を拡大する企業や、新たにシニアマーケットへの参入を検討・予定している企業も増加しています。しかし、成長中の市場であるため、成功事例が少なく、シニアマーケティングは他の市場と比べて戦略策定が難しいとされています。

今回は、企業のマーケティング担当者やプロモーション担当者がシニアマーケティングを成功させるための基本戦略をご紹介します。


シニア市場におけるマーケティングプランの重要性

マーケティングの基本ステップは常識ですが、シニアマーケティングでは改めて確認しながら慎重に行う必要があります。

まず、市場調査を実施し、シニア層のニーズや競合の動向を把握します。次に、具体的な目標を明確にします。その後、シニア層のターゲット市場を特定し、その層に対する自社の商品・サービスのポジショニングを決定します。そして、シニア向けの商品、価格、販売場所、プロモーションの戦略を詳細に計画します。最後に計画を実行し、その効果を評価し、改善を行います。このプロセスを徹底することが、シニア市場での成功を確実にするための基本です。

競争が激化するシニア市場においては、ターゲティングが不十分な企業が多く見受けられるため、綿密なマーケティングプランの策定が非常に重要となります。


1. 市場調査と分析

市場調査と分析は、企業のマーケティング戦略の基盤です。参入や市場拡大を検討する際には、顧客のニーズを把握し、競合との差別化を図ることで、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。

シニアライフ総研®が考えるビジネス参入時に考慮すべき5つのビジネス市場

シニアマーケティングにおいて、シニア市場は身体能力と年齢の関係によって分類されます。多くのシニアは、日常生活をできるだけ若い頃と変わらない状態で維持したいと考えており、このニーズに応える「予防マーケット」は、健康寿命の延伸とともに活性化し、市場が自然に拡大することが期待されます。

それに伴い、「準備マーケット」や「一般生活者マーケット」も成長が見込まれ、商品開発やビジネスモデルの追求が可能になります。しかし、「サポートマーケット」や「処置マーケット」を完全にゼロにすることは現実的ではなく、これらは依然として存在する市場です。このため、これらのマーケットにも十分チャンスがあると考えられます。

したがって、これら5つの市場をさらに細分化・セグメント化し、それぞれの市場の特性を分析することによって、参入すべきマーケットを検討することが重要です。

<5つのビジネス市場についての詳細はこちらから>

1-1. 競合分析

競合分析では、シニア市場における競合他社の動向を把握し、自社の強みや弱みを理解します。

  • 主要競合::自社の競合企業は?
  • 競合の強み・弱み: 競合企業の強みと弱みは何か?
  • 競合の戦略: 競合はどのような戦略で市場に参入しているか?
  • 競合の商品・サービス: 競合の商品・サービスの特徴は何か?

1-2. 自社分析

自社分析では、内部資源やポテンシャル、競争優位性を評価します。

  • 自社の強み・弱み:自社の強みと弱みは何か?
  • 自社の資源: 自社が持つ資源(人材、技術、ブランド力など)は何か?
  • 自社の戦略: 自社はどのような戦略で市場に参入しているか?
  • 自社の商品・サービス: 自社の商品・サービスの特徴は何か?

1-3. 顧客分析

顧客分析では、ターゲット顧客の特性、ニーズ、購買行動、嗜好などを理解します。

  • ターゲット市場の特定:どのセグメントが最も価値のある顧客か?
  • 顧客ニーズ:顧客が求めているものは何か?
  • 顧客行動::顧客はどのように商品・サービスを選び購入するか?
  • 満足度とロイヤリティ: 顧客がどれだけ満足し、リピート購入する可能性があるか?

2. セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング

セグメンテーションはシニア市場を細かく分割し、ターゲティングは最も効果的なセグメントを選び出し、ポジショニングはそのセグメントに対する自社独自の立ち位置を決定するプロセスです。これにより、マーケットに対する最適なアプローチを見つけ、競争優位を確立することができます。

特にシニアマーケティングでは、近年成長市場に参入する企業が急増しており、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(STP)の選定が非常に重要です。

よく見られる「前期高齢者・後期高齢者」や「70代以上の男女」といった、単に年齢や性別で分けるデモグラフィックでは、マーケットの本質を捉えるには不十分です。また、「アクティブシニア」といったターゲティングも、シニア層の多様なニーズや価値観を捉えきれない場合が多いです。そのため、シニアマーケティングにおいて競争優位性を確立するには、こうした抽象的な分類ではなく、より精緻な市場分析が必要です。

2-1. セグメンテーション

シニアマーケティングにおけるセグメンテーションでは、性別や年齢、収入だけでなく、ライフスタイルや興味・関心といった心理的・行動的要因も考慮して市場を細分化することが重要です。これにより、シニア層の多様なニーズに応じた最適なアプローチを見つけ、競争優位を確立することができます。

シニアライフ総研®が考えるセグメンテーション時のポイント

シニアライフ総研®では、年齢やアクティブ性向だけでなく、時代背景をよく理解した上で、生活背景、行動様式、社会との関わり方などを考慮し、一概に一括りにすべきではないと考えています。

シニアの特徴を把握するために、年齢に加え、就業状況、身体状態、普段利用しているデジタルデバイスやインターネットの利用頻度、趣味やコミュニティ参加などの調査データを得点化し、シニアライフ総研®独自の視点でシニア世代を6つの分類に大別しています。これにより、より精緻な市場分析を行い、参入市場に合わせて消費者を細分化・セグメント化します。

※シニアライフ総研®独自の6つのカテゴライズの考え方、6つの層の特徴の詳細はこちらから

2-2. ターゲティング

ターゲティングでは、セグメンテーションで分割した市場の中から、自社の商品・サービスに最も適したセグメントを選出します。特にシニア市場は競争が激化しているため、ターゲティングを通じて自社の強みを生かし、的確に市場のニーズに応えることは、マーケティング戦略の成功に大きな影響を与えます。

具体的には、シニア層のニーズや特性に基づいてマーケティングの焦点を絞り、特定のニーズを持つセグメントに対して、自社の商品・サービスがどのように最適に応えられるかを明確にします。これによって、限られたリソースを効率的に活用し、より高い顧客満足度やブランドの信頼を得ることができます。

2-3. ポジショニング

選定したターゲット市場に対して、自社のシニア向け商品・サービスが競合企業の商品・サービスと比較してどのような位置づけにあるかを明確にします。競合企業との違いを際立たせ、自社の商品・サービスが持つ独自性をアピールすることで、シニア層に選ばれるブランドを目指します。


3. 4P・4C戦略立案

商品・サービスを効果的に提供するための戦略的要素の組み合わせです。

4Pと4Cの両方の視点を取り入れることが重要です。4C(顧客価値、顧客コスト、利便性、コミュニケーション)は顧客側からのアプローチで、顧客のニーズや体験に基づいて戦略を設計します。一方、4P(商品、価格、場所、プロモーション)は企業側からのアプローチであり、商品・サービスを市場にどう提供するかを中心に戦略を立てます。これらの視点をバランスよく組み合わせることで、シニア層のニーズに応じた最適な戦略を立てると同時に、競争優位性を高め、顧客満足度を向上させることができます。

3-1. 4C戦略

  • 顧客価値 (Customer Value): 顧客から見たベネフィット、性能、デザイン性、ブランド価値など
  • 顧客コスト (Cost): 顧客が商品を購入する際にかかった手間や支払う費用を含めたコストなど
  • 利便性 (Convenience): 顧客が商品を購入する手段、決済方法など
  • コミュニケーション (Communication): 商品情報入手の容易さ、対面・オンラインイベント、コミュニケーションツール

3-2. 4P戦略

  • 商品 (Product): 顧客のニーズを満たす商品・サービスの設計、品質、機能、ブランドなど
  • 価格 (Price): 商品・サービスの価格設定、価格戦略、割引、支払い条件など
  • 流通 (Place): 商品・サービスを顧客に届けるための流通チャネル、物流、店舗など
  • プロモーション (Promotion): 商品・サービスの認知度を高め購入促進のための広告、PR、セールスプロモーションなど

4. マーケティングPDCA

PDCAサイクルは、マーケティング戦略の効果を最大化し、競争力を維持するために必要不可欠です。特にシニア層は、他の世代と比べて健康状態や生活習慣の変化が多いため、日々変化するニーズや生活環境を把握し続ける必要があります。これがマーケティング戦略に直結するため、より継続的で細やかな対応が求められます。

  • 計画(Plan): 戦略設計・目標設定
  • 実行(Do): マーケティング施策の実行・試行
  • 評価(Check): 効果測定、フィードバック収集
  • 改善(Action):改善策の導入、戦略調整

5. シニアライフ総研®での実績(一部)

  • 大人用紙おむつの市場拡大マーケティングの総合コンサルティング
  • シニアグラスメーカーの市場拡大マーケティングの総合コンサルティング、店舗プロデュース、店頭什器制作
  • 大手商業施設におけるシニア層来店客増加のための市場調査・プロモーションプランニング
  • シニア向け化粧品メーカーのメディアプランニング~プロモーション・イベント実施
  • シニアの「孫消費」、「飲料」に関する意識調査 
  • シニア向け健康食品、ドリンク剤の試食/試飲~購入意向調査
  • シニア向け食品メーカー、化粧品メーカーの商品パッケージデザイン
  • シニア向け食品メーカーの店頭什器制作
  • シニア向け食品メーカーのブランドサイト制作
  • 介護食品通販企業のカタログ制作
  • 自動車学校斡旋業 高齢者ドライバー用カタログ制作

 

シニアライフ総研®では、単なるメディア・調査のご提案だけでなく、上記のようなマーケティングプランニングを含めた総合的なご提案を行います。シニアマーケットへの参入を検討されている企業様や、すでに参入しており今後事業規模を拡大する予定の企業様は、ぜひご相談ください。


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