2021年6月23日 映画「老後の資金がありません!」前田 哲監督取材レポート

映画「老後の資金がありません!」
取材レポート

映画監督 前田 哲氏

前作『こんな夜更けにバナナかよ』で「介助」というシリアスな題材にもかかわらず笑いを交えて描いた前田監督が、「老後」というこれもシリアスな問題を取り上げ、再び笑いで包んで届けてくれます。

新作『老後の資金がありません!』にまつわる裏話から「老後問題」等を通して透けて見える日本の現状にも言及していただきました。

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Q.映画『老後の資金がありません!』の制作に至った経緯を教えてください。

TBSのプロデュサーから直接映画制作のお声をかけていただき、簡単なプロットを拝見しただけでしたが、面白いと思って関わらせていただきました。キャスティングについてはすでに天海祐希さん主演で決まっていましたが、私も天海さんがピッタリだと感じました。

その後プロデューサーとシナリオライターと一緒に原作(垣谷美雨著)と照らし合わせながらの脚本作りに取り組み、映画的にどういう風に膨らませていくか足し算引き算しながら1年ほどかけて一昨年の春過ぎに決定稿を仕上げました。

Q.老後問題について今回の作品以前に考えられていたこと、思っていたことがありましたか?

「老後2000万円問題」や麻生財務大臣の発言、それ以前にあった「年金不払い問題」などによって国の政策に対する不安や懐疑がありました。特に老後の問題は私の父母が高齢ですのでとても身につまされました。

普段から「子供と老人に優しくない国は亡んでいく」と思っていますので、映画を通してみなさんがもっと政治や行政に関わるキッカケとなり、社会を少しでも良くする方向に動けばと考えていました。

Q.「老後2000万円問題」では報道によって不安が煽られた側面があったように思うのですが、今作を拝見して「老後なんて工夫次第じゃないのかな」と肯定的な気持ちになりました。

メディアは少し不安を煽り過ぎたかもしれません。老後資金の問題について調べてみても4000万円ほど必要だという説や、私のようなフリーランスだと9000万円必要だという説もあって、どのようなレベルの生活を選択するかによって千差万別かと思います。そんな千差万別の中から作品の中には“シェアハウス”というそこに住む老若男女がお互い助け合う生活を選択するという設定を加えました。

図らずもこのコロナ禍で人間にとってコミュニケーションの大切さがあぶり出されたと思うのですが、かつての共同体のようにお互いが尊重して譲り合うということがどんどん失われ、不寛容になっている・・・ルールも大事ですが、もう少し大らかに過ごしても良いのではないでしょうか。

だから今後の生活の選択肢のひとつにそういう思いを込めましたし、草笛光子さんが演じる主人公の義母の象徴的なセリフ、「わがままに生きた方が勝ちよ」というのは、それぞれの違いを認め合った上でそれぞれの自由を尊重して上手く共生していく、そうした世の中になって欲しいという私の思いでもあります。

本当は国や自治体がそういう事をもう少し手厚くみるべきだと思うのですが、今はそういった事が疎かにされているように感じています。

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ⓒ2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会

 

Q.『こんな夜更けにバナナかよ』もそうでしたが、シリアスな問題を笑いで包んで作るにあたって留意されたことは何でしょう?

辛いモノを辛いまま描いても仕方がありません。『こんな夜更けにバナナかよ』では「介助」「障がい者」というシビアな題材を取り上げましたが、それをストレートに表現するのは自分が観ても辛いし苦手なため、私は作りたくありません。ファンタジーではありませんが、「感情はリアルに、設定は少し、3cmか5cm浮いている世界」という作り方をいつも心掛けています。

コメディに拘っている訳ではありませんが、人間は生きていく上で希望や笑いが必要だと思いますから軽妙洒脱に、エンタテインメントな映画として描きたいと考えています。笑うことで人は元気になりますし、免疫力も高まると言われていますから。

Q.制作にあたって様々なリサーチをされたと思いますがいかがでしょうか?

私はフリーランスなので会社勤めの方と感覚が違うということもあって、知り合いの昔の同級生までかなり広範囲にリサーチしました。また主人公の夫役である建築会社の部長クラスの年収などお金に関してもきっちりと調べました。経済評論家の萩原博子さんの本も参考にしましたし、ご本人にも出演していただきました。設定も家族構成から家の立地、会社の規模、出演者それぞれの役の履歴書まで細かく作った上でどこまで映画上に反映するかのアウトプットをコントロールしました。

リサーチして実際の状況を知った上でどう“ウソ”をつくか・・・事実としてのノンフィクションを知った上でどうやって映画としてのフィクションに落とし込むか、ということです。

Q.監督はシニアの線引きをどこに置いていらっしゃいますか?

以前は60歳くらいと思っていましたが、今は70歳くらいをイメージしています。

今は私の周りにも元気なシニアの方々が多いです。草笛さんは撮影当時86歳でしたが、ヨガのシーンなど「CGですか?」と質問されるほどの動きをされています。草笛さんは誰よりも若々しく柔軟だし、いつも新しい企画を追いかけていらっしゃって、天海さんをはじめ我々はとてもリスペクトしています。共演していただいた毒蝮三太夫さんも非常にお元気でしたし、その娘役で共演の柴田理恵さんが「私たちより80代の人たちの方が元気で恐れ入りました。」とおっしゃっていたのが印象的です。

世間ではよく「老害」と言いますが、それは前例を踏襲するだけで慣習の名のもとに居座っている人たちのことであって、新しいことにどんどん挑戦しようという人たちはいくつになっても“青春”しているということではないでしょうか。

Q.監督自身は以前から老後問題を意識されていたとのことですが、今回の制作を通じて意識など変わったことがありますか?

草笛さんと出会って、新しい事に挑戦される姿勢にすごく刺激を受けました。その上で映画としては「介助」や「障がい者」そして「老後」を取り上げたので次は「介護」だと再認識しました。

「介護」≒「老後」ということで『老後の資金がありません!」と同じようですが、私の“振り幅”としてもう少しダークなモノを考えています。5月に公開していた『ファーザー』というアンソニー・ホプキンスがアカデミー賞を獲得した映画もそうですが、「介護」に関してはどんな形にせよ映画にしたいと模索しています。

実際私の父は軽い認知症で、意思疎通はできますが先月あった事も覚えていません。そういったことを悲観していても人生つまらないですし、父が私のことを忘れても私が父のことを覚えていれば良い訳で、そのように少しでも見方を変えられるような映画を作りたいと思っています。どこまで映画の力があるか分かりませんが、漢方薬のようにじんわり効いていけば良いと思っています。

Q.老後問題に関して企業に何か期待されることがありますか?

やはり一番は、定年制度を止めた方が良いということです。人は精神年齢や肉体年齢などそれぞれ違いますから、その違いを活かすべきなのではないでしょうか。年功序列も必要ないと考えています。映画のキャスティングやスタッフィングもそうですが、バランスが重要ということです。組織の中でいかに各人を上手く配置・活用するか、それがトップ・リーダーの差配の素養だと思います。

有名な話ですが、落合博光さんが中日ドラゴンズの監督に就任され、「ドラフトも何もしなくて、現状の戦力で優勝できる」と言われた時、選手たちは「我々は(優勝する)力があるんだ」って思ったはずです。そして実際にドラゴンズは優勝しました。

評価の低い選手を単に交換するのではなく、彼らのモチベーションを高めること、スキルアップをさせることはリーダーがちゃんと見極めてやっていくことではないでしょうか。翻って、今はまったく間違ったリーダーを選んでいる日本というのは沈没しそうです。そのリーダーを選んでいるのは我々ですから我々にハネ返ってきているといえるでしょう。

企業にも国にも求めることはリーダーの人選です。リーダーは一番厳しいポジションだと思います。「山は登れば登るほど風が強くなる」と例えられるように、上に行けば行くほど厳しく律しなければならないのに、単にそのポジションに行きたいだけの人が多いのではないでしょうか。挙句にコネや忖度などおかしなことが横行して・・・それが当たり前のような環境で育っていく今の子供たちを見ていますと、非常に情け無く思います。

小学生が見てもおかしな事をしている人(政治家)は替えるべきだと思います。みなさん諦めているようですが、たった10%投票率が上がるだけで政治は変えられます。今40%くらいの投票率を10%上げると全部の政治家の首をすげ替えられます。実を言うと「選挙に行こう!」といった映画を撮りたいという思いがあるくらいです。

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ⓒ2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会


映画「老後の資金がありません!」

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日本栄養支援配食事業協議会

(Japan Nutrition Support Food Delivery Conference)

設立総会 取材レポート


高齢化が急速に進んでいる日本において、高齢者への適切な食事供給が課題となっている。

その中で配食事業を営む企業の内、計26社が連携し『日本栄養支援配食事業協議会(英表記:Japan Nutrition Support Food Delivery Conference)』を2018年5月7日(月)に設立した。

同日の設立総会では、設立目的と「日本栄養支援配食事業協議会(以下、NSD)」に対する国や行政の期待する社会的役割などが紹介された。

現代の高齢者の食事による栄養摂取状況とそれに対する行政・企業の動向を取材した。

NSD設立の背景

近年、急速な高齢化の進展に伴い嚥下や咀嚼が困難な高齢者に向けた専用食品や提供サービスが数多く開発され、少しずつ手の届くものになってきた。しかし、健常な高齢者も含めたひとりひとりの栄養摂取状況をみると、まだまだ高齢者の多くが「低栄養状態」であるという実態が明らかになってきた。そこで厚生労働省は医療などの措置面だけではなく、日常の食事面から健康のベースをしっかりと作ることが極めて重要であると発信し始めたのだ。

高齢者に対し「低栄養状態」を防ぐ食事摂取の必要性と手法を指導していくには、今までのような医師・栄養士などの疾患改善を主にするスペシャリストだけではなく、日常的に食事を提供する配食事業を営む法人企業全体にも同義が求められる時代になってきたと言えるだろう。

NSD設立の目的

NSDはこうした社会背景に呼応し、配食事業企業が連携して超高齢社会における国民の健康維持・増進に貢献するための食事のあり方について検討するとともに、様々なガイドラインの素案作りや企業の社会的役割などを議論し、行政機関や企業との調整や啓蒙、生活者への発信などをすることを目的に当該協会は設立された。

差し当って、すでに厚生労働省が定めている「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」を、国民そして配食業界全体に対して啓蒙と理解促進を図っていく活動がNSDには期待されている。

※日本栄養支援配食事業協議会幹事メンバーはこちら

  • 会長   株式会社ヘルシーネットワーク      黒田 賢氏

  • 副会長  株式会社はーと&はあと ライフサポート 宮崎 吉昭氏

  • 事務局長 トーアス株式会社            岡本 篤志氏

  • 理事   キッセイ薬品工業株式会社        小池 雅志氏

  • 理事   株式会社シニアライフクリエイト     清水 勝氏

  • 理事   タイヘイ株式会社            大重 尚道氏

  • 理事   日清医療食品株式会社          大東 正人氏

  • 理事   株式会社ニチレイフーズ         大川 真一氏

  • 理事   株式会社武蔵野フーズ          山本 恭士氏

  • 理事   ワタミ株式会社             小松 一茂氏

※その他参加企業はこちら

日東ベスト株式会社、国文グループ本社株式会社、シルバーライフ株式会社、ヨシケイ開発株式会社、株式会社トーカン、ドクターフーヅ株式会社、モルツウェル株式会社、株式会社パレット、ひまわりメニューサービス株式会社、株式会社ファンデリー、株式会社ベネッセパレット、株式会社ベルーナ、株式会社ジョイント、株式会社ソーシャルクリエーション、栗木食品株式会社、グローバルキッチン株式会社

設立総会の第2部では、厚生労働省健康局健康課栄養指導室 室長補佐の塩澤 信良氏より日本栄養支援配食事業協議会に期待される役割が語られた。

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「配食事業者1社が今後生活者から求められる栄養相談・食材・商品・献立作りなどのあらゆるニーズにすべて対応していくのは恐らく難しい。栄養指導に沿った内容から1つずつできることから進めていくのが良いのではないか。物理的に社内の栄養士だけでは対応できない場合には自治体の健康指導部門にはほぼ100%の確率で栄養士が常駐している為、積極的に相談・活用をしてほしい。」

配食事業者が今後求められる自らの社会的役割を認識し達成するためには、自社だけでなくあらゆる機関とコンタクトを取っていく事が重要との事だ。そして、NSDにおいても同業他企業との連携基盤として活用可能であったり、外部からの相談対応機能を持った協議会になることへも期待していた。

現在、多くの企業が高齢者に向けた食品を販売しているが、企業と生活者の相互理解が進んでいるとは言いがたい現状がある。今後相互理解を深めていく為の1つの情報発信元として配食業者への期待度は高い。NSCが機能することによってこれらを推進することができれば、高齢者への適切な食事供給の課題解決はもとより、「超長寿国日本」の新たなる食文化育成に寄与するものではないだろうか。

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日本栄養支援配食事業協議会

https://j-nsd.org/


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京王シニア応援フェスタ取材レポート

京王フェアウェルサポート株式会社  長谷川氏
京王電鉄株式会社 事業創造部(兼務)

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2018年3月13日に開催された『京王シニア応援フェスタ』を取材して参りました。
アクティブシニア向けの多種多様なセミナーや相談ブースが来場者でにぎわったイベントの様子について、「京王メモリアル」の名称で葬儀会館(セレモニーホール)を運営している京王フェアウェルサポート株式会社・長谷川氏のインタビューを通じてご紹介させて頂きます。


Q.取り組みに至った経緯を教えてください

まず京王メモリアルでは、イベントやセミナーを定期的に開催しております。
その狙いとしまして、葬儀社の広告やチラシで伝わらない部分を伝えられたらと思っています。
一般的に葬儀社に対して敷居が高いと感じたり、しつこく営業されるのではないかとご不安を抱いたりする方が多くいらっしゃいます。
スーパーやコンビニと違ってお客様と接する機会が少ないものですから、イメージが先行してしまうのが現状です。
日常的な接点が少ないからこそ、葬儀については不安な事も多いはずです。もっと気軽にご相談いただけたらとの思いから、イベントを開催し、直接スタッフと接していただく場を設けるようにしています。
思っていたよりずっと接しやすいな、親切だな、とプラスの印象を持っていただければ、何かあったときに、イベントで会ったあの人たちなら安心できるな、と思い出していただくことができると考えています。
こういった経緯からイベントをより多く開催したいと考えているのですが、葬儀をテーマにしてもお客様の層は限られてきますし、マンパワー的にも限界があります。
そこで規模を広げ、より多くの人を巻き込んだイベントの開催を考えました。

それが「京王シニア応援フェスタ」になります。
アクティブシニアに向けてシニアライフを応援します、という形にすると、幅広い分野を扱うことが出来ますし、多くの企業と力を合わせることが出来ます。
京王グループは様々な事業を展開していますが、各々の担当者がそれぞれの得意分野をひとつに融合する機会は少ないため、グループの担当者の連携強化の意味合いもあります。
また京王グループだけではなく多くの方々にご協力をお願いし、より多くのお客様にお越し頂けるようなイベントを開催することになりました。

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Q.イベントのテーマを教えてください

テーマは「多摩市をはじめとする京王沿線にお住いのシニアの皆さんに、より元気で快適に過ごしていただくためのヒントを提供する」となっております。
「より元気で快適に」という言葉には二つの方向性がありまして、ひとつは「より人生を楽しむ方向」、もうひとつは「不安を解消する方向」となります。

「より人生を楽しむ方向」は、普段の生活にプラスになる情報を提供することが目的です。
健康をテーマにした講演や、メイクアップのデモンストレーションやポートレートの撮影、旅行のご提案等があります。
「不安を解消する方向」は、普段の生活からマイナスを減らすことが目的です。
自宅の中を片づけて住みやすい空間を作る家事代行や生前整理をはじめ、不動産・葬儀の事前準備・相続・介護施設探しといった悩みに関して、それぞれの相談ブースで対応させていただきます。
更に今回は「知的」の要素も取り入れ、国境なき医師団の方々にお越しいただきました。
この講演が、社会参加や社会貢献活動のきっかけになっていただければ幸いです。

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Q.お客様の反応はいかがでしたか?

お天気にも恵まれまして、初めての開催にも関わらず、想定していたよりも多くのお客様にお越しいただくことが出来ました。
時間帯によってばらつきはあるものの、満席になるセミナーもありました。

<お客様アンケート結果>

  • 【年齢層】60代~80代の方に多くご来場いただきました
  • 【性別】女性のご来場者数の方が多くいらっしゃいました
  • 【参加形態】お一人でご参加いただいた方が多くいらっしゃいました
  • 【目当てのブース】各セミナー・ブースに対して万遍なく回答いただきました。
  • (一番回答数が多かったものは健康をテーマとした講演)
  • 【今後について】健康やシニア向け体操、介護、空き家、医療をテーマとした セミナーやイベントを開催してほしいとの声をいただきました
Q.オススメのプログラムはありますか?

全部です(笑)
「パーソナルカラー&簡単チーク術」セミナーは満席になりまして、参加された女性が身を乗り出して話を聞かれていました。
隣のブースにプロの方がカラー診断をし、実際にチークをいれる実践コーナーもご用意させていただきましたので、お話を聞いた方の多くはそこに足を運んでいただいて、実際に自分にはどんなメイクが似合うのかを確かめていました。

ポートレートコーナーも盛況でした。
カラー診断をしてもらった女性の方はもちろん、男性も大勢いらっしゃいました。
プロに撮影してもらうため、皆さん背筋が伸びて笑顔がより一層輝いていらっしゃいました。

他にも生前整理についてのセミナー「今からのお片付け」や不動産ブース「あなたの家が年金になる」、「夫婦の老後の生き方を考える(不動産編)」も「そろそろ考えなきゃと思って・・・」と仰るお客様が多くいらしていました。

Q.京王グループとしてこれからシニアに対してどう向き合っていくのでしょうか

これまで京王グループは、沿線の生活サービスを充実させようと取り組んできました。
ここ数年は、子育て世代の保育園問題への取り組みや、シニアにフォーカスした多摩エリアでの移動販売、介護施設、葬儀、納骨堂の運営といったサービスの拡充をしてきました。
価値観の多様化に合わせて多面的なサービスが望まれています。
京王グループとしてこれからより快適に、より便利に、より豊かな生活を応援するという方針でサービスを拡充させていくことを考えています。
京王グループの特徴は、お客様に対して誠実であり続ける、という姿勢で、これからもお客様に安心して生活できるようなお手伝いができればと思っております。

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京王フェアウェルサポート株式会社
代表取締役社長 長谷川尚美様
(京王電鉄株式会社 事業創造部事業担当課長 兼務)

イベント当日のお忙しいなか取材にご協力頂きましてありがとうございました。今後のイベント開催も楽しみにしております。


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ヤマハ耳トレ声トレ体験イベント
取材レポート

株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス 國井氏

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今回は、2018年3月6日にヤマハ銀座スタジオで開催された「2時間で『耳と声』を楽しく鍛える体験イベント」を取材して参りました。「耳」と「声」をどのようにトレーニングするのか、実際に体験してきましたので、株式会社ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス國井氏のインタビューを通じてご紹介させて頂きます。


Q.イベントの概要について教えて下さい

当社出版書籍『1分で「聞こえ」が変わる耳トレ!【CD付】』と『声が20歳若返るトレーニング』の発売記念イベントです。耳トレ著者の小松正史、声トレ著者の上野実咲による体験型イベントセミナーになっています。
耳トレは、音を聞きながら行う簡単トレーニングで、耳の感度をあげる体験ができます。声トレは、割りばしやストローなど身の回りの道具を使ったトレーニングで、すぐに効果を実感できるメディアでも大人気の「上野式メソッド」が体験できます。

 Q.イベントを開催するきっかけについて教えて下さい

今まで当社で出版してきた書籍は、独習者向けの音楽実用書や読み物が多く、それらのユーザーは30代から50代くらいの年齢層の方が多かったのですが、もう少し上の層、つまりシニア層にもアプローチしていきたいと考えていました。
その為に当社が出来る事は何か?を考えた結果、音楽とも結びつきが強く、かつシニアの関心が高い「耳」と「声」に着目し、トレーニング本を出版しました。この2冊はそれぞれ単発ものとして出していますが、より多くのユーザーに認知させるにはどうしたらよいか、という事を社内で考えた結果、「2冊をカップリングしたシニア向けのイベントをやろう」という結論に至り、今回イベントを開催する事になりました。また、イベント自体も、決して難しい事を学ぶのではなく、手軽に体験できるような内容にしたかったのです。

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声トレの様子
Q.イベント参加者の反応はいかがでしたか?

昨年末から様々な媒体を活用してイベントの告知を行ったのですが、今までなかった顧客層からのお問い合わせが増えました。
耳が悪い方からのお電話でのお問い合わせも多い為、お話が伝わりづらかったり、対応に時間がかかってしまったりしたこともありますが、シニアの方々と触れ合う貴重な経験にもなりました。
また、皆さん本当に真剣で、イベント当日も13:00開始でしたが、開始の30分前にはほぼ満席になり、期待されている事が伝わりました。

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熱心に話を聞いている参加者

また、日常で大きく困ってはいないけど音が聞こえづらい、声を出しづらいなどちょっとしたコンプレックスをお持ちの方も多いようでした。もちろん当社としてもそのような方々に届いて欲しいという思いで出版したので、イベントで実際に皆様の声が聞けて良かったです。 

当社では、楽器店で少人数のイベントを開催する事は多いのですが、内容は「ピアノの先生向け」など限られたものでした。今回のように、幅広い層を集客したのは初めての試みでしたが、80名ほどの方にご参加者頂き、出席率も良く満席となりました。

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耳・声のトレーニング本
声が20歳若返るトレーニング
声が20歳若返るトレーニング
1分で「聞こえ」が変わる耳トレ! 【CD付】
1分で「聞こえ」が変わる耳トレ! 【CD付】
Q.今回のイベントで新たな気づき、発見はありましたか?

皆さんトレーニングなどの体験型イベントが好きなんだな、と改めて感じました。今回は入門的な内容だったので、耳や声を鍛える大切さに気づいていただくきっかけ作りのようなイベントでしたが、シニアの皆様は勉強家で真面目な方が多いと実感しました。大人になるにつれて、勉強意識が高まるようなので、その思いに応えられるようなイベントを今後も行っていきたいと思っています。
また、今回は80名規模でしたが、定期的にもう少し少人数で、かつ参加者同士が交流できるようなイベントも開催してみたいです。
シニアの方は数ヵ月先まで予定が埋まっている事が多いと聞きます。定期的なイベントを事前に告知する事で、予定もたてやすくなると考えています。
ご来場の方に満足していただき、さらに読者の輪が広がるような仕組みを作って、いずれ展開していきたいと思っています。

Q.課題はありますでしょうか

本屋さんの棚で考えたときに、当社が強みを発揮できるのは音楽書の棚です。しかし、今回のような健康本は棚が別になるため、そのあたりも戦略を考えなければなりません。もうひとつは、イベントをその場だけで終わらせるのではなく、新たな顧客や読者拡大につなげることです。
また、今回はシニア当事者だけでなく、親が認知症の不安を抱えている40~50代くらいの子供世代にも情報を届けました。シニア世代の子供や家族にうまくアプローチする事も重要だと考えているので、もっとうまく訴求していきたいです。
今回のイベントにも、90代の方とお子さんが一緒にご参加頂きましたが、このようなイベントが、シニアの方々が抱えている問題点を、家族で考えられるようなきっかけになればうれしいです。

Q.今後の展開について教えて下さい

声を出したり、音楽を聴いたり、楽器を演奏したりすることは間違いなく体にも精神的にも良い事です。音楽をやめていたけど再開したい、昔は楽器をやっていた、自宅にもピアノがあるなどのシニアの方も多いと思います。是非気軽にチャレンジして頂きたいです。今後は音楽を、「楽しむためのツール」としてはもちろん、「健康に生活するためのツール」としてもご活用いただけるような書籍作りやイベントを展開したいと考えています。

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ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
出版部 國井氏

イベント当日のお忙しいなか取材にご協力頂きましてありがとうございました。今後のイベント開催も楽しみにしております。


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「アクティブシニア」×「健康」
ヘルシニア取材レポート

株式会社ビジネスガイド社 来間氏  

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2015年2月4 – 6日の3日間に渡り開催された『第79回東京インターナショナル・ギフト・ショーSpring2015』内にて実施された企画展示「ヘルシニア」を取材して参りました。 「アクティブ・シニア」×「Health」ということで、よりアクティブなシニアライフを楽しむために健康をサポートする“コト”や“モノ”を集結させたこの展示を、株式会社ビジネスガイド社・来間氏のインタビューを通じてご紹介いたします。  


Q.改めて今回のテーマとコンセプトについてお聞かせください。

「タビシニア」「ウツクシニア」「オイシニア」に続き4回目となる今回の企画。「健康」をテーマとし、今までの集大成の意味を込めて実施に至りました。「シニアマーケットを見据えて」というテーマに特化したコーナーですが、他ではなかなか見られないこともあり、そろそろ来場者様にとっても定番化してきているので、嬉しく思っております。「○○シニアシリーズ」は、シニア向けに開発された商品だけではなく、「シニアにも使ってもらいたい」「シニアにも提案できるのではないか?」という商品を私どもなりの視点で選定し、展開をしてきました。

来場者アンケートを拝見しても「○○がシニアにも活用できるという視点が面白かった」などという声を多数頂いていて、最近はそんな気づきを提供することが楽しみになっていたほどです。展示・デザイン面においては、ブース壁面にあえてスポーツなどアクティブな画像を壁面に配置し、これまで以上にポジティブなデザイン基調にすることを意識してみました。

「シニアだから渋めの色」、「シニアだから落ち着いたトーン」という固定概念から脱し、アグレッシブなシニア像をビジュアライズすることにより、多くのバイヤー様に目をとどめていただく機会が増えることを期待しております。

更に、これまでコンセプチュアルな展示になっていたコーナーのセンター部分にも積極的に商品を並べてみました。展示物は雑貨がメインなのですが中央にこういった大型機器を設置する事で、「シニアの健康」を一瞬でアピール出来ると考えました。こういった配置等のイメージもバイヤーさんの売場展開の参考にもなればいいと思っています。

「健康」というのはシニアにとって出発点であるようなテーマですので、今回の「ヘルシニア」は、ある意味今までのテーマの「和集合」であり「集大成」としての企画でもあります。ですので、展示ラインナップもバラエティに富んでいて楽しんでいただけるはずです 「シニアとは何なのか?」、「シニアの定義はどこにあるのか?」を模索していらっしゃるバイヤー様を始め、シニアマーケティングにご興味のある皆様にとって、何らかのヒントになるのではないかと考えております。

Q.それでは今回もオススメ商品のご紹介をお願いします!

オススメ商品はもちろん全商品です!(笑)これも毎年恒例のコメントになりましたね(笑)
その中であえてご紹介しますと… まず「ミストスタンドPG-E600」をご紹介いたします。  

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見た目も大変オシャレなこの商品、実はこの内部に入っている液体のはP’s GUARD(ピーズガード)という弱アルカリ性の安全かつ強力な除菌・消臭剤です。また、この企業の商品ラインナップには、食品添加物として使える食品添加物・殺菌剤「食添・ピーズガード」もあります。 実は最初にこれらの商品のご紹介を受けた際、担当の方が目の前でこの食添・ピーズガードをゴクゴクお飲みになったのです(笑)。当然、私としてはびっくりしたのですが、それだけ安心な商品なのだということを強く印象づけられました。

こちらのピーズガード専用噴霧器「ミストスタンドPG-E600」は、個人宅にはもちろん、病院設置等もオススメしているそうです。同じ液体が小型のスプレーにもなっていて、こちらも便利です。気付けば私も買っていました(笑)。

見た目、使い勝手ともにオールターゲットですが、安全面等から考えると、「あえてシニアにも提案したい」という今回のコンセプトにあっているように思います。  

3世代ユースを狙うスキンケア商品-nesno

似た視点でもうひとつご紹介したいのがこちら、スキンケア商品「nesnoシリーズ」です。従来のラインナップにお子様用の商品も追加されました。
スキンケアの商品で、3世代ユースという提案に踏み切ったという点が、とても興味深いですね。「普段使いの商品をお孫さんにも」 という発想で、更にシニア のファンが育成されるブランドへ成長していく気がします。 こちらは、1月に発売されたばかりの新しい商品となります。  

指先にあまり力が入らない方でも簡単に使えるお箸-所作

そしてもう1点、是非ご注目いただきたい商品がこちらです。指先にあまり力が入らない方でも簡単に使えるお箸「所作」です。機能商品ですが、日本の食卓に非常に馴染むデザインで使っている事に違和感のない、むしろオシャレに感じられる逸品に仕上がっております。木目の風合いが和みますよね。シニアももちろん、外国の方も興味を持たれるのではないでしょうか。

「健康」というテーマですと、身体的なもの、脳トレ的なもの、メンタル面の向上、そういう意味では美や食も含まれてきて、非常に充実したラインナップになったかと思います。  繰り返しになりますが、全体感として「シニアに向けて」というよりも、全世代をターゲットにしながらも、あえてシニアに提案してみるという商品が面白いと思います。  

Q.今回の運営を通じて、新たな気づきなどはございましたか?

「ヘルシニア」を開催するにあたり数社さんにヒアリングをさせて頂いたのですが、共通項だったのが、「全世代向け」を軸にしているという事でした。

どこかの年代だけを対象にするのではなく、全世代に向けて発信したいというのが現在の動きのようです。それは商品だけではなく、商品の見せ方も含め、その意識が必要であるようですね。

例えばカゴメさんは、若い方には大きいサイズの野菜ジュース、シニアには飲みきれるくらいの小さいサイズの野菜ジュースを展開しているそうです。  

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また、円谷プロさんは、『3世代に渡って愛されるウルトラマン』を切り口に、ディズニーさんも「大人ディズニー」という打ち出し方もされているそうです。「シニア」の切り口がステレオタイプ的なものになりつつありますが、現状ではこういった見方をされている企業が増えてきているようです。

シニアはお孫さんに何か買ってあげる際、自分でも理解できるもの、愛すべきものを選ぶ傾向がある事も起因しているようです。だからこそシニアの為の売場を展開していく際、お孫さん世代にも喜んでいただけるような展開をする事が大切かもしれませんね。

キャラクターが全世代を横断しているという意味合いでは象徴的なエビデンスなのかもしれません。「続けてきている」という背景が、「風化させないように」という動きに繋がってきているようです。購買力を持っているシニアがキャラクターを通して購買を牽引するという一番のものかもしれませんね。

Q.「ヘルシニア」はここまでの集大成ということですが、次回からはどんなコーナー展開に生まれ変わりますか?
次回から開催される-active-japan-アクティブジャパン

次回以降はコンセプトを一新し、「日本」をフィーチャーした「ACTIVE JAPAN」という新たなイベントを計画しています。次回から開催される「ACTIVE JAPAN(アクティブジャパン)」) 次回から開催される「ACTIVE JAPAN(アクティブジャパン)」) いわゆる「日本のものづくり」をテーマにしたコーナーですね。

今まではシニアを機能的にサポートするといった商品をピックアップしたイベントだったかと思います。 今度はそういった今までの集大成を受けて、シニアの位置づけを「高くても良いものを買う世代」とし、そのシニアに向けて、技術、デザイン、いよいよ見せ方すらも素晴らしい「日本のものづくり」を多く広めていけるきっかけ作りになるようなコーナーをと考えています。

東京での開催が決まったオリンピックに向けてのバイヤーさんの目線からの「日本のものづくり」といったものも情報として発信できればいいなと思っています。

そして、これからも、伝統的に受け継がれて来た品物を、それが持つ歴史とともに紹介したい。後継者不足等いくつもの問題を抱えながら、それでもいいものを作ってらっしゃる方を紹介したいと思っています。海外でも多く注目されている「日本のものづくり」をもう一度キチンとクローズアップしたいですね。シニアの方々にも、そしてシニアをターゲットと考えていらっしゃるバイヤーさん達にも是非見ていただきたいですね。  

ありがとうございました。 次回からは今までと少し違ったテイストの「ACTIVE JAPAN」、こちらも楽しみにしています。  

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「アクティブシニア」×「食」
オイシニア取材レポート

株式会社ビジネスガイド社 来間氏

2014年9月3 – 5日の3日間に渡り開催された『第78回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2014』内にて実施された企画展示「オイシニア」を取材して参りました。 「アクティブ・シニア」×「食」をコンセプトとし、シニアにとっての「食べる楽しみ+料理する喜び」を追求したこの展示を、株式会社ビジネスガイド社の来間氏にインタビューを通じてご紹介いたします。


Q.改めて今回のテーマとコンセプトについてお聞かせください。

今回のテーマは「アクティブ・シニア」×「食」になっており、コンセプトは「食べる 楽しみ+料理する喜び」です。今までと違い、コップや箸置き・テーブルウェアのような雑貨だけでなく、お菓子やお酒・調味料といった食品などの新しい提案を行っていることが特徴です。ただし、シニア向けのブース展開ではあるものの、もっと広い世代の方にも見て楽しんでいただけるような商品選定を意識しました。そしてバイヤー様の目を通したときに“新しい発見”につなげていただきたいと思っています。

例えば、「フローズンマジック」や「ラクパン」といった商品です。

無題

特に「ラクパン」は衣類なので一見食とは無関係に思われますが、食事中にお腹を締め付けずにラクに食べられる、且つデザイン性もあるという商品です。

このように、今回の展示会では「食」というテーマではありつつも、食べることだけではなく「食」にまつわるあらゆるシーンについてもフォーカスを当ててみましたが、シニア向け商品を探し求めてブースを見に来てくれるバイヤー様や店舗のオーナー様に対して、新しい「気づき」を発信していきたいと思っています。

さらにこのブースを通して出品商品の拡販に繋がれば、当社として最も喜ばしい流れになりますね。

Q.シニアと言えば和風なものをイメージしがちですが、和洋どちらも広く取り揃えており、ブース全体としてあまりシニア色を強調していないことが見受けできます。

そうですね。先ほど申し上げた通り今回のコーナー運営はいわゆる典型的なシニア色は極力避け、とは言え少し落ち着いた雰囲気を基調としつつ、何より「楽しめる」ことに主眼を置いています。 イメージとしては「ホームパーティー」といったところでしょうか。

無題

ですので今回は(株)JFCS 様にもご協力いただきコーナーの中央にもテーブルセットやワイン、そして本物の料理などを展示して「食にまつわるシーン」をプレゼンテーションしています。

その上で、「ポットラック忘年会」をテーマに、持ち寄りパーティーをイメージしたフードスタイリング展示を行いました。 他にもシニアシーンでは、お孫さんと一緒に楽しめるものや、お孫さんのために何かを用意するというニーズもことも想定されますね。 単に「食べる」ということだけだけではなく、ライフスタイルも含めた大きな意味合いでの「食」というものを表現できることを意識しました。

Q.コーナー全体として注視力があり、海外の方からも注目が得られているようですね。

ありがとうございます。全体も黒を基調色として目立たせていますし、日本のシニア層に興味がある海外バイヤーの方の目にも留まって欲しいと願っています。また、海外メーカーの方にとっては、このギフト・ショーが「自分たちの商品が日本でどういうルートで売れるのか、どういう見せ方で売るべきなのか」、ということをリサーチする重要な場所になっています。そういった方々に「シニアというターゲット」もあるんだということを再認知していただければ嬉しいですね。

また、目立つという意味では、このブースを西ホールに出展することにも意味があると考えています。西ホールはデザイン性の高いブースや商品が多くあるのが特徴です。従って、デザイン性の高い商品を求めて来場されたバイヤー様の目にも留まり、商売のヒントにしていただければとも考えています。

Q.他にも来間さんのおススメ商品があればお教えください。

すべておススメです!(笑)それでもあえて挙げさせていただくとするならば、「NOX プレミアムオーガニックチョコレート」ですね。

この商品は薬剤師が開発に携わったチョコレートで、しかも昨今注目されているハラール認証も受けているんです。パッケージのデザイン性も高くインパクトは抜群ですね。

他にはかつお節削り器、「替刃式鰹節削り器 黒潮L」などもご紹介したいですね。

20~30代前後の世代には馴染みのない商品かと思うのですが、シニア世代の方にとっては昔懐かしく、特に若い世代へのプレゼントとしても嬉しい商品ですよね。 更にユニークなもので言えば、水耕栽培器「mock 灯菜Akarina」なども面白いと思います。

無農薬野菜を楽しく・手軽に育てることができるだけでなく、照明メーカーの商品なのでインテリアとして、見た目もきれいです。 さらに土を使わないので清潔なのもいいですね。

Q.これまで「タビシニア」、「ウツクシニア」、そして「オイシニア」と積み重ねてきた中で、ギフト・シ ョーのコンセプトコーナーとしての存在感も高まっているのではないでしょうか?

はい、嬉しいことにブースに立ち寄っていただくだけでなくアンケートにご協力 くださる方の数も毎回予想を大きく上回っており、シニアマーケットへの関心度の高さが伺えます。

今回は「食」というテーマで展開していますが、今後もシニアというターゲットはまだまだ掘り下げることが可能だと感じています。

次回のテーマは「ヘルシニア」。「アクティブ・シニア」×「Health」ということで、よりアクティブなシニアライフを楽しむために健康をサポートする“コト”や“モノ”を集結させます。シニアの皆さんがもっとアクティブに過ごすために必要なことは何か、それを突き詰めると結局は「健康であること」という命題にたどり着きます。

健康であることはあらゆるシニアマーケティング活動の源泉なのだと思います。 今後は規制緩和も進み、健康食品などの機能性表示の解禁も控えてます。従って、それに備えた商品や取り組みをサポートできるようなコンセプトも検討したいですね。

次回開催はこれまで以上に、皆さんにとって新しい提案となるようなブースにしたいと思ってます。

取材ご協力ありがとうございました。次回開催「ヘルシニア」も楽しみにしております。

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「アクティブシニア」×「美」
ウツクシニア出展企業レポート

ウツクシニア全体1


これから急拡大するマーケットであるシニアマーケットですが、シニアは若い世代と違い、それまでの人生の中で蓄積された経験や知識が多く、価値基準が多様化しています。そのため広くシニアに向けたヒット商品の開発が難しいのが現状です。 「ウツクシニア」への出展各社はそれぞれ、広いマーケットではなくニッチなマーケットを対象として、それぞれのライフスタイルや価値観に合わせた、商品開発をしているようです。

中央精工株式会社 「INRO」

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中央精工株式会社は、創業より企業向けの航空機や自動車用の部品を取り扱うBtoBメーカー。長年のノウハウを元に一般向けに「命を守るもの」をコンセプトに商品開発を進め、「INRO」の完成~発売に至った。「INRO」は、狭心症患者に処方されるニトロ錠を持ち歩くため専用に開発された、純チタン製のニトロケース。狭心症患者は、いつ発作が起きるか分からないため、24時間365日ニトロ錠を肌身離さず持ち歩く必要がある。そのため患者は不安がつきまとい、外出しなくなりがちだが、「INRO」を持ち歩くことで少しでも安心してアクティブに生活してほしいという想いがある。類似した他社商品もあるようだが、中央精工株式会社の航空機部品を製造する際の「安心」・安全」に対するノウハウを応用し、「メイドインジャパン」の信頼性を追及している。

ニトロ錠の持ち歩き専用に開発されているため、様々な機能が兼ね備えられている。それは、1回の発作で必要なニトロ錠最大3錠が入るサイズにできているということ。更にチェーン・本体には医療分野や、航空機や潜水艦などにも使用される「チタン」が用いられており、軽くて丈夫なため安心であるということ。実際に商品を持ってみたが、見た目以上に軽く、首から下げていても全く負担にならない。更には、防水設計のためサビにくく、入浴時も身に着けておくことができる。

「INRO」という商品名は、その名の通り「印籠」が由来。この「印籠」は水戸黄門でよく登場するが、本来の意味である「薬を携帯するための入れ物」ということで名づけられた。商品の包装については、白の箱型でシンプルなデザインであり、本社のある静岡県の名産「箪笥」を意識したそう。

中央精工株式会社では、この「INRO」をはじめ、命を守るために貢献し感謝状で溢れるような会社を目指している。

VivodO ユニバーサルファッション

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VivodOは、ハンディキャップのある女性がいつまでも美しくいれるようにと開発されたユニバーサルファッションブランド。代表の松木耀子氏は、元々アパレル事業をしていたわけではなく、母親の着替えが不自由になり、介護する側・される側も楽に着脱できる洋服を探したところ見当たらなかったため、自身で作ってみたことが、ブランド立ち上げのきっかけだと語る。

「洋服を着る動作」に着目し、人間工学を取り入れ、理学療法士との検証を繰り返し開発したそうだ。 全体的に窮屈にならないようゆったりとしたパターンで、腕を通しやすいなど細部にわたり配慮がされており、着脱しやすい構造になっている。

更には母親がトイレの時ズボンを下ろされることに非常に抵抗があったことから、それを解消するためスカートタイプにし、スカートの後ろが開き、開いたスカート部分を前に持ってきて、ヘソあたりでボタン留めできるようになっている。松木氏自身の介護生活を活かし、介護する側の着せやすさだけを追求するのではなく、介護される側の気持ちも配慮したデザインである。

介護が必要になると、「おしゃれ」とはほど遠いデザイン・色合いの洋服がほとんどであるが、ivodOの洋服は色も明るく鮮やかで、何より見た目は普通の洋服と変わらない。そのため、介護しやすい洋服であることが見た目で伝わりづらいという課題もあるが、もっと外に出かけ、洋服を通じて明るくポジティブに、そしてアクティブに過ごしてほしいという想いがあるそうだ。

いくつになってもオシャレでいたい女性にとって、洋服は重要なポイント。VivodOのようなブランドが多くでき、色々なバリエーションから選択できるようになると毎日が楽しくなるに違いない。

ひまわり株式会社

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株式会社ひまわりの杖「京友禅 雨にも負けず」は「ウツクシニア」にも出展しており、雨の日にも滑りにくい加工等、機能性にも優れているが、高いデザイン性が非常に目を引く。
出展ブース内での展示商品は、日本の伝統工芸とコラボレーションしたものが多く、シニアに好まれそうな和風デザインで、非常にデザイン性が高い。定価10万円の高級杖「陣」は、西陣織が巻きつけられており、グリップには津軽漆塗加工が施されている。
更には杖と同じく西陣織とのコラボレーションによる高級車椅子もあり、毎日持つ・乗るものであるからこその「こだわり」を適える商品が多く見られた。

ケイ・ホスピア株式会社

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ケイ・ホスピア株式会社の出展ブースでは、国内外の様々なメーカーの商品が展示されていた。そのラインナップは幅広く、中でも世界を代表するドイツ オッセンベルグ社製の杖は、安定性が高く医学的見地から分析~開発されたという。
機能面はもちろんだが、日本メーカーにはないヨーロッパ特性の色づかいが特徴的であり、非常にシンプルで先進性を感じるデザインである。その他にも数多くのバリエーションがあったが、有名キャラクターとのコラボレーションによる杖も。本人は最初ためらいがちだそうだが、孫と一緒に買いに行くと孫の方が気に入ってしまい、ついつい購入してしまう方もいらっしゃるとか。

株式会社つえ屋

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株式会社つえ屋は、設立から7年の会社だが、杖・ステッキ専門店と商品に特化していることに加え、「京都」を中心とした店舗展開もあるため、歴史ある老舗メーカーと見間違えてしまうほどである。
展示ブースには花柄や着物柄など壁一面に色とりどりの杖が並んでいたが、少ない選択肢の中から自分が使いたくない杖を排除しながら選ぶのではなく、数多くあるラインナップからどれにしようか悩みむ「選ぶ楽しみ」を増やしたいそうだ。

3社それぞれ共通しているのは、「ウツクシニア」の出展商品と同様に、機能性に加えてデザイン性が非常に高いということです。
これまで杖といえば「歩行の補助器具」に過ぎなかっのですが、これからは自分の好きな柄・絵の杖を選び、自分らしさ、こだわりを表現するファッションアイテムの1つになるのかもしれません。
近い将来、アパレルブランドとのコラボレーションや、有名デザイナーによるデザイン性を極めた杖が出現する日も近くないかもしれません。


第8回TASKものづくり大賞
受賞製品展示コーナーレポート

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第8回TASKものづくり大賞の受賞製品の展示コーナーでは、様々なシニア向けアイディア商品が並んでいました。TASKものづくり大賞とは、東京都台東区(T)、荒川区(A)、墨田区(S)、葛飾区(K)内の企業・個人が応募可能で、素材の持つ良さを大切にし、地域で培われた技術を駆使してつくられた“いいもの”を消費者が“じくり”使う事のできる生活提案商品を募集するというもの。
受賞製品の中から2社取材を行いました。

ホワイトローズ株式会社 「アメフリー」

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単独開発部門 優秀賞に選ばれた、ホワイトローズ株式会社の傘「アメフリー」。「ビニール傘」といえば、今はコンビニやスーパー、更には100円均一でも購入できる、「安い傘」というイメージがあるが、本来は屋外でも顔が見えるように作られたもの。内からの突風を逃がす特殊な構造であるため、強風でも折れにくいという特徴がある。この特殊技術が買われ、「雨の日に見に来てくださるのに、傘に隠れては申し訳ない」と美智子様が園遊会で愛用されたことから、高齢者のファンも急増。更には顔を多くの人に見せるため、選挙前には各政党から演説用にと発注が増えるそうだ。

株式会社冨テック×有限会社森谷製作所 「Choice(チョイス)」

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共同開発部門 奨励賞に選ばれたのは、株式会社トミテック、有限会社森谷製作所の高齢者玄関補助いす「Choice(チョイス)」。
靴を履く際は屈伸運動が必要なため、高齢者にとっては大変な行為。座りながら靴がいつでも履けるようにと、玄関に専用の椅子を常時置いていくわけにもいかない。そんな意見を取り入れたこの商品は、非常に軽量で、片手で広げたり、折り畳むことができる。また畳んだ折り畳み椅子を壁に立てかけてるとよくズリ落ちることがあるが、この商品は畳んでも自立するタイプなので、そんな心配もない。これからはこのような高齢者に特化したアイディア商品が増えるのではないだろうか。


今回の取材を通じて

デザインに敏感なニューシニアたち

今回のギフトショーでシニアマーケットにチャレンジする多くの出展ブースを取材しましたが、各企業の取組みの中で共通の傾向をひとつあげるとするならば、それは「デザイン性の高さ」です。
洋服、メガネ、杖、傘…あらゆるジャンルの商品が機能面でシニアの身体的特徴に対応しているのと同時に、デザイン面では若年層にも支持を得られそうなモダンでエッジの効いたものが多く見られました。この傾向は2014年、今この瞬間のシニアマーケティングを考えるにあたって非常に重要なポイントであると考えられます。

「団塊世代」の次の世代へ 一般的に「シニアと聞いて思い浮かべるイメージは?」と問うた場合、

  • 身体的なハンディキャップを有している
  • デザインより機能性を重視する
  • 自分のことより子供世代・孫世代のことを優先

などといった属性を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、2010年代、つまり現在のシニア層はこのステレオタイプなイメージとはいささか違う顔を有しているようです。例えば2014年現在で65歳の定年を迎えようとしている、1950年前後生まれの世代の生い立ちを年表形式で振り返ってみましょう。

  • 10代 → 1960年代 ~ 高度経済成長期・三種の神器・モーレツ社員
  • 20代 → 1970年代 ~ オイルショック・戦後レジュームからの脱却・安定成長期
  • 30代 → 1980年代 ~ バブル景気の到来・ジャパン・アズ・ナンバーワン
  • 40代 → 1990年代 ~ バブルの崩壊・構造的不況の始まり
  • 50代 → 2000年代 ~ 失われた20年・リーマンショック
  • 60代 → 2010年代 ~ 東日本大震災・アベノミクス・新しい価値観へ

とかく「シニア」というと「団塊の世代」、そしてその先には「高度成長期のモーレツ社員だった人たち」などという連想をしがちですが、今のシニアは実は既にその下の層が中心になりつつあります。
モーレツ世代が形成した高度成長させた後の市場の中でお金とモノに溢れた環境で「高品位なもの」や「刺激的なもの」に触れ合った世代。
そして同時にお金も使ってきた世代がシニア層に仲間入りしてきているのです。バブル前後の時代に適度に若く適度に財力も有し、よき時代を謳歌し駆け抜けてきたかつての時代の寵児たちは、消費者としても機能性とブランド性を兼ね備えた高品位な商品に囲まれてきた世代であり、眼も超えている人たちです。

そんな彼らが年月を経て、今まさにシニア時代を迎えようとしてるわけですが、彼らの中には若かりし頃から積み重ねてきた感覚が今でもしっかり残存しています。たとえ身体的な衰えに対応するために購入する身の回りの商品であったとしても、できる限りデザイン性や自身らしい個性発揮の要素が併存しているものを選択しようとする傾向があります。

「シニア扱いしない」というアプローチ

彼らは「自分をシニアという属性で括られたくない」というインサイトを有した新時代のシニア世代であり、それは冒頭に表したステレオタイプ的なシニア像とは一線を画したメンタリティを有していると捉えるべきでしょう。
子どもも大切にする、孫もかわいい、しかしそれと同時に自身の人生の第2ステージも貪欲に楽しもうと考える新シニア世代。彼らの購買意欲を刺激するためには、まずは彼らを「シニア扱いしない」というスタンスでマーケティングすることが肝要なのだと思われます。

次回ギフトショー(2014年9月初頭開催)では、シニアマーケットと食の関係にフォーカスを当てた新企画「オイシニア」の企画展示が予定されていますが、ウツクシニアと同様に「シニアをシニア扱いしない」という視点で見ると、また面白い切り口になるのではなかろうかと期待しています。


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