2020.8.7 フレイルの予防と対策/サルコペニアとは?
前回の記事『2020.7.31 フレイルとは?』にて・・・
- フレイルとは
- フレイルの症状・判断とは?
- フレイルの有症率
にしてご紹介しました。2025年には団塊の世代が後期高齢者となりますので、いかにフレイル対策が急がれています。今回はこの「フレイル」を予防するにはどうしたらよいのか、またフレイルに深く関与するといわれる「サルコペニア」についてご紹介します。
フレイルの予防・対策とは
人間の虚弱は”身体的”虚弱だけではなく、”精神的”虚弱や”社会的”虚弱が複雑に絡んでおり、フレイルの予防には、健康長寿の3つの柱となる「栄養(食・口腔機能)」「運動」「社会参加」が重要だとされています。
この3つをどれも欠かさず、維持・改善し、これを継続することが重要です。
また、この3つの柱はお互いに影響し合っており、特に身体が衰える最初の入り口となりやすいのは、「社会参加」の機会低下であり、栄養や運動に気を付けた生活をしていたとしても、社会とのつながりが失われると、身体やこころの衰えがドミノ倒しのように進んでしまう傾向があります。サークル活動やボランティア活動、習い事など、それぞれご自分に合った活動を行うことが大切です。
サルコペニアとは?
「フレイル」の身体的な1つの要因として「サルコペニア」があります。ギリシャ語由来の「Sarco(筋肉)」と「Penia(減少)」を合わせて、「Sarcopenia:サルコペニア」という造語であり、筋肉減弱症とも言われています。
この「サルコペニア」について、厚生労働省によると・・・
『筋肉の量が減少していく老化現象のことです。25~30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行します。筋線維数と筋横断面積の減少が同時に進んでいきます。主に不活動が原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。
サルコペニアは、広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの抗重力筋において多く見られるため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になり、放置すると歩行困難にもなってしまうことから、老人の活動能力の低下の大きな原因となっています。
筋力・筋肉量の向上のためのトレーニングによって進行の程度を抑えることが可能ですので、歳を重ねる毎に意識的に運動強度が大きい運動(レジスタンス運動)を行うことが大切です。
頻繁につまづいたり立ち上がるときに手をつくようになると症状がかなり進んでいると考えられ、積極的にトレーニングを行うことがその後の生活の質的な安定に大いに役立ちます。特につまづきは、当人や周囲が注意力不足のせいだと思い込んでいることが多いため、筋力の低下が原因と気付かない場合があり、注意が必要です。』
とされています。
低栄養はサルコペニアにつながり、そして身体を動かして使われるエネルギーが低下し、食欲もなくなり、さらに低栄養を進めてしまいます。サルコペニアは要介護状態の入り口となりえる病態ですが、適切な食事や運動で、筋肉量や筋力の維持・改善を期待することができるとされています。
フレイルと密接な関係にあるサルコペニア予防を目的とした商品やサービス、調査結果も多数あります。
- コロンブス/フレイル予防のための高齢者向け運動動画を配信
- ディーエイチシー/シニアの健康寿命と栄養摂取に関する意識調査」“隠れフレイル予備軍”!?「タンパク質」の重要性は認知も、必要量が摂取できているのは約1/3。「普段の食事で十分に栄養が取れている」「意識的にタンパク質を摂っている」という方でも半数以下に。
- 立命館大学/4月1日より厚生労働省が75歳以上を対象とした「フレイル健診」を開始
- ネスレ日本/[後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査]を発表。75歳以上の“粗食”は“フレイル”(加齢による心身の衰弱)と関連
その他、最新ニュースについては、シニアライフ総研特選ニュースをご覧ください!
【参考・引用】
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・飯島勝矢 監修 東京大学高齢社会総合研究機構 フレイル予防ハンドブック
・飯島勝矢 監修 東京大学高齢社会総合研究機構 フレイルサポーター養成テキスト
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