eWeLL/訪問看護に関する調査
2021/4/1
患者や家族の物理的・精神的負担が減る!?訪問看護利用経験者・訪問看護師に聞いて見えてきたメリットと課題とは。訪問看護師の仕事は『利用者に寄り添った看護ができる』一方で、『スタッフ間・関係者との情報共有』『カルテ・利用者情報の確認』に苦労している実態が明らかに
医療現場の電子化は、患者のみなさんにとって大変便利なだけでなく、医療従事者にとっても、業務の効率化や人的ミスの低減など、大きなメリットがあります。
特に、今般の新型コロナウイルス感染拡大によって医療現場がひっ迫しており、withコロナ、afterコロナは、医療現場の業務効率化が必須と言えるでしょう。
そして、コロナ禍以降急速に需要が高まっているのが、看護師が患者の自宅に訪問して、その方の病気や障がいに応じた看護を行う、いわゆる“訪問看護”です。
しかし、需要が高まる一方で、訪問看護師の人手不足や現職の訪問看護師の負担増といった問題も生じています。
これらの問題や課題を可及的速やかに解決することも、これからの社会には求められていると言えるでしょう。
実際に訪問看護の利用経験をお持ちの患者やその家族の方は、どのようなきっかけで利用し、どのようなメリットや課題を感じているのでしょうか?
また、訪問看護に従事している訪問看護師の方々は、現状にどのような課題を感じているのでしょう?
そこで今回、訪問看護専用電子カルテ『iBow(アイボウ)』(https://ewellibow.jp/)を開発・販売する株式会社eWeLLは、①訪問看護利用経験のある男女(本人またはその家族)②訪問看護従事者(経験者を含む)を対象に、「訪問看護」に関する調査を実施しました。
【訪問看護利用者に聞く】訪問看護を選んだ理由
まずは、訪問看護利用経験者の方々に伺っていきたいと思います。
そもそも、“訪問看護”というサービスを知ったきっかけとは何だったのでしょうか?
「“訪問看護”サービスを知ったきっかけを教えてください」と質問したところ、『ケアマネージャー(38.7%)』という回答が最も多く、次いで『医療機関(ホームページを含む)(28.1%)』『国・自治体・厚生労働省など公的機関のホームページ(8.6%)』『家族の話(5.6%)』『役所(DMを含む)(5.3%)』と続きました。
利用経験者の6割以上が、ケアマネージャーか医療機関から紹介されるまで、“訪問看護”を知らなかったということが分かりました。
■以降の結果はこちら
『友人・知人の話(4.5%)』『新聞・テレビ・ラジオ・雑誌など(3.9%)』『SNS・インターネット記事(3.1%)』『職場での話(2.0%)』
続いて、「訪問看護を利用した理由を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『自宅で暮らしたいから(暮らして欲しいから)(32.4%)』という回答が最も多く、次いで『ケアマネージャーに勧められたから(26.9%)』『本人あるいは家族が医療機関に通うのが大変だから(26.8%)』『家族で一緒に過ごす時間を増やしたいから(21.9%)』『人生の最期は自宅で迎えたいから(迎えて欲しいから)(20.2%)』と続きました。
施設や病院ではなく自宅で暮らしたい患者の方、あるいは自宅で暮らして欲しいというご家族が多く、ケアマネージャーもその背中を押してくれているようです。
また、『家族で一緒に過ごす時間を増やしたいから』『人生の最期は自宅で迎えたいから(迎えて欲しいから)』という回答もともに2割を超え、大切な家族との時間を尊重するために訪問看護を利用している方が多いことが伺えます。
■以降の結果はこちら
『医師に勧められたから(16.4%)』『通院・入院よりも費用が安いから(6.5%)』『友人・知人に勧められたから(5.9%)』『国(厚生労働省)が推進しているから(3.1%)』
【訪問看護利用者に聞く】訪問看護を利用してみて感じていること
では、実際に訪問看護を利用してみて、患者やご家族の方は、どのような印象を抱いているのでしょうか?
そこで、「実際に訪問看護を利用してみて良かったことを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『物理的・身体的な負担が減る(41.7%)』という回答が最も多く、次いで『精神的な負担が減る(40.7%)』『必要な時間にサポートが受けられる(21.6%)』『生活の質(QOL)が向上する(21.3%)』『費用の負担が減る(17.5%)』『通院・入院と同等のサポートが受けられる(16.8%)』『良かったことはない(3.7%)』と続きました。
患者やご家族の負担が減ることが、大きなメリットと言えそうです。また、生活の質(QOL)が向上するなど、訪問看護は他にもさまざまなメリットがあるようです。
そこで、「担当訪問看護師の対応についての感想を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
『頼もしくて非常に安心できる(安心できた)(40.3%)』という回答が最も多く、次いで『どんな相談にも親身になって対応してくれる(対応してくれた)(34.9%)』『丁寧に処置してくれる(処置してくれた)(33.7%)』『急変時にも迅速に駆けつけてくれる(駆けつけてくれた)(26.9%)』『スタッフ間の連携が素晴らしい(素晴らしかった)(14.3%)』『医師や薬剤師などとの連携が素晴らしい(素晴らしかった)(7.6%)』と続きました。
自宅での療養は色々と不安なことや心配なこともあったと思いますが、訪問看護師の対応は、それらを払拭してくれていることがよく分かる結果となりました。
■訪問看護師のこの対応に感動しました!
・看護される本人だけでなく家族にまで配慮してくれた(40代/女性/長崎県)
・患者のライフスタイルを尊重し自宅での生活を支えていることに感動した(40代/男性/福岡県)
・介護者の負担が一切ないように行動してくれた(50代/女性/神奈川県)
・細やかな気遣いをしてくれて、まるで家族のように接してくれて嬉しかったです(50代/男性/東京都)
・真夜中でも休日でもすぐに駆けつけてくれて助かった(50代/男性/大阪府)
などの回答が寄せられました。
常に患者やご家族の方のことを最優先に考えて対応してくれる訪問看護師の姿勢に感動し、感謝している方が多いことが伺えます。
【訪問看護利用者に聞く】訪問看護の費用
実際に訪問看護を利用してみての印象、そして訪問看護師の対応への感想が見えてきました。
多くの方が、訪問看護師の手厚いサポートによって、自宅で快適な療養生活を送ることができているようです。
そんな、メリットが多い訪問看護ですが、先の質問では『費用の負担が減る』と回答した方もいらっしゃいました。
では、訪問看護に要する費用は、実際どれくらいかかるのでしょうか?
『10,000円~15,000円未満/月(26.0%)』という回答が最も多く、次いで『5,000円~10,000円未満/月(24.0%)』『15,000円~20,000円未満/月(17.1%)』『5,000円未満/月(16.3%)』『20,000円~25,000円未満/月(8.0%)』『30,000円以上/月(5.3%)』『25,000円~30,000円未満/月(3.3%)』と続きました。
もちろん、患者の方の病状などによって費用も異なってくると思いますが、多くても1か月平均で20,000円程度というのが、訪問看護費用の相場と言えそうです。
公益財団法人 生命保険文化センターが2019年9月に発表した「令和元年度 生活保障に関する調査《速報版》」によると、入院時の1日あたりの自己負担費用(※)は、平均で23,300円という結果が出ています。
(※)治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。
(参照:https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho.pdf)
1日あたりの入院費がこの額ですから、当然ながら1か月あたりの費用はその何倍もの費用になります。
また、厚生労働省のホームページによると、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1か月の自己負担額の目安として、要介護5の人が多床室を利用した場合の合計額は約102,200円とされています。
(参照:https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html)
訪問看護は費用負担も大幅に低減できることがよく分かります。
【訪問看護師に聞く】訪問看護師の魅力・やりがい
ここまで、訪問看護利用経験者に、訪問看護に関するさまざまなことを聞いてきました。
利用経験者の多くの方が、訪問看護によって多くのメリットを感じ、また、訪問看護師の対応にも満足しているようです。
ここからは、訪問看護師として従事している方、または従事していた経験を持つ方に、訪問看護の現場の実態について聞いていきたいと思います。
まずは、訪問看護師という仕事の魅力について聞いていきます。
『利用者に寄り添った看護ができる(55.8%)』という回答が最も多く、次いで『利用者やその家族と強い信頼関係が築ける(48.7%)』『看護師としてだけではなく、人間としても成長できる(23.4%)』と続きました。
訪問看護は、施設や病院での看護以上に、患者一人ひとりに寄り添った看護ができること、患者ご本人やご家族と強い信頼関係を築けることが魅力であり、大きなやりがいに繋がっているようです。
【訪問看護師に聞く】レセプト業務の効率化は必須!?訪問看護師の大変なこと
大きな魅力ややりがいがある訪問看護師の仕事ですが、一方で、大変なこともあるでしょう。
では、業務のどのような面で苦労することが多いのでしょうか?
そこで、「利用者への対応以外で、業務で苦労していることを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
『スタッフ間・関係者との情報共有(34.4%)』という回答が最も多く、次いで『カルテ・利用者情報の確認(32.1%)』『書類作成(27.6%)』『移動が多い(26.4%)』『レセプト・請求業務が煩雑(18.4%)』『看護師一人あたりの担当件数が多い(17.2%)』『緊急時に相談できる相手が少ない・いない(8.9%)』と続きました。
看護師ひとりで訪問することも多い訪問看護の特性上、情報共有やカルテ・利用者情報の確認が特に大変なようです。
また、レセプト業務(健康保険の保険者へ月ごとに診療報酬を請求する業務)が煩雑だったり、看護師一人あたりの担当件数が多かったりすることが大変な様子も伺えます。
訪問看護の需要が高まっている一方で、その需要に対して供給が追い付いていないのが現状と言えそうです。
■訪問看護師の業務で苦労していることとは?
・訪問先での診察・処置でも時間を使ううえに、移動に時間を要するので限られた件数しか回れない(40代/女性/石川県)
・人手不足なのでさまざまなやりくりの面で苦労しています(40代/男性/静岡県)
・カルテをじっくり記入する時間がない(40代/女性/千葉県)
・利用者に関する細かい情報を、家族や前任者から聞き出したり共有したりするのに、行き違いやタイムラグがある(50代/男性/兵庫県)
・情報共有するためのミーティングのタイミングが難しい(50代/男性/大阪府)
施設や病院の勤務看護師ならそれほど難しくないことでも、訪問看護師の場合困難になるケースもあるようです。
高まる訪問看護の需要に応えるためには、国を上げた早急な対策が求められていると言えるでしょう。
では、現状の訪問看護のレセプト・請求業務には、どのような課題があるのでしょうか?
そこで、「訪問看護のレセプト・請求業務での課題を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
『レセプトの返戻や、確認作業の頻度が多い(44.2%)』という回答が最も多く、次いで『法制度が複雑すぎる(医療保険・介護保険などの正しい判別が難しい)(43.0%)』『情報入力に手間がかかる(32.1%)』『時間が限られている(請求できる期間が短い)(20.5%)』と続きました。
利用者のご自宅への移動が伴う訪問看護の業務は、限られた時間でさまざまなことを行う必要があります。
ですが、レセプトの返戻や確認作業の頻度が多くなってしまえば、それに比例して労働時間も長くなり、残業コストがかさんだり、訪問する時間を増やせず売り上げが伸びなくなったりするなど、経営にも悪影響を及ぼしかねません。
また、そもそも法制度が複雑すぎることが、レセプトの返戻頻度の多さに繋がっている可能性もありますから、そのあたりの改善が求められていると言えそうです。
訪問看護事業が抱える社会課題の解決が急務と言える
今回の調査で、訪問看護利用経験者がそのサービスを知ったきっかけから利用した印象、訪問看護師の対応に対する感想を聞くことができました。
また、訪問看護師として従事している(していた)方からの、訪問看護師の魅力や現状での課題も見えてきました。
今回の調査結果からも分かる通り、患者やご家族から厚い信頼を寄せられている訪問看護師ですが、現在、全ての看護師の人数のうち、訪問看護師の数はわずか4.9%に留まっています。(※1)
今後、厚生労働省が推進する病院から地域医療へのシフトが加速していくことにより、訪問看護事業者は限られた人員でさらに多くの患者に看護を提供していかなければなりません。
※1 厚生労働省「平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」および「平成30年介護サービス施設・事業所調査の概況」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/dl/gaikyo.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service18/dl/kekka-gaiyou_2.pdf
また、訪問看護事業は経営が難しく、全国訪問看護事業協会の調査によると、年間1,376事業所が解説される一方764事業所が廃止・休止となっています。(※2)
※2 一般社団法人 全国訪問看護事業協会「令和2年度 訪問看護ステーション数調査」
https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/r2-research.pdf
この背景のひとつとしては、元来、ナイチンゲールの精神で患者に寄り添ってきた看護師が、病院を離れ訪問看護に転向した途端、訪問看護は独立採算制となっているため利益を追求し事業の黒字化を図らなければいけないという事実があります。
このように、社会的に重要な役割を担う一方で、現場の負荷の高さ、事業継続の難しさという大きな問題を抱える訪問看護事業。
この社会課題の解決なくして、利用者も看護師も真の意味で快適な訪問看護の将来像は描けないと言えるのではないでしょうか?
『iBow(アイボウ)』は訪問看護のスタンダードを創り続けています
訪問看護の社会課題を解決するのが、訪問看護の支援企業、株式会社eWeLL(イーウェル)が提供する『iBow(アイボウ)』サービスです。(https://ewellibow.jp/)
全国47都道府県1,500ステーション以上で利用されている『iBow』は、全国の訪問看護ステーションが独自に行っている煩雑な業務を、現場の理にかなった電子カルテで効率化・仕組み化し、訪問看護現場の負荷軽減と、合理的でストレスフリーな『訪問看護業務の標準化』を実現します。
事実、『iBow』を利用している訪問看護ステーションの事業継続状況は、全国平均に比べ69%改善されています。
※一般社団法人全国訪問看護事業協会調べ「訪問看護ステーション数調査結果」に基づく推計。
過去2年間に開設したステーションのうち、2019年11月時点で事業を継続している割合
また、『iBow』は訪問看護への総合的な支援体制を強化するため、2021年4月1日より新サービスを加え、下記4つのサービスを展開します。
★【NEW】『iBowレセプト』(2021年4月1日~)
日々の記録から自動反映する従来にないレセプト(診療報酬請求)を実現。
入力の手間をなくし正確でストレスフリーな請求を実現します。
★訪問看護専用電子カルテ『iBow』(2014年5月~)
必要な機能を網羅し、誰でも簡単に使えます。
簡単に使えるから、1万人以上の訪問看護師が毎日利用。
医療水準のセキュリティを備え、訪問看護のテレワーク、災害対策としても活用されています。
★訪問看護専用勤怠管理サービス『iBow KINTAI』(2020年10月~)
訪問看護独特の複雑な勤務体系にシンデレラフィット。
オンコールシフト、常勤換算表の自動作成機能、直行直帰に適したGPS打刻機能など、現場を支える最新ツール。
※無料版あり。
★『iBow 事務管理代行サービス』(2021年1月~)
レセプトに関する入力・確認など、日々の膨大な事務作業を専門スタッフが代行。
返戻や請求漏れを防ぐプロ品質が支持されています。
『iBow』は、訪問看護ステーションが限られたリソースの中でもサスティナブルで適正な地域医療サービスを提供できるよう、ITにより業務を効率化し、未だ標準化されていない訪問看護のスタンダードをこれからも創り続けます。
■『iBow(アイボウ)』:https://ewellibow.jp/
■『iBow KINTAI』:https://ibowkintai.jp/
■『iBow』導入に関するお問い合わせ・資料請求受付:https://ewellibow.jp/demo/
■お電話でのお問い合わせ・資料請求受付:0120-49-0333(9:00~22:00 土日祝18:00~は受付のみ)
■株式会社eWeLL:https://ewell.co.jp/
■所在地:〒541-0051 大阪府大阪市中央区備後町3-3-3 サンビル備後町9F
■TEL:06-6271-9333
■E-Mail:ibowinfo@ewell.co.jp
調査概要:「訪問看護」に関する調査
【調査期間】2021年3月19日(金)~2021年3月22日(月)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,050人(①訪問看護利用経験のある男女713人、②訪問看護従事者337人)
【調査対象】①訪問看護利用経験のある男女(本人またはその家族)
②訪問看護従事者(経験者を含む)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ