認知症予防のための脳ドック: データに基づく新しい価値の提供
2024/3/14
未病段階の認知機能情報とMRI画像の検査結果を併せ持つ国内最大規模のデータ解析
民間認知機能チェックサービスの最古参、セントケア・グループ<2374>の株式会社ミレニア(本社:東京都港区、以下「ミレニア」)は、MRI画像の高度な解析AI技術「MVision」を有する株式会社エム(本社:東京都港区、以下「エム」)と連携し、ミレニアが全国の健診施設、研究機関に提供する認知機能スケール「あたまの健康チェック®」と脳画像による脳健康評価プログラム「MVision health」のパッケージ提供を開始することとなりましたので、お知らせいたします。
ミレニアとエムは、国内大学機関や国際的研究で収集された過去データを両社の技術で解析し、そこから得られた知見を基にした新しいサービスを社会実装する取り組みを進めています。未病段階の認知機能とMRI画像の検査結果を併せ持つ国内最大規模のデータ解析 1) により、脳の健康状態を「機能」と「器質」の両面からの観察・評価をする脳の健康管理サービスの開発は世界的にみてもユニークな試みとなります。
1) 愛媛大学データ 約2,000件、米ADNIデータ 約650件
具体的には、従来の認知機能検査とMRI画像検査では技術的に評価が難しいとされていた30~40代の若年・中年期、もの忘れの訴えの無い健康な時期から、あたまの健康状態を機能面・器質面の両視点から経時観察する機会を提供し、脳の健康状態を維持し続けるための気づきや予防活動のきっかけを提供できるように支援してまいります。
認知機能検査とMRI画像検査の複合分析による新しい価値の提供
あたまの健康チェック®の国内導入第一例である愛媛大学抗加齢予防医療センターの抗加齢予防医療センターは、2006年の運用開始から膨大な認知機能データを収集しています。ミレニアとエムは、同センターにおいて同じく蓄積されているMRI画像データを対象に、エムのMVisionを用いた全件解析を実施し、あたまの健康チェック®データ(MPI値)との相関分析を実施しています。認知機能状態変化と脳の器質的変化における相関傾向を明らかにし、健診施設や健保組合等の顧客に対してデータに基づくより質の高いサービスを構築いたします。
またミレニアのあたまの健康チェック®認知機能解析技術が2022年度より認知症領域の国際的横断研究である米国ADNI研究における新指標に採択され、既に米国研究班により過去のADNIにおける認知機能データを対象に再解析されています。エムもADNIのMRI画像データを対象としたMVisionによる解析を完了しています。これらの相関解析を実施することにより、国内では類を見ない大量の国際データに基づく情報提供が可能になりました。
あたまの健康チェック®との連携経緯
森 進 創業者/代表取締役CEO
ジョンズ・ホプキンス大学 医学部放射線科教授
元来、認知機能データと脳画像データとは、脳領域の評価において、それぞれの検査データからしか知り得ない情報が存在するため補完的な関係にあり、その両面を観察することが望まれます。
従来の認知機能検査法が不得手であった健常域における正常値の経時観察や若年層の機能評価が可能なミレニア社のあたまの健康チェック®は、その精度と安定性、検者依存しない特性、国内の多くの医療機関や自治体保健部門での採用実績、といった特長を有する認知機能評価法として認識していました。あたまの健康チェック®が2022年度から米国ADNI研究における新たな指標に採択されたことを受け、国内の収集データのみならずMVisionにより既に画像解析を終えているADNIデータも対象とした認知機能検査と画像解析の複合評価が可能になりました。ミレニア社のあたまの健康チェック®との連携により、健常域からMCI域へ移行する群や正常域で状態維持される群の特徴など、専門家のみならず一般生活者目線でも分かり易い科学的知見が得られることを期待しています。
このたび、新たに国内承認・保険適用された認知症領域の疾患修飾薬のほか、今後も複数の薬剤の上市が予見されていますが、いずれも適用がMCI~初期認知症患者とされており、対象者の早期発見が大切になります。ミレニア社との連携により健診・ドック領域における脳の健康評価サービスをさらに充実させることで、未病領域から始める新たな認知症マネジメントシステムの創造を目指して参ります。
愛媛大学医学部附属病院 抗加齢予防医療センターの過去データを遡及解析
伊賀瀬 道也 医師
愛媛大学医学部附属病院 抗加齢予防医療センター長
愛媛大学大学院抗加齢医学 (新田ゼラチン)講座教授
当センターでは、2006年に国内で初めて予防的認知機能検査法「あたまの健康チェック®」を採用し、以降、抗加齢ドックにおいて一般健診項目ならびにMRI画像と共に数千例規模の認知機能データを収集していました。
このたび、ジョンズ・ホプキンス大学医学部 森教授の有する高度な解析AI技術「MVision」を用いて当センターの過去のMRI画像データを遡及解析し、あたまの健康チェック®の検査データであるMPI値との相関解析をすすめ、健常域からMCI域へ移行するケースと健常域のまま状態維持されるケースとの特徴を分析し、当センターにおける一般生活者への的確な予防指導や質の高い検査提供体制の根拠となる情報を集積して参ります。
今後、ADNI研究データ解析に携わる米国チームとの連携もすすめ、このたびのデータ解析で得られる情報と共に、得られた知見を老年学や認知症関連学会にて広く発表することを計画して参ります。
認知機能スケール「あたまの健康チェック®」 (株式会社ミレニア)
認知機能低下の訴えのない健康な方(対象年齢30歳~99歳)から受けられる、国内では初めての認知機能スケール。健常域における認知機能の定量的経時評価が可能。認知機能の状態を0~100の独自指標(MPI値)で分かりやすく経時評価。全国の健診施設、自治体、大学・研究機関、企業・団体などが広域に採用。
2016年度、AMEDの認知症予防事業IROOPの公式認知機能検査に採択。
2018年度から、神奈川県ME-BYO(未病)ブランド認定サービス。
2022年度、PHRアプリ「NOBORI」とのリアルタイム連携体制を確立。
2022年度、本スケールを用いた新分析法が、米ADNI研究Data Inventoryに収載。
2023年度、本スケールを用いた自治体と医師会との連携事業が、厚生労働省老健局長優良賞を受賞。
一般的な認知機能評価法とは異なり、職能を問わず、対面実施の必要もなく、電話やビデオ通話を通じたリモート運用の汎用性が高い点も特徴。
※ タッチパネル式の自己操作型のセルフチェックやMMSE等、従前の認知症の有無や症状を評価するための神経心理検査(いわゆる認知症検査、2018年度からは保険適用)とは評価領域や目的が異なる。
AIによるMRI画像解析サービスMVision health(株式会社エム)
MVision healthは、加齢に伴う変化の特徴である脳の萎縮と血管性変化を総合的に評価する、脳の全ての構造部位、すなわち全脳を対象とした脳健康測定プログラムです。米国ジョンズ・ホプキンス大学のAI技術と日本に存在する数万件のビッグデータを基盤にエムが開発しました。
脳ドックや人間ドックの頭部MRIオプションに追加することで、加齢に伴う変化を早期から評価し、受診者がとるべき脳の健康維持・改善方法を提示することを目指しています。受診者は従来どおりの頭部MRI撮影をするだけでよく、追加の負荷やクリニック側での過剰な作業もなく、エムが作成する平易な解析結果レポートを受け取ることが可能です。
高解像度のMRI撮影が可能であれば、海馬等の認知機能に関連する重要構造物の詳細評価も可能です。
なお、MVision healthは医療機器ではなく、いかなる疾病の予防、診断、治療目的に用いられるものではありません。医師の診断の元、特定の疾病が認められなかった健常な受診者のためのサービスです。
<本件に関するお問い合わせ>
セントケア・グループ<2374>
株式会社ミレニア
105-0021 東京都港区東新橋2-18-3
TEL:03-5408-7770
FAX:03-5408-7771
Mail: info@millennia-corporation.jp
URL: http://www.millennia-corporation.jp
株式会社エム
108-0073東京都港区三田2-10-6 三田レオマビル10F
TEL:03-6811-5890
FAX:03-6700-9836
Mail:info@corporate-m.com
URL: http://www.corporate-m.com/