2020.10.9 シニアのお金事情。老後2,000万円の備えはあるのか!?

 

昨年の6月の記事『2019.6.5 老後資金2,000万必要  国民に「自助」求める金融庁』にて、

「夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では 毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。

と金融庁の金融審議会から発表され、批判の声も多数あったようです。そこで今回は、シニアのお金事情について、内閣府発表の『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』のデータをご紹介します。

年金手帳

 

 


貯蓄額2,000万円以上のシニアは約15%のみ

全国の60歳以上の男女を対象にした調査、内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、貯金総額(配偶者と同居している場合は、夫婦の貯蓄額の合計)は、「100 万円~500 万円未満」が18.8%で最も多く、次いで「2,000 万円以上」が15.6%と続いています。

貯蓄総額

貯蓄総額_全体

出典:内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』を加工して作成

 

年代別に見てみると、そこまで大きな差異はないようですが、やはり年齢が高くなるにつれ、「2,000 万円以上」の割合が減少し「貯蓄はない」の割合が増加しているのが分かります。

貯蓄総額【年代別】

貯蓄総額_年代別

出典:内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』を加工して作成

 

シニアの35%は私的な年金・保険へ未加入

金融庁によると「重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。」とありましたが、実際に私的な年金・保険へどのくらい加入しているのでしょうか。

加入している私的な年金・保険は、「生命保険」が48.3%で最も多く、次いで「病気やけがのための保険」29.3%、「個人年金」12.2%と続き、他の年金・保険は1割未満となっています。また「いずれも加入していない」は 36.2%となっています。

年代別にみると、男女ともに、年齢が上がるほど、加入している私的な年金・保険は少なくなり、「いずれも加入していない」が高くなっています。

私的な年金・保険への加入

 

私的な年金・保険への加入

出典:内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』を加工して作成

 

シニアの約半数は現在の貯蓄額では不足と感じている

では実際、シニアは現在の貯蓄や備えで十分だと思っているのでしょうか。

現在の貯蓄額がこれから生活をしていく備えとして、全体では「十分だと思う」は11.6%で、「最低限はあると思う」32.0%を合わせると、43.5%が足りると思っています。一方で、「かなり足りないと思う」は27.5%で、「少し足りないと思う」23.9%を合わせると、51.4%が足りないと思っているようです。

年代別に見てみると、年齢が低いほど足りていないという回答が多く、年齢が高くなるほど足りているという回答が増えています。

現在の貯蓄額は備えとして十分か【年代別】

現在の貯蓄額は備えとして十分か_年代別

出典:内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』を加工して作成

 

60~64歳の約半数は2,000万円の貯蓄が必要と感じている

実際にはどのくらい必要だと思っているのでしょうか。

これからの生活に必要な貯蓄額(配偶者と同居している場合は、夫婦の貯蓄額の合計)は、「2,000 万円以上は必要」33.7%が最も多く、次いで「1,000 万円~2,000 万円くらいは必要」23.8%、「500 万円~1,000 万円くらいは必要」17.5%と続いています。

年代別に見てみると、60~64歳は「2,000 万円以上」が48.4%と約半数となっており、年齢が高くなるにつれ少なくなっています。

これからの生活に必要な貯蓄額

これからの生活に必要な貯蓄額

出典:内閣府『令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』を加工して作成

 

 

老後のために2,000 万円備えが必要と金融庁から発表があったものの、2,000 万円以上の貯蓄総額があるシニアは約15%でした。

金融庁では「考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・ 分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状 況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理 をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要 性を認識することが重要である。」とも言われていますので、老後のために若い頃からしっかりと計画する必要がありそうですね。

 


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