AIを活用した骨粗鬆症早期発見の実証実験、大幅な医療費削減効果の見込み【中間報告】

2023/6/2

肺がん検診で撮影した胸部X線写真から、AIによる骨粗鬆症リスク評価を行い、骨粗鬆症患者の早期発見に繋げる

整形外科領域のAI医療機器の開発および販売を手掛けるスタートアップ企業、 iSurgery株式会社(本社:東京都中央区、 代表取締役医師:佐藤 洋一)は、 蒲郡市(市長:鈴木 寿明)と蒲郡市医師会(医師会長:近藤 耕次)と協定を締結して実施中の「肺がん検診を活用した骨粗鬆症治療介入率向上プロジェクト」の中間解析結果を報告します。 プロジェクトから見込まれる試算では、 年間約3,324人の骨粗鬆症リスク評価(従来の骨粗鬆症検診の約18倍)、 約504人の骨粗鬆症患者の治療開始、 および骨折予防により約2,936万円の医療費・介護費削減効果が期待されます。

  • 実証実験の概要

【目的】肺がん検診で撮影した胸部X線写真から、AIによる骨粗鬆症リスク評価を行い、骨粗鬆症患者の早期発見に繋げることの有用性評価

【期間】2022年11月1日~2024年3月31日

【実施場所】愛知県蒲郡市

【実施の流れ】

1.市の肺がん検診事業を施行、肺がん検診受託の医療機関(医師会)にて検診実施

2.希望者の胸部X線写真をAI解析し、骨粗鬆症リスク評価(既に治療介入を受けている方は対象外)

3.骨の状態が要精査範囲内*であれば、整形外科受診を案内。また、生活指導が必要な場合は市の健康推進課へ案内し、保健指導を実施

4.要精査となった参加者は、整形外科を受診。診察、精密検査を実施

5.骨粗鬆症の診断、治療介入

*骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版

  • 2022年11月~2023年3月の解析結果

 期間中に肺がん検診を受けたのは2,204名で、そのうち1,385名(62.8%)が骨粗鬆症のリスク評価を希望しました。AIによる解析結果、770名(55.6%)が”要精検”と判断され、そのうち450名(58.4%)が整形外科を受診しました。整形外科での診察および精密検査の結果、210名(46.7%)が骨粗鬆症と診断され、治療を開始しました。また、市の健康推進課には3名の方が紹介され、保健師による生活指導と健康運動指導士による運動指導を実施しました。

 AIの精度について、今回の実証実験において陽性的中率は80.0%という結果でした。これは、AIによる評価(YAMが80%未満)に基づき整形外科を受診した参加者の内、実際の精密検査でも80%未満と判定された割合です。

  • 解析結果から試算される骨粗鬆症スクリーニング効果と、医療費削減効果

年間を通じての試算によると、約3,324人の骨粗鬆症のリスク評価が可能となります。これは従来、蒲郡市が実施している骨粗鬆症検診受診者数の約18倍の数となります。

リスク評価により、約504人の骨粗鬆症患者の診断と治療開始が可能となると見込まれます。適切な治療介入により、10年以内に発生する可能性のある骨折を46人の患者で予防することができます。特に、介護の原因となる大腿骨近位部の骨折は、16人の患者で予防が可能です。これにより、年間の医療費及び介護費の削減効果は約2,936万円となると予想されます。

 人口8万人の都市である蒲郡市で実施したこのモデルケースを全国規模に展開した場合の試算によれば、約79.1万人の骨粗鬆症患者の診断と治療開始が可能となると見込まれます。適切な治療介入により、大腿骨近位部の骨折を予防できる患者数は約2.6万人、年間の医療費および介護費の削減効果は約460億円となると予想されます。

本実証実験は市の実施する肺がん検診受診者(国民健康保険加入者)を対象としています。今後、社会保険加入者を対象とした企業健診での骨粗鬆症スクリーニングの実証実験も予定しております。

  • 実証実験の背景(課題と解決策)

 高齢化が進む日本では、加齢に伴う骨粗鬆症患者が1300万人に上る一方で、骨粗鬆症検診受診率は約5%に留まります。 その結果、骨粗鬆症患者のうち約80-90%は治療介入ができていません。 骨粗鬆症が未治療のまま放置されることで骨折、要介護状態に繋がり、これらによる医療・介護総費用は約1兆円に上ります。 骨粗鬆症検診を実施するにあたり、特殊な検査機器を用いるため多くの被検者を対象にできないこと、被検者側の受診の動機づけが難しいことが課題です。 これに対し我々は、深層学習による画像解析技術を応用し、一般的かつ撮影頻度が高い検査である胸部X線写真から骨粗鬆症を検査するAI医療機器を開発しています。 他の目的で撮影された画像を二次利用して骨粗鬆症検査を実施することが可能であり、被検者は追加の検査時間・労力・被爆なしに検査受診が可能となります。 適切な検査実施および治療介入は、骨折・要介護の回避および医療費削減に貢献する可能性があります。
 上記のAIの社会実装の方法の一つに肺がん検診との連携があります。 肺がん検診は40歳以上の男女を対象とした検診であり、受診率が高く、胸部X線写真を撮影します。 これに着目し、肺がん検診の際に撮影された胸部X線写真で骨粗鬆症の評価を同時に行うことで、効率的な骨粗鬆症患者の発見を目指しています。 2022年11月、その有用性の評価を行うために、蒲郡市および蒲郡市医師会の協力を得て、実証実験を開始しました。 この取組みは、検診事業実施主体である自治体、検診受託医療機関である医療機関(医師会)の連携体制が必須であり、蒲郡市ではこの体制が構築されていたため、スムーズな実証実験のスタートに繋がりました。

  • iSurgeryの目指す未来

「骨粗鬆症患者の早期発見・早期治療により骨折や要介護状態を減らし、健康寿命を伸ばす。」をビジョンに掲げ、胸部X線写真から骨を検査するAI医療機器を開発しています。どこでも、誰でも、手軽に骨粗鬆症の評価を受けられる未来を目指して。私たちは、骨粗鬆症診療のデジタルトランスフォーメーション(DX)により、高齢化社会が抱える長年の課題にブレイクスルーを起こすことを目指します。

その一環として、2023年4月18日、「胸部X線写真から骨を検査するAI医療機器」の販売を開始しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000061960.html

  • 会社概要

社名:iSurgery株式会社

本社所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-9-10日本橋ライフサイエンスビルディング7

名古屋オフィス:愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12 11F Pre-Station Ai 内

代表取締役:佐藤洋一(整形外科・リハビリテーション科専門医)

設立: 2020年5月

業許可:第二種医療機器製造販売業、管理医療機器販売業・貸与業

HP:https://www.isurgery.tech/

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