第56回 N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社 ビジネスアワード2025 ビジネスモデル賞受賞
付き添いや介助が必要な方の、
披露宴出席やホテル滞在をサポートする
「ナーシングケアプレミアム」
N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社 代表 神戸貴子様
ビジネスアワード2025 ビジネスモデル賞を受賞したN.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社の「付き添いや介助が必要な方の、披露宴出席やホテル滞在をサポートする『ナーシングケアプレミアム』」。今回は代表の神戸様に、「ナーシングケアプレミアム」の詳細や利用者の声、そしてシニア市場における今後の展望などについてお話をうかがいました。
2026年3月取材

Q. 2025年6月からホテルニューオータニでも「ナーシングケアプレミアム」の提供を開始され、約9カ月が経ちました。最初に、提供にいたる経緯をお聞かせください。
「ナーシングケアプレミアム」は、もともと提供していた保険外サービス「わたしの看護師さん」のハイグレードプランで、より上質なニーズに応えるためのサービスです。当社の「わたしの看護師さん」は、看護師が病院受診や入院先、ご自宅でのケアを担うものですが、その中でも立ち振る舞いが美しく、健康面に配慮した食事づくりもできるなど、看護師の上位5%に入る優秀な人材を厳選して派遣しています。介護保険のサービスとは異なり、利用時間の制限や内容の縛りがありません。お話を丁寧にうかがう中で、お客様がより質の高いケアを希望される場合に、このプレミアムコースが選ばれています。
ホテルニューオータニでもこのコースを取り入れることになったきっかけは、ホテルのクラブ会員様の高齢化にありました。ホテルをこよなく愛する方々が、年齢を重ねても特別なときだけでなく日常的に滞在を楽しめるよう、プロのケアを組み合わせることで、ご家族の負担を減らし、より安心して過ごしていただけるのではないかと考えました。ニューオータニ様からも「お困りのお客様がいらっしゃるはずなので、一緒に取り組んでいきましょう」とご提案いただき、強力な協力体制のもとでスタートすることができました。

Q. ホテルニューオータニにおけるこれまでの具体的な活動や成果についてお聞かせください。
まず、同ホテルをご利用のお客様が外部団体による授与式へ参加された際のサポートがあります。地方からお越しのお客様で、普段からホテルをよく利用されていましたが、式典の直前に体調を崩されました。ご本人はモーニング、奥様は着物を召されており、「着物で車椅子を押すのは難しい」「不慣れな場所で車椅子の操作がわからない」といった不安を抱えていらっしゃいました。会場もホテル内ではなく、移動経路の把握も困難な状況でした。そこで私どもが客室までお迎えに上がり、車椅子をご用意して会場までお連れしました。式典中もお手洗いの介助をしたり、壇上で賞状を受け取られる際に立ち上がる補助をしたりと、黒子のように対応させていただきました。ご本人やご家族の負担を最小限に抑え、大切な晴れ舞台を支えることができた事例です。
また、お孫さんの結婚式への付き添いも大きな成果を上げています。少子化が進む現代では、「たったひとりの孫のために、ぜひ式に出席して祝いたい」というおじいちゃん、おばあちゃんの思いがかつてないほど強まっています。お孫さんの側からも「特別な日だからこそ、元気な姿を見せてほしい」という要望が増えています。あるケースでは、施設に入居されているお客様をホテルまでお連れし、挙式から披露宴、そして施設へ戻られるまでのすべてをアテンドしました。お食事やお手洗いの介助だけでなく、常に体調をうかがいながら寄り添うことで、お客様の息子さん娘さんに当たる新郎新婦のご両親も、主役であるお子様の門出に集中することができました。ご親族から「安心して式に臨めた」と感謝のお声をいただけたことは、私どもの大きな励みとなっています。結婚式でのサポートは非常に需要が高く、現在も多くのご予約をいただいております。
Q. この取り組みを知ってもらうために試みたこと、苦労されたことなどはありますか。
実は、このサービスについては、あえて公に検索されてもヒットしづらいようなホームページの作りをしています。ネット広告も一切出していません。弊社のパンフレットを手に取った方がQRコードを読み取ったり、「ナーシングケアプレミアム」という言葉を直接知って検索したりすることで、ようやくたどり着けるようになっています。決して安価なサービスではありませんので、まずは信頼していただくこと、そしてご紹介などの「つながり」を何よりも大切にしています。ですから、苦労しているというよりも、意図してクローズドな形をとっています。
看護師の上位5%に入るような極めて優秀な人材は、そう簡単に増やせるわけではありません。質を徹底して維持し、上質なサービスを継続していくためにも、あえて「知る人ぞ知る」形を選択しています。
Q. サービスを利用された方などからはどのような感想や声がありましたか。
ホテルニューオータニのケースでは、「先回りして声をかけてもらえた」というお声をいただきました。私どもは当日、急にお手伝いをするのではなく、事前にホテル側と詳細な打ち合わせをします。式典のスケジュールを確認し、どのタイミングでお手洗いへご誘導すればよいかなどを検討します。お元気な方ならスムーズに動けますが、車椅子の方は移動に時間がかかりますし、多目的トイレの場所も限られています。「エレベーターでひとつ上の階に行かないと使えない」といったこともありますので、事前にスケジュールを組み、最適なお声がけをさせていただきます。先日も「何の不安も感じることなく式典に専念できた」と喜んでいただけました。いわばコンシェルジュのような役割も担っており、その点も信頼をいただけている理由のひとつかと思います。

Q. サービスを開始してから、想定外のことがありましたら具体例をお聞かせください。
想定外というほどではありませんが、調理に関しても健康面を最重要視してほしいというご要望を多くいただきます。富裕層のお宅はセキュリティやプライバシーの観点から、多くの人が出入りするよりも、少人数で何でもこなせるワンストップな対応が求められるからです。しかし、看護師として健康管理ができて、さらに質の高い調理もできる人材は本当に限られています。そのため、管理栄養士の資格を持つ者をリーダーに据えるなど工夫をしています。私自身も看護師とケアマネジャーの資格を持っていますが、社内にはこうしたダブルライセンスの保有者がおります。看護と栄養、あるいは介護といった複数の専門性を持つことで対応の引き出しが格段に増え、それがお客様からの大きな信頼につながっています。
Q. 同業他社はありますでしょうか。あった場合、貴社ならではの強みをお聞かせください。
保険外サービスを提供する事業所は随分増えてきました。弊社は今年で12年目になりますが、立ち上げ当時に比べると非常に多いと感じます。その中で私どもの強みは、何よりもネットワークの広さです。大手企業の場合、どうしてもサービス提供エリアが東京近郊や大阪、名古屋といった都市部に限定されがちですが、私どもは現在、全国に22拠点を展開しています。山形県や長崎県でもご利用例がありますし、北海道や沖縄県にも現地の看護師が登録しているので、迅速に対応できる体制を整えています。不便な思いをされている方々に、都会と変わらない質の高いケアを届けていくことが、私どもの大きな強みであり、役割であると考えています。
Q. 現段階の課題とその対策についてお聞かせください。
「ナーシングケアプレミアム」や「わたしの看護師さん」といった保険外サービスは、どうしても介護保険のサービスと比較されてしまうという課題があります。特に金額面ですね。個人事業主の看護師も増えていますが、自己負担が数百円で済む介護保険と、数千円になる私たちのサービスが比較されると、なかなか展開しづらい面があるのも事実です。
対策としては、ネット広告だけに頼るのではなく、ご紹介などの「つながり」を大切にすることです。私たちのサービスは、安いものをすぐに買うような性質のものではないからです。たとえ広告を100回見たとしても、信頼できる知人から「あのサービスは良かったよ」と聞くほうが、効果があるのではないでしょうか。「利用してみてよかった」という声が広がるよう、一つひとつの点を確実に押さえ、丁寧に対応していくことが、結果として大きな信頼につながると信じています。
Q. 貴社における「シニア」の定義を教えてください。
ご本人の価値観次第だと考えています。これまでさまざまなお客様にお会いしてきましたが、年齢で区切ることはできません。意欲のある方は、80代、90代になってもスマホを使いこなし、生き生きとお仕事をされています。そうした方々は、ご自身を高齢者だとは思っていません。ですから、ご自身が生活に不自由さを覚え始め、「老いたな」「少しスピードを落とそうかな」と自覚したときからがシニアなのだと思います。
Q. 「ナーシングケアプレミアム」ならびに貴社のシニアターゲティング市場における今後の抱負をお願いいたします。
今後のシニア向けサービスは、二極化が進むと考えています。富裕層向けの高品質なサービスと、介護保険のような低価格帯のサービスです。私たちは、介護を理由にどの世代においても夢や希望を諦めさせない世の中を作りたいという強い思いがあり、そのどちらかに偏るのではなく、すべてを支えていきたいと考えています。たとえるなら、介護という航空機を飛ばすようなものです。ファーストクラスには「ナーシングケアプレミアム」や「わたしの看護師さん」のお客様に座っていただき、その後部座席には、ヤングケアラーの方々に座っていただくのです。弊社はヤングケアラーへの支援も行っていますので、ファーストクラスの方々に燃料代を支えていただくことで、後部座席の若い世代の未来も守っていく。「丸ごと介護」という高みを目指して、これからも飛ばし続けていきたいと考えています。


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