ナリス化粧品/認知症高齢者へのマッサージ、脳の賦活効果を確認
日本ヘルスプロモーション理学療法学会で発表し、奨励賞受賞
一般社団法人日本介護美容セラピスト協会(代表理事:谷都美子/大阪市福島区)は、11月3日に開催された、「日本ヘルスプロモーション理学療法学会 第9回学術集会」にて、「上肢と下肢に対するマッサージが、認知症高齢者の脳波活動に及ぼす効果」を発表。脳波計測の結果として、腕部と脚部へのマッサージが、認知症高齢者の幸福感や快情動に関わる脳領域を賦活させることがわかったと発表し、奨励賞を受賞しました。
従来、身体にマッサージを行うことで高齢者の行動面や心理症状の改善に効果的であることは、アンケートなどで既に明らかでした。アンケートに答えづらい認知症高齢者の反応は数値をとりづらく、過去にも発表はありませんでしたが、今回、客観的な脳波計測という手段を用いたことで、初めて明らかとなりました。
学会発表の演題数は7件、その中で当発表の1件のみが奨励賞に選定されました。尚、この研究は、京都橘大学、広島都市学園大学、ナカムラ病院との共同発表です。
※マッサージとは、マッサージングトリートメントのことです。
■評価方法
対象者:認知症高齢者17名
(うち、アルツハイマー型認知症15名、血管性認知症2名。うち男性3名 女性14名 平均年齢84.9±4.5歳)
方法:腕部マッサージ15分 ①~③をそれぞれ5分間軽擦
(①手首から肘まで前腕全体②指先から手首まで手全体③手指付け根から先端にかけて手指1本ずつ)
脚部マッサージ15分 ①~③をそれぞれ5分間軽擦
(①足首から膝まで下腿全体②足先から足首まで足全体③足指付け根から先端にかけて足指を1本ずつ)
マッサージは、日本介護美容セラピスト協会の5年間の実務経験があるビューティタッチセラピストによる。
※ビューティタッチセラピスト…日本介護美容セラピスト協会の認定を受けた、介護美容に関わる知識やマッサージの技術を習得したセラピスト。
測定内容:腕部、脚部のマッサージの前後に座位、開眼状態で、90秒間安静時の脳波活動を測定。
■結果
1、腕部マッサージ後の脳波測定において、幸福感に関連する左前帯状皮質にβ帯域の有意な増加が認められました。
2、脚部へのマッサージ後の脳波測定において、快の情動に関連する左島皮質にα帯域の活性化が認められました。
上記より、腕部(上肢)と脚部(下肢)に対するマッサージは、認知症高齢者の幸福感や快情動に関わる脳領域を賦活させることが確認できました。
■今後の展望
超高齢化社会を迎えた日本において、加齢に伴い増加する認知症に対する取り組みは、喫緊の学術的かつ社会的課題です。認知症高齢者の生活の質を向上させることや、介護者のモチベーションに繋がる取り組みは、より必要性を増すと考えます。認知症高齢者の脳波活動の賦活は、認知症の進行を遅らせるだけでなく、会話がない状態でも認知症高齢者の満足を得られているということがわかり、介護者の満足にも繋がると考えます。今後、より、介護される側、介護する側の双方に有益な研究はもとより、高齢者、認知症高齢者だけでなく障がい者に対しても検証を実施していきます。
■発表内容
タイトル:上肢と下肢に対するマッサージが、認知症高齢者の脳波活動に及ぼす効果
発表者:京都橘大学 健康科学部:中野英樹・村田伸・兒玉隆之
広島都市学園大学:平岩和美・平尾文
ナカムラ病院:中村萌子
一般社団法人日本介護美容セラピスト協会(株式会社ナリス化粧品):谷都美子・森郁子
【一般社団法人介護美容セラピスト協会 概要】
※一般社団法人日本介護美容セラピスト協会は、株式会社ナリス化粧品が100%出資しています。
所在地:大阪市福島区海老江1丁目11番17号(株式会社ナリス化粧品 本社内)
設立:2014年4月
代表者:代表理事 谷都美子
事業内容:
心と体の美容療法®を創出。ビューティタッチセラピー®(介護美容)の手法を用いて、マッサージやメークなどの「肌に触れるケア」をとり入れることで、主に高齢者の自立支援やQOLの向上を目指す。全国で、ビューティタッチセラピストの養成と認定講座を開催。約1,758名(2019年10月末現在)の認定セラピストを輩出している。また、施設や地方包括ケア等のリクエストに応え、セラピストの派遣を行っている。
2014年9月 九州ヘルスケアサービス産業創出研究会テーマ事業に認定
2015年3月 日本健康支援学会で発表
2015年3月 日本早期認知症学会で発表
2016年3月 厚生労働省 「保険外サービス活用ガイドブック」に掲載
2018年6月 日本健康心理学会、日本ヒューマン・ケア心理学会学術集合合同大会で発表
2019年3月 日本健康支援学会で発表
2019年10月 日本早期認知症学会で発表
2019年11月 日本ヘルスプロモーション理学療法学会で発表