2016.11.8 「大人可愛い」、「こなれカジュアル」に見るシニアマーケティングの難しさ
私はファッションが好きで、洋服の誘惑に負けて散財してしまうことも多いのですが、この何年かウィンドウショッピングをしていて、ふと感じることがあります。
常々、小柄なこともあって、少々若向けのファッションでも難なく着こなしてきた私。ですが、昨今、白髪、シミ等が避けられない年齢に入り、何となく簡単に選んでいた服ではしっくりこないことが多くなってきました。
時が変われば、似合う服も変わってくると言えばそれまでですが、女性も40代後半を過ぎると体型に自身がなくなってきたり、何となく肌つやが冴えないなと感じることも多くなってくるものです。実際にこの年齢でファッションを楽しもうとなると、もちろん若さを前面に出したファッションは「痛い!」ですし、かといってトレンド、女性らしさがまるで無いものは、余計に年齢を強調してしまいますし、何しろ気分が上がりませんよね。そこで私としましては、ファッション難民となり、インターネットやアラフォー、アラフィフ等がターゲット層のファッション雑誌を見て、「こなれ感」(さりげない大人のおしゃれ)、「大人可愛い」(大人のファッションの中にも、ちょっぴりだけ可愛い要素がある)等の大人の女性のファッションのキーワードを参考にするわけです。
さて、「アクティブシニア」という言葉がマスコミで言われて久しいですが、先程のファッションの話でもそうなのですが、時代は変わり多少体力は衰えても介護は必要のない元気なシニアが増え、自分のことを高齢者とは思っていない50代、60代が増加しているということですが、それは容易に想像できますね。
現在、日本においては、少子高齢化により若い世代の人口が減っていることに加え、若者や女性、ファミリー等従来の需要をリードしてきた層の購買力は低下傾向にあるとされています。そのため一層シニア世代の購買力が注目されており、実際に、「日銀の資金循環統計によれば、2015年3月末の家計の金融資産は初めて1700兆円を超えた」が、「個人金融資産の6割強は60歳以上に偏在している。」と言われています。
(「1700兆円を経済の再生に生かそう」、日本経済新聞、
2015.7.20更新、http://www.nikkei.com/article/DGXKZO89514130Q5A720C1PE8000/、2016.11.8引用)
一方で従来、多くの企業の主要ターゲット層は、前述の若者や女性、ファミリーだったことで、まだこのシニア層の需要をよく取り込めていない企業が多いということ。現代のシニア層は高度成長経済の大量消費も経験している一方、バブル経済やその崩壊も経験してきており、厳しい目を持っているとも言われています。言わば「酸いも甘いも噛み分けた」層ということで、このニーズを満たすのはそう簡単でもないようです。
私のファッションの話に戻りますが、現在の私に理想のアパレルブランドを探そうとなると…あまり若すぎてもダメ、でもトレンドをちょっぴり意識した大人の威厳、品の良さをちょっぴり感じさせたものが欲しい。この崩れ始めた体型を、さりげなく、しかも巧妙にカバー(別ワードで、「ごまかす」という)できるラインが必須。色合い、生地も、この大人の(別ワードで、くすみ、たるみが出てきたという)表情を引き立てるものでないと。それからコスパも良くなければね。できれば、高品質でお値段はお財布に優しいもので。忘れてました、それからもう見た目だけでファッションを身にまとうのはたくさんだから、着心地も良くなくてはね…。
お願いします。これだけの要素を満足させてくださるアパレルブランドさんがいらっしゃったら、即教えてください(ほとんどわがままとしか言えませんね。)。
うーん、やはりシニアマーケティングは一筋縄では行かないです…かね。