2020.2.21 シニア世代のお祝い「賀寿」「長寿祝い」とは?
皆さまは、ご家族やご親戚内で「長寿祝い」をされていますか?
両親や祖父母に元気で長生きして欲しいと思うのは家族であれば当然です。そのような気持ち思いの表れとして、日本では古くからさまざまな長寿祝いで人生の節目を祝ってきました。
今回はその豊かな人生を祝う「賀寿」についてご紹介します。
「賀寿」とは?その歴史は?
「賀寿」とは、長寿を祝福し、周りの者が長寿にあやかるお祝いです。算賀〔さんが〕、賀の祝い、長寿の祝いとも呼ばれています。
「吾、十有五にして学に志、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順、七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず」という有名な言葉がありますが、紀元前550年頃存在した思想家・孔子が説いた儒教では、敬老思想や長寿を尊ぶ思想がありました。
この思想が日本にも伝わり、奈良から平安時代にかけて40歳(四十賀)、50歳(五十賀)、60歳(六十賀)をそれぞれ長寿の年として、貴族の間で祝う風習が生まれました。この頃は詩を送ることで長寿を祝う風習だったそうです。
しかし、鎌倉時代以降、40歳(四十賀)や50歳(五十賀)という考えは薄れ、古希(70歳)や喜寿(77歳)などより長命の長寿祝いが誕生し、呼び名も現在のように変化しました。鎌倉時代にまだまだ平均寿命が短いこの時代に、なぜ70歳の古希、77歳の喜寿などの長寿祝いが生まれのか?これは…平清盛のひ孫である藤原貞子が107歳まで生きたためだと言われています。古希・喜寿・米寿・白寿のテーマカラーが紫色であるのは、当時高貴な身分の人しか着られなかった紫色の衣装を藤原貞子が着ていたためではないかとも言われています。
江戸時代になると、還暦(60歳)が生まれ、傘寿(80歳)、半寿(88歳)、卒寿(90歳)などのバリエーションも誕生しています。ちなみに、77歳や88歳などの「ぞろ目」が多いのは、中国では昔から「ぞろ目」を不吉な数字と捉えていて、この年にはお祝いすることで厄払いをしようと考えていたためです。
このように、「賀寿」には長い歴史があるのですが、2002年に「緑寿」が日本百貨店協会によって提唱されています。緑寿は数え年66歳の方の長寿を祝うものです。平均寿命が延び、65歳での定年が定着した現代では、還暦の60歳はまだまだ現役世代です。そのため緑寿には、65歳で定年を迎えたこれまでの労いと、まさにこれから第2の人生を元気に歩み出す人へのエールが込められた賀寿となっています。
長寿祝いの種類とその由来
長寿祝いは還暦から始まり、本来は数え年の誕生日に祝うものでしたが、最近は満年齢で祝う人が多くなっています。長寿を祝う節目の年齢にはそれぞれ名前が付けられていて由来があります。それぞれの長寿祝いの年齢・由来をご紹介します。
呼び方 | 年齢 | 由来 |
還暦 |
61歳 (満60歳) |
60年で十干十二支(じっかんじゅうにし)が一巡してもとの暦に還ることに由来。赤いちゃんちゃんこは赤子に戻りもう一度生まれ変わって出直すという意味。長寿祝いの色は赤・朱。 |
緑寿 (ろくじゅ) |
66歳 |
「緑」を「ろく」とも読むことから「66=ろくろく=緑緑寿」を完結したもの。 長寿祝いの色は緑。 |
古希 (こき) |
70歳 | 中国の詩人、杜甫の詩の一節「人生七十古来稀なり」に由来。 長寿祝いの色は紫。 |
喜寿 (きじゅ) |
77歳 | 喜の草書を楷書にすると「㐂」と書き、字を分解すると十七の上に七が付いたような文字となることに由来。 長寿祝いの色は紫。 |
傘寿 (さんじゅ) |
80歳 | 「八十寿(やそじゅ)」とも言う。傘の字の略字「仐」を分解すると八十となることに由来。 長寿祝いの色は金茶。 |
米寿 (べいじゅ) |
88歳 | 米の字を分解すると八十八となることに由来。 長寿祝いの色は金茶。 |
卒寿 (そつじゅ) |
90歳 | 卒の字の略字「卆」が九十と読めることに由来。 長寿祝いの色は白。 |
白寿 (はくじゅ) |
99歳 | 百の字から一を引くと「白」になることに由来。 長寿祝いの色は白。 |
百寿 (ももじゅ) |
100歳 | 100歳であることから百寿。ひゃくじゅ。紀寿(きじゅ)とも。紀は一世紀を表すことから。 長寿祝いの色は白。 |
茶寿 (ちゃじゅ) |
108歳 | 茶の字を分解すると八十八、十、十となり、すべて合わせると108になることに由来。 |
皇寿 (こうじゅ) |
111歳 | 皇の字を分解すると白(99歳)、一、十、一となり、すべて合わせると111になることに由来。 |
大還暦 (だいかんれき) |
120歳 | 2回目の還暦。 |
「人生50年」と呼ばれた昔は、還暦まで長生きすることが珍しい時代でしたが、平均寿命が長くなった現在は60歳を超えても元気な人が多くなりました。そのため、還暦の祝いはあまり大げさにはせず、古稀や喜寿くらいから盛大に祝うのが一般的になってるようですよ!