2020.6.12 老人クラブとは
前回のマーケターのつぶや記「2020.6.5 シニアのボランティア活動」の記事では…
- 男性のボランティア活動者率は全世代の中でも77~74歳が最も高い
- シニア男性は「地域生活」、シニア女性は「医療・福祉」に積極的
- シニアは「まちづくりのための活動」に最も意欲的な世代
- 団体等に加入してボランティア活動を行う傾向が高い
というデータをご紹介しました。今回は、60歳以上のシニアがボランティア活動だけでなく幅広く活動する「老人クラブ」について、どういう成り立ちなのか、どのくらいのクラブ数があるのか、どういう活動をしているのかについてご紹介いたします。
老人クラブとは
老人クラブとは、昭和38年に施行された「老人福祉法」及び平成13年の「老人クラブ活動等事業の実施について」に基づき、老人の心身の健康の保持増進に資するための事業を行う団体のことです。
地域を基盤とした高齢者が自主的に集まって活動する小地域の範囲の組織で、入会者はおおむね60歳以上の方を対象としており、約30名から100名を標準として活動を行っています。基本的な財源は、会員の会費によってまかなわれており、国、地方自治体より支援を受けながら運営しています。
全国の老人クラブ数と会員数
厚生労働省『平成30年度福祉行政報告例の概況』によると、平成30年度末時点で全国の老人クラブは95,823クラブで、会員は約525マン人となっています。前年比では、老人クラブ数は2.8%減少し、会員数も4.4%減少しており、年々減少傾向にあります。
老人クラブ数・会員数
老人クラブの活動内容
老人クラブの活動内容はクラブによって異なり、多種多様な活動が行われています。老人クラブの会員の話し合いにより「生活を豊かにする楽しい活動」「地域を豊かにする社会活動」を意識した取り組みがなされています。
1. 健康活動
- 日頃の健康管理・正しい生活習慣の学習・実践(栄養・運動・休養、喫煙・飲 酒、病気・ねたきり・認知症の予防、歯・口腔の健康づくり、薬の使い方、医療 機関のかかり方、健康手帳やお薬手帳の活用、事故防止等)
- いきいきクラブ体操・健康ウォーキング・シニアスポーツの実施
- 趣味・サークル活動の拡充、おしゃべり会の開催
- 料理講習会・食事会の開催
- 家庭内外での転倒しない環境づくり、ヒヤリ地図の作成
- 健康診断・歯(口腔)の定期検診の受診促進、体力測定会の開催
- 高齢者医療や介護保険など制度・施策の学習 など
2. 友愛活動
- 関係機関と連携した集いの場づくり(サロン、ふれあい喫茶、居場所の確保等)
- 日常生活の困りごと支援(電球交換、ゴミ出し、物の移動、買い物等)
- 情報の伝達・提供(クラブや町内情報、福祉・防犯・災害・避難などの情報)
- ひとり暮らしや高齢者世帯への安否確認・声掛け・友愛訪問・話し相手・行事等への参加呼び掛け
- 認知症への正しい理解、権利擁護などの学習活動 など
3. 奉仕(ボランティア)活動
- 全国一斉「社会奉仕の日」(9月20日)の取り組み(下記参照)
- 公共施設や道路の清掃・美化・緑化・花づくり
- 資源回収・リサイクル活動
- 高齢者施設におけるボランティア
- 地域(子ども)見守りパトロール活動
- 防犯・防災のための活動
- 伝承や他世代交流
- 高齢者や地域から期待される活動への支援 など
これらの他にも、孤独死などシニアにありがちなトラブルの抑止として相互連絡会として機能したり、高齢者宅を狙う窃盗・強盗・悪徳商法の防犯情報の提供などの活動も見られます。
また、地域の伝統文化や観光資源の保護等、高齢者福祉というに枠に留まらず、シニア自身が主体性を持って社会活動する場も提供しているようです。
子供会がある地域では、子供会と老人会の交流といったイベントを開催するところもみられ、シニアの知恵を地域の子供らに伝えたり、交流の場として子供が顔見知りになる場を提供したりもしています。
老人クラブに参加することで、仲間が増え、行動範囲も広がり、健康へもつながります。また今まで培った知識や経験を活かす場所にもなり、シニアにとって重要なコミュニティでのようです。高齢者が日本の総人口の4人に1人になり、人生100年時代を言われる中、老人クラブの活動に対する社会的な期待は大きそうです。