全国老人福祉施設協議会/新型コロナウイルス感染症に伴う介護現場の窮状を課題提起、更なる支援を要請

2020/5/11

全国老施協加盟施設に対して緊急アンケートを実施し、
厚生労働省老健局長に対して要望

 

全国の特別養護老人ホームをはじめとする高齢者福祉施設・事業所約11,000か所が加盟する公益社団法人全国老人福祉施設協議会(東京都千代田区)は、厚生労働省老健局長に対して新型コロナウイルス感染症に対する現場の実情を伝え、早期な対応を要請した。
 
 令和元年1月14日に新型コロナウイルス感染症の一例目が発覚して以降、4月30日時点の感染者数は14,088例となっている。他国と比較して高齢者福祉施設における感染者数は低い状況にあるが、新型コロナウイルス感染症については、高齢者は重症化する恐れが指摘されており、現場では緊張状態が続いている。
 
全国老人福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策に係る現状と要望の概要
 
 
全国老施協は、会員で構成される代議員(社員)に対して緊急アンケート調査を実施し、現場において課題となっている事項を整理のうえ、発出した。

 
1.マスク(質の確保を含む)、手袋、防護服等の衛生用品等の安定的供給体制の確保
 感染防護用品については、医療提供施設でも確保が困難な状況があり、介護施設ではそもそも備蓄も十分ではなく、仮に感染等発生した場合の対応を懸念する声が強い。感染症が発生した場合に保健所等の指示が得られるとしても、感染防護用品は備蓄により対応したケースも多いことから、適切な供給確保を求めている。

2. クラスターが発生した場合の対応方針の明示、利用者の円滑な入院、防護用品の供給等
 厚生労働省では、感染者が発生した場合の対応について通知等で示されてはいるものの、より具体的な対応方法について求める声が強い。地域の医療機関の状況によっては、クラスターが発生した場合であっても高リスクであるとされる高齢者が入院できなかった事例も報告されていることから、適切な入院措置を求めている。

3. 介護現場の職員に対する優先的なPCR検査や早期治療
 介護職員についても発熱等により職場に出勤できない場合が散見されており、職員が不足している現場が、よりひっ迫する結果となってしまし、特定の職員に過重な負荷がかかってしまう場合がある。このため、介護職員については、早期に陽性かどうかを把握できるよう優先的なPCR検査を求めている。

4. 人員基準体制の柔軟かつ弾力的な運用と、クラスター対策専門チームの派遣
 新型コロナウイルス感染症の感染疑い等のために職員が自宅待機となった場合に運営にひっ迫する場合がある。そうした場合には、職員配置において満たさなければならない基準について緩和がなされているが、保険者(市町村)等において適切に問題がないと判断するか懸念する声が現場にはあった。有事の際には感染症対応に注力できるよう適切な対応を求めている。

5. 介護従事者への特別手当等の給付
 人手不足の中で、感染拡大防止対策で相当な負担を強いられ、さらに感染防止などの観点から欠勤せざるを得ない職員もでてきる状況の中で、現在勤務している職員の体力的・心理的な負担、緊張・不安は限界に達してきており、これらの職員に対して手当等の支援策を求めた。
 その他、経営資金の融通の簡素化、迅速化等の措置の他、わかりやすい通知や指導、治療薬・ワクチンの早期開発を求めた。

 
  全国老施協では、高齢者福祉施設における感染症拡大防止に係る様々な支援を講じている。今後の介護報酬改定や予算等の拡充を実現すべく、引き続き現場の課題や実態を取り纏め、高齢者福祉の増進に向け活動を進めていく。

(全国老施協)コロナ特設ページ 老施協の活動
https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-single-entry&type=contents&spot=319269

 
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