『日本栄養支援配食事業協議会(英表記:Japan Nutrition Support Food Delivery Conference)』設立総会

日本栄養支援配食事業協議会

(Japan Nutrition Support Food Delivery Conference)

設立総会 取材レポート


高齢化が急速に進んでいる日本において、高齢者への適切な食事供給が課題となっている。

その中で配食事業を営む企業の内、計26社が連携し『日本栄養支援配食事業協議会(英表記:Japan Nutrition Support Food Delivery Conference)』を2018年5月7日(月)に設立した。

同日の設立総会では、設立目的と「日本栄養支援配食事業協議会(以下、NSD)」に対する国や行政の期待する社会的役割などが紹介された。

現代の高齢者の食事による栄養摂取状況とそれに対する行政・企業の動向を取材した。

NSD設立の背景

近年、急速な高齢化の進展に伴い嚥下や咀嚼が困難な高齢者に向けた専用食品や提供サービスが数多く開発され、少しずつ手の届くものになってきた。しかし、健常な高齢者も含めたひとりひとりの栄養摂取状況をみると、まだまだ高齢者の多くが「低栄養状態」であるという実態が明らかになってきた。そこで厚生労働省は医療などの措置面だけではなく、日常の食事面から健康のベースをしっかりと作ることが極めて重要であると発信し始めたのだ。

高齢者に対し「低栄養状態」を防ぐ食事摂取の必要性と手法を指導していくには、今までのような医師・栄養士などの疾患改善を主にするスペシャリストだけではなく、日常的に食事を提供する配食事業を営む法人企業全体にも同義が求められる時代になってきたと言えるだろう。

NSD設立の目的

NSDはこうした社会背景に呼応し、配食事業企業が連携して超高齢社会における国民の健康維持・増進に貢献するための食事のあり方について検討するとともに、様々なガイドラインの素案作りや企業の社会的役割などを議論し、行政機関や企業との調整や啓蒙、生活者への発信などをすることを目的に当該協会は設立された。

差し当って、すでに厚生労働省が定めている「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」を、国民そして配食業界全体に対して啓蒙と理解促進を図っていく活動がNSDには期待されている。

※日本栄養支援配食事業協議会幹事メンバーはこちら

  • 会長   株式会社ヘルシーネットワーク      黒田 賢氏

  • 副会長  株式会社はーと&はあと ライフサポート 宮崎 吉昭氏

  • 事務局長 トーアス株式会社            岡本 篤志氏

  • 理事   キッセイ薬品工業株式会社        小池 雅志氏

  • 理事   株式会社シニアライフクリエイト     清水 勝氏

  • 理事   タイヘイ株式会社            大重 尚道氏

  • 理事   日清医療食品株式会社          大東 正人氏

  • 理事   株式会社ニチレイフーズ         大川 真一氏

  • 理事   株式会社武蔵野フーズ          山本 恭士氏

  • 理事   ワタミ株式会社             小松 一茂氏

※その他参加企業はこちら

日東ベスト株式会社、国文グループ本社株式会社、シルバーライフ株式会社、ヨシケイ開発株式会社、株式会社トーカン、ドクターフーヅ株式会社、モルツウェル株式会社、株式会社パレット、ひまわりメニューサービス株式会社、株式会社ファンデリー、株式会社ベネッセパレット、株式会社ベルーナ、株式会社ジョイント、株式会社ソーシャルクリエーション、栗木食品株式会社、グローバルキッチン株式会社

設立総会の第2部では、厚生労働省健康局健康課栄養指導室 室長補佐の塩澤 信良氏より日本栄養支援配食事業協議会に期待される役割が語られた。

2

「配食事業者1社が今後生活者から求められる栄養相談・食材・商品・献立作りなどのあらゆるニーズにすべて対応していくのは恐らく難しい。栄養指導に沿った内容から1つずつできることから進めていくのが良いのではないか。物理的に社内の栄養士だけでは対応できない場合には自治体の健康指導部門にはほぼ100%の確率で栄養士が常駐している為、積極的に相談・活用をしてほしい。」

配食事業者が今後求められる自らの社会的役割を認識し達成するためには、自社だけでなくあらゆる機関とコンタクトを取っていく事が重要との事だ。そして、NSDにおいても同業他企業との連携基盤として活用可能であったり、外部からの相談対応機能を持った協議会になることへも期待していた。

現在、多くの企業が高齢者に向けた食品を販売しているが、企業と生活者の相互理解が進んでいるとは言いがたい現状がある。今後相互理解を深めていく為の1つの情報発信元として配食業者への期待度は高い。NSCが機能することによってこれらを推進することができれば、高齢者への適切な食事供給の課題解決はもとより、「超長寿国日本」の新たなる食文化育成に寄与するものではないだろうか。

3



日本栄養支援配食事業協議会

https://j-nsd.org/


 

シニアマーケットがビジネスの新たなチャンスとして注目される中、それらに関連する数多くのイベントや展示会が開催されています。シニアライフ総研®では、イベント主催者や運営団体に独占取材しその内容をご紹介しています。

2018年3月13日開催
「京王シニア応援フェスタ」
2018年3月6日開催「ヤマハ耳トレ声トレ体験イベント」
2015年2月4日~6日開催
「ヘルシニア」

日本製への拘りと独自の販路開拓によって
育成されたブランド「快歩主義」

執行役員 / 営業・商品本部戦略ブランド販売部
快歩主義グループ ブランドマネージャー
穴井 政春氏

創業以来120年以上に渡って、高品質の靴を作り続けてきたアサヒシューズ株式会社。確かな技術と信頼の背景には、国内工場製造への深い拘りがありました。

そして、今シニア市場で話題の商品「快歩主義」は、健康・快適シューズ市場においてNo.1のブランド(※)に成長しています。(※2012年シューズポスト紙調べ)

今回は、この「快歩主義」ブランドの育成と販路拡大を含め、アサヒシューズのシニアマーケティングへの取り組みについて深くお話をお伺いします。

2018年5月取材


はじめに

【シニアライフ総研(以下、SLS)】今回はシニア用の靴市場において、自社ブランドである「快歩主義」が大きな支持を得ているアサヒシューズさんにお話をお聞きします。
お話くださるのが同社営業セクションを経て現在はブランドマネージャーを努めていらっしゃる穴井さんです。

【穴井】まずは、弊社に興味を持っていただいて光栄に思います。

【SLS】本日は、本社のある福岡県久留米市からわざわざお越しいただき(※)、本当にありがとうございます。(※編集部注 : インタビューは、東京・有楽町にあるアサヒシューズ様ショールームにて実施)

【穴井】弊社は新幹線とJR在来線の久留米駅近くの、電車からもよく見える川沿いに本社と自社工場があります。

主たるシューズメーカーにおいては、国内で自社工場を有する会社は少なくなっていて、国内工場があったとしてもアッパーと呼ばれる靴の上部の縫製は海外で行い、靴底との接着だけ国内で行う工場が多く、弊社のようにアッパーの縫製も自社や久留米市近隣の協力工場で行っている会社は珍しいと思います。

靴には様々な種類がありますが、弊社は高齢者向けのブランドとして「快歩主義」というブランドを企業の主要ブランドと位置付けています。お陰様で、65歳以上の市場においては、ナイキやプーマをご存じない方でも「アサヒシューズ」や「快歩主義」の認知が徐々に高まっていることを実感しています。

私からは営業という立場から、高齢者マーケットへの取り組みについて「熱く」お話したいと思います(笑)。

【SLS】ぜひ「熱く」よろしくお願いいたします(笑)。

「快歩主義」の商品特性

【SLS】まず、「快歩主義」の商品特性についてお聞かせください。

快歩主義 定番商品

【穴井】「快歩主義」定番商品のメーカー希望小売価格は5,900円です。他社さんからはこれに競合する商品が3,900円程度で売られているようです。そう考えると決して安くはないのですが、弊社は「快歩主義」発売以来この価格を維持しております。なぜなら商品の品質に絶対的な自信を持っているからです。

商品の差別化ポイントはゴム底にあります。ゴムというのは本来重いものなのですが、「快歩主義」に使用されているゴムは圧倒的に軽いのです。

khs2

 (※快歩主義の最軽量商品の重量は約130g)

実は、ゴム底製造の歴史こそが、弊社の歴史と言っても過言ではありません。弊社は足袋の生産から始まり、その後、地下足袋へと移行してきました。久留米は近隣に三池炭鉱、田川炭鉱など炭鉱が多く、炭鉱夫のために地下足袋を作って最初に特許登録したのが弊社です。これがゴム加工を始めたきっかけとなるのですが、ここから長年に渡りゴム加工技術の研鑽を積み重ねてきました。

靴のデザイン部分は流行やライフスタイルに合わせて変動しますが、ゴム底加工の技術だけはそれぞれの会社に脈々と受け継がれてきたノウハウがあり、簡単には真似できないはずです。靴底(裏側)を見ていただければすぐにわかっていただけます。「快歩主義」は靴底の全面にゴムを使用しており、これが履き心地の良さを生んでいます。

他社さんの製品は、そのほとんどが軽量化のために発泡させた合成樹脂を使用し、滑り止めとして部分的にゴムを使っている商品が多いはずです。

【SLS】更には、各方面の専門家の助力があったとお伺いしておりますが…。

【穴井】「快歩主義」には基本設計として「正常歩行機能(フットオンコントローラーシステム)」が採用されています。加齢により骨格構造や歩行が変化してくことに対応する機能で、特許登録もしております。

快歩主義が足に優しい5つのポイント

この技術は、1999年に松波総合病院リハビリテーション科(当時)の酒向先生(理学療法士)との出会いから始まります。更には整形外科医の先生方の協力も得ながら研究開発を行って誕生しました。軽量化を実現するため靴底にはエクスパンセル(ガスを入れたプラスチック球状発泡剤)を採用し、ゴムへの配合率や焙造条件(温度や時間など)を独自に研究し、量産を実現しました。

また、デザイン面については、面ファスナー部分を素材メーカーと共同で開発し、医療機関で検証を行いました。消費者は厳しい視点を持っています。健康に関わる付加価値を持った商品というのは、メーカーの独りよがりでは売れません。やはり、専門家の知識や助言という裏付けが絶対的に必要です。

シニアマーケットへの事始め ~ 会社更生法適用時代を経て

【SLS】御社は早い時点(1999年頃)にすでに高齢者マーケットに着手していますが、当時の背景をお聞かせください。

【穴井】高齢化が加速する日本では、要介護の基準、サービス運営基準など、公的介護保険の詳細について定めた法律である介護保険法が1997年に制定され、2000年より施行された時代背景があります。当時の商品開発テーマとして、「21世紀の高齢化社会へ対応する商品開発構想」を掲げ、シニア向け商品の開発に着手しました。

またこの頃の靴市場は、すでに韓国製、中国製など海外生産製品が席巻しており、価格競争が激化していました。これは国内の自社工場で生産を行っている弊社にとって苦しい状況でした。

そこで方針を転換し、自社工場だからこそ作れる他社には真似のできない付加価値を持った商品を開発する必要がありました。そしてそのような商品は高齢者マーケットにこそ需要があると考えました。

【SLS】では、国産に拘ることが高齢者マーケットへたどり着くきっかけだったということですか?

【穴井】そうです。更に掘り下げると、弊社が1998年に会社更生法の手続きを申請したという実情が背景にあります。つまり倒産です。当時、弊社の主たる取引先は、商店街の靴屋さんでした。大型ショッピングセンターはまだ少なく、商店街に元気があった時代です。売上自体はあったのですが、その実態は苛烈な安売り競争に苛まれ、利益は非常に少なかった。売れれば売れるほど、その翌年に小売店から仕入原価を下げるよう要請が来ました。「あと1%引いてくれ」と。厳しい要請ですが、しかし取引先を切るわけにはいかないから泣く泣く値引きする。結果として、売っても売っても経営が苦しいという負の連鎖が続き、過剰在庫もあり最終的に倒産に追い込まれました。当時の反省も踏まえ、現在は商品の価格を下げないという原則を守っています。

【SLS】会社の再生を通じて、価格競争に苛まれないための経営戦略に移行されたのですね。

【穴井】そうです。これがきっかけで大量生産による競争路線から、オンリーワンの機能を持った自社ブランド路線へとシフトしていきます。その一環がシニア向けの商品開発だったのです。

自社工場を武器にするための経営戦略

【SLS】会社再建当時に「これからはシニアを攻める」と聞かされた時は、現場にいらっしゃった穴井さんはどうお感じになりましたか?


【穴井】正直言ってシニアをターゲットにすることに対し、それほど何かを感じるということはありませんでした。ただやるだけだと。それよりも、工場をフル稼働させたいという思いがありました。

【SLS】ここまでのお話からも、久留米の自社工場について強い思い入れを感じていました。

【穴井】それには理由があります。実は前述した会社更生法が適用された頃に、工場存続の危機があったのです。会社は経営再建を目指してスポンサーを探します。当時、ありがたいことに、弊社の再建のために手を挙げてくださったいくつかのスポンサー候補がありましたが、そのほとんどが「自社工場を手放し、全国にある販売網の活用に重点を置く」ことを再建の条件として提示されました。

しかし、当時の弊社経営陣は自社工場の存続に強く拘りました。その背景には「従業員の雇用を守りたい」という思いがあったからだと思います。幸いなことに、この考えを強力に進めてくれる管財人が就任され、そこから再建が図られることになりました。

このような経緯の後に残すことができた工場であり従業員ですので、これを何とか自分たちのチカラで最大限に稼働させたいと思いました。かと言って、無闇にモノを作ればいいというわけではありません。例えば人気を理由にブーツなどの季節需要のある商品などに寄ってしまうと、闇雲にアイテムが増え工場の負担は瞬間的に大きくなるだけでなく、年間の稼働率に偏りが出てしまいます。工場を健全に維持し続けるためには、年間を通じて平均的な需要が見込める定番商品、つまり安定した「自社ブランド」商品を作ることが最重要課題でした。

【SLS】「自社ブランド」路線にシフトした後、工場の稼働率はどのように推移しましたか?

【穴井】その後「快歩主義」を始めとした様々なブランドが着々と成長し、今では、アサヒシューズの商製品全体における7割が自社工場による生産となっています。

【SLS】国内工場比率が70%というのは、靴メーカーとして比類のない数字なのでは?

【穴井】そうですね。珍しいと思います。

独自のプロモーション施策

【SLS】そんな自社工場で生産される「快歩主義」についてですが、高齢者の皆さんには「日本製」というキーワードは響きますか?

【穴井】響いていると思います。実際に「さすが日本製だけあって、モノが違う」というお声も多数頂いています。

【SLS】靴市場におけるシニアマーケットの特性を教えてください。

【穴井】まず大前提として、「快歩主義」の売上のうち多くを占めるのがリピーター需要ということです。靴というのはそもそもリピート需要が大きい商品なのですが、「快歩主義」は一度お試しくださったお客様が繰り返し購入してくださることがとりわけ多い商品です。

【SLS】新規ユーザーの獲得については、どのように取り組んでいらっしゃいますか?

【穴井】これまでは新聞広告を中心に全国紙の15段広告や、時には5段広告も出稿してきました。しかしながら、期待するほどのレスポンスには至りませんでした。
特に地方についてはブロック紙や県紙などの地方紙が強く、全国紙ではなかなかリーチしないという印象を持ちました。そこで考え方を変えて、2018年からテレビ通販によるダイレクトマーケティングを実施しています。

アサヒシューズ快歩主義 通販番組

(穴井氏も出演する通販番組)

【SLS】ここまでの反響はどうですか?

【穴井】反応は良いと感じております。衛星放送を中心に29分の尺で放送していますが、毎日予測値以上の反応があります。卸先の靴屋さんからは「メーカー直販すること」に対しお叱りをいただくことがあります。しかし私どもの真意は靴屋さんと競合することではありません。この番組の主目的は、ブランドの持つストーリーや価値を伝達しながら快歩主義を知らない方にブランドの存在を知って頂く事です。通販はあくまで副次的な要素と考えています。番組を通じてアサヒシューズの「快歩主義」をシニアの皆さんに知っていただき、その上で店舗に足を運んで頂きたいのです。

事実、靴は履いてみないと自分に合うかどうかわからない商品です。ご近所の靴屋さんで弊社商品と出会った際に、「テレビで見た商品だ」ということでお試し頂くきっかけになればと期待しております。

このことは営業マンがそれぞれの靴屋さんに足を運んでご説明しております。

【SLS】販売よりも流通対策としての意味合いが強いのですね。

【穴井】そうですね。快歩主義は一度お履き頂ければ必ずといっていいほどリピーターになって下さる方が多い商品です。一度お試し頂ける方を増やしたいという意味合いが強いですね。また番組内では靴をご購入いただいた方へのノベルティとして「オリジナルの今治ハンカチタオル」をプレゼントしていますが、実はこのノベルティは店頭でもちゃんとご用意しております。

弊社としては何より小売店さんを大切にしたいという思いがありますので、店舗へ足を運んでくださったお客様が「プレゼントはテレビ通販だけなの?」という疑問や不満を持たれるのは本意ではありません。ですので「快歩主義」を取り扱うすべての小売店さんに同じノベルティを提供させていただいております。

多様なニーズへの対応がシニア攻略の鍵

【SLS】こうしたシニアマーケットへの取り組みが結実していると実感したのはいつ頃からですか?

【穴井】シニアマーケットにはまだまだ新しいニーズが存在するのだと気づいた辺りからです。

例えば同じ80歳の婦人を比較しても、20年前の80歳と今の80歳とでは全然違いますよね。
私自身もあと1年で60歳です。自分が子どもの頃の印象では60歳と言ったらお爺ちゃんでしたが、実は私は今もハーレーを乗り回しています。

【SLS】ハーレーとは、すごい(笑)

【穴井】これが今60歳の実態です。もちろん一例ですが(笑)。

快歩主義で言うと、10年前はベージュ、黒、ワイン色などの定番商品しかありませんでした。

しかし、今のシニアは多様なニーズを持っています。それに呼応するため、今は定番以外にもたくさんのデザインをご用意しています。いわゆる「年寄り扱い」をしてはいけません。こちらのショールームにはラインナップの一部を置いていますが、全体を見渡して頂くと、結構派手だと思いませんか(笑)

【SLS】そう思います。

【穴井】ちょっと派手なくらいが気持ちを高揚させてくれるし、その気持ちが歩いたり動いたりする原動力になります。

【SLS】リハビリ用の商品もデザイン性が高いですね。

【穴井】よくあるリハビリ対応の靴はデザイン性を考慮しない「上履き」的なものが多いのですが、私たちはリハビリ対応の靴であったとしてもデザインには拘っています。

とある介護施設で聞いた話をご紹介します。その施設の入所者さんたちが履く靴は全員が同じモノで間違いやすかった。そこに気づいた入所者の娘さんが、靴に名前を書く代わりにその方がお気に入りの着物の切れ端をミシンで靴に縫い付けたところ、とても喜んでくれた上に間違いも減ったそうです。私どもはそのアイデアを即座にいただきまして、着物風の生地をワンポイントであしらった商品も作りました。商品開発をしていても楽しいです。多少突飛なアイデアだったとしても、恐れずどんどんチャレンジしています。できれば他社にはない独自性のある商品をたくさん作りたいと思っています。

実際、社内会議で不評であったデザインでも、思い切って発売してみると、これが意外とよく売れることがあるのです。正直言って何がウケるかなどやってみないとわかりません。もちろん定番商品自体は大事な存在です。そちらのラインナップはしっかりと維持しつつも、一方で色やカタチを少しずつ変えたアレンジ商品をラインナップとして増やしていく。そうすると2足目、3足目のプラス需要として売れていきます。だからこそ攻めていく姿勢は大事です。この戦術は、コンバースさんの「オールスター」シリーズからヒントを得ています。柱となる定番商品を持ちつつ、一方では常に攻めの商品ラインナップ開発を行っていく。これがシニアマーケティング攻略のポイントのひとつだと思います。

まだある、自社工場生産のメリット

【SLS】しかし、実際はこんなにたくさんのデザイン商品を作るのは大変なのではないですか?

快歩主義のバリエーション

(ハローキティともコラボレーションするなど、バリエーション豊富な快歩主義)

【穴井】こうした試みができるのも、自社工場があるからです。

仮に海外生産をしていたらこうはいきません。海外生産を行うためには、ロットと期間に制約が生まれます。靴の世界でいえば、最低でも5,000足発注しなければ海外生産のコスト面のメリットは生まれず、しかも発売の半年前に発注するという条件が付きます。商品の売れ行きが見えない段階で、大量の発注を余儀なくされるわけで一種の賭けです。リスクも大きい。仮に賭けに勝ちヒット商品を生んだとしても、そこからがまた大変です。更なるヒットを生むために新型のモデルを大量に生産し販売する。そうすると当然前のモデルの中に売れ残りが発生し、それが安売りの対象になります。最新でなくても安い方がいいという需要は必ず一定数はあります。そうすると売りたいはずの最新モデルが売れなくなり、ひいてはブランドの瓦解に繋がっていきます。

業種を超えた流通対策

【SLS】それでは、いよいよ販売と流通に関する手法について教えてください。

【穴井】まず、漫画を書いています(笑)

異業種向けの新規開拓用営業ツール(マンガ)


正確には、漫画そのものは別の社員に依頼しているのですが、設定やストーリーはすべて私が自分で考えています。

【SLS】面白いのが、街のカメラ屋さんに快歩主義の取扱いをオススメするというストーリーになっていることです。

【穴井】これ、実は異業種向けの新規開拓用営業ツールです。今、私どもが積極的に取り組んでいるのが、異業種の小売店さんを開拓することです。靴屋さんではない全くの異業種の小売店さんに「快歩主義」を置いていただくことにチカラを入れております。

【SLS】いろいろお聞きしたいのですが、まずは最初の質問です。なぜ漫画に行き着いたのですか?

【穴井】商店街で営業を行っていると、お話を聞いてくださる店主さんやオーナーさんも、皆さんシニア層の方です。そういう方々に、杓子定規にとりまとめられた文字ばかりの企画書をお持ちしても興味をもってもらえません。しかも、異業種の皆さんです。そんな方にいきなり靴の取扱のお話をしても「えっ?!」と思われてしまいます。だから、ひと目でわかりやすく、内容も入っていきやすい漫画に着目したのです。

【SLS】次に、異業種開拓へチャレンジした理由をお聞かせください。

【穴井】理由は単純です。靴屋さんだけをターゲットにしていても販路拡大には限界があるからです。
今は、いくら探しても新規の靴屋さんなどありません。言い換えればほとんどの街の靴屋さんが既に弊社のお取引先です。

そして、その靴屋さんが今、減少傾向にあります、というのは靴屋さんというのは大変な商売です。1つの商品を売るためにおよそ5~8種類のサイズを用意しておかなければなりません。在庫というのは靴屋さんにとってそれは大きな負担です。そういう理由もあって、街の靴屋さんは事業継承されず廃業されるケースも多く、同時に弊社の取引先も減っていきます。だからと言って何もしないわけにいかない。年々減っていく得意先を悲しんでいても何も生まれません。だからこそ異業種開拓です。開拓先は主に商店街の店舗です。全国的に商店街は衰退傾向ですが、実はシニアの方にとって商店街は未だ大事な存在です。シニアの行動範囲は限られています。郊外のショッピングセンターまでなかなか足を伸ばせません。

【SLS】俗に言う「買い物難民」問題ですね。

【穴井】そうです。だから私たちはもう靴屋さんに限定せず、「レジのあるところならばどこへでも提案する」という方針で開拓を進めています。洋服屋さんは元より、電気屋さん、クリーニング屋さんなど、商店街にあるいろんな業態に靴の取扱いをオススメしています。更には、道の駅、ガソリンスタンド、ネイルサロン、家具屋、ランジェリーショップなどにも置いてもらっています。この漫画のモデルになっているカメラ屋さんは(広島県の)呉駅前にあるんですが、今では、店舗の半分が靴の展示スペースで占められています。

【SLS】いわば、靴を通じた、シニアの方と商店街のマッチングですね。

【穴井】これはコカ・コーラさんの「喉が乾いたらコカ・コーラ」という戦略からヒントをいただきました。いわば、「シニアがいるところには快歩主義」です。「快歩主義」を置いてくださる店舗さんには、展示用・装飾用の什器と店頭用のノボリなどを一式でご提供しています。少しの空きスペースにこれらを置いて頂いて、シニアの皆さんとの接触ポイントを作っています。もし、購入意思のあるお客様がいらっしゃれば、店舗内で靴(のサイズ)合わせをしていただきます。「快歩主義」のデザインは多数ありますが、ベースは同じなので(22.5~25.0までの)5サイズ分だけ店舗内に置いておいていただければ靴屋としての商売が成立します。あとは設置したカタログからデザインを選んで頂きます。そうすれば翌日には弊社から商品をお届けすることができます。

【SLS】専門家がいなくても、試し履きが何よりの商品説明になるから、商売になるのですね。

【穴井】今は、こういう異業種店舗向けの販路開拓を行う専門チームが社内にあります。当初は西日本が中心でしたが今は首都圏においても開拓を進めています。首都圏内においても困っている商店街や買い物難民エリアはたくさんあります。

異業種店舗で靴が売れる、その理由

【SLS】各店舗オーナーさんからはどんなお声が挙がっていますか?

【穴井】手前味噌ですが、よく売れると喜んでもらっています。人が離れたと言っても、実は店舗さんはちゃんとお客さんをお持ちです。中には名簿や台帳を作ってお客さんをしっかり管理していらっしゃる店舗さんもあります。

そして、売れるのにはもうひとつ理由があります。店舗オーナーさんご自身もシニア層の方が多いので、商品を実際に試してくれます。従ってお客様への説明にもリアリティがあるのだと思います。売る側が納得しているから、買う側にも響きます。

【SLS】アイデアだけでなく、それを行動に移しカタチにしたことにも感心します。

【穴井】それは私たちが「営業」だからだと思います。常に外にキモチが向いているからです。もちろん、社内を見渡せばこのような取り組みに反対意見もありました。それは当然のことです。営業が動くだけと言っても現実には人件費も交通費も使います。経費はかかっています。しかも1日に10件、20件回って成果がゼロということもあります。そうそう結果が出るわけではありません。そもそも、全くの異業種に対して「靴を売りませんか」と言っているのですから、結果が出なくて当たり前なのです。

しかし、動かなければ何も始まりません。それに仮に一店舗採用していただけると、そこから横の繋がりによって別のお店でも検討していただけることもあります。

【SLS】一通りのお話をお聞きすると、前述された「テレビ通販も流通対策の一環」というお話がよくわかります。

今後の展開と企業としての社会的使命

【SLS】思い描いていらっしゃる今後の展開等がございましたらお聞かせ下さい。

【穴井】これからも何ら変わりません。更なる新規提案と更なる販路開拓、この2点に尽きます。
例えばサンダル型のニーズがあるというのならばすぐにでも開発したいですし、とあるエリアには販売店がないとなれば開拓に行きたいと思います。終わりはありません。

【SLS】今後、シニアマーケットを追求していくにあたって、靴業界に限らずベンチマークしていらっしゃる企業さんはありますか?

【穴井】前述しましたが、やはりコカ・コーラさんですかね。街を見渡せば、どこかに赤い自販機があるというコカ・コーラさんの取り組みは、常に意識しております。シニアがいらっしゃるところならば全国どこでも快歩主義が売られている状況を作りたい。同じ視点で、セブンイレブンさんの出店戦略も参考になります。

販路拡大について補足ですが、実は今取り組んでいる新しい施策があります。それは、徳島の山奥を走る移動スーパーでして、そこで「快歩主義」を取り扱ってもらっているのです。

【SLS】山村部を1週間に数回走る、小型トラックの商店ですよね。

【穴井】移動スーパー内のほとんどの商品が数百円ですが、そこに弊社の5,900円の商品を置いていただいております。当然最も高い商品となります。他の店舗さんと同様、複数のサイズのサンプル靴を置いて、もし購入していただければ、次回の移動販売の際に商品をお持ちするというカタチになります。
当然、オーナーさんにこのご提案をするにあたっては苦労もありました。しかし最終的にはニーズがあるとご判断頂き、採用していただけました。

【SLS】届けるといえば、海外からの需要についてはどのような取り組みをしていますか?

【穴井】例えば、東南アジアや韓国、台湾では販売が始まっています。更に中国についてはこれから本腰を入れて取り組んで行かねばなりませんが、今は慎重に事を進めています。それは商標の問題です。韓国や台湾については問題なく「快歩主義」の商標も確保したのですが、中国はこれが簡単ではありません。実際問題として、中国で「快歩主義」を想起させる類似の商標を他人が既に登録しているなどの難しい問題などがありました。しかし、この問題もようやく解決して中国での展開が始まりました。

【SLS】これが前に進めば、営業さんとしては中国向けの販路開拓という大きな仕事が待っていますね。

【穴井】そうなれば人員もまた増えるでしょうし、着実に成し遂げて、後進へよい財産を残していきたいと思います。

【SLS】改めて販路開拓に対する営業さんの情熱には、アタマが下がります。


【穴井】その原動力にはやはりお年寄りへの愛情があるのだと思います。トイレ、風呂、そして靴は毎日使うものです。良いものを使えば、健康寿命が伸びると考えています。

「快歩主義」は他の靴と比べるとちょっと高いかもしれませんが、「本物」だと自負しております。
シニアの皆様には大事なことにはちゃんとお金を使って欲しい。そして健康寿命を伸ばして欲しい。
だからこそ、山村にいらっしゃるたった一人のお年寄りへも、本物をお届けしたいのです。我が国が高齢化社会と言われて久しいですが、高齢者の皆さんにとって「自分の足で歩く」ということが本当に大事なことだと実感しています。

私自身は現在59歳で子どももいますが、将来自分の子供に負担をかけたくはないという思いが強くあります。これは全ての親が共通して持つ心情だと思います。歩くことが困難になり寝たきりになったりすると、これに伴い身体の全ての機能が低下するリスクが上がります。「歩くこと」は健康の源ともいえます。この、日常の「歩く」という行為をサポートすることが弊社の使命だと考えております。

例えば、一度健康を損ねてしまった方にとってはリハビリテーションはとても大事で、そのための商品を開発しているメーカーさんも多数あります。これは大いに社会的意義のある仕事です。同様に、弊社はリハビリの手前、つまり「健康を維持し元気に生活し続ける」ための商品を開発し提供する位置づけであり、弊社なりの社会貢献でもあると考えています。

労苦を共にした仲間とともに夢を実現する

【SLS】お話を通じて、種まきしたブランドが芽を出し花が咲きつつある、そんな時期かと感じました。

【穴井】 「快歩主義」は現在年間で60万足ほど売れていますが、目標は100万足を掲げています。

【SLS】100万足とは大きな目標ですね。でも現実味もあると思います。

【穴井】この目標を達成するために、今弊社内ではキャンペーンを実施中です。キャンペーンのコンセプトは「ひとりの夢はただの夢、みんなで見る夢は実現できる」です。100万足という目標は簡単なことではないが、みんなでこの「夢」を実現しようと。そして、このキャンペーンの責任者は何を隠そう私です。そのプレッシャーたるや大きいですが、奮闘しております。

【SLS】100万足は「目標」でもあり、「夢」でもあるのですね。

【穴井】これまでも、本社、全国の営業部、そして工場にいるすべての従業員が一緒の方向へ進み、同じ夢を見てきました。なぜなら、弊社には苦しかった時代があるからです。あの頃の分を取り返すためにたくさん売りたいという気持ちがあります。快歩主義をたくさん作って売ることにより、従業員、その家族、そして販売店さんに至るまで、皆で幸せを分かち合いたいのです。ありがたいことに今はそのチャンスがあります。そのキモチの表れが胸につけているバッジです。

【SLS】社員間にある種の「絆」があるのですね。

【穴井】あると思います。会社に残った従業員たちの中に強い気持ちがあったからこそここまで来られたのだとも言えます。

【SLS】全体を通じてチャレンジすることに躊躇がない、そんな御社の姿勢がよくわかるお話でした。

【穴井】会長、社長を筆頭に経営陣も従業員も全てこのマインドです。一か八かでもいい、今までもやってきたのだから迷うことはない。現在、弊社は無借金会社です。いや、元々借金ができなかったという背景もありますが(笑)。従って、最大の株主は社員の持株会です。「だから誰にも遠慮や配慮もいらない。みんなで儲けて、みんなで分配すればいい。それだけだ。」と社長が日々言っています。これは、「残ってくれた社員に対する恩返し」という意味も含んでくれているのだと思います。

【SLS】最後まで熱く、かつ気づきも多いお話で感銘を受けました。

【穴井】熱さだけは負けません(笑)。ビジネスは最終的には人間対人間ですから。ぜひ一度、久留米の工場にもお越し下さい。工場では靴を作る体験などもできますし、まだまだご紹介したいことがたくさんあります。美味しいものもたくさんありますよ(笑)。

【SLS】ぜひお伺いしたいです!!本日は貴重なお時間を頂戴し、本当にありがとうございました。

アサヒシューズ株式会社 

https://www.asahi-shoes.co.jp/


 

シニアライフ総研®では、シニアマーケットやシニアビジネスに参入している企業・団体・行政などが、どのような商品やサービスを展開し、どこをターゲットとして、どのようなペルソナ設定で戦略設定から事業運営を図っているのかなど、シニアマーケティングやシニアビジネスの成功事例を取材しています。

 

第26回 
セコム株式会社
第25回 
イオンリテール株式会社
第24回 
株式会社エクシオジャパン

「乗り合い送迎サービス」の実証実験を愛知県豊明市で実施

株式会社スギ薬局(本社:愛知県大府市、代表取締役社長:杉浦克典)とアイシン精機株式会社(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:伊勢清貴)は豊明市健康長寿課の支援を受け、同市仙人塚地区にて、高齢者を中心とした地域の皆様の健康維持・増進を目指した移動支援サービスの実証実験を2018年7月24日から開始します。
 高齢化が進む中、いわゆる“買い物難民”の増加が社会問題化しておりますが、こうした方々は、同時に、自力での通院が困難であるがゆえに適切な診療・服薬指導を受けることが困難な“医療難民”であると考えられます。
 このような問題解決に向け、地域の皆様と医療機関や公共施設、フィットネス・スーパーマーケット等の施設を結ぶ「乗り合い送迎サービス」を提供し、より多くの方々が適切な診療と服薬指導および総合的な健康相談を受けられ、かつ社会活動や買い物等に気軽に出掛けられる環境を創出していきます。

 



スギホールディングス

 

main

 


sub1

注目の市場は糖質、カロリーを抑えた商品だけじゃない!効率的にエネルギー・たんぱく質摂取ができる総合栄養飲料「エンジョイ クリミール」が5年間で森永乳業グループ計220%以上の成長!そのわけは・・・

森永乳業株式会社と森永乳業グループの株式会社クリニコが展開する成長著しい総合栄養飲料「エンジョイ クリミール」シリーズをご紹介いたします。

 


 

1.「エンジョイ クリミール」とは

店頭で「エンジョイ クリミール」を見たことがない方も多いのではないでしょうか?

それもそのはず、「エンジョイ クリミール」は森永乳業グループの流動食・介護食を販売するクリニコを通して主に介護施設などを中心に販売されている成長商品だからです。2009年に発売された総合栄養飲料「エンジョイ ポチ」が、2013 年 2 月に大幅に改良され「エンジョイ クリミール」として発売。同時に販売チャネルを拡大するために、森永乳業からドラッグストアなどへ店頭展開しました。以降、2015年9月のリニューアルを経て、2017 年度の売上実績は森永乳業・クリニコ計で前年度比 110%以上と伸長しており、発売以降に売上記録を毎年更新しています。

また、2013 年度と比較すると、約 220%以上となります。「エンジョイ クリミール」は 1 パック 125ml の小容量で、エネルギー200kcal、たんぱく質 7.5gが摂取できる総合栄養飲料です。たんぱく質、脂質、炭水化物といった三大栄養素の他、カルシウムなどのミネラル、ビタミン類、食物繊維もバランスよく配合しております。また、“健康力”をサポートするシールド乳酸 菌®を配合しました。8 種類の味わいをご用意しており、お好みにあわせてお飲みいただけます。

 

 

クリミール

 

 

2. 「エンジョイ クリミール」の好調要因


◆市場背景
流動食市場は推定約 669 億円(※1)で 2016 年度は 2014 年度比で約 101%と緩やかながら拡大しています。流動食は「経管食品(チューブを通して体内に摂取する流動食)」と「経口食品(口から
摂取できる流動食)」に分かれており、昨今は在宅で介護される方向けの需要の高まりから、「経口食品」市場が規模は推定約150億円(※2)、2014年度比で2016年は約116%と大きく伸長していま
す。
特に加齢に伴う食事摂取量減少による栄養不足への対策として、少量でエネルギーやたんぱく質を摂取する傾向にあり、小容量でハイカロリーの総合栄養飲料のニーズは介護食市場の伸長率を上回っています。

※1 冨士経済 高齢者向け食品市場に将来展望 2017 流動食 市場規模推移

※2 当社推計

 

◆チャネルの拡大
発売当初はクリニコ単独で元々強みのある市場の医療・介護施設向けに販売しておりましたが、2013 年 2 月より森永乳業がドラッグストアや量販店に向けて販売開始。お互いに持っているチャネルを活かし、補完しながら拡売することで大きな効果を生み出しています。
また、クリニコにおいては 2012 年以降介護施設以外の販路として保険薬局での販売も強化。これは保険薬局自体の役割が地域連携を中心とした「かかりつけ薬局化」と変わってきており、病気をお持ちの方や介護される方のセルフメディケーションに関わってきている潮流を先取りし、積極的にアプローチしています。

 

◆2015 年のリニューアル
「もったりして飲みにくい」というお客さまの意見をもとに、使用する原料やその配合バランスを一から見直して「飲みやすく」かつ「後味すっきり」に改良。また、ビタミンや食物繊維、カルシウム、そ の他栄養成分も見直し、さらに森永乳業独自の機能性素材であるシールド乳酸菌®を配合することで差別化を図りました。6種類から8種類にラインアップを増やし、より味のバリエーションも楽しめるようにしました。

 

◆味に対するこだわり
総合栄養飲料は一般的にあまりおいしくないと思われがちですが、継続して使用頂くには味が重要と考え、シニア層をターゲットとした風味調査を行うなど、栄養とともに常においしさも追求してきました。特に2015年のリニューアルの時には納得のできる味に仕上げるため、約2年の開発期間を要しました。フレーバーの選定では開発担当者は期間中多い時で1日に 20 種類以上、製品化するまで 100 回以上試作・試飲し、さらに開発、マーケティング、営業など関係各部での試飲会を重ねて、調整・選抜を行いました。

 

◆参考:エンジョイ クリミール売上推移
2013年2月の発売以降、順調に売り上げを伸ばしており、2017 年度の売上は5年前と比較して220%以上の伸長。


クリミール表

 

3.商品概要 

① 商品名

エンジョイ クリミール

ヨーグルト味/いちご味/コーヒー味/バナナ味

コーンスープ味/ミルクティー味/みかん味/くり味

② 種類別名称

栄養補助飲料

③ 内容量

125ml

④ カロリー

200kcal

⑤ 包装形態

アセプティックブリックパック

⑥ 保存方法

常温

⑦ 賞味期限

製造後 270 日

⑧ 主要ターゲット

シニア(健常高齢者)、在宅・病院・施設で介護される方

⑨ 主要売場

ドラッグストア、量販店、医療施設、介護施設、保険薬局

⑩ 希望小売価格

オープン価格

⑪ 発売日・地区

全国

 

4.株式会社クリニコについて


森永乳業グループの株式会社クリニコは、1978 年の設立以降、通常の食事だけでは体に必要な栄養を満たすことができない方のための食品を開発・販売しています。入院されている方、老人ホームや
介護施設に入所されている方、ご自宅にお住まいになっている方、どなたにもご使用いただけるよう、医療・介護施設向けの販売や、通信販売など、幅広く展開しています。

 
マーケット最前線
データ集
メディア集
ビジネスマッチング
注目ビジネス
シニアマーケティングの考え方
連載コラム
編集室から
シニアライフ総研について
ニュース
お問い合わせ

Copyright©Roots of communication Co.,Ltd. All rights reserved.