オムロン/高齢者の自立支援に資する介護予防サービスについて
2020/7/16
オムロンは、今回の大分県との連携協定の締結を機に、ICTを活用した「ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェア」を大分県内の市町村、地域包括支援センター、通所型短期集中予防サービス事業所と連携し検証を開始します。ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェアとは、経験によらずあらゆるケアマネジャー等の介護関係者でも正確な情報収集・分析を可能にするタブレット用のソフトウェアです。
高度な専門知識と技能が要求される「自立支援に資する介護予防サービス」では、利用者のニーズや生活における課題、その真因を把握することが必要です。そのために、経験値の高い職員の専門知識やアセスメントノウハウをソフトウェア化し、タブレット端末にて支援することで、利用者にあった情報収集・分析を可能にします。これにより、書類作成をはじめとする日々の業務負荷を改善し、ケアマネジャー等の介護関係者が利用者一人ひとりとのコミュニケーションに時間や能力を集中できるようにします。今回の連携協定では、ソフトウェアによるアセスメント支援機能の効果を検証するとともに支援機能の改良や追加をおこないます。
さらに、蓄積された情報を分析し、独自のアルゴリズムを用いてケアプラン作成を支援する機能の追加を今後おこなっていきます。これにより、システムがケアマネジャーの潜在能力を引き出し、専門能力のみならず対人スキルも向上し、持続可能な自立支援型のケアマネジメントの仕組みづくりを目指します。この支援システムを活用して多くの利用者に自立支援型の介護予防サービスを提供していくことに取り組み、その効果の検証と事業性の評価をおこないます。オムロンは今回の事業連携をモデルケースとし、「人」が活きるオートメーションにより人と地域の健康づくりに貢献する事業化を目指し、よりよい社会の実現を進めていきます。
※1:介護予防サービスとは、2006年4月の介護保険制度改正に伴い新設されたもので、高齢者ができる限り要介護状態に陥ることなく、また、状態の悪化を防ぐために生活機能の維持向上や改善を目的としたサービスです。
連携協定締結後の予定
1.「ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェア」の効果検証(2020年8月開始)
(1)「ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェア」によるケアマネジャーの業務の効率化、平準化の効果確認
(2)「ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェア」による自立支援型の介護予防サービスの効果向上の確認
2. 将来の取り組み予定
(1)「ケアマネジャー等の介護関係者支援ソフトウェア」から入力され、蓄積したデータに基づく独自アルゴリズムによるケアプラン提案などデータを起点とした効果検証の実施
(2) 自立支援型の介護予防ケアマネジメントのPDCA運営の支援
オムロンが介護予防サービスに取り組む背景
近年、高齢者人口の増加にともない、要介護(要支援)の認定者数は669万人を超え※2、この20年間で約2.6倍※3(注釈追加)と増加傾向にあります。要介護状態となる原因の多くに、老化にともない体を動かさない状態が続くことにより、心身の機能が低下し動けなくなる生活不活発病※4があると言われています。そのため、高齢者の生活不活発状態を見極め、適切な介護予防サービスを提供することによって介護状態を予防・改善できる可能性が高まることが注目されています。
※2:介護保険事業状況報告より(令和2年4月暫定版)。
※3:平成12年度 介護保険事業状況報告(年報)との比較。
※4:生活不活発病とは、廃用症候群とも呼ばれ身体の不活動によって引き起こされる2次的な障害の総称。
健康寿命を延伸するために、多くの自治体では地域ケア会議※5を中心として多職種が連携し、高齢者一人ひとりの生活事情に応じた、自立支援型の介護予防ケアマネジメント※6が推進されています。しかしながら、サービスの利用者ごとに健康状態や生活習慣が異なるため、それぞれの利用者に合わせた予防プランを作成し地域ケア会議を運営していくためには高度な専門知識や経験にもとづくノウハウが必要となります。また、現場の業務負担が大きいだけでなく、熟練者の専門知識やノウハウを継承していくのにも時間がかかり、自立支援型の介護予防ケアマネジメントを広く展開していくことが難しい状況です。そのため、これまで培ってきた「人のノウハウ」を活かしながら、自立支援型の介護予防ケアマネジメントを効率的かつ効果的に地域に定着させていく仕組みづくりが求められています。
※5:地域ケア会議とは、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に推進することにより、地域包括ケアシステムを構築していくためのひとつの方法(厚生労働省 地域包括ケアシステムより)
※6:自立支援型のケアマネジメントとは、心身機能、活動、社会参加などの生活機能等が低下し、日常生活における支援が必要となった高齢者に対して、生活課題の解決や残存した能力を最大限に引き出すことで、生活の質を向上させるサービス。
オムロンは、「機械にできることは機械に任せ、人間はより創造的な分野で活動を楽しむべきである」という創業者 立石一真の哲学のもと、オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」をつうじ、機械が人の能力や創造性を引き出す「人と機械の融和」した未来を目指しています。今回の連携協定を通して、イノベーション推進本部が、介護領域で「人」が活きるオートメーションに取り組みます。
■本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
オムロン株式会社 技術・知財本部 企画室
テクノロジーエンゲージメント広報課 北村/荻野
TEL: 0774-74-2010
E-mail: rndpnp-omron-JML@omron.com