エンワールド・ジャパン/高年齢者の労働についての意識調査
2020/4/23
『70歳までの就業機会確保』企業の認知度は約5割
改正案の施行開始に「前向き」は企業4割、転職サービス登録者は6割
1.企業(人事・採用担当者)
■「70歳までの就業機会確保」の努力義務、企業の認知度は約5割
■ 外資系企業39%、日系企業51%が、「70歳までの就業機会確保」の努力義務の施行開始に「前向き・ポジティブ」と回答
■「前向き・ポジティブ」の理由、第1位は『働く意欲のある人には、年齢を問わず就労機会の提供が必要』。「後ろ向き・ネガティブ」の理由、第1位は『体力などを考慮すると任せられる業務に限界がある』
■ 2021年4月以降「70歳までの継続雇用制度」を導入の見込みが最多
外資系企業ではすでに対応済みの企業も。
2.転職サービス登録者
■ 「70歳までの就業機会確保」の努力義務、転職サービス登録者の認知度は約3割
■ 約6割が「70歳までの就業機会確保」の努力義務の施行開始に『前向き・ポジティブ』と回答
年代が上がるにつれ高くなる傾向
■ 「前向き・ポジティブ」の理由、第1位は『元気な限り働き続けたい』
「後ろ向き・ネガティブ」の理由、第1位は外資系企業社員『70歳まで働きたくない』
日系企業社員『70歳まで働かなくて良くなる労働環境整備・法整備が必要』
■ 61歳以降に希望する働き方、「60歳までと同じ職場・職種・役職」が最多
※「70歳までの就業機会確保」努力義務について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/employment_opportunity/policy.html
【結果解説】エンワールド・ジャパン 代表取締役社長 ヴィジェイ・ディオール(Vijay Deol)
当社の転職サービスの60歳以上のご登録者様も、健康なだけでなく、積極的・頭脳明晰で、これまでの豊富な経験を活かして活躍できる企業で、自らのスキルや知識生かすことを熱望している方が数多くいます。60歳以上の方でも、正社員として働ける能力や意思がある場合がありますが、年齢の高い労働者が企業に価値を提供し続けながら、企業にとってより費用対効果の高い雇用を実現するために、両者の間でより柔軟性の高い雇用契約を検討する機会が増えています。
【調査結果 詳細 1.企業(人事・採用担当者)の回答】
1.「70歳までの就業機会確保」の努力義務、企業(人事・採用担当者)の認知度は約5割。(図1)
企業(人事・採用担当者)に、高年齢者雇用安定法改正(2021年4月施行開始)における「70歳までの就業確保」の努力義務について知っているか伺ったところ、約5割が「知っている」 (外資系業:55%、日系企業:51%)と回答しました。
2. 外資系企業39%、日系企業51%が「70歳までの就業機会確保」の努力義務の施行開始に、「前向き・ポジティブ」と回答 (図2)
企業に「70歳までの就業機会確保」の努力義務について感想を伺ったところ、「前向き・ポジティブ」と回答したのは外資系企業で約4割、日系企業で約5割となり、日系企業の回答が12ポイント高くなりました。 (同:39%、51%)
【図2】「70歳までの就業機会確保」の努力義務について、どの様な感想を持っていますか。
前問で「前向き・ポジティブ」と回答した企業に理由を伺うと、第1位は外資系・日系企業ともに「働く意欲のある人には、年齢を問わず就労機会の提供が必要」(同:75%、80%)でした。第2位は外資系企業で「熟練した優秀な労働者には長く働いてほしい」(同:57%、50%)、日系企業で「日本は労働力不足を補う必要がある」(同:60%、46%)でした。
「後ろ向き・ネガティブ」と回答した企業に理由を伺うと、第1位は外資系・日系企業ともに「体力などを考慮すると任せられる業務に限界がある」(同:60%、56%)でした。第2位は外資系企業で「古い文化が残り、企業が革新していく際の妨げとなる」(同:52%、22%)、日系企業で「若手労働者の方が新しい技術や知識の吸収が早い」(同:20%、33%)でした。
「その他」では、外資系企業で「若手社員のポジション・雇用機会の減少」が目立ち、グローバルヘッドクオーター(本社)の指示で社員数の調整にシビアな外資系企業ならではの文化がうかがえます。日系企業では「老後はゆっくりしてほしい」「新しいポジションを作らないと現職の継続が困難」などでした。
【図3】「70歳までの就業機会確保」の努力義務について「前向き・ポジティブ」と回答した企業に伺います。その理由は何ですか。(複数回答可)
・限られたヘッドカウントの中で、若い社員を雇用することへの妨げとなる。(外資系企業)
・職種開発が必要。担当業務をそのままシルバー層に当てるのには無理がある。(日系企業)
4. 2021年4月以降「70歳までの継続雇用制度」を導入の見込みが最多。外資系企業ではすでに対応済みの企業も。(図5、図6)
企業に「現在、高年齢者雇用安定法に基づき、どの様な措置を取っていますか」と伺ったところ、外資系企業、日系企業ともに「65歳までの継続雇用制度導入」と回答した企業が最多となりました。(外資系企業:65%、日系企業:71%)
2021年4月以降「70歳までの就業機会確保」にどの様な措置を取る予定かについては、「まだ検討していない」が約6割を占めています。検討を進めている企業では「70歳までの継続雇用制度導入」が最も多くなりました。 (同:23%、29%)「70歳までの継続雇用制度導入」と回答した企業の回答理由もご紹介します。外資系企業では複数の企業で「すでに就業規則で対応済み」が見られ、能力のある人材の継続雇用の意識の高さが伺えました。
【図5】現在、高年齢者雇用安定法に基づき、どの様な措置を取っていますか。
▶「70歳までの雇用継続制度」の回答理由(フリーアンサー)
・早期退職を望む社員もあり、定年としてしまうのはかえって選択肢を狭めてしまう(外資系企業)
・既に定年(65歳)以降継続雇用を契約ベースで実施している(外資系企業)
・就業規則にすでに制定済み(外資系企業)
・老化に個人差がある以上、一括した定年延長は無理がある(日系企業)
【調査結果 詳細 2. 転職サービス登録者 回答】
5.「70歳までの就業機会確保」の努力義務、転職サービス登録者の認知度は約3割。(図7、図8)
転職サービス登録者に、「70歳までの就業機会確保」の努力義務について知っているか伺ったところ、「知っている」と回答したのは約3割(外資系企業社員:32%、日系企業社員:31%)となり、企業の回答の5割を下回りました。(図1参照)
【図7】高年齢者雇用安定法改正における「70歳までの就業機会確保」の努力義務について知っていますか。(転職サービス登録者/外資系企業社員)
(転職サービス登録者/日系企業社員)
6. 約6割が「70歳までの就業機会確保」の努力義務の施行開始に、『前向き・ ポジテブ』 と回答。年代が上がるにつれ高くなる傾向(図9、図10)
転職サービス登録者に「70歳までの就業機会確保」の努力義務について感想を伺ったところ、「前向き・ポジティブ」と回答した方は約6割(外資系企業社員:61%、日系企業社員:57%)となり、外資系企業社員で22ポイント、日系企業社員で6ポイント、企業の回答を上回りました。(企業回答/外資系企業:39%、日系企業:51%、 図2参照)
転職サービス登録者のほうが前向きな感想を持っている割合が高く、改正案施行に対する期待が高いことがうかがえます。年代が高くなるにつれて「前向き・ポジティブ」と回答する方の割合が高くなる傾向も見られました。
【図9】 「70歳までの就業機会確保」の努力義務について、どの様な感想を持っていますか。
(転職サービス登録者/外資系企業社員)
【図10】 「70歳までの就業機会確保」の努力義務について、どの様な感想を持っていますか。
(転職サービス登録者/日系企業社員)
7. 「前向き・ポジティブ」の理由、第1位は『元気な限り働き続けたい』
「後ろ向き・ネガティブ」の理由、第1位は外資系企業社員『70歳まで働きたくない』
日系企業社員「70歳まで働かなくて良くなる労働環境整備・法整備が必要』(図11、図12)
前問で、「前向き・ポジティブ」と回答した転職サービス登録者に理由を伺うと、第1位は「元気な限り働き続けたい」で約7割でした。(外資系企業社員:69%、日系企業社員:68%)。また、「後ろ向き・ネガティブ」と回答した方に理由を伺うと、第1位は外資系企業企業社員で「70歳まで働きたくない」(同:62%、51%)、日系企業社員で「70歳まで働かなくて良くなる労働環境整備、法整備が必要」(同:61%、56%)でした。「その他」では、「若手のポジション・雇用機会低下」「体力面の心配」「パフォーマンスの低下やそれに基づく企業の競争力低下への懸念」などが目立ちました。
【図11】「70歳までの就業機会確保」の努力義務について「前向き・ポジティブ」と回答した転職サービス登録者に伺います。その理由は何ですか。(複数回答可)
・若者の雇用機会を奪っている。もう少し雇用に関しても柔軟性が必要。(外資系企業社員)
・企業の負担が懸念される、競争力の低下。(外資系企業社員)
・定年があり退職金等で老後を過ごせる前提が崩れているので、抜本的な構造変換が必要。(日系企業社員)
8. 61歳以降に希望する働き方、「60歳までと同じ職場・職種・役職」が最多。(図13、図14)
転職サービス登録者に「何歳まで働き続けたいと思いますか」と伺うと、約8割が「61歳以上」と回答しました。(外資系企業社員:78%、日系企業社員:80%) 。2021年4月の高年齢者雇用安定法改正で就業機会確保の努力義務が開始される「66歳以上」は約5割(外資系企業社員:54%、日系企業社員:55%)でした。
「60歳を過ぎたら、どの様に働きたいですか。」と伺うと、第1位は「60歳までと同じ職場・職種・役職」 でした。 (同:29%、30%) 「60歳までと同じ職場・職種・役職」と回答した理由を伺うと、「現ポジションへの貢献度の高さ」「変化への不安」「突然能力が下がるわけではない」「収入額を維持したい」という内容の回答が目立ちました。
【図13】何歳まで働き続けたいと思いますか。
【図14】 「61歳以上」まで働き続けたいと回答した方に伺います。60歳を過ぎたら、どの様に働きたいですか。
・高齢で急に環境を変えるのは難しい(外資系企業社員、40代)
・モチベーションキープのため(外資系企業社員、50代)
・スキルと経験があり、まだチームメンバーの成長に貢献出来ると考えているから(外資系企業社員、50代))
・いつまでもキャリアアップを目指したい(日系企業社員、40代)
・最も貢献できる環境だと考えられるため(日系企業社員、40代)
・ 急にスキルや能力、やる気が落ちるわけでない(日系企業社員、50代)
・安定した収入を確保したい(日系企業社員、50代)
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【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査実施期間:2020年3月26日~3月30日
有効回答数:企業:113社
転職サービス登録者:1,275名
回答者属性:企業/外資系企業:65%、日系企業 35%
転職サービス登録者/外資系企業社員:46%、日系企業社員: 54%、
20代:7%、30代:27%、40代:41%、50代:23%、60代以上:2%
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