高齢者住宅の最新動向に関する分析

2023/11/8

 

高齢者住宅の最新動向TPデータ・サービス「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」2023年度下半期号を用いて

 

高齢者住宅・居宅サービスのデータベースとコンサルティングを提供する株式会社タムラプランニングアンドオペレーティングは、10月末日、TPデータ・サービス「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」2023年度下半期号を発行いたしました。

当商品は、全国を網羅した高齢者住宅に関する業界随一のデータ集であり、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅をはじめ、14種類・約5.8万ヶ所の高齢者住宅・施設を収録しております。高齢者住宅のホーム名や事業主体、所在地、戸数等の基礎情報のほか、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅については、月額費用や居室面積、入居率等の詳細情報も提供しております。また、「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」2023年度下半期号及び既存発表データを用いて、有料老人ホームをはじめとする高齢者住宅の最新動向に関する分析を行いました。現況の開設戸数及びその推移、費用推移、事業主体別動向を明らかにしました。
 
 
 

■高齢者住宅の最新動向に関する分析

●高齢者住宅のホーム数及び戸数の現況  ~全国のホーム数は5.8万ヶ所/236.1万戸~
全国の高齢者住宅・施設の全14種類(2023年10月時点集計)のうち、ホーム数ではグループホームの14,307ヶ所が最多であり、住宅型有料老人ホーム(以下、住宅型)が12,055ヶ所、介護老人福祉施設(地域密着型含む)が10,361ヶ所とそれに次ぐ。サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ付住)の登録数は8,201ヶ所となっており、介護付有料老人ホーム(以下、介護付)は4,467ヶ所とその半分に留まっている。
居室数/定員数では、介護老人福祉施設の659,049床が最多となっている。介護老人保健施設の368,675床、住宅型の338,824戸がそれに次ぐ。サ付住は281,797戸となっており、介護付は256,056戸となっている。介護療養型医療施設については、2023年度末に廃止することが決められており、医療保険施設や介護医療院への転換等が進められている。現在、介護療養型医療施設は220ヶ所/7,268床まで減少しており、対して介護医療院は788ヶ所/45,662床と介護療養型医療施設の6.3倍の規模まで増加した。

 

 

※サービス付き高齢者向け住宅かつ有料老人ホームの届け出を行っているホームは有料老人ホームとして集計



●高齢者住宅のホーム数及び戸数推移  ~2021年以降の増加数は住宅型が最多~
高齢者住宅のタイプのうち、特に民間事業者の運営が中心となっている介護付、住宅型、サ付住、グループホームの各タイプに着目し、近年のホーム数・戸数推移を見ると、各タイプともホーム数・戸数は増加し続けている。2020年末に比して、2023年10月までに最も増加したタイプは住宅型であり、全国で1,267ヶ所/43,719戸増加した。サ付住がそれに次ぎ、613ヶ所/25,139戸の増加となっている。それらに比べ、介護付及びグループホームは増加量が少なく、それぞれ252ヶ所/16,893戸、491ヶ所/8,882戸に留まる。後期高齢者数の増加に伴い、要介護者向け高齢者住宅の需要は伸びており、そのホーム数・戸数とも増加している。しかし、介護付やグループホームについては、各自治体による総量規制があることからその供給量拡大は抑えられ、相対的に住宅型及びサ付住による供給量が増加している。

 



●事業主体別の有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の開設状況
  ~㈱川島コーポレーションや㈱アンビス、㈱学研ココファンによる新規開設が活発~


全国の有料老人ホーム等の開設戸数は、SOMPOホールディングス グループが最も多く、302ヶ所/19,218戸であり、次いで㈱ベネッセスタイルケアが344ヶ所/18,873戸、㈱川島コーポレーションの156ヶ所/14,212戸となっている。
2019年末以降において、有料老人ホームの新規開設戸数(2023年10月まで)が最も多い事業主体は㈱川島コーポレーションであり36ヶ所/4,086戸に達する。㈱アンビスの56ヶ所/2,934戸、㈱ベネッセスタイルケアの29ヶ所/1,731戸がそれに次ぐ。同様に、サービス付き高齢者向け住宅において新規開設戸数(2023年10月まで)が最も多い事業主体は、学研グループの59ヶ所/3,311戸。フジ・アメニティサービス㈱の82ヶ所/2,846戸、ウェルオフ・グループの48ヶ所/2,157戸がそれに次ぐ。
㈱川島コーポレーションは、この間にサニーライフ板橋徳丸(164戸)やサニーライフ北区豊島(200戸)を開設し、100戸以上の大規模ホームを積極的に展開している。㈱アンビスは、医療依存度の高い方を入居対象とし、「医心館」のブランド名で全国展開を行い、急拡大を続けている。㈱ベネッセスタイルケアは、老朽化した有料老人ホームの閉鎖を進めつつ、高額ホームも含め、大都市圏を中心に新規開設を積極的に行っている。
学研グループでは、グループ会社の㈱学研ココファンがサ付住の運営を行っており、2021年は18ヶ所、2022年は17ヶ所、2023年は予定を含めて12ヶ所を開設する等、積極的な開設が行われている。フジ・アメニティサービス㈱は、主に関西圏で事業展開しており、月額費用が12万円代前半の低廉な価格設定が特徴となっている。2023年は予定を含めて18ヶ所を開設する。

 



●ホスピスホームの増加  ~上位5社のみでも年30ヶ所以上増加~

近年、重度医療対応型やパーキンソン病に対応した手厚い看護サービスを提供するホスピスホームが増加してきている。このようなホスピスホームとなる有料老人ホームの運営を行っている事業主体としては㈱サンウェルズやファミリー・ホスピス㈱等がある。㈱サンウェルズは、「PDハウス」のブランド名で、パーキンソン病専門の有料老人ホームを開設しており、㈱スーパー・コートも既存有料老人ホームをパーキンソン病専門住宅への転換を行っている。ホスピスホームは、既存の一般的な要介護者向け有料老人ホームに対し、特に医療依存度が高い方を入居対象とし、ターミナルケアの割合が高くなるなど、入居動態が既存ホームとは異なっている。また、ガン末期やパーキンソン病等の特定疾病に対しては、医療保険による訪問看護サービスが適用となるため、既存の有料老人ホームとは異なり収益構造も家賃・管理費及び介護保険のみではなく、医療保険によるものも含まれる。
このような、急増しているホスピスホームの事業者としては前述の㈱アンビスのほか、ファミリー・ホスピス㈱、㈱スタッフシュウエイ、㈱シーユーシー・ホスピス、㈱IWASAKI等がある。これら事業者では、主に住宅型有料老人ホームを開設しており、この5社のみでも、2022年には36ヶ所/1,852戸、2023年も10月までに34ヶ所/1,820戸を開設している。今後も、ホスピスホームは、増加が見込まれており、㈱アンビスは開設予定として22ヶ所を公表している。ホスピスホームの大規模かつチェーン的な展開は、これまで無かったこともあり、今後の動向が注目される。

 



●物価高による有料老人ホームの費用への影響  ~東京都では年額3.2万円程度上昇~

物価上昇等の影響を受け、昨年あたりより、有料老人ホーム等においても管理費や食費等が価格改定より上昇しているケースが多くみられるようになった。弊社データにおいて、東京都所在の有料老人ホーム等における家賃・管理費・食費等の年間負担額(60ヶ月入居想定の入居一時金償却を含む、要介護高齢者向け居室)は、2022年10月集計で4,043,084円、2023年4月集計で4,062,996円、今回の2023年10月集計で4,075,463円となっている。埼玉県所在のホームでは同じく2,149,584円、2,163,800円、2,174,684円となっており、この一年で東京都では32,379円、埼玉県では25,100円上昇している。このような価格改定の動きは今後も続き、再改定も含めて、各種費用は物価情報と連動して上昇していき、年金生活者にこの負担は重くのしかかるものと見られる。

 


■TPデータ・サービス

高齢者住宅に特化した開設支援コンサルタントとして長年の実績を持つ株式会社タムラプランニング&オペレーティングは、2005年より高齢者住宅や介護保険居宅サービスのデータ・分析レポート集(TPデータ・サービス)を提供しております。全国の高齢者住宅・施設、介護保険情報公表制度対象外の住宅型有料老人ホーム、分譲型ケア付きマンションや居宅サービス事業所までも網羅する等、他の追随を受けない業界最大のデータ・サービスです。

2023年度版TPデータ・サービスでは、「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」、「2.介護保険居宅サービスデータ〔全国版〕」、「3.自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ」を中心に、「1-a.高齢者住宅データ〔地域分割版〕」、「1-b.高齢者住宅データ〔分析レポート〕」、「2-a.介護保険居宅サービスデータ〔地域分割版〕」、「2-b.介護保険居宅サービスデータ〔分析レポート〕」、「3-a. 自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ〔地域分割版〕」、「3-b. 自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ〔分析レポート〕」を提供しております。「1.高齢者住宅データ〔全国版〕」では、高齢者住宅・施設のデータ及び分析レポート、オープン予定ホーム情報や公募情報等を提供するホームページサービス等で構成され、ワンストップで高齢者住宅の概況を把握できる商品となっております。

 

■1.高齢者住宅データ〔全国版〕
【データ】
全国・全14種類・約5.8万ヶ所(2023年10月時点)の高齢者住宅データを収録。
年2回、エクセルファイルによるデータ提供。
提供データの主な施設タイプ
・介護付有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 分譲型ケア付きマンション サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護老人福祉施設(地域密着型含む) 老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院 ほか
提供データのうち、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅のデータ項目
・ホーム名 事業主体 戸数 開設日 市町村コード 郵便番号 住所 入居率 居室数 居室面積 入居一時金・保証金 月額費用(管理費・家賃・食費等) ほか 延べ379項目

【分析レポート】
5種類の分析レポートを提供。なお、分析レポートは上半期号(各年4月発行)のみの提供。
  ①開設動向分析レポート高齢者住宅の現況・推移・将来推計
  ②商品分析レポート高齢者住宅の価格等の商品性を分析
  ③高齢者住宅ブランド分析レポートブランド別の集計
  ④高齢者住宅オペレーター分析レポート主要事業者の集計・分析・動向
  ⑤エリア別供給・商品分析レポートエリア別の集計・分析

【ホームページサービス】
開設予定情報、公募情報、M&A、業界ニュース等の最新情報を弊社ホームページに適時掲載。

【価格】
新規契約時 1年間 1,500,000 円(税別)全国版のほか、地域分割版もご用意しております。
https://www.tamurakikaku.co.jp/

 

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